『おさななじみと恋人と 《完》』作者:捺来 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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第1章★2人の関係

ザワザワとした商店街。
私はいつも幼なじみと一緒に歩いている。
学校の登下校はもちろん。退屈な時が一瞬でもあればいつだって一緒にいる。
周りから見れば馬鹿な奴等って思われてるだろうけど。
小さい時…赤ちゃんの時からずっと一緒だから。
その幼なじみが『桜井 シン』
そして馬鹿みたいに一緒にいる私が『赤佐 瑞央(あかさなお)』

「ねぇ、シン!アイス食べてこうよ〜」

「このくそ寒いのに食う馬鹿がいるかよっっ」

「ここにいる」

私は勝ち誇ったような顔でシンを見た。
シンは呆れた顔をしてた。

「んじゃ〜。どっか店でも入るか」

「さっすがシン!!大好きっっ」

「いや、ナオの馬鹿っぷりに感動しただけだから」

「なにそれ〜!!」

商店街の中にある、アイスクリーム店に入った。
中には甘い、いい香りが立ち込めていた。

「キャラメルリボンだって〜!美味しそう!!」

「甘ったるそう・・・こっちのほうが美味そうだって」

私たちはお互いに好きなアイスを選んだ。
シンは嫌がってた割りに美味しそうに食べてる。

「なんだかんだ言って食べてるじゃん。ホントは大賛成だったんでしょ」

「んなっ!ナオがワガママ言ったからだろ」

「でも、美味しそうに食べてるのはなんで?」

私がそう言うとシンは黙ってしまった。
今日は私が1枚上手だった。

「今日はシンの負けだね」

私はそう言って店を出た。

「待てよっっ!!」

シンはそう言って後からきた。
いつまでもこの関係が続いてほしい。
心からそう願った。

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第2章★初めて抱く恋心

今日の出来事…。登校中の出来事。
もちろんシンと2人で登校中である。
今日は、いつもより早めに家を出ていた。気分的に。
学校へと繋がる坂道は高校生とすれ違う。
そこで私は「一目惚れ」というものをしてしまったのだ。

そのとき私は道で転んでしまっていた。
氷で道路が滑ってたから。
恥ずかしさで立てない私に手を差し伸べてくれたのがその人だった。
シンじゃなくて・・・ね。

「あ…ありがとぅございました!!!」

「どーいたしまして」

たったこれだけの会話だった。
でも、あの人のやさしさに確かに心惹かれていた。

「シン!これが恋って言うのかな!?」

「はぁ?」

「うん。そーだよ。絶対…うん…」

ブツブツ言っている私にシンは不思議な顔で見ていた。

「は…初恋だぁぁぁっ」

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第3章★恋する乙女へ前進を

「めちゃめちゃ恥ずかしかったぁ・・・」
                  ユウナ
私は学校に着いてすぐに友達の有名(通称ユウちゃん)に話した。
シンとはクラスが違う。
いちいち話に行くのも面倒くさいから行かない。

「ようするに一目惚れってわけね」

「うん。胸がキュンってするんだよ」

「キュンって…。ま、頑張って」

ユウちゃんは冷たいというかサッパリしている。
だからかもしれないけど、私の恋愛には興味がないみたいだ。
当たり前だ。
きっとユウちゃんだって自分の恋愛で精一杯だったりするんだろう。
私のことなんて構ってられないんだろう。
ちょっと寂しくなりながら考えた私に、ユウちゃんは言った。

「シン君は知ってるの?」

「う〜ん。でも帰りに話すかも」

「ダメよ。恋する乙女は秘密があるほうが可愛いんだから」

「わけわかんないよ」

ユウちゃんの言っている意味が全く解らなかった。
とりあえず思ったのは「秘密にしておこう」だけ。
確かにシンに言ったところで解決する問題じゃないから。

「ユウちゃん! あたし頑張るよっっ」

「その意気で頑張りたまえ〜」

ユウちゃんの一言に笑いながらも気合は十分だった。
とりあえず、自分の恋に前進あれ。

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第4章★運命

「ナオー! 帰るぞ」

放課後になるといつもシンが迎えにくる。
部活も引退したし暗くなる前に帰れるから別にいいんだけど。

「あたし部活ちょっと見てってもいい?」

「おー。んじゃ俺も見てくる」

今日は久しぶりにバレーボールがしたくなった。
何故かは解らないけど。
引退前はバレー部の《スーパーサーバー》って呼ばれてた。
その眠ってたものが暴れ出した…という感じである。

「ナオ先輩っっ!来てくれたんですか!?」

「ちょっと気になっちゃってさ。調子はいかがでござんしょ?」

「アハハッ! めちゃめちゃOKですよぉ」

「でわ、少し見学させてもらうね。期待してるよ」

私はそう言って腰をおろした。
まだ部活自体は始まっていなかったから、隣のバスケ部を見ていた。

「やっぱ男バスはカッコいいなぁ…。動きが速い。」

そう呟いた、その時だった。
男子バスケ部に見たことがある男性が入ってきた。
そう、私が出会った運命の(!?)人。
今日の朝に助けてもらった、あの高校生だったのだ。

「あー…!!」

突然のことでビックリした私は大声で叫んでしまった。
それに気づいたのか、朝の男性は私のほうを見てきた。
思わず目をそらしてしまった私のそばに、あの男の人は近づいてきた。
《う…運命だわぁ…》

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第5章★運命?

《大声出さなければよかったっ!!》
そう思っていたら自分の顔がこわばっていくのがわかった。
バレーの試合のときとはまた違う緊張が体を走った。

「君って朝の子だよね?」

朝の男性はそう言って私の前に来た。
私は声が出なかった。
それでも、お礼を言わなくては…という心が働いた。

「あ…はい。 朝はありがとうございました」

「いえいえ。怪我してないんだ?」

「大丈夫です。あたし不死身なんで」

冗談を言える余裕があるなんて思わなかった。
やっぱり私の見る目は間違ってなかった。そう実感できた。
見ず知らずの人の心配できる人なんてそういない。
「怪我してないんだ?」 この言葉にときめいた。
ユウちゃんが言うみたいに恋する乙女炸裂だ。

「ナオ先輩! サーブお願いします」

もう少し一緒にいたかった。
私はあの男性に自分のことを知ってもらいたくて勇気を振り絞った。

「あたし赤佐瑞央っていいます。また何かあったら!」

心臓バクバクだったけど、きちんと言えた。
声は震えてた。
緊張が続いていたのかサーブはうまくいかなかった。


「シン…恋愛っていいものだね」

「お前さぁ、朝からおかしいよ?」

帰り道。私は浮かれてた。
自分の見る目と、朝の男性の優しさに…。

「あぁ! 名前聞くの忘れてたっっ」

自分の馬鹿さにもいいかげん飽きてきた。

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第6章★恋は盲目

「シン、先に帰ってていーよ。あたし部活いくから」

「またかよ。んじゃ帰る」

ここ最近はずっと部活に出ている。
バレーしたいのもあるけど、90%は朝の人に会うため。
とうとう名前も聞き出した。「日比野 拓志」というらしい。
自分にしては凄い勇気だったと感心した。

「日比野先輩!!」

「あ、ナオちゃん。調子はどうよ?」

「バリバリOKですよ。力も有り余っちゃってるし」

わざと腕を折り曲げさせた。
「元気いっぱい」を伝える為の精一杯のポーズだ。

「じゃぁ、ナオ先輩。サーブお願いしていいですかぁ?」

後輩が笑って私に言った。してやったりという顔だった。
サーブを打ちに部活にきたのだから断るわけにもいかない。
仕方ないから先輩との話は止めてコートへ向おうとした。

「ナオちゃん!帰り玄関の前で待ってるから。送るよ」

日比野先輩の声だった。

「はい!わかりましたっっっ」

最近の私は絶好調すぎる。
こんなに恋愛の進展は早いものなんだ、とビックリした。
その日の私のサーブも絶好調だった。

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第7章★真実をよく見て

「日比野先輩♪」

私は部活が終わると真っ先に玄関へ向かった。
部活後で疲れているのに、足は軽快に動いていた。

「あ、ナオちゃん。 おつかれさん」

「先輩もお疲れ様です!」

「んじゃ〜。行こっか」

私と先輩は歩き出した。
男の人って歩幅広いし足も速いのかと思ってた。
でも先輩は違った。私に合わせてくれている。
《少女漫画の主人公みたいだよ…あたし》
そんな都合のいいことを考えながら歩いていた。

「ちょっとだけ遊んでいこう」

放課後デートというものなのだろうか。
心臓がバクバクした。

「ここで良い?」

見ると何人もの男の人がいた。
みんな私を見てニヤニヤしていた。

「え、先輩…? 何するんですか…?」

「んまぁ〜、遊んでればわかるよ」

不適な笑みで私を見た。
顔から一瞬で血の気が引いた。
《怖い・・・・》

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第8章★真実はひとつ

男の人の腕の力は強かった。
バレー部で鍛えてた私の腕を動かしてもビクともしない。
声を出して叫びたいけど恐怖で声が震えている。
でも、このまま自分がいやな目に会うのは嫌だ。

「本当に放してくださいっっ!!」

「抵抗されると男心をくすぐりますねぇ」

男心なんて関係ない。
今、私の中で考えているものは「逃げ出したい」それだけだった。
でもどうしたらいいかなんてわからない。
数人の男の中で女1人なんて、今までに体験したこともなかったから。
震えるからだで誰かが気づいてくれるのを待つだけだった。

「そろそろ始めるか?おとなしくなったしな」

もう限界だ。そう思って諦めかけたそのときだった。

「ナオ?」

シンの声だった。
私は状況を説明しようと思ったけれど震えて声が出ない。
でもシンの顔が強張っていくのがわかった。状況がわかったのだろう。

「ナオ…ちょっと待ってろよ」

そういうとシンは先輩たちのほうへ向かっていった。
高校生相手に一人で大丈夫なのだろうか。
大切な幼馴染が自分のために向かっていくなんて信じられない。

「シン駄目だよっ!危ないよ。怪我しちゃう!!」

自分のためにシンが犠牲になってほしくない。

「大丈夫だって。俺が空手習ってるの忘れたわけ?」

「空手はケンカするためにあるんじゃないよっ」

「ナオを守るために習ってきたんだよ!今使わねーでどうすんだ」

危機的な状況なのにシンの言葉にびっくりした。
ビックリしている間にシンは高校生に向かっていった。
それでも急所をはずしているのか、ダメージは少ないようだ。

「んま、こんなもんでしょ。さすが県大会優勝の技だ」

「シン!!」

「ナオ、大丈夫か…?」

「うぅん…めちゃ怖かったぁ…」

安心したのか涙がでてきた。
シンは何も言わずに抱きしめていてくれた。


「それにしてもシンってばナイスタイミングだったね」

「古本屋で漫画買ってきた帰りだったんだけどね」

「うん…」

「ナオは男の見る目がないんだな」

「それ言わないでよ。自分でもショックなんだから」

「ま、今回は失敗だったけど。次だよ次」

シンの温かい言葉に心が癒された。

「あたしシンが居ればいいや」

「は?」

「いや、幼馴染としてだよ?恋愛感情じゃないから」

「おう」


─────7年後
男の見る目がなかった私も今日、結婚式を迎えた。
22歳だから少し早めの結婚だ。

「キレイなドレス〜。幸せ!」

コンコン…部屋をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

ドアを開けると立っているのは私の旦那になる人だ。

「見てシン!あたし世界で一番キレイだと思う」

「ドレスがきれいなんじゃないの?」

「失礼なっっ」

「ごめんごめん。大丈夫、ちゃんとキレイだから」

「桜井さん、赤佐さん。入場なのでこちらに…」

今日は2人の門出である。
2004-02-16 22:38:52公開 / 作者:捺来
■この作品の著作権は捺来さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
シン君意外な事実o空手やってましたo
すいませんo自分の幼馴染と当てはめてしまいました…汗
これで完結です。
書き方についての指摘があったのですが、今作はこのままの書き方で続けさせていただきましたo
次回からは研究して投稿いたします。
近作のお付き合いありがとうございました。
この作品に対する感想 - 昇順
平凡さがいいですね(ぇ。次も読みます!!
2004-01-12 14:20:02【★★★★☆】はるか
メッセージありがとうです!!平凡大好きですっ何
2004-01-14 17:03:36【☆☆☆☆☆】捺来
シン君との関係はどうなるのでしょ〜v楽しみです☆
2004-01-17 13:19:13【★★★★☆】琴葉
メイチェンさん。いくらなんでも言いすぎなんじゃないですか?最悪以下ですよ
2004-01-17 13:52:27【☆☆☆☆☆】はるか
おぉっ☆よかった!メイチェンsとかいう人のレス消えてるw捺来様、あんなの気にしちゃダメダメですよっ☆
2004-01-17 20:19:03【☆☆☆☆☆】琴葉
レスぁりがとぅござぃますo何かあったのですか!?今みたばっかりで話が掴めないんですo
2004-01-17 22:11:48【☆☆☆☆☆】捺来
瑞央とシンの関係がどうなるのか?すっごく楽しみです♪ 次もがんばってください
2004-01-18 23:03:24【★★★★☆】fu-yu
楽しく読ませていただきました(^^)第5章待ってます
2004-01-19 21:16:45【★★★★☆】紫の折り紙
ドゥハ〜!!次が気になる〜!!運命っていい響き〜♪
2004-01-19 21:17:57【★★★★☆】梟
メッセージぁりがとうございます
2004-01-19 21:29:42【☆☆☆☆☆】捺来
第5章も皆さんの期待に添えられるように頑張りたいと思います!みなさんの小説も拝見させていただきたいと思いますvv
2004-01-19 21:30:23【☆☆☆☆☆】捺来
二人の会話のやり取りがとても面白かったです!シン君のキャラがいいですね!
2004-01-21 16:28:47【★★★★☆】葉瀬 潤
これって続きあるんですか?とてもおもしろかったです。続きがあるなら早く読みたい!
2004-01-25 17:09:04【★★★★☆】RYO
葉瀬様>シンを気にいって頂けて嬉しいですoシンも喜んでますよww何  RYO様>続きありますo面白いって言って頂けると嬉しいです
2004-01-26 15:36:14【☆☆☆☆☆】捺来
はじめまして! さてさて先輩はナオちゃんに好意を抱いたのか、シン君との恋愛はあるのか気になるところですね! こうゆうほのぼの恋愛系は好きです。運命とか思えちゃったり、恋する女の子特有の可愛さがよく表れているなあと思いました。
2004-01-26 21:35:42【★★★★☆】月城里菜
はう(´д`;)これから何が??って感じです!!w 続き楽しみしてます!!頑張ってください。
2004-01-30 17:34:31【★★★★☆】ナグ
主人公の女性はバレー引退してるんですよね?ということは3年。
2004-01-30 18:13:23【☆☆☆☆☆】飛燕
うああ、すいません。途中投稿してしまいました(泣)続きを・・・3年。なのに一目ぼれの相手に先輩ってのはどういうことなのか(汗)と思いました。
2004-01-30 18:15:49【★★★★☆】飛燕
予想*ボコボコにされるのか、廻されるwのか・・・? 続き頑張って下さいね!
2004-01-30 20:37:19【★★★★☆】月城里菜
月城様>>コメありがとうございます。次回で真意が見えてくるはずなので楽しみに…ぇ ナグ様>>楽しみって言っていただけると書きがいがあります!頑張ります! 飛燕様>>先輩は高校生という設定にしてあるんです。だから、先輩が部活に出てるのもナオと一緒で遊びに来ているという感覚なんです。わかりにくくてすいません汗
2004-01-30 22:13:33【☆☆☆☆☆】捺来
意外な展開にびっくりしてます!!どうなっちゃうの?!すごく気になる更新でした!!
2004-01-30 22:44:05【★★★★☆】葉瀬 潤
作者さんは、小説というのを知っているのかと疑ってしまう。何故ならば基本がなっていない。それもあるし、まず一章の長さが短すぎる。これを単行本にするなのならば1ページで次の章に行ってしまいますよ?(笑)それを無駄な改行で補っているのも異常です。描写が薄っぺらいです。もっと描写を細かくした方が良いのでは? 続きも頑張ってください。
2004-02-02 19:33:41【☆☆☆☆☆】c4936
以後気をつけます。コメありがとうございました。
2004-02-02 20:49:34【☆☆☆☆☆】捺来
シン君と結ばれて嬉しいです!!もう少し長編だったらいいのになと惜しく思いましたが、納得のいく終わりかただったので満足しています!7年の間に何があったのだろうと気になりますが、二人がすごく幸せそうで良かったです。。次回作、期待しています!
2004-02-16 23:28:46【★★★★☆】葉瀬 潤
お疲れ様でした! めでたしめでたしで良かったです(*^^*)シンかっこいい〜とか思っちゃったり。ピンチな時に助けてくれる幼馴染なんて理想じゃないですか(*≧ω≦*)! 次回作も期待しています!
2004-02-16 23:33:22【★★★★☆】月城里菜
おつかれさまでした。何気にいつも読んでいました^^ラストよかったです。シンみたいな奴と友達になりたいですね。次回作も期待してます!!
2004-02-17 03:07:00【☆☆☆☆☆】風
点数つけるの忘れました。でわっ
2004-02-17 03:07:55【★★★★☆】風
終わりましたねぇ最後の7年後がよかったです。これからも頑張ってください
2004-02-17 17:01:49【★★★★☆】RYO
計:64点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。