『くだらない少女漫画』作者:桜井三波 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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逢坂高校に通う2年の小谷圭は今日も一人だった。

下校時刻。一人で学校の校門をでて、一人で電車に乗り、やっぱり一人で家に向かおうとしていた。

今日もまっすぐ家に向かおうとした。だが、駅の近くにある本屋にふと入ってしまった。入ると、目の前に少女漫画の月刊雑誌がたくさんおいてある。
いつもの圭なら見向きもしないのだが、なぜだか今日はたくさんあるその1冊を持って、レジに向かっていってしまった。
店員に言われた金額をただ言われたままに出すと、「ありがとうございました」といいながらその店員に袋でつつまれた本を渡され、圭はその本を学生カバンの中に入れた。

そして圭は駅をでて、家にむかったのである。

自分の住んでいるマンションのドアの前に、右手に持っていた学生カバンをおき、左手でポケットに入っていたカギをだしてドアをあけた。

カバンを放り投げ、コートとマフラーをその辺に放ると、圭はソファーに座って1時間そこでぼーっとしていた。
1時間もそんなことをしているとひまなので、圭は今日出された課題でもやろうとカバンのフタをあけた。すると、さっき買った本が目に入った。

「なんでこんなもの買っちゃったんだろ、嫌いなのに。少女漫画」
圭は電気もつけないで1時間もソファーに座っていたせいで辺りは真っ暗なのに気づかずにつぶやいた。
次の資源ごみの日に捨ててしまおうとも考えたが、410円もだして買ったものを1ページも読まずに捨ててしまうのは気が引けるので、仕方なく読みきりのページをさがして読み始めた。

題はよく読めない。漢字4文字。内容は主人公(女の子)のせいで死んでしまった恋人を命日に悔やんでいると、他の男の子がやってきてそのことをなぐさめて、主人公はその他の男の子と恋人になった、という話だ。

くだらない。そんなことをしたら死んだ主人公の恋人がうかばれない。大体、なんで命日に都合よく他の男の子が現れるんだ?

それに、少女漫画ってーのはどっかおかしいんだよ。
なんで主人公の女の子は不細工で、学園一格好いい男の子を好きになるんだ?
なんで主人公の女の子のライバルはみんな可愛いんだ?
なんでその学園一格好いい男の子は主人公を好きになるんだ?

圭はその漫画を投げつけ、頭を抑えた。
なんでここまで私はこんなくだらないことにこだわるんだ。

それは圭は3年前、そこらへんの少女漫画の主人公になっていたから。
















2004-02-09 14:22:57公開 / 作者:桜井三波
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