『共学政策物語(本編)』作者:海風 海里 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角16373文字
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原稿用紙約40.93枚

共学政策物語

最初は1年の頃のささいな質問だった。
「先生、どうして我々の学校は男子校なのですか?」
そう言い出したのは相馬だった。
その質問を先生は軽くあしらう。
「さぁねぇ。」
それから6ヶ月後、あの頃の1-Cは2-Cとなって立ち上がった。
「今こそ蘇生学校を男女共学にする時だ。」
そして武器と装備を蓄え、仲間を増やていった。
あの質問から1年後の2003年9月7日。隊名「こだわりのある共学派の集い」は学校に攻め入るため、
各部隊各場所についた。日曜日は教員が少ない。
最終目的は…校長への脅迫だ。
午前9時。地下作戦支部にいる戸窓と西風は各場所に待機している全部隊に通信を入れた。
「作戦開始だ。全員予定通りに動いてくれ。」
「作戦開始。皆、健闘を祈る。」

チーム6、第一隠密作戦部隊は学校の電気系統が集まる場所にいた。
 機械関係の詳しい野原に電源切断をさせ、相馬と後済は警戒態勢に入っていた。
 相馬は通信機のスイッチを入れる。
「こちらチーム6、電源切断には約5分かかる。チーム7はそれまでに電話回線の切断を頼む。」
『了解。突撃、突破チームは突撃の準備をしてくれ、もうすぐ電話回線の方も切断できる。』
『チーム2、了解』
『チーム4、了解』
『チーム5、了解』
『チーム3、了解』
 ここで作戦支部から警告が入った。
『各部隊。今学校内にかなりの数の何かがある。皆注意してくれ。』
「何かは特定できますか?」
『いや、分からない。だが、危険なことは確かだ。』
 何があるんだ。何が危険なんだろう。
 そこで電源コードの切断が終わった。
「隊長、電源コードの切断が終わりました。」
「分かった。周囲警戒に移るぞ。」
「了解。」
「了解。」
 相馬は通信機に向かって報告した。
「こちらチーム6、電源切断が終了した。」
『こちらチーム7、こちらも電話回線の切断が終了した。これから通信機の破壊に移る。』
『みんな聞いたか?準備はととのった。全隊突撃へ移れ。』
『了解。皆、突撃だ。』
 通信機の向こうからは「了解」と言う声が響き渡った。
 戦争の始まりだ。
 
 こちらはチーム3、第一突撃部隊である。
 先頭には千葉と川滝がいる。全員小銃を抱えて突撃していた。
隣にはチーム2とチーム5がいた。全員まとまって突撃している。
 あともう少しで正面玄関だ。正面玄関は突き破っての攻撃だ。
いちいちドアを開けていては時間がかかる。
 と、その時。近くで爆発が起こった。
 ドン ドン ドンドン ドン
 くそ、クレイモア爆弾だ。行動が読まれていたか。
 千葉は通信機を入れた。
「こちらチーム3、クレイモア爆弾が仕掛けてあった。行動は読まれていたようだ。全部隊注意せよ。」
『くそ、どこで情報が漏れていたんだ。』
『こちらチーム2、負傷者10名。2-Cに負傷者はいない。』
『こちらチーム5、負傷者約5名。こちらも2-Cに負傷者は無し。』
 これは…かなり注意しないといけないな。
 千葉は汗を拭った。向こうも本気だ。
 正面玄関に着き、ドアを蹴破り中に入った。盛大な音がして多くの隊員がなだれ込む。
 先頭を走っていた千葉は目を疑った。あれは…。
「学校内に二足歩行ロボットが大量にいる。全員AKライフルを装備。全部隊警戒せよ。」
『了解』
『了解』
『了解』
『了解』
 バン バンバン 
 校内はすぐに戦場と化した。敵の兵数は約20体。数的にはこちらが有利だが、あちらは実銃、
こちらはゴム銃だ。圧倒的に不利なことは分かっている。
時間がたち、だんだんと隊員が倒れていった。
「作戦支部、例のアレを許可してもらいたい。」
 千葉は通信機に怒鳴り込んだ。いまや千葉の動ける隊員は20人ぐらいだ。
『了解。特殊能力の使用許可を出す。敵兵を一掃せよ。』
 許可が下りた。特殊能力が使えればこっちのものだ。
 千葉は自部隊の2-Cに連絡した。
「特殊能力の使用許可が下りた。他部隊と隊員の避難をうながしてくれ。」
「待ってましたー。」
「よし、一気に倒しましょう。」
「使うことになるとは思いませんでしたね。」
 特殊能力は各部隊長と副部隊長のみが使えた。
 特殊能力の中身はそれぞれ違っている。
 他部隊と隊員が避難し、自分ひとりになったことを知ると。千葉は特殊能力を発動させた。
 それと同時にロボットが混乱し始め、同士討ちを始めた。
 千葉の特殊能力。それは、範囲内にいる生物や機械の思考能力の混乱であった。
 思考能力の混乱により同士討ちさせる事ができるが、
無差別が故に自部隊にまで被害が及んでしまうところが使い勝手が悪かった。
 効果範囲は半径約5mだ。
 ロボットが全滅した頃、千葉は全部隊に連絡を入れた。
『ロボットは全滅。各部隊、任務に戻れ。』
 その時、上で撃ち合いが始まった。2階にいるのは、増援阻止部隊だった。

 切羽詰った中、湖沼は通信機に向かって連絡をした。
「こちらチーム1、2階特別教室から進入したが、ターゲットネーム『歩く屍』と理科実験室の前で遭遇。
只今戦闘中。至急増援を頼む。」
『歩く屍が出てきたか、チーム5、チーム7。チーム1の元へ急行してくれ。通信機の破壊は後に回してくれ。』
『了解』
『了解』
 湖沼は戦闘に戻った。周辺には隊員が10名いる。全員ゴム銃で歩く屍と機械兵に応戦している。
「歩く屍とはよく言ったものだ。ゴム銃も実弾も効きやしネェ。」
 歩く屍はゆっくりとこちらへ向かっていた。
「皆、遠距離を保て。接近戦に持ち込まれたらこちらが不利だ。」
 湖沼は叫んだ。部隊全員に聞こえるように。

 後川の部隊、チーム5は機械兵の残骸を踏み越えて、2階に駆け上った。
 2階に上がると、そこは銃撃戦になっていた。チーム1は斜頚物を使ってなんとか弾をかわしているが、
既に6人が倒れていた。
 後川は前線にいる湖沼に駆け寄ると、湖沼に話しを聞いた。
「一体どうなってるんだ?」
「あぁ、歩く屍はゴム銃が効きやしネェ、ターゲットネーム通りだ。
作戦支部に内緒で実弾も使ったが、全く効かない。」
「なるほど…作戦支部、例の物を使って良いですか?」
『分かった。対戦車ロケットランチャーの使用を許可する。』
「田松!パンツァーファウストを持って来い!」
 後川が後ろにいる田松に声をかけた。
 田松は持っていた大きなケースを抱えて後川の元へ走ってきた。
「後川部隊長。使用許可は?」
「大丈夫だ。使用許可は下りている。」
「了解。今取り出します。」
 田松はケースを床に下ろし、蓋を開いて中のロケットランチャーを取り出した。
 パンツァーファウスト、歩兵携帯型対戦車ロケットランチャーである。型は古いが、
もしもの時のために持ってきた物だ。かなり強力である。
「全部隊、敵兵と距離をおけ!例の物を使う!!」
「了解!」
 全軍が特別教室より後ろの一階と三階を繋ぐ階段まで来る。敵との距離は約25m。
 田松以外は階段下にいる。田松は肩に担ぎ、目標を定めた。目標は…歩く屍と周辺の機械兵。
「発射ぁ!!」
 田松は発射レバーを引いた。ロケット弾が飛び出した。ロケット弾は真っ直ぐに歩く屍へと向かっていく。
 それと同時に田松は階段下へ急いだ。距離が近いために爆発の被害がこちらにも来るからだ。
 爆発音が聞こえた。巨大な爆発音だ。
 少し時間が経ってから後川と田松が様子を見に戻った。
「やったか?」
 階段下にいる湖沼が聞いてくる。
「………そんな。」
「…くそっ。失敗だ。歩く屍だけは生きている。」
 後川達の視線の先には、黒く漕げたまま歩いている歩く屍の姿があった。

湖沼は作戦支部に通信を入れた。
「俺と後川の特殊能力使用許可を出して欲しい。」
『分かった。許可を出す。歩く屍は強敵だ、なるべく早く殲滅してくれ。』
「了解。後川、許可が下りた。一気に攻めるぞ。」
 湖沼が通信を切った。
「分かった。おい、チーム1、チーム5の隊員。副部隊長の指示に従って効果範囲外に出ろ。」
「了解。」
部隊は後川と湖沼達から離れていった。これぐらい離れれば大丈夫だろう。
湖沼は特殊能力を発動させた。それと同時に後川も特殊能力を発動させた。
 周りの壁や置物が溶け始めた。湖沼の特殊能力だ。湖沼は半径5m以内を強酸で溶かす事ができる。
 だが、後川は溶けなかった。それは後川の特殊能力にある。
 コントロール。
 それが後川の特殊能力だ。
 後川は力をコントロールする。自分の体ではない。その他の物に対してだ。
 簡単に言えば、向かってくる銃弾を180°
方向回転させて全く逆の向きに弾を向かわせる。そんな感じだ。
 今、後川は自分に強酸が降り注がないように力をコントロールしている。
 後川は湖沼の特殊能力を一点に集中させた。周りの壁や床は溶けるのをやめた。
 そして一点に集中させた強酸を歩く屍に突撃させる。
 強酸は真っ直ぐに歩く屍の方へ向かっていき─突撃。 
 歩く屍の姿は見えない。湖沼は通信を入れた。
「こちらチーム1、歩く屍を排除した。これより元の任務に戻る。」
『分かった。チーム5はそのままチーム1の警護についてくれ。チーム7は任務に戻ってくれ。』
 作戦支部が命令を下す。すると通信機からチーム7の通信が入った。
『すいません。迷いました。』
 貝塚の特技「方向音痴」だ。
 湖沼はため息をついた。

貝塚は道に迷っていた。
「隊長、この道さっきも通りませんでしたか?」
 心にグサリと傷をつけてくれるのは村見だ。まぁ、他の隊員も同じようなことを言うのだが。
 まさかここで方向音痴が災いするとは。貝塚はホトホト困っていた。
 通路は一本道。いたるところに段ボール箱が置いてある。
 学校にこんな道あったかなぁ…。
 そんな事を考えながら真っ直ぐ道の通りに歩く。と、そこに。
 ガタッ。
「隊長…。あそこの段ボール箱が動きました。」
「あぁ、各自警戒。あの段ボール箱から目を離すな。」
 隊員4人が一斉に段ボール箱にゴム銃を向ける。
 …だが。
「キェーキェキェキェキェ!!」
 何かが飛び出してきたのは─後方10m付近にある段ボール箱だった。
「くそっ。撃て!撃てっ!」
 隊員4人が一斉に銃を撃った。ゴムの弾が飛び出していく。
 だが、当たらない。腕が悪いのではない、ターゲットが早すぎるのだ。
 貝塚は通信を入れた。
「こちらチーム7、ターゲットネーム『ゴッドアイランド』と遭遇。
ここ最近姿を見かけないと思ったら、どこかの通路の段ボール箱の中に入っていたようだ。」
『ついに現れたか。厄介な敵だ。すぐに始末しろ。』
「了解。」
 通信を切ると貝塚はゴッドアイランドを見る。ゴッドアイランドは瞬速で走り、
隊員達の近くを走り抜けて段ボール箱に入った。
「うえぇっ。」
 隊員達が地面に突っ伏した。原因はゴッドアイランドの攻撃方法だ。
 ゴッドアイランドは刃物類や物を使って攻撃しない。嗅覚を刺激するほどの香水で攻撃するのだ。
「皆、息を止めろ。臭いをかがないようにするんだ。」
「りょ、了解。」
 ゴッドアイランドがまた違う段ボール箱から飛び出してきた。
 厄介な戦闘になりそうだ。
 貝塚は心の中で自分の方向音痴を悔やんだ。

貝塚達が「ゴッドアイランド」よって苦しんでいる頃、
相馬達チーム6は通気口の中にいた。
「隊長…こんなところに何があるんですか?」
「これを仕掛けにいくんだよ」
相馬は後ろからついて来る後済と野原に手に持っている物を見せた。
「これは…」
「そう、妨害電波発生装置だ。」
「じゃあこれで…」
「そうだ。敵の無線を無効化できる。」
「なるほど!」
「ここら辺でいいな。スイッチONと…」
妨害電波発生装置の電源がONになった事を示す赤いランプがついた。
「さて…とっととこの狭い所から出るか…」
相馬はズボンのポケットからナイフを出した。
「隊長…?ナイフなんかどうするんです?」
相馬は無視して通気口にナイフを突き立て、人が通れる位の大きさに穴を開けた。
「こ…ここから出るんですか?」
「ああ、いちいち戻るのは面倒だから…あ。」
「どうしたんです?」
相馬は下をみていた。
後済と野原も下を見てみると…
そこにはゴッドアイランドと交戦中のチーム7の姿があった。

 臭いに嗅覚をやられながら、貝塚は通信を入れた。
「至急増援を頼む。多分ゴッドアイランドの特殊能力は音速移動だ。」
 しかし、作戦支部はさらりと言いのけた。
『無理です。』
「え!?な、何故。」
『場所が分かりません。』
 考えてみれば当たり前のことだ。迷ってここまで来たのだから誰もこの場所が何所か分からない。
「では、特殊能力の使用許可を。」
『分かった。使用許可を出す。』
 そこで貝塚は通信を切った。隊員はほとんど激臭のせいで倒れている。
 ゴッドアイランドはまた段ボール箱に入るところだった。
「くっ。」
 貝塚は気を集中させた。狙いはゴッドアイランド。当たればほぼ確実に仕留めることが出来るはずだ。
 ゴッドアイランドは段ボール箱に身を隠す。
 貝塚は次にどこの段ボール箱から出てきても良いように全ての段ボール箱に目を配った。
 ゴッドアイランドが段ボール箱から飛び出した。後方の約5m近くだ。
 気をゴッドアイランドの頭部に集中させた。貝塚は特殊能力を発動させる。
 どこからともなく稲妻が飛び出した。稲妻はゴッドアイランドの頭部近くを通りすぐに消えた。
 ─はずした!?
 貝塚の特殊能力は黒魔術。活力を使い現実世界に魔のものを呼び寄せる特殊能力だ。
 ゴッドアイランドはすぐに段ボール箱に身を隠した。
「くそっ、速すぎる。」
 危険だ。自分もそろそろ倒れる。
 足元がふらついて貝塚は壁にもたれかかる。
 次が最後の一発だな。
 そう思ったとき、ある事を思い出した。
 そういえば、ドラゴンボールに瞬間移動ってものがあったっけ…。
 そこである事を思い出した。ゴッドアイランドは段ボール箱と段ボール箱を行き来している。
 そんな事、音速ぐらいでは移動していることが見破られる。
 分かった。とんだ勘違いをしていたな。
 貝塚は通信機を入れた。
「作戦支部、やっと分かった。ゴッドアイランドの特殊能力は…。」
 ゴッドアイランドが段ボール箱から飛び出した。

「隊長!前、前〜!!!」
 貝塚が振り向くと、ゴッドアイランドが凄いスピードで迫ってきていた。
 俺ももう終わりだな。そう貝塚が思った時、音がした。
「パキッ!」
 まるで指を鳴らすような音。
その音と同時に、ゴッドアイランドの動きが止まった。
「よぉ、貝塚。」
 貝塚が声がした方を向いてみると…通風口に穴が開いており、
そこに相馬率いるチーム6の面々がいた。
「…何をした?」
貝塚が相馬にいった。
「俺の特殊能力を使ったんだ。『対象の時間を止める』能力な。」
 相馬はポケットから銃とゴムの弾を取り出し、止まったままのゴッドアイランドに向けて撃った。
ドーン!
 弾が当たった瞬間、ゴッドアイランドいきなり爆発した。
 貝塚がまた聞いた。
「…何をしたんだ?」
「俺のもう一つの特殊能力だよ。」
「もう一つの?特殊能力は1つしかつかないはずじゃ…」
 貝塚の後ろにいた村見が言った。
「隊長クラスだったら2つ使えるんだよ、ただし2つめは緊急事のみだがな。」
「それで、」貝塚が言った。「なんの能力なんだ?」
「おう、簡単に言うと『念』だな」
 通風口から降りながら相馬は言った。
「念?」
「字を書くと、それがそのまま効果にあらわれるんだ。
いまゴッドアイランドに撃ったゴム弾には『爆』って書いたんだ。」
「なるほどねぇ…」
 ゴッドアイランドは黒コゲになって横たわっている。
「じゃ、そろそろ作戦支部に戻ろうか。」
「しかし、ここがどこだかわからないんだ。」
「簡単に戻れるさ。」
 相馬は懐から筆と墨汁を出し、床に『移入』と書いた。
「じゃ、戻ろうか。」
 相馬が書いた字の上に乗ると、フッと姿が消えた。
その後に、後済と野原も続いた。
 貝塚達も、おどおどしていたが、やがて入っていった。

 チーム1は増援の恐れがあるため、増援が来る2つのうちの一つ、
高校と中学とを結ぶ連絡橋に時限爆弾をしかけた。
 チーム5は先程の戦闘場所で待機している。
「隊長、セット完了しました。起爆時間は5分後です。」
 隊員の言葉を聞くと、湖沼は通信を入れた。
「こちらチーム1、爆弾のセットが完了した。起爆時間はこれから5分後、
各隊連絡橋の周辺には近づかないように。」
 それだけ言うと、湖沼は通信を切った。
 起爆時間の5分には意味がある。
 一つは連絡橋周辺にいる隊の避難。
 もう一つは自分達の避難だ。
 だが、欠点もあった。
 ウィーン ウィーン
 連絡橋、向こう側のほうから音が聞こえた。機械の起動音だ。
 ─きやがったか。
 湖沼は笑みを浮かべ、そして隊員に指示を出した。
「撃ちかた用意!!」
 隊員全員が高校校舎の方向へ銃を構えた。爆弾とジリジリ離れ、
中学校舎の方へ後ろに移動していった。
 すぐに敵の機械兵が銃を持って現れる。多分先程チーム3達が戦った機械兵だろう。
「撃てー!!」
 湖沼の指示と同時に、隊員の銃口から火が吹く。
ちなみに隊員が持っている銃は全て実弾が装填されているAKライフルだ。
 機械兵はどんどんと倒れていく、だが、数が多い。いったい何十体出てくるのだろう。
 湖沼は増援を求めた。
「こちらチーム1、連絡橋にて機械兵と遭遇。増援を願う。」
 作戦支部から返答が来る前に、ほぼ全てのチームから連絡が入った。
『こちらチーム2、1階教員控え室からターゲットネーム「ヨーダ」が出現。圧され気味だ。増援を求む。』
『こちらチーム4、4階コンピューター室前にてターゲットネーム「ロッキー」と遭遇。至急増援を求む。』
『こちらチーム6、チーム7と共に行動中。3階トイレにてターゲットネーム「副校」と遭遇。増援を求む。』
『こちらチーム5、チーム1の援護中にターゲットネーム「タマちゃん」が美術室の中から大量の機械兵と共に出現。
チーム1と孤立した。至急援護に来てくれ。』
『こちらチーム3、3階音楽教室にて大量の機械兵と遭遇。数は約100。
同時にターゲットネーム「ダンディ」と遭遇。至急増援をよこしてくれ。』
 ─まさか、一気にかたをつける気か!?
 その時、敵の弾が湖沼の持っている通信機に当たり、通信機は音を立てて壊れた。

美術室。
チーム5がターゲットネーム『タマちゃん』と交戦中である。
「敵が迫ってくるぞ!一斉射撃用意!…発射ぁ!」
後川達は、『タマちゃん』の取り巻きの機械兵にむかって撃ちまくった。
「…ダメです!機械兵には実弾は効きません!」
「くそ、ダメか…」
「隊長!弾がもうありません!」
「なんだと…」

「…くそ、誰も応援にこねぇじゃねえか!」
「他のところも大変らしい、それよりこの『副校』をどうするか…」
ここは3階トイレ、チーム6と7はターゲットネーム『副校』と交戦中であった。
持っていた銃も、弾が底をつき絶体絶命であった。
『副校』は狭いトイレの中を浮遊しながら動いている。
「愚かな小羊達に…天罰を!」
「くるぞ!逃げろ!」
トイレの中で雷雲が生まれ、トイレ内に巨大な雷が落ちた。
「うわあぁぁぁあああ!!!」

1階教員控え室。
保田達、チーム2は苦戦をしいられていた。
敵は『ヨーダ』。
意味不明な超能力を使ってきて、そこらへんの机やらを飛ばして来る。
いくらライフルを撃っても、途中で弾を止めてしまうので銃は意味がない。
「くそ…援軍は…こないのか」
「隊長!チーム2の隊員数、3分の1になりました!」
「なに!?2-Cは…2ーCの隊員は無事なのか!?」
「運良く2ーCだけは残りましたが…15名ではかなりの戦力不足かと…」
「…一時撤退!援軍が来るまで身を隠すぞ!」

4階コンピューター教室。
敵はターゲットネーム『ロッキー』。
「う…撃てぇ!」
ババババババババ…
特別に支給されているマシンガンを隊員全員で撃ったが、
『ロッキー』の肉体にはびくともしない。
「ば…化け物…」
南風は尻餅をついて、ゆっくり後ずさった。
「退避だ…退避〜!!!!」

3階音楽教室。
千葉率いるチーム3は、数々の機械兵をなぎ倒したが、
ターゲットネーム『ダンディ』によって苦しめられていた。
「GET's!」
「…なぜか知らんがアレを見るとくだらなすぎて戦意が無くなる…」
千葉はもう脱力状態だ。
「隊長ぉ〜ここらでひと休みしませんか?」
「お〜そうだな〜」

 チーム6、7 in 三階トイレ
「みんな、大丈夫か!?」
 貝塚が体を起こす。辺りは焦げ臭い臭いと黒い煙に包まれていた。
「大丈夫です。」
「こちらも大丈夫です。」
「大丈夫だ。」
「大丈夫かも。」
「チーム6は無事だ。」
 何とか全員生きているようだ。
 貝塚は通信機を見た。完全に狂ってしまったようだ。多分先程の落雷のせいだろう。
「相馬、例の能力の使用を頼む。」
「ういー。」
 とにかく副校は危険だ。だが、相馬の時間を止める能力は最強に近い。
 煙が晴れ、副校の姿が見える。
 今だ。
「theワールド!時間よとまれ!!」
 ジョジョキタ━━(━(ー(゜∀゜)ー)━)━━!!
 多分特殊能力は発動させたのだろう。だが─、
「貝塚は休みか?」
 副校はまだ動いていた。
 突然胸にグサリと何かが突き刺さった気がした。
 貝塚が床に倒れる。
「隊長!」
 theワールドを見て喜んでいた幼内が駆け寄ってきた。
「まさか…俺の能力が効かないなんて。」
 今のは声怨だろう…。言葉によって人を傷つける特殊能力。
 そして浮いていたのは浮遊能力、多分落雷を呼んだのは─上級黒魔術だ。
 ─副校は多重特殊能力の持ち主か!!
「ひ、退くぞ!!全軍撤退!!」
 よろよろと貝塚は立ち上がり、トイレの窓を指差した。
 多重特殊能力の持ち主と言う事は、まだ能力を隠し持っているということ。
 本当にそうだったら─絶対に負ける。
 貝塚は腰に着けていた発炎筒を焚いた。煙で姿の確認が出来なくなる。
 窓から飛び降りる音が6つ聞こえた。
 ─俺が最後だな。
 相馬は窓の縁に足をかけ、副校がいると思える方向に爆と書いたゴム弾を撃った。
反動でトイレの窓から地面へと落ちる。
 爆発音は─しなかった。
 ─やはり副校は自己危及特殊能力妨害能力の持ち主か。
 スタッ
 と音がして相馬は地面に着地した。
 すぐ近くにはチーム6と7の姿があった。

「とにかく『副校』はなんとか振切った。早く他の所の援軍に行かないと」
相馬が言った。
「ああ、急ごう。」
チーム6、7は学校玄関へ急いだ。
その時、声がかかった。
「まて」
ー見つかった!?
相馬達が振り向くと、そこにはとんでもない人数の他学校の男子生徒達…
ざっとみて、2000人はいる。
「お前ら…誰だ?何しに来た」
貝塚がきいた。
「テレビでお前らの事やってたよ、『反乱の生徒達』ってな。」
「ふん、さすがマスコミは早いねぇ…で、お前らは見学者か?」
「俺らの学校も男子校なんだ、同じ思いを持つ者達に手を貸さないでどうする。」
「え…じゃあ…」
「そうさ、俺らは全道から集まった、お前らの援軍だよ。」

「くそ、早い。もうマスコミにばれたのか。」
 相馬の通信機は無事だったらしく、相馬から、
『テレビで知ったらしく、2000人程の学生達が集まってきた。どうしようか。
それと、副校は多重特殊能力の持ち主だ。気をつけろ。』
 と通信が入ったのだ。
 作戦支部は混乱に陥っていた。まさかこんなに早くマスコミに知らされるとは。
南風は無駄だとは分かっているが情報かく乱のためにキーボードを叩いていた。
 すると、テレビのチャンネルを回していた戸窓が南風の方を向いて言った。
「いや、おかしいぞ。」
「何?」
 戸窓にテレビを見ろと言われ、南風はテレビを見た。戸窓がチャンネルを回して、パッパと画面が変わる。
 しかし、どのチャンネルにも今の蘇生中学校のことをニュースに取り上げてなどいなかった。
 ─何だと?
 確かに音を極力控えるように非殺傷武器を使った。
周囲の民家の外出中を狙ってあまり音が聞かれない様に注意を払ってねんみつに立てた計画だ。
 普通は簡単に分かるはずが無い。ニュースで紹介されているわけが無いんだ。
 だが、それではつじつまが合わない。何故学生達が2000人も集まっているのか。
「南風。」
 テレビを見ていた南風が戸窓の方を向く。
「お前も、つじつまが合わないと思うか?」
 頷く。何となく戸窓の次の言葉に期待していたようだ。
「だがな、一つだけつじつまが合う考えが浮かんだ。」
 無意識のうちに顔を近付けていた。
「副校は多重特殊能力の持ち主だったよな。」
「!!」
 南風は通信装置へと向かった。チーム6を呼び出そうとする。
「応答せよ。チーム6、応答せよ!!」
「無駄だ。多分破壊された。」
「チーム6!!」
 多分副校は特殊能力の中に洗脳操作能力があるはずだ。
 新興宗教か何かのものだろう。多分それで信仰者を操っているのだ。
 あの2000人の生徒達は…副校に洗脳された戦闘兵器だ。

「…ここどこやねん」
相馬達チーム6は学校のどこかにあると言うウワサの牢獄に連れていかれた。
「隊長…どうします?」
後済が聞いてきた。なんとも情けない声だ。
「どうって…逃げるしかないだろ」
「どうやって?」
今度は野原が聞いてきた。
「お前ら覚えてないのか?俺はナイフもってんだよ。」
『ブチッ』
縄のきれる音と共に相馬が立ち上がった。
「おお!じゃあ早く俺達のも!」
「いやダメだ。敵をかく乱させる為にもお前らはここに残ってくれ。」
「え!?」
「そのかわりお前らには俺が文字を書いた『札』を渡しておく。これを持っていれば痛みも感じないし死なない。」
相馬はそれだけ言い残すと新しい紙に『化身』と書き、床に貼って窓から外に出た。

 チーム6とチーム7がウワサの牢獄に連れて行かれている10分近く前の話…。
「隊長、後方から副校が出現!!」
 ヨーダと戦っているなか、突然副校がトイレから姿を現したのだ。
「モンスリンクキタ━━━(゜∀゜)━━━!!」
「一旦撤退だ!!ダンディの包囲を突破して2階へ駆け下りるぞ!」
「了解」
 千葉はやる気を失っていた隊員達に鼓舞する。
 やる気の出た隊員たちは、ダンディの方に向かって突撃していった。
「ゲッ…ツゥァァァァ」
 ダンディは隊員たちに踏み潰されていく。多分圧死だろう。
 ちなみに、機械兵達もそんな感じに踏み潰されていく。踏み潰された機械兵の武器をかっぱらっていく隊員もいた。
 脅威は副校だ。ダンディなどにかまっていられるはずがなかった。
 すぐに部隊は2階に駆け下りる。チーム1が苦戦しているところだった。
「チーム1、撤退だ。すぐ後ろから副校が来ている。」
「分かった。…隊員に告ぐ!撤退せよ!」
 千葉から指示を受け、湖沼は隊員に指示を出した。
 そこでタマちゃんと戦闘しているチーム5と遭遇した。
 美術室前は1階に下りる階段に行くための通路上にあるのだ。
「後川!撤退しろ。タマちゃんが人気生物(過去ニュース上)だからって気にするな!!踏み潰しちまえ!!」
「分かった。皆、すぐに1階まで下りるぞ。着いて来い。」
 後川が隊員全員に指示を出す。隊員全員は1階へと下りはじめた。
 タマちゃんもどさくさにまぎれて踏み潰され、圧死。
 ─タマちゃんとダンディは意外と大した敵でも無かったな。
 チーム5に続いてチーム1が下りるのを確認すると、千葉の部隊も階段を下りはじめた。
 1階に下りると…チーム2は撤退していたらしく、
ヨーダがポツンと…『ライトサーベル』を持って待ち構えていた。
「全部隊!!ヨーダに気をつけろ!!奴は多分フォースを使う。
クルクル回りながら振り回してくるライトサーベルにも気をつけろ!!」
 一番前にいる部隊の部隊長、後川が言った。その時にはヨーダはもうこちらへ向かっていた。
「各隊部隊長!!ヨーダの足止めをするぞ。その間に隊員は外に逃げてくれ。」
 隊長クラス3人対教員1人か…。
「分かった。チーム3、チーム1、5と共に外へ出ろ。」
「ラジャー。」
 千葉はチームから離れる。湖沼もチームから離れていた。
「援護するぞ、後川。」
 千葉は真っ直ぐにヨーダと戦っている後川に近づいていく。
「ヨーダツエー!」
 ライトセイバーをブンブン振り回しているヨーダ。それを必死に避けている後川。
 部隊が撤退し終わるまで持つのだろうか…。
 そう思いつつ、持っていたライフルに銃剣をつけて、後川の援護に入った。

「後川、下がってくれ。こいつは俺が始末する」
「なに!?そんなことできるわけないだろう!」
「いいから、下がって俺に任せてくれ。隊員たちを避難させないと。」
「…わかった。」
後川は残った隊員を集め、素早く避難させていった。
「1対1でいいのか?千葉。」
『ヨーダ』が重い口を開いた。
「お前なんかに負けないさ。特殊能力発動!」
千葉の特殊能力。それは「騎士変化」。
簡単に言うと、騎士の鎧を身にまとい、攻撃力、素早さ、防御力が一時的に上がるのだ。
「フォースの力に勝てるのかな」
『ヨーダ』はそういって、周りの物をどんどん飛ばしはじめた。
しかし千葉は、全て避け、『ヨーダ』を斬った。
「…フォースもたいした事ないねぇ…」
そして千葉は、『ヨーダ』が死んだ事を確認して、自分も避難していった。

 相馬がなんだか脱出しちゃって少し経った頃、貝塚のところにある一人の教員が近づいてきた。
「無様な姿だね、貝塚君。」
 ターゲットネーム「見下し教師」だ。
 ちなみに、ターゲットネームをつけたのは俺だ。
 今年のある学校の祭の時に、俺が発表するものにケチをつけた教員だった。
 『君の夢、小さいね。』
 今でもその言葉が聞こえるようだ。
 とにかく、こいつだけは許せん。
 そんな事を考えていることも知らず、見下し教師は貝塚に近づいて言い放った。
「夢だけじゃなく、度胸も小さかったようだな。」
 ブチ
 貝塚の中で何かが切れた。
 ブチ
 そして貝塚を縛っている縄がぶち切れた。
「な、なに!?」
 驚き、一歩退く教師。
 貝塚は特殊能力、「方向音痴」を見下し教師に使った。
 方向音痴は応用さえすれば、相手の平衡感覚を奪う武器にも使える。
 平衡感覚を失い、フラフラしている見下し教師に、無数の拳を叩き込む。
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!」
 そしてその姿を見て幼内は叫ぶ。
「ジョジョキタ━━━(゜∀゜)━━━!!」
 怒り任せの攻撃に、見下し教師はどんどんと壁にめり込んでいく。
 そして貝塚は最後の一撃をかました。
「アリーヴェデルチ。(さよならだ)」
 見下し教師の姿は…見えなかった。
「…やりすぎた?」
 幼内達に聞く。
「多分、やりすぎ。」
 その時、相馬が床に貼り付けていった化身から煙が!!(もしかして燃えた?)

相馬が置いていった札は、大量の煙を吐き出し、煙が晴れた時、
札があった場所には相馬がいた。
「…相馬?」
貝塚が聞いた。
「…なんだ?」
相馬は何ごともなかったように言った。
「おまえさっきここを出ていかなかったか?」
「俺はさっきからここにいたろうが。」
「…あれ?」
なんか府に落ちない気がしたが、こいつは相馬だと貝塚は思うことにした。
『ガチャ』
副校が入ってきた。
「お前らを見せしめのため公開処刑とする。こい!」
「処刑って…俺らはあんた達の生徒だぜ?殺してもいいのか?」
「生徒?お前らはただの反逆者だ。」
貝塚達は屋上へ続く階段へと連れていかれた。
そのころ抜け出した相馬は、後川の部隊の所に行っていた。
「おい…後川!」
「あ…相馬じゃないか!お前いま凄い事になってんだぞ!偽援軍が一斉に突っ込んできたんだ!」
「いいから耳貸せ」
相馬はある事を後川に伝え、札を渡し、別の部隊に同じ事を伝えに行った。

2000人の偽援軍は、グランドで6つのチームによって囲まれていた。
 辺りはすでに夜になっていた。
 チーム4は、いつの間にかロッキーから逃げ出していたのである。
「ウァァァアァーーー。」
「ウァァァァァァーーーーーー。」
 これはその生徒のうめき声だ。
「まるでゾンビだな。」
 保田が率直な感想を言った。
 各チームの隊長の6人が等間隔に並んで、その生徒達を囲んでいた。
 偽援軍はおぼつかない足取りで、隊長たちに向かおうとしていた。
「今だ!」
 相馬が隊長全員に聞こえるように言った。
 隊長が手に持った札を使う。
 札に書かれた文字は「転送」
 隊長と隊長が線で結ばれ、六望星が床に浮き上がった。
 転送 発動。
 六望星に囲まれていた偽援軍の2000人は、どこかに消えていた。
 相馬が立てた作戦は、偽援軍をどこかへ転送するということだ。
 洗脳されているので、殺すことはできなかったからだ。
 ひとまず、一つの問題は解消された。
 残るは、捕らわれたチーム7と副校長、そしてロッキーだった。
 その頃、チーム7は公開処刑と言われ、屋上にいた。
 副校は屋上の像にかかっていた仮面を取った。
 そばにいるのは、ロッキーと副校。
「知ってるか?この石仮面。」
 副校長がニヤリと笑いながら問いかけてきた。
「血がかかると骨針がとびだしてな、頭に突き刺さるんだ。」
 ─まさか。
 貝塚がその意味を悟った。
「分かったようだな、お前らにはこれで死んでもらう。」
 ─そんな事、させるか。
 貝塚は思考回路をめぐらせ、副校とロッキーを倒す手段を考えた。
 すぐに手段は思いついた。
 思いついたと同時に、貝塚は行動に移した。
「なっ。」
 副校が持っていた石仮面を奪い取り、副校にかぶせて地面に押さえつけた。
 すぐに特殊能力の黒魔法をロッキーに使う。
「ゴファッ。」
 ロッキーは血を吐いた。毒の黒魔法だ。
 ロッキーが吐いた血は、副校にかぶせている石仮面にかかる。
 突如、石仮面から骨針が飛び出した。
 そして、副校の後頭部に刺さる。
 すると、石仮面が光りだした。
「な、なんだ…?」
 すぐに石仮面から光は発せられなくなり、無残に副校が倒れていた。
「終わった…な。」
 ロッキーは既に毒の呪文で死んでいた。
 そのまま立ち去ろうかとした時、幼内が叫んだ。
「貝塚!!駄目だ、副校は…!」
 突然背後から謎の叫び声が聞こえた。
「URYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!」
 咄嗟に貝塚は後ろを振り返った。
 ─またジョジョかよ!?

蘇った副校は、ゆっくりと貝塚に向かっていく。
「…くそぉ、これ以上下がるのはムリか。」
ついに貝塚は屋上の端まで追い詰められた。
…その時、相馬の声が聞こえた。
「貝塚!下に伏せろ!」
「…相馬?下にいんの?」
そういいつつ、貝塚は伏せた。
相馬は突撃部隊に貸してもらったパンツァーファーストを撃った。
「バカ…相馬!お前どこに撃ってるんだ!」
後川が後ろで憤慨した。
空に向かって飛んでいった弾は、貝塚の真後ろ、つまり、副校の目の前で物凄い光を放ちながら爆発した。
「GAAAAAAAAAAAAAA!」
日の光に弱い副校は、光と共に消えていった。
「…相馬!お前…貝塚達を犠牲にしたのか!?」
千葉が相馬の胸ぐらをつかんだ。
貝塚達チーム6、チーム7は、大爆発の後、屋上から消えていた。
「…死んじゃいねぇよ」
「なんだと?」
「あいつらには『不死』の札を渡しておいた。どんな衝撃を食らっても死なないはずだ。」
貝塚達は、校舎の裏に吹き飛ばされたのだ。
校舎裏
「あれ?なんで俺ら死んでねぇの?」
「相馬の札じゃないッスか?なんか何しても死なないって言ってたから。」
「あーそーいやそんな事言ってたな」
貝塚がそう言った時、『化身』の相馬は消えていった。
しかし貝塚達は気付かない。
「隊長…みんなところのに戻りましょうか!」
「おう。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「な…なんだ!?」
「あ、俺の腹の音。」
 貝塚が自分の腹を見つめた。
 音はそこから流れていた。
「なーんだ、隊長、冗談キツイですよ。」
「そうですよ、てっきり校長が…、あれ?」
 田茂が神妙な面持ちで考え込んだ。
「ん、どうした?」
 貝塚が気になってたずねてみる。
「校長…どこでしょうかね?」
「あれ?」
 そういえば、校長のスケジュールを見たとき、今日は休みだった気がする。
 あれ…。
「もしかして、俺達…。」
「校長のいない時を狙っちゃった…?」
 その時、校門前に一台の車が止まった。
 車の中から出てきたのは、校長だった。
 チーム全員(作戦支部以外)が校長に駆け寄っていった。
「はっはっは、たっぷりやってくれたねー。」
 校長が笑い飛ばす。困惑する一同。
「校長…これはいったい?」
 相馬が校長に質問をした。
「私が開発した、立体バーチャルゲームだよ。」
 …バーチャルゲーム?何だと?

 校長が言うには、各場所に立体ホログラフのような装置をつけて、
 巨大な建物の中でゲームをするというシュミレーションゲームらしい。
「君達のやっていたことは既に知っていたよ。」
 ついでだから実験に利用してみようと言うことで、「超難関」モードで実験したらしい。
「いやー、あんな特殊能力なんか使えるわけないだろ。ゲームだよ、ゲーム。」
 ちなみに、自分達の特殊能力はバーチャルではない。本物だ。
 ここで校長を特殊能力で殺そうかとも思ったが、突拍子もない出来事に脱力して、やる気も起きない。
「しかしなぁ、超難関モードで副校長に勝つとは、お前らもたいしたもんだなー。銃火器なんかで勝てるわけないんだけどな。」
 校長は我々の特殊能力に気付いていなかったようだ。
 その後、校長は実験モニター代金として自分達に200万を出してくれた。
 共学の夢は叶わずに終わってしまった。

 〜共学政策物語(完)〜




2004-01-03 15:48:28公開 / 作者:海風 海里
■この作品の著作権は海風 海里さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
男子校を共学にするために学校長に武力で立ち向かう男達…
武力で立ち向かったのはフィクションですが、共学にしてほしいという思いは本当です。
この作品に対する感想 - 昇順
自分が女子高通いなので読んでみました。初っ端のセリフは女子高でもあちらこちらから聞かれます。女子高に慣れた今となっては、共学校が恐ろしいという意見も聞いたことがありますが。さて、作品についてなのですが、読んでるだけなら結構楽しかったと思います。ただ、この作品の課題は人物の書き分けでしょうか。かなりたくさんの登場人物がいるようですが、この長さの作品にこれだけの人数というのはいかがなものでしょう。かなり注意して書いていかないと、どれもみんな同じに見えてしまうのではないのでしょうか。もう一つ言わせていただきますと、チームの役割ですね。資料設定で見てみればああこういうことだったのかと分かるかもしれませんが、資料設定に頼ってしまうのはいかがなものでしょう。作品のなかでもっとよく描写をしていただきたかったです。どこからがバーチャルゲームの世界なのか、どこからが現実のことなのか、この辺の境もしっかりと書いていただきたかったです。
2004-01-03 18:21:04【☆☆☆☆☆】エテナ
発想的には凄くよかったと思います、でも顔文字を使わないほうがいいと思います。あとジョジョやダンディ、ロッキーなどはあまり使わないほうがいいですよ(^^;)
2004-01-03 20:03:27【★★★★☆】紫の折り紙
御感想、どうもありがとうございました。やっぱり著作権キャラはまずいすか…^^;指摘された部分を考慮して、また相方といっしょに新しい作品を書きたいと思います。
2004-01-03 21:56:31【☆☆☆☆☆】海風 海里
失礼ですが、なんか話の展開早くありません? あと、ここはオリジナル小説ですよ? 普通著作権キャラは使わないと思うのですが…(^∀^;)それと最初の部分に段落をつけないで後の方に段落をつけているのは何故? 簡潔に書き過ぎているかも、その人場面が浮かばないんですよ。次回も頑張って下さい……あ、それとかぶりますが記号はつかわないほうが良いデスよ。共学にしたいからって武装してまでやりますかね? なんか無理矢理過ぎるかなぁなんても思っちゃいました。それと、もう少し共学にしたい! という登場人物の思いをもっと出した方が、ラストはバットエンドなのだから感情移入できると思います。
2004-01-04 09:34:57【☆☆☆☆☆】未登録ユーザー
計:4点
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