『異世界の戦争 2』作者:えふぇ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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<二話・悲しき願い>

「・・・ん、んんん」
うなり声と共に、体を起こす。
「・・・気がついた?」
「!」
声が横からして、急いでそっちを見ると、女の人の姿。
(な、なんなんだ?一体?)
「あ・・・ご免なさい、驚かせちゃいました?」
「いや、別に・・・それよりここは?」
女の人は18歳くらいの綺麗な女性だった。
茶色の髪で(地毛だろうか)、肩辺りまである。
ちらちらと、目だけで辺りを見回すと現状が分かる。
(自分はあの時、黒い霧でどっかに行って、倒れていたところを看病してもらって いた・・・。で、自分は今、ベッドの上。・・・痛いところは無い。
 からして外傷はないよな。じゃあ何だ?あの黒い霧は・・・)
一人で自問自答している自分に女が口を開く。
「あ、ここはルディスの海岸にある小さな村のセイリスという所です」
(は?るでぃす?せいりす?そんな所知らないし、日本の横文字の所なんて、   アルプスってとこくらい・・・)
「すいませんけど、この世界の名前は?」
「レウニィ。レウニィと言うところですけど・・・もしかして・・・
 あなた、名前は?」
「あ、自分は鈴木。鈴木 和也です」
「?・・・スズ・・・キ?カズ・・ヤ?」
「そうです。鈴木和也です」
「まぁ、不思議な響きですね」
(今、この人記憶喪失したんじゃないかって思ったな?)
「あなたの名前は?」
「あっ、すいません。私はアネス=ウィティッドです」
(何を言ってるんだ?肌の色は一緒だし、言葉も一緒なのに・・・
 だけど、韓国人や中国人、朝鮮人じゃない)
自分を疑った。そんな変な名前、無論日本人にもない。おそらく。
「それよりスズキさん。お腹減ったり、喉乾いたり、頭痛かったりしませんか?」
「い、いや別にそんなとこは・・・」
グゥーッ・・・
自分の腹から音がする。
「お腹・・・?」
「い、いや、良いです。マジで」
「マジで・・・?あなたは不思議ですね。そのしゃれた格好、言葉使い、名前」
くすっ、とアネスさんが微笑する。
良く見るとアネスさんは白・・・・いや、クリーム色をしたワンピースっぽい物を
着ている。
「あの、地球って分かりますか?」
「チキュウ?・・・知りませんねぇ」
(ヤバい・・・マジだ。マジ(本当)に起きてる事だ)
「じゃあ日本」
「ニホン?聞いたことはありません」
「そ、そうですか、ありがとうございます」
言って、自分がベッドから降りる。
「あ、大丈夫何ですか?立っても・・・もう少し休まれた方が・・・」
その言葉をシカトして立つ。
フラッ・・・
(げ、立ちくらみだ)
ふらっ、としたが、すぐに体勢を立て直す。
「ありがとうございました、自分はもう行きます」
「え・・・」
間髪入れず、自分は話を続ける。
「だって自分が居たら迷惑でしょう?何のお礼もできませんが・・・」
ドアの方に数歩進むと、
「でも、何も持たずに出歩いたりするのは危険ですよ?」
(は?そんな危険な者(物)はないハズ・・・)
まだ自分は夢だと思っていた。タチの悪い夢だと。
「外にはバウンド・ウルフが大量発生してますけど・・・」
自分は進めようとした足を止めて、
「何ですか?それは」
「それはウルフ(狼)の一種で、凄いジャンプ力があり、おそらく4、5メートル は跳びます。
 攻撃方法は噛みつき、体当たり、引っ掻きです。三匹で一ユニットです。
 基本的に群で動いて、吠えると五ユニットから30ユニット来ます」
(随分と差が激しいな)
「で、体力の方は普通のソードで大人の20歳が斬っても
 5、6発は必要でしょう」
(それって強いのか?)
思いながら聞く。
この時、何かがプツッ、と切れた。
(夢・・・じゃない)
そう思うと急に頭が痛くなった。
「すいません・・・ちょっと休ませて貰って良いでしょうか?」
「あ、どうぞ」
どさり、とベッドに倒れて、枕に顔を埋めた。
(夢じゃない・・・)
今の自分には、分からなかった。何が何だか。
               夢なら覚めてくれ。
心の底からそう、願った。
2003-08-27 22:12:21公開 / 作者:えふぇ
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■作者からのメッセージ
一時間近く、という速いスピードで打ちました
少々間違いがあるかも知れません。すいません

個人的な物ですが、柳沢 風さんメッセージ、ありがとうごさいました!とっても嬉しかったです。
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