- 『女優』作者:スピンナ / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
- 全角934文字「ちょっと待ってよ、私が全部悪いわけ」
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原稿用紙約2.34枚
矢吹は、ベンチから立ち上がろうとした時、
「カット」
監督の声が公園に響いた。スタッフの緊張がとける。
「矢吹、ちょっと来い」
呼ばれて、矢吹は監督に駆け寄る。
「矢吹、本気でこの仕事を続けていきたいなら、すべてを犠牲にしろ。四六時中演じることだけ考えるんだ。中途半端では女優なんかできないぞ」
「はい」
「このシーンは後に回す。次までにちゃんと考えてこい」
「お待たせしました」
ウェイトレスがコーヒーを二つ持ってきた。
矢吹は、彼氏である田中とのショッピングを楽しんだあと、カフェに入った。
休日の午後だが人はまばらだ。
「そうか。そんなことがあったのか」
男はスプーンでコーヒーをかき混ぜながら言った。
「私、才能ないのかな」
「って言うかさ、それって慰めてほしいわけ。そんなことないよって、言ってほしいわけ」
「何よ、その言い方」
「だいたい、努力が足りないんじゃないの」
「私が悪いわけ」
田中は笑い出した。
「何がおかしいのよ」
「そうそう、その調子。そうやって、実際にやってみればいいんじゃないの?」
「実際にやってみるか」
「僕にできることなら、なんでも強力するよ」
田中の協力もあって矢吹は女優としてのキャリアを着実に積んでいく。
そしてついに主演に抜擢された。
「そうか、ついに主役か。おめでとう」
「ありがとう」
テーブルの上には豪勢な料理が並んでいる。矢吹が腕によりをかけた料理である。
「それより、大事な話があるんだけど」
と言う、田中の言葉を遮って、
「私、あなたに強力してもらいたい事があるの」
「うん、何?」
矢吹は椅子から立ち上がって、キッチンの方へ歩いて行った。
「あなたが全部悪いのよ。殺してやる」
矢吹は包丁を男に突き立てた。男は崩れ落ちる。
「カット」
監督の声が響いた。
「矢吹、良かったよ。迫力がよく出てた」
昔とは大違いだな。
「ありがとうございます。監督に言われたこと忘れてませんよ。本気でこの仕事を続けていきたいなら、すべてを犠牲にしろって言葉」 - 2013-03-04 18:44:44公開 / 作者:スピンナ
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スピンナ様、こんにちはー。も、から始まる格ゲーマーです。新作読ませて頂きましたよー
今回は話の展開からオチが明け透けてましたが、裏切られない心地よさもあって面白かったです。ただ、もっと淡々とした中に、犠牲にしていくものの段階を示す描写があってほうが怖さがあったかも? 彼氏も普通に接している風で全てを犠牲にしていたという段階が見えずちょっと勿体ない気もしちゃったりなんかしたり(ワガママですみません)
ちと今忙しくて、とりあえずもう一作も近いうちに読ませて頂きます!
ではでは、いじょ、格ゲーマーでしたー2013-03-07 12:53:47【☆☆☆☆☆】も、から始まる格ゲーマー最近集中できなくなってきてしまって、何だか、かんだか。2013-03-08 19:46:17【☆☆☆☆☆】スピンナ計:0点 - お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。