『今日の良き日は 1』作者:茄音 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角1295.5文字
容量2591 bytes
原稿用紙約3.24枚

朝からつまらない、とにかく暇。
友達に電話しても、塾やらバイトやらなんだで遊んでくれない。
だから、じっと5階の窓から空を見てた。
ここからは初めて見た空だった。
なんとなく、5階だから手が届きそう。

「あんず?お母さん、仕事に行くからね」
「うん。何時頃帰ってくる?」
「えー多分・・・11時かな?夜ご飯、レトルトカレーあるからね」
「そ。じゃあね」
ご飯も一緒に食べてくれない。
でもしょうがないよね。
お父さんとお母さん別れちゃって、お父さん居ないんだし。
お母さんだって、頑張って働いてるんだよね。
「よしっ、久しぶりにどっか行こっと」
あたしの部屋には全身鏡しかない。
だから、全身鏡に顔を近づけてお化粧をした。
ピンクの口紅を塗った。それだけ。

階段を降っていくと、すぐ傍に広い公園がある。
広い公園は、ブランコしかない。あとは砂のグラウンド。
公園の奥にはヤブ林がある。
「久しぶりだな・・・この公園」
ブランコに乗ってみた。ボーっとしてた。
今の時間は陽射しが強い。11月も終わりなのに、暖冬みたい。
ときどき通る車の音が心地良く聞こえた。
「ミャァー」
「きゃ!!・・・猫か」
気がついたらあたしの膝の上に乗ってた。
猫の首には赤い首輪がついてた。
「君、どこンちの猫?」
猫を抱き上げた。首輪にマジックらしき太い字でオオイシと書いてあった。
「・・・オオイシ?ふーん、あたしも前はオオイシだったよ」
お父さんの苗字だった。
「ミャァー」
猫はあたしの膝から飛び降りて走っていった。
「どこいくの?」
猫は止まった、あたしを見てる。呼んでいるのかもしれない。
「待って!」
あたしは猫を追っていった。林の中へ走っていった。

「はぁはぁ・・・どこまでいくの?あっ!」
小さなトンネルが出てきた。
「待ってよ!!」
猫はトンネルに入っていった。あたしもしょうがなくついて行った。
先が見えない。ずっと続いているような感じ。と思ったら
「ゴンっ!!」
壁にあたった。
「イテテ・・・あれ?」
上から光が漏れてる。両端にはしごがついてた。
猫はあたしを待ってる。
「えっ昇るのー!!ちょっと!!」
あたしは肩にかけてたショルダーバックを上に投げて
腕をまくり、昇った。

「よいしょ!!はぁ・・・ついた」
やっと出た。涼しい風がふく丘の上だった。
「あれ、猫がいない」
気づいたら、猫は消えていた。さっきまで居たのに。
「わぁ!!すごーい、こんなところに町あったんだ」
喉かな町だった。電信柱はまだ木で出来ていて
古くさい線路に、電車が走っていた。しかも田んぼだらけ。
あたしは丘を走って降りた。バス停があった。
『絵山寺』だそうだ。バスの時刻表にはひとつしか書いてなかった。
「えぇ、4時50分?今が11時だから、あと6時間ぐらいか」
まあ見てまわればそれぐらい経つだろう。
                                   つづく
2004-01-06 15:38:24公開 / 作者:茄音
■この作品の著作権は茄音さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
少女が生まれたばかりの頃、両親は離婚した。
だから少女は父の顔をはっきりとは覚えていない。
そんな少女が主人公の恋愛小説です。
コメント、よかったら下さい。
この作品に対する感想 - 昇順
おもしろかったです^^これから恋愛色の強い作品になっていくのでしょうか?続きが楽しみです♪
2004-01-06 23:19:35【☆☆☆☆☆】律
点数入れ忘れました!
2004-01-06 23:19:55【★★★★☆】律
計:4点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。