『虹色の空part2』作者:マナブ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
妹を助けるべく、虹色の空を求める少年、慎一。その少年を支える、二人の男、優輝と謙介。そして死ぬ直後、虹色の空を見て助かった、かつ昔慎一達の親友であった女、渚。この四人達はそれぞれの目標があって、虹色の空を求める。かけがえのない、男三人、女一人の友情物語。
全角1786文字
容量3572 bytes
原稿用紙約4.47枚
part1の続き

 海がいいと言ったせいで結局、海になってしまった。
 どこまで自分勝手なんだよ。昔と全く変わっていない。俺たちはよく知ってる。唯一変わったとすれば声だけだ。
渚が、韓国に転勤した理由は二つ。一つは、父の転勤。もう一つはわからない。

「渚、お前に聞きたいことがある。お前は何で韓国に留学したんだ? 」
「……」
「どうした? 答えられないことか? 」
「少し長くなるし、私には辛くなることなの」
「そうか…。わかった、話さなくていい」
[上記に関しては他の小説で明らかにされます]
 少しの沈黙をおき、俺は渚の家に行くことにした。

 二十二時、渚の家。
「おじゃましまーす」
 中は薄暗く、二階からは少しの光が見えた。
「二階に上がってー」
 と久しぶりに聞く生の渚の声。
声が電話で話していたためあまり聞こえにくく、よくわからなかった。
 そんなことを考えていると、優輝が玄関付近の部屋で目を疑うものを見た。
 そこには、俺たち四人の写真が飾られた写真ケースのガラスにひびが入っていたものが沢山あった。
「なんだこれは!! 」
 思わず俺は声を張り上げた。
 渚が二階から、
「どうかしたの? 」
 と、声を掛ける。
「…。おい、優輝。その写真もって渚に聞いてこい。俺はこの辺りを探してる」
「やめろ。事情があるはずだ」
冷淡な優輝の口調に、
「いい、大丈夫だ! 」
 と、思わず怒鳴ってしまった。
「ごめん…」
「いいさ。でも悪いが俺は渚がやったとは思えない」
 分かってる。俺だってお前たちと同じで渚がやってないと信じたい。だが、もしこれが渚のやることだったらあいつを親友として許すことなんて出来ない。
 そしてタンスを開けると、小学生の頃に使っていたと思われる渚の日記のノートを発見した。
中を見ると、日記がずっしり書いてあった。
三月十八日『旅立ち』
海鳴 渚。今年で私は十二歳。親友と今日でお別れ。私は今日、韓国に行きます。親友の優輝、謙介、慎一は特に仲が良かった。だけど、パパとママは仲良くしているのを見て散々に腹立っていました。私はどうしてかって聞きました。すると殴られます。急に韓国へ行く、と言ってたけどよく分かりません。ゆとり育ちの私には何も分かりません。親たちがどういう権利があって、私に暴力を振るのか。わからない状態にあります。

三月十九日『親友へ』
慎一、謙介、優輝。本当にごめんなさい。今日私はあなたたちとの思い出を、踏みにじりました。アルバムの中の写真を全てぐちゃぐちゃにしたり、写真立てを割ったりなど色々しました。両親が悪いんじゃない。自分も立ち向かえられなかった弱さが関係したと思います。親は、私と皆が嫌いでも私はあなたたちが大好きだから。ではshe you again.

「スペルが間違ってるじゃねぇか…」
俺は涙を流して泣いた。心から、渚を疑って悪かったと思い泣いた。『私には辛いこと』だとも言っていた。そんな渚を俺は疑いまでかけた。こんな辛いことがあったと言うのに。それに渚の親もどうかしている。何故こんな娘に酷いことをするのか。
!?
「これは…」
泣きながらページを捲っていると、一つの文を見つけた。どうやら小五の時のものだ。

四月四日『ありがとう』
私は母が本当の親ではないことを知っている。父もそうだ。私のために汗水流して働いてくれている。幼子だったころ、本当の親に捨てられたとき唯一引き取ると声を掛けてくれたのが今の親たちです。今まで本当にありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。

「あの親共、赦さない…」
と、俺はあのダメのクソ笑顔を浮かべた。
「ねぇ、何してるのよ? 」
 少しの沈黙。渚が遅いと思って下まで来ていたのだ。
 俺は素早くノートを隠した。
「ねぇ、勝手に見ないでよ。私のノート」
「ごめん…」
「それ恋愛ノートでしょ? 恥ずかしいからやめて」
「れ、恋愛? 」
「うん」
「違う…。あ、そうそうこれ恋愛ノートだったよ。間違えた」
「まさか…私の日記見たの? 」
「ごめん…」
二人に沈黙があり、空気が乱れた。
でも、俺はそんなことよりも渚の親を許せなかった。
2014-12-20 14:15:08公開 / 作者:マナブ
■この作品の著作権はマナブさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
以前の虹色の空は、不具合で書き込めなくなりましたので再度新たに立てました。皆様のアドバイス、コメントを是非お願いします。
そして、家族、従兄弟は勿論参照していただける方、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
感想記事の投稿は現在ありません。
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。