『動物園』作者:スピンナ / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 その星は、高層ビルで覆われていた。
自然のままの風景は、ほとんどない。
 動物は次々に絶滅していき、数少ない種がこの星の唯一の動物園では見られるのだ。
子連れの夫婦が、たまの休みにその動物園にやって来た。

「見てみろ。あれがキリンだ」
 父が言う。
「ほんとだ。首が長いね」
 子供は初めて見るキリンに興奮している。
「かわいいわね」

「見てみろ。あれがゾウだ」
「ほんとだ。耳が大きいね」
 子供は初めて見るゾウに興奮している。。
「かわいいわね」

 その動物の前では人だかりができていた。

「見てみろ、この動物は凶暴だぞ」
 父が子供を肩車して言う。
「何か、僕たちに似てるね」
「そうだな、もともとはこいつらがこの星を支配していたんだ」
「へぇ。何で動物園にいるの」
「昔は、私たちのことを知能向上の研究の実験台にしていたんだが、やがて知能が上がると、
私たちが逆に研究の実験台にするようになったんだ」
「あなた、そろそろ帰りましょうか」
「そうだな」

猿の家族は、三人で手を繋いで動物園を後にした。
2013-03-07 18:26:05公開 / 作者:スピンナ
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この作品に対する感想 - 昇順
面白いです。いつかこんな時代が来るのでしょうかw
2013-03-08 12:43:05【★★★★☆】先駆 回
サンキュ!!
2013-03-08 19:51:08【☆☆☆☆☆】スピンナ
某SF映画を思い出しました。皮肉で書いたのでしょうか? だとしてら素晴らしい、最高の皮肉です。
短い作品ながら、ニヤリとさせてもらいました。
2013-03-10 02:08:31【☆☆☆☆☆】コーヒーCUP
それもありますよ。サンキュ!!
2013-03-10 15:12:01【☆☆☆☆☆】スピンナ
計:4点
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