『タイムリミット』作者:紫陽花 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 キキーッ!!
私は目が覚めた。別に変わりのない普通の日曜日。私は、鏡の前に立って自分の姿を確かめる。変わりはない、しかし、私はわかっていた。
 「由衣!起きなさい。今日デートでしょ?」
わたしは急いで下に下りていった。
「おはよう。お母さん・・・。」
わたしは、顔を上げられなかった。なんとなく、涙がでてきそうな気がして・・・。
「どうしたの?具合でも悪い?」
お母さんは心配そうに顔をのぞき込む。
「ううん。それよりお母さんおなか空いた。ごはんまだ?」
わたしはいつもどうりの明るさになった。今日くらい明るくしようと決めたから・・・。
「ほら、さっさと食べなさい。どうせ、皿の1つも洗わないんでしょ?」
うっ、事実を言われているからには反発しようがない。私は急いで食べると
髪をとかし、お昼のお弁当を作って、家をでようとした。
「あ、忘れ物!!」
私は机の上にある、ある物をとってきた。
「これでよしっと・・・。」
わたしは買ったばかりの靴をはいて出ていった。
「お母さん・・・。」
わたしは玄関にそっとそれを置いていった。わたしは、ゆっくりと道を歩く。待ち合わせの公園までの道・・・。1歩1歩がいままで以上に心に深くしみわたる。
 公園に着くと、もう純はきていた。
「おはよう。待った?」
わたしは純のもとにかけよった。
「全然、今来たばっかり。」
純はいつも笑顔で私を癒してくれる。
「今日、遊園地行くんだろ?絶好の天気だね。」
「そうだね。初デートの時も遊園地だったよね。」
わたしは初デートの時を思い出していた。あのときも、今日のような青空だった。そのころは私の方が大きかった気がする。
「由衣、由衣・・・由衣!」
私は純の声にはっとしたように振り向いた。
「え、なに?」
「どうかした?ぼーっとして・・・。」
「あぁ、初デートの時を思い出してた。」
わたしは軽く笑った。
「初デートってちょうど1年前だよな。」
「そうそう。ちょうど1年前だよね。」
私達はバスに乗り、初デートの話で盛り上がった。
「でも、1年ってあっという間だよね。」
「うんうん。これからもずっと付き合っていけるといいな。」
私は、この言葉に笑顔がひきつった。
「はは・・・、そうだね。」
私は顔は笑っている自分が悲しくなった。
 そうこう、している間にバスは到着した。
「うわぁ。」
久しぶりにくる遊園地はウキウキさせるようだった。色とりどりのアトラクションがどれも楽しそうに見える。
「さっさと行こうぜ。」
彼は手をさしのべてくれる。私はその手を握り返した。手のぬくもりを改めて感じた。
 私達はジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランド・・・などたくさんの乗り物に乗った。
「なぁ、そろそろお昼にしようぜ?」
時計を見ると12時半だった。後、5時間半か・・・。
「そうだね。12時すぎてるし・・・、今日、わたしお弁当作ってきたんだ。」
「へぇ、めずらしい。」
お弁当箱を開けると、とてもおいしそうには見えないサンドイッチだった。
「・・・。」
私は自分で情けなくなった。久しぶりのお弁当がこんなんじゃなぁ・・・。
「これ、意外とおいしいぞ。」
純は食べてくれた。私はうれしさで泣きたくなった。
「ほれ、由衣も食べろよ。」
純は私の涙を気づいてかしらないが、そっと私の頭をなでてくれた。純はおいしい、おいしいと言いながら全部食べてくれた。
 午後もたくさんのアトラクションに乗ったり、おみやげを見たり、私の楽しい時は過ぎていく。ふと、時計を5時を回っていた。
「あ、もうこんな時間じゃん。」
「うん・・・。そろそろ帰らないとだね。」
私も仕方なくうなずく。まだ、帰りたくない。最後のデート・・・。
「あ、そうだ由衣これ・・・。」
純は小さな包みをわたしにくれた。
「なにこれ?」
「1年記念にプレゼントだよ。」
私は予想外のプレゼントに涙があふれた。もう、がまんできなかった。
「あ、あのね、私からもプレゼント。」
チラッと時計を見ると、もう1分もない。
「あと、それから・・・。」
私は言葉がつまった。涙で言葉がでてこない。
「・・・ありがと・・・。」
わたしは倒れた。
「由衣!由衣!」
純の叫びが聞こえたような聞こえないような・・・、後の記憶はもうなかった。
 私はその後病院に運ばれたそうだ。しかし、原因不明の死との事だった。
私は倒れるちょうど1時間前、トラックにはねられた。その後、なんで24時間生きられたのかは分からない。私の急な死の哀れさからか、私の生きたいという願いが通じてからかはわからない。ただ、24時間だけでも、長く生きられた事に感謝してる。それから、私の分もみんなには長く生きてほしい。お父さん、お母さん、純、友達も・・・、みんなに幸せになってほしいと願っている。
最後に・・・ありがとう。





2003-12-24 21:37:10公開 / 作者:紫陽花
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