『エンジェル・ダスト ―Angel Dust― 001』作者:桐生龍太 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約1.83枚




[PCP]

フェンサイクリジンという幻覚剤の略称

悪魔の薬とも言われる

催幻覚的薬物の中でもケタ違いに効力が強い究極のドラッグ

特に粉末状のものを、(天使の粉・天使の欠片と、)


エンジェル・ダストと、呼ぶ




 ★


あたしは短く痙攣し、そして目覚めた。

頬を涙が伝り、冷たいコンクリートの床に染み込んだ。

――やっぱり、また死ねなかった。

あたしは激しく咳き込んで起き上がった。

薄暗がりの中でひとつ、蛍光灯だけが目映い。

それは紫色の仄かな光だ。

携帯電話が鳴っている。

それは少しして止まり、しつこくまた鳴り始めた。

あたしは目を閉じる。

綺麗な音。

形の悪い電子の音でさえ、このメロディは美しく変えてしまう。



ふらつく体を支え、寝返る。

ぱらぱらと白い錠剤が落ちて、床に転がる。

床にはところどころに黒い血の染みが広がっていて、何か感じの悪いものも混ざっ

ていた。

あたしはバスタブまで這い、ワンピースごと下着を脱ぐと、シャワーの蛇口を捻り

熱いお湯を浴びた。

咽喉がからからで、焼け付くような痛みを覚える。

途端、バスタブの床に手をつき、激しく嘔吐する。

白濁した、どろどろするものと同時に、血液も出す。


何もかも無くなってしまえばいい。

あたしの中の、全てが。



携帯はまだ鳴り続けている。

綺麗な音。

あたしがこの世で、一番好きな音。

あたしの為に、ヒカルが作ってくれた音だ。








2004-03-18 16:24:47公開 / 作者:桐生龍太
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■作者からのメッセージ
短いです。
でも、これから続編を書く予定なので、読んで頂けたら光栄です。
今回読んでくださった方、ありがとうございました。
この作品に対する感想 - 昇順
どんな風に展開していくのか、楽しみですっ!薄暗い感じで、惹かれます。
2004-03-16 22:12:48【★★★★☆】ハルキ
淡々と静かに進んでいく感じがいいです!続き楽しみにしてます♪
2004-03-17 18:04:33【★★★★☆】柚紀かなめ
有難うございます。春休みを利用して(学生なので)少しずつ書いていこうと思っています。宜しくお願いします。
2004-03-18 15:39:45【☆☆☆☆☆】桐生龍太
柚紀かなめさんと同じく、淡々と進んでいくのに好感が持てました^^続きがとっても楽しみです。
2004-03-18 16:47:12【★★★★☆】紅い蝶
計:12点
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