『雨の月夜に』作者:なるみ / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
初投稿ですこの文は三章構成の、第一章としての部分です二人暮らしの兄弟現実主義の亮と、妹の澪二人の生活風景澪を生涯支えたいと思う亮はどうするのだろう
全角14179文字
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原稿用紙約35.45枚
 僕は今、小さな学生寮の自室でこれを書いている。
 これから書こうと思っていることは、僕にとって大切な過去のことだ。僕はあの場所から遠く離れてしまいいまは全く違う場所にいる。そのためか、どんなに正しく文字に起こそうとしてもあの頃の僕の目に映ったものとは異なってしまっている。どうにか、再現したいと思うのだが僕にはできない。僕にとってあれは過去なのだから。きっとあの頃の僕ならもっと違う文を書いただろう。それらの文を僕は想像できるけどどうすることもできない。



 その頃、僕は高校三年生だった。
 僕には守らなければならない大切なものがあって、小さいながらにも夢があった。その夢は十分叶えることのできる夢(当時の本気で僕はそう思っていた)であったし、自分ならばできるという根拠のない自信もあった。それまでの僕は、人生において失敗なんてしたことは無かったし人生はなんでも自分の思い通りになるものだと信じていた。そういう時期だったのだ。

その頃の僕には見えていたのだ。自分がすべきことが。これからどんなことが起きて、どんな試練に見舞われ、自分がどのような人間になるのかが。

 僕には二歳年下の妹がいた。ミオは小さい時から僕のことをリョウちゃんと呼んだ。ある時親戚のおばさんさんに、妹にリョウちゃんなどと呼ばれて恥ずかしくないのか、と咎められたことがあったがそんなことを言われるまで僕は全く恥ずかしいと思ったことは無かったし気に留めたことも無かった。むしろ気に入っていたくらいだ。ミオは僕と同じ都心の私立高校の一年生だった。その私立高校は家からかなり離れていて、学力がとてつもなく高いことで有名なところだったが学力と同じくらい高い学費を必要とすることでも有名だった。僕らは、毎日始発に乗り学校通っていた。
 僕が中学三年生の時に父さんと母さんが離婚しても僕の生活はとくには何も変わらなかった。ただ、ミオが家事をするようになった。そして、それまで仕事に没頭していた無口な父さんは饒舌な人になった。ミオが高校に入ったのと同じくして父は長距離の住込みの仕事に出て行った。三人暮らしになるまで勤めえていた金融会社はリストラになってしまい、日雇いの土方では都心の学校に子供二人を通わせるのは無理があったからだ。ミオと僕は二人暮らしになりミオは僕の母親と妹に、僕はミオの父親と兄になった。 
 ミオと僕はいつも二人で学校に通った。帰りは別々になることがほとんどだったが朝はどんなことがあっても、一緒に靴を履き、隣の座席に座り学校へと向かった。僕はミオと一緒に乗る電車が好きだった。長い時間電車に揺られ目を閉じ静かに呼吸するミオを見ると自分は幸せであり、ここにいて良いのだとあたたかな気持ちになることができた。規則正しく車輪を動かし、無機質に無感的に僕らを一定のリズムで揺らしながら目的地へと運ぶ電車のなかで、ミオの席だけにあたたかな陽だまりができていた。
 僕にとって勉強は無くてはならないものだった。郊外から都心へと通学に長い時間をかけなければならない僕は部活に入ることはできず、クラスメートと遊ぶ時間は無かった。部活に入らず、放課後も遊べない高校生活を送る僕には心の深い部分で友人と呼べる友人はなく、そんな僕にとって勉強ができるということは自分を学校という場所で自分を作るかけがえのないものだった。勉強ができれば先生と仲良くなることもできるし、テストでよい点を取ればクラスメートからは称賛の目を向けられる。親しい人もいなく、いつも一人で過ごす“空気のような人”ではなく“静かな勉強のできる人”であることは孤独な学校生活のなかでなんとか自分を支えてくれるものだった。学校で自分の居場所を持つことのできる勉強ではあったが本当の目的はしっかりとした会社に就職し、ミオを養うためだった。
自分の力ではどうにもならないましてや自分のせいでもない力によって、バラ色と称される青春時代を、友人のいない灰色のものになってしまった、ミオをなんとしてでも幸せにしたかったし僕がミオを養うことでミオの中で空白となってしまった部分を補いたいと思っていた。


 夢とはとても不思議なものだ。夢を抱くのは希望ややる気に満ちていて自分がすべきことがある程度わかっている時なのに、一度夢を持ってしまうとどんな時でも自分について回る。すぐに風に流されてしまう煙のように、これから自分がどうなってしまうかなんて知る由がない時になってもだ。僕を閉じ込めた穴から抜け出す道を穴の底に見つけその道を土まみれになって歩む時でさえも昔の夢は僕についてまわり何をしているのかと僕の頭を永遠と蹴り続ける。僕が歩みを止めるまで。そして、いつまでも僕を穴の底にいさせようとするのだ。夢はいつまでも僕が同じ場所にとどまることを望む。僕に足かせを付けそこにいさせ続けたとしても穴の外の状況は常に変わり続けるのにだ。思い描いていた青々とした木々、静かに肌をなでる風、遠くには静かにそびえる山々、空気はおいしく苦しんだ時間を忘れさせてくれるほどの何かが地上にはあるといつまでも僕に訴えかけるのだ。もう少し我慢すれば。あと少し孤独に耐えれば。あと少し身を削ればと。変わり続ける世界じゃいつ土を入れ穴を塞ぎにかかるかわからないのに、一度土で穴を塞がれてしまえば僕は二度と地上には戻れないことがわかっているのに夢はそれでも僕をもとの穴に縛り付けようとする。


 僕の生活は単純なものだった。朝起きて、ミオと一緒に電車に揺られ学校に行き学校ではただひたすらに勉強をする。学校のいる時間はすべてを勉強につぎ込む。自分のわからない部分にラインをつけわかっている部分に斜線を引き復習のし忘れの無いようにする。授業中は先生の一語一語に注目するのではなく語尾に注目し、より力の入った語尾の入った部分に丸を付け家での復習の糧にする。こうすることでより効率的に復習することができる。昼休み、休み時間は次の授業の要点の確認と前の授業の復習ポイントに目を通し、理解できない場合は質問する箇所であることを示す付箋を貼っておく。ただ、これを繰り返すだけだ。勉強の仕方がわからないという同級生をよく見るがそういう人たちは要領が悪いのだ。授業という形で先生が効率よく生徒に理解させる形を考案してきているものを吸収する機会があるのだから、これを利用しない手はないと僕は考える。世の中効率を高めるのがすべてなのだ。高い効率で物事を行えば余った時間で、更なる高みをめざし努力することも可能になる。とあの頃の僕は考えていた。
 それが僕の人生理論だった。学校が終わればまた長い時間電車に揺られ、家に帰りミオの作った夕飯を食べあとはひたすら勉強する。夜更かしは次の日の集中力を欠かすので日付が変わる前に眠りに就くようにする。そして朝早く起き、ミオの作ってくれた朝食を食べ、ミオとともに早朝の澄んだ世界へと出ていくのだ。人生において大切だったことはコンスタントに、目標を失わずただ前に進むことだった。
 そんな風に今まで生きていたし、年明けにある大学受験にもこの生活で臨もうと思っていた。志望していた大学の合格点にはまだ届いていなかったが、この調子で勉強していけば必ず受かるという確信が僕にはあった。

 そんな風に過ごし、暮らしていた初夏の休日のことだった。
梅雨が終わり、日本特有のジメジメとした熱を直に肌に感じいやがおうにも夏の始りを感じさせる季節だ。その時の僕とミオは、7月の半ばにある期末試験にむけ部屋に閉じこもって勉強していた。その日は特に熱く、僕らは太陽が沈んだ後もじんわりと汗をかき続けなければならなかった。朝からろくに昼食もとらずに勉強していた僕らだったが6時を過ぎるとミオの集中力もついに切れたらしく戸をあけ僕の部屋にやってきた。
 ミオはとても疲れているようで、部屋に入ってきた時少し息を荒くし頬をほんのりと赤らめていた。汗のためにミオの前髪は額にくっつき、一つにまとめた後ろ髪もしっとりと濡れていた。
 ミオは僕の勉強を邪魔しないように、部屋の隅に小さくなって座りこみじっとしていた。ミオが部屋にきてどのくらい経ったのだろうか。部屋にかけてある時計のコツッ、コツッという機械的な音が部屋に大きく響きミオの小さな呼吸のスウッ、スウッという音だけが世界にある音だった。それはとても甘くやわらかな音楽で、僕の気持ちをあたたかくした。
 勉強も無事ひと段落つき、僕が後ろを振り向いたとき、ミオは壁に寄りかかり寝むっていた。額いっぱいに汗を浮かべながらぐっすりと眠る姿をみて、僕はミオを傷つけてはならないし、もしミオのこの美しいとしか言いようのない肉体を誰かが傷つけようものなら何としてでも守りぬかなければならないと改めて思った。僕がこの思いに至ったのは初めて二人暮らしになった時だ。ミオを支え社会から守る立場に立つことができるのは僕にとって喜び以外のなにものでもなかった。
 それから僕は静かに自室の戸をあけ台所にいき、目玉焼きとサラダをなんとか作り、ミオを起こし二人で食べた。
 ミオはずいぶん深く眠ってしまっていたようで、食卓についてもしばらくはじっと焦げた目玉焼きを眺めていたが目が覚めるとあまり見た目も、味も良くない目玉焼きとサラダを大きく開けた口にほおばった。
 「これからはリョウちゃんにごはん作ってもらおうかな。こんなにりっぱなものが作れるんだし」とミオは口にレタスを入れたまま苦しそうに言った。
 「こんなに?」
 「そうだよ。こんなにおいしいごはんは、ひさびさに私食べたな」
 「ミオに皮肉が言えるとは思わなかったな。一、二年の授業ではそんなのもテストに出るのか?」と僕は言った。
 「別にひにくじゃないよ。ミオは心からリョウちゃんの作ってくれたつぶれた目玉焼きとしなびたレタスの山盛りがおいしいと思ってるんだよ」とミオはレタスを箸でよそいながら言った。
 「一般にはその言い方を皮肉るとかって言うんだけどね。ホントはミオの作ったゴルゴンゾーラのスパゲッティーが食べたかったんだけど。今度作ってくれないか?」
 「だからひにくじゃないってば。もう、ミオはほんとうにそう思ってるんだけどな。いいよ、必ず作ってあげる」とミオは言った。
 そこで会話は途切れてしまった。勉強に追われてしまっていた僕はミオととりとめのない会話をするのは久しぶりだった。
 僕は急にミオに自分がさっきミオの寝顔を見て誓ったことや、いつも電車の中で思っていること、いつも僕のために料理や洗濯をしてくれることについての感謝、僕の勉強することの本当の目的などすべてをミオに伝えたいと思った。そして、ミオは僕にとってとても大切な人なのだと。取り換えの利かない人なのだと。だけど、それを表現する上手い言葉を口にすることはなかった。多分それは頭の奥底の骨にくっついてしまっていて、僕の口には出てきてくれなかった。
 ミオは少し考えてから下唇に左手を当てて、「もし、リョウちゃんがよかったらでいいんだけど、今からお散歩に行かない?」と言った。
 「いいよ」と僕はすこし時間をおいてからミオの要望に答えた。ミオには、とても大切な何かをするときに左手を唇に当てながらする癖があった。僕はそのことをよく知っていたし、ミオが僕に何かをお願いするのはとても珍しいことだった。ミオは15歳でそれなりに悩みや不安なこともきっとあるのだろうけど、兄と二人暮らしといういささか特殊な環境で生活しているためか、僕に気を使ってか、まったく不満や愚痴をこぼさなかった。何かをおねだりしたりすることも無く、最後にミオに何かをせがまれたり頼まれたのを思い出そうと頭を忙しく回転させたがついに僕には思い出せなかった。
 二人とも汗をかいてしまっていたため、ミオから先に軽くシャワーを浴び僕は七分丈のズボンに着古したポロシャツ、ミオは白いお気に入りのワンピースに着替えた。そして僕はスニーカーを、ミオはヒールのついたピンクのミュールを履いた。
 僕らの住んでいた小さな街は、山に囲まれている静かな町で土地の半分は山と広大な田んぼで成り立っている。その田んぼと田んぼの隙間に人の住む家があるような場所だった。 
 僕とミオは夏虫の奏でる音を聞き夏草の蒸れるやわらかな香りを胸いっぱいに吸い込みながらあぜ道を歩いた。その時ミオは僕に色々な話をしてくれた。最近読んだ面白かった本の話、感動したテレビ特集の話、駅の隅にいる太った猫の親子の話、買い物にスーパーに行ったら母親とはぐれてしまった女の子と一緒に母親を探した話。その時のミオは本当に様々な話をしてくれた。僕はその声に耳を傾け、うなずき、笑い、そしてミオの整った顔を見た。
 30分ほど歩くと懐かしい小川に出た。その小川は、僕らが小さい時によく二人で泳いだ川だ。父も母も共働きで、夏休みは二人で家の中にいることが多くなってしまう僕らはよく二人でこの小川に来てザリガニを釣ったり、罠を作って魚を捕まえたり、絵を描いたりと一通り遊んだあとは、二人で水に入り泳いで涼んだものだった。
 ミオはその小川が目に入った時、昔のように目を輝かせ小走りで水辺まで行き草の上に腰を下ろした。僕はミオの後につづきミオの隣に腰を下ろした。その時の小川の流れはとても穏やかに流れていて、水草や川底に沈む石が気持ちよさそうに揺れていた。辺りには、レトロな雰囲気を残している小さな街灯が一つあるだけで何も無く、ミオと僕はこの世界に存在する無二のピースで、かけがえのない何かを作るためにここに座っているかの様だと僕は感じた。
 しばらく僕と同じように水の流れを眺めていたミオは、何かを思いつめたかのように空を見上げた。僕もミオにつられて空を見上げるとそこには色とりどりのガラスの粉をまいたかの様な星が静かに漂っていた。「いつか、母さん達と見に行ったプラネタリウムみたいだな」と僕はつぶやいた。
 ミオは何も言わなかった。もしかしたら僕の声が聞こえなかったのかもしれない。ただひたすらに顔を空に向かわせ天を仰いでいた。ミオがようやく口を開いたのは虫の声も止み、ミオの息づかいだけが世界に響くようになってからだ。
 「リョウちゃんはどんな天気の空が好き?」とミオは言った。
 「晴れている空かな。とくに晴れの日が好きなわけでもないし、いつも晴れてほしいと願っているわけでもないけど駅前で東の空を赤くしながら昇ってくる太陽を見てると、なんとしてでも頑張らなくちゃいけないんだ。って思うからね。太陽も頑張ってるんだし、今の自分が辛くても文句は言ってられないなって自分に言い聞かせると、少しは辛いことが楽になる気がするんだ。」と僕はミオの顔を見ながら言った。
 「そうなんだ。晴れてる空か。ミオは晴れてる空は苦手だな。なんか無理にでも頑張らなきゃいけないような気分になっちゃう。」とミオは言った。
 「ミオが一番好きなのは、雨の日だよ。そんなにザーっと降る雨じゃなくて静かにカーテンのように揺れながら私をつつんでくれる雨が一番好き。ミオにまとわりつく何かを洗い流して、そして嫌なことから私を守ってくれる雨。その次に好きなのが台風みたいに風が強い日かな。ゴーっていう風のうずが、まるで何かと戦ってるみたいでその中心にいる傘をさしてるミオも少なからず濡れちゃうんだけど、それでもやっぱり強いものが何かをやっつけてくれるのってやっぱり気持ちいいものだよね。時々、私の味方はこの雨と風だけなんじゃないかって思ってしまう」とミオは静かに言った。
 「僕はそんなに好きではないけどミオは昔から、任侠の話が好きだからね。」と僕は言った。
 「任侠ってどういうこと??ミオは別に怖い男の人に憧れたりなんかしないよ?」
 「別に、任侠=反社会勢力ってわけじゃないんだよ。確かに今は、ミオの言う通りのような意味で使われていることが多いけど本当は、“悪を挫き正義を貫く”って意味なんだよ。ミオは昔から戦隊もののアニメや特撮なんかが好きだったじゃないか」と僕は言った。
 「もう、アニメや戦隊ものが好きだったなんていつの話をしているの。そんなの幼稚園の頃の話じゃない。それに、リョウちゃんだって昔は“僕はレッドファイターだ!!”なんて言って変な踊りをしてたじゃん」とミオは笑いながら言った。
 「“悪を挫き正義を貫く”には誰だって憧れるさ。小さい時はね。だけど、成長して色んな人と接して様々な困った場面に出くわして、そして気づくんだよ“正しいだけじゃどうにもならない。自分が何事に対して平等で公正であろうとしてもそれだけじゃどうにもならないんだ”って。実際に世の中には自分より早く昔見た夢を捨てて現実でうまくやろうとしている人もいっぱいいる。そんな世界でいつまでも昔描いた夢を追い求めるのは蜃気楼を追いかけ続けるようなもので途方もない徒労なんだよ。それに、ミオを守るのは雨や風なんかじゃなくて実在するなにかだと思うよ。形のないものは所詮形のないもので何も自分のためにはならないはずだよ。あくまで僕の経験上だけどね。」と僕は言った。
 僕が一気に言い切ってしまったせいか、ミオはまた黙り込んでしまった。今度は、空を見上げるでもなく、ただぼんやりと川辺を眺めていた。
 僕は、ミオの頭の中には何があるのだろうと考えた。僕はミオを誰よりも知っている。小さい時からずっと見てきたのだ。朝が弱くて小学校の頃はよく寝坊して寝ぼけまなこで学校に走るミオ。甘いものが大好きで、僕が止めるのを聞かずに夜にこっそりチョコレートを隠れて食べていたら奥歯が四本も虫歯になってしまったミオ。市民プールで初めて25m泳げた時うれしくてプールサイドを走ったらこけて前歯を折って大泣きしたミオ。僕と同じ高校に入れたことを一番に僕に知らせてくれたミオ。全部見てきたのだ。ミオの全てを。だけど、僕がどんなにミオを愛しく思い知ろうとしてもミオと僕とには絶対的な肉体の区別がある。別の手足を持ち、違う脳を持つ。僕にはこれが歯がゆくてならなかった。僕とミオが同じになれたら。肉体の壁の越えた何かになれたらどんなに僕は幸せだろう。しかしそれはどうあがいても叶うことの無いことだ。そのことが僕はたまらなく悲しい。
 「ミオとリョウちゃんが一緒になれたらいいのにね」とミオは言った。
 突然のミオの言葉に僕は驚き言葉を失ってしまった。のどの奥からはヒュー、ヒューという甲高い音が鳴った。
 「だってそうじゃない?ミオとリョウちゃんが一緒になれば晴れの日も雨の日もどっちも愛すことができるのにね」とミオは言った。
 「そうだな。そしたら天気を決める神様も報われるってもんだろうな。“今日の天気は何にしよう…。どうしよう…。雨にしないと農家のばっちゃんから怒られそうだし…。だけどあっちの小学校は運動会ですか。小学生の体操服は格別ですな。ウム。じゃあ、晴れで…。ってイカンイカン、そんなんで決めてしまっては。よし、天使の運んでくる夕飯が魚だったら雨で、肉だったら晴れにしよう。”なんて神様の悩みも無くなるだろうしな」と僕は言って僕は話を茶化した。
 夜も深まり始めたので、ミオと僕はそれっきりにして手をつないで帰った。家に帰って靴を脱ぎミオにお茶をいれようとすると、ミオの足にマメができていることに気付いた。まだ、新しい、赤く腫れ上がったマメだ。ミオにどうしたのか?と聞くと、ヒールの高いミュールだったから、マメができてしまったと言った。なぜ、マメができるような履物で散歩に出かけたのかと咎めると、リョウちゃんとの大切な時間だと思ったから自分を綺麗にしたかった。ミオの一番綺麗な姿をリョウちゃんに焼き付けて欲しかった。そのためならマメの一つや二つなんて問題にならない。とミオは僕に言った。
 僕は何だか胸が苦しくなり入れようとしたお茶もほったらかしにして自分の部屋に入り、横になった。
 そのまま寝てしまおうと思い目を閉じてじっとしていたが、僕の心臓は主人の意図に反し暴れまわっていて、なかなか寝付くことができなかった。体が意志に逆らって動きまわるなんて初めてのことで、僕は自分の体にそんなことができることを知り驚いた。体はいつも正確に動き僕の意志だけに従うモノのはずだった。何度も早く眠りにつこうと寝返りを繰り返したが体がそうはさせてくれなかった。ただ、ミオの言った“リョウちゃんとの大切な時間”という言葉が頭にこびりついて離れなかった。ミオの考える大切な時間とはなんなのだろう。僕にとっての幸せはこうしてミオと二人で時間を共有することだ。ミオと二人で過ごせるのならばそれだけであたたかな気持ちになることができる。僕はミオと共に過ごすことで自らの輪郭を感じるとこができる。理屈っぽくて強情な僕だけど、ミオの柔らかさに触れた時だけ僕の体はこの世に存在することが認められるのだ。だけど、ミオはどうなのだろう。何を求め、自分の将来に何を求めているのだろう。それから、東の空が明るくなり始めるまで考え続けたが、僕にはどうにも理解することができず考えるのをあきらめ翌日の学校のためにとりあえずシャワーを浴びるために寝床から離れた。また、今度の機会にミオに直接聞けばいいのだ。僕たちは決して離れることはないのだから。

 夏も本格的になり始め、セミも全力で演奏しはじめたころから三年生は本格的な受験対策のために、通常の授業が終わった後にさらに一時間の課外授業が始まるといことで僕は今までよりさらに一時間退屈な教室に留まることになった。窓際の席から眺める遠くの空は夏の夕暮れ特有の力強い夕焼けに染まっていて、目下で地に足をつけ汗だくになりながら声を張り上げている野球部員とは対照的で僕は思わず見とれてしまった。
 「ミオもこの景色見るのかな。」と思わずつぶやいてしまうほども美しい印象画のような風景はほんの十分でただのいつもの黒のペンキをぶちまけたかのような暗闇になってしまった。

 
 僕はふとしたときに自分という存在について考える。
 僕はなぜこの世に生まれてきたのだろう。
 幼い時母に読み聞かせてもらった本には“人は何かの使命を持って生まれてくるのです”と書いてあった。その本は、よく書店などに並んでいる本ではなく皮の表紙に金の題名のついたいかにも高級そうな本で母の愛読書の一つだった。人生の苦悩や煩悶について書かれている本で、その中の一つのエピソードを母に簡単にしてもらいながら読み聞かせてもらっていた。母に聞かせてもらったエピソードのストーリは至って簡潔で、家族を不運な事故で亡くした男が流浪の旅を続けていくうちに世界の果てにたどり着き、そこで神様に出会いそこでなぜ自分がこんなにも不幸な目に会わなくてはならないのかと神に問うという話だ。幼い頃の僕はこの話を妙に気に入り母にせがみ何度も何度も話してもらった。今でもよく覚えている。

 男は神に尋ねた「私は今までの人生一生懸命に生きてきました。真面目に勉学に励み、立派な職に就き、妻と子をもうけ、二人のために身を粉にして働いてきました。賭博に興じたり、妻以外の女におぼれたりといったことは一切してきませんでした。しかし、二人は馬車にひかれて私の世界にはもういません。私は二人を失い、悲しみの嵐にさいなまれ生きていく気力もありません。なぜ、私はこんなにも不幸になってしまったのでしょうか。人一倍努力し、苦しんだ私がなぜこんなにも不幸にならなくてはならなかったのでしょうか」
 「あなたは、美しい妻と小さな娘を失いました。それは大変つらいことですし、悲しいことです。」と神は言った。「しかし、だからといってそれであなたが生きていく気力を失うということにはなりません。あなたは今まで額に汗をかきながらがんばりましたし、これからもがんばれるはずです」

 「目標を失った今、私には頑張る意味がないのです。私がこの歳になるまでに私は多くの人に出会いました。遊びに興じる者、怠け癖の者、ひたすら色恋に生きる者、野蛮な男、しかしそのどの者よりも私はがんばってきたと私は心から言うことができます。しかし、その私が見てきた多くの者達のほうが私より幸せそうなのです。人生を味わい、仲間を作り日々愉快に楽しくすごしております。私はそれが許せないのです。この考えが傲慢なことはわかっています。しかし、私はそれを許すことができないのです」と男は血の混じった涙を流しながら言った。
 神は男の悲痛な声を聞きながら男に言った。「人間には様々なものがいます。足が速いもの、頭のいいもの、力持ちなもの、しかしそのどれもが人というひとくくりのなかで生活しているのです。そして、人には生まれてきた意味というものがあります。それは、個人の能力によって知ることのできる者もあればできない者もいます。それを知ることができれば運命という大きな澱みのなかで自分の役割を知ることができるでしょう。しかし、それを知ったからといって必ずしも人生において得をするということはありません。もしかしたら、自分の存在の小ささに絶望することだってあるでしょう。もし、あなたが自分の境遇を悲しみ苦しみと感じるのならば、自分の生きる意味を探してみてはいかかでしょう」
 「それはどのようにしたら見つかるのですか?この哀れな男に神様教えてください」と男はいった。
 「それは私にもわかりません。私は神としてこの世の物質を固め、練り、今の世界の全てを作りだしました。しかし、だからといって私がこの世界の全てを知っていることになるでしょうか。私は神であると同時に私の世界の神にすがる者なのです」と神は言った。

 ここでこのエピソードは終わる。話聞かされたのは遠い昔のことなのに、今でも一字一句思い出せるのは自分でも驚きだ。この何とも言えない終わり方を考えるともしかしたら、何かの教書のようなものだったのかも知れない。僕はこのエピソードの伝えたいことが知りたくて、母に何度となく聞かせてもらったが、ついに分かることは無かった。母に聞いてもいつか亮くんにも分かる時がくるのかもね、としか僕の問いに答えてはくれなかった。


 そんなことを思い出しいているうちに、課外が終わって静かだったクラスが急に騒がしくなった。真面目くさってノートをとっていた奴も隠れて本を読んでいた奴も急に騒がなくてはならないかのように大声でしゃべっているのを見て僕の体は冷たく固く強張った。僕は手際よく鞄に教科書を投げ込み一人で教室をでて早足で昇降口に向かった。
外はもう8時になっていてすっかり夏の夜の香りをまとっていた。鼻腔を内側から柔らかく押し上げる香りは、心地良く冷たく冷え切った心が少しあたたかになった。電車に乗り込みなんとか座席に座ると、急に雨が降り出した。その雨はとても激しくて電車の通行音もかき消されるほどだった。あまりにも雨が激しく雨の音以外何も聞こえなかった。その音は、まるで地獄の門を押し開けたかののような混沌とした響きだと僕は感じた。雨が電車を襲うようになってからも電車は進んだが結局電車はあまりの雨に途中で止まってしまい僕は一駅分歩くことになった。傘を差したが、あまりの雨の激しさに僕は物珍しく感じ傘を途中で投げ出し大粒の雫を体いっぱいに浴びながら帰路をぽてぽてと歩いた。
 家の前まで来ると、どの部屋も真っ暗になっていた。どうやら、ミオは帰ってないらしい。僕は、こんなに雨に濡れびしょびしょになった僕をミオに見せびらかそうと考えていた。ミオが僕のこんな姿を見れば“びしょ濡れじゃない。学校帰りにミシシッピ川にでも泳ぎに行ったの??”と茶化すはずだから、そしたら僕は濡れた制服のままミオに抱き着いてミオも一緒に濡れさせてやろう。そんなことを考えていた僕は少しつめたい気持ちになった。
 玄関のドアノブに手をかけると鍵は開いていて、ミオは家に帰っているけど寝ているのかもしれない。と僕は思った。靴を脱ぐとできるだけ静かに脱衣所まで歩いていき、手早く体をふき僕は部屋着に着替えた。とりあえず、腹に何かを入れようと思い冷蔵庫を開けるとラップを被せてある大皿にスパゲッティーが乗っていた。いつか僕がミオにリクエストした僕の大好物のミオのスパゲッティーだ。僕はそれをゆっくりと取り出し食卓の上に置いた。今すぐにでも食べてしまいたかったが、ミオが起きてから一緒に食べようと思い、僕は食卓の椅子に座ったままミオの起きてくるのを待った。
 十分が過ぎ三十分が過ぎ、ついに一時間がたった。僕は、無性にいてもたってもいられなくなった。あまりの苛立ちに足が無意識にガタガタと震え、机を揺らした。空腹で苦しかったこともある。しかし、それ以上にミオに“ありがとう”といいたかった。ミオの姿で視神経を刺激し、ミオの声で鼓膜を揺らしたかった。2時間がすぎると、僕はやけにドキドキした。自分がミオを欲していることについてだ。たった半日会えないだけで僕はとても苦しかった。僕が将来幸せにするミオを、僕の人生の目標であり目的でもあるミオに、僕が支えるミオに、僕の大切なミオに早く会いたかった。僕は自分を落ちつけるために、震える右足を両手の手で押しつけた。右足には赤い手形がくっきりと残った。






ミオの葬儀はあっけないほど簡単に終わった。参列者は、ミオの高校の担任と、アパートの大家さんだけだった。父は葬儀に間に合わず全て片がついた後に来た。
 僕はこの一件を今でもよく思い出せない。葬儀や火葬の段取りをし、骨をツボに収め父の家の墓に入れたのもきっと僕だと思うのだが(考えてみるとそれができるのは僕しかいないので)、どんなに頭を絞ってもその件に関しては全く思い出せない。
 思い出せるのは、ミオが起きてくるのを待ちきれなくなった僕がミオの部屋のドアを開けた時のことだ。思い出そうとするとそのときのことが映画のワンシーンかのように僕の頭のなかに流れる。
 
 ドアを開けると真っ暗でドアから入って正面の本棚にミオの白い制服が掛けられていて、本棚には本がびっしりと並んでいる。少し前進して映像は左隅にある机に焦点を当たる。机の上には小さな時計が一つあるだけでそれ以外には何もなく消しゴムのゴミ一つない様子は異常性を感じるまでに綺麗な机だ。少しずつ焦点は机から西側の窓へと向かっていく。そこで、急に映像はゆっくりとなる。撮影者の息遣いだけが不穏に響く。窓には厚い黒いカーテンがされていて薄暗い部屋の中でも特に黒くなっているのがわかる。窓の左端から右端へと時間をかけゆっくりとレンズがあてられていく。ズームは最大になってスクリーンにはカーテンしか映っていない。一度右端まで写し終わった後右端のカーテンがやけに膨らんでいるのに気づく。撮影者が近づく、一歩一歩足を出しているのがわかるほどゆっくりと。

膨らみの正体は宙に浮いているヒトだった。

僕が心から愛したヒトだった。二度と自分の足で地を踏むことができなくなってしまったヒトだった。色白で小さかった顔はどす黒くなり顔に血がたまり膨れ上がって生前の顔を映像の顔から想定するのは困難だ。首には意志を持ったかのように食い込んだベルトが巻き付いていてそれがそのヒトの全ての支えとなっていた。





 こうして僕は、自分の中の混沌の穴へと足を入れたのだ。



 その、急に目の前に現れた穴に入っていた時間は、僕の人生のこれからの時間と入っていた時のカレンダーとを見ればそう長い時間ではないはずだけれど今でも僕の中には確かに穴の中特有の空気の薄さと、現実味のない明かりがある。
 
 ミオが家から出て行ってしまってから、僕は学校に行かなくなった。別に、学校が以前に増して嫌いになったわけでもないのだがなんとなく足が学校へとは向かなくなった。一日中、自室の布団の中で窓の外を見ていた。真っ暗な空が次第に白くなっていき朝が来る。赤く汚れた空が次第に灰色に浄化されていき夜になる。その繰り返しを、僕はひたすら見ていた。横になっている位置から見える僕の空は、僕の意識と関係なく紙芝居のように捲られていった。
 あの時の僕はただ、ひたすら眠かった。それまで、睡眠時間を削った生活を特に意識していたわけではないが自分は無理をしていたのではないかと思わせるほど日中はぐっすりと眠っていた。午前6時に眠りにつき、午後の5時に目が覚める。そこからずっと空を見る。そんな生活をしていた。
 そんな風に自堕落な生活をしていたが僕の頭は機能していた。“学校に行かなければならない”と“このような非生産的な生活を続けても何も得られない。受験までもう時間が無いのに何をしているのか”と頭の片隅では思っていた。しかし、僕の頭をほとんど埋め尽くしているのは“僕はこれから何をすればいいのだろう”、“こんな結末になるならばどうして今まで生きていたのだろう。早くに僕が死んでいれば何も苦しむことは無かったのに”だった。なぜそんな考えに至ったのかはなぞだった。
 数週間、家に籠っていると僕のクラスの担任が家に来た。彼女は僕の部屋に上がり、事務的な言葉を淡々と口にした後、何やら感情的になり声を荒らげはじめ一時間ほどで帰って行った。彼女は何かを僕に伝えたそうに身振り手振りを加え忙し口を動かしていたが、僕の頭はそれを理解できなかった。開け放した窓からは、他人の鼻につく体臭とむせ返るような湿った草においとが僕の部屋には充満して僕はそのにおいのために何度も吐かなくてはならなかった。僕の体と世界とは何らかの大きな隔たりができてしまっていて、僕はその世界に近づくことはできなかった。体は世界のなかで孤立し近づけようとしなかったし、世界も体をとりこもうとはしなかった。勉強の合間によく聞いていたラジオを流したりしてみたことがあったが、以前はよく聞いていたはずの番組のはずなのに僕は彼らが発していたであろう言語を音としか認識することができず、すぐにスイッチを切った。
 ふと真夜中に真っ暗な空を見ていると、その空には僕の人生が浮かびあがっていた。幼稚園児であった頃から、小学生、中学生、高校生と次第に年を重ねていく自分がそこにはいて、まるで他人事のようにただその退屈な映画を見続けた。
 
2013-02-11 11:55:51公開 / 作者:なるみ
■この作品の著作権はなるみさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
さっきこのサイトを見つけたので投稿しました

この文章はだいぶ前に書いた文章ですのでいちよう推敲しましたが誤字脱字もあると思います。また、規約に沿うように修正しましたがなにぶん初投稿ですのでなにかお気づきの点などございましたらご指摘ください


とりあえず初投稿ということで、至らない点も多々あると思いますが上達したいと考えていますのでご指導ください



私は村上春樹を尊敬していて彼に近づきたいと思い文字を起こす作業をしています

といいながら、昔の文章を見ると村上さんの名前を出すのも恥ずかしくなるような文章で赤面必死の状態です

これからこのサイトにはよく来ようと思いますのでよろしくお願いします

私はwordを使用して作成していますのでこの掲示板で読むにはかなり読みにくい文章になっていると思います
申し訳ありません

                                  なるみ

2013 2 11 続きを投稿しました
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初めまして、鋏屋『ハサミヤ』と申します。御作読ませていただきました。
後書きの作者コメを読んで、ああなるほど、と思いましたw
何の脈絡もなくシーンが切り替わる感じは村上さんに雰囲気が似ている気がします。
私も以前はよく読んでましたよ。と言っても20年以上前で、初めて読んだのは小学6年生か中学1年生ぐらいでした。確か羊をめぐる冒険だったかと……癖のある文章で当時はちょとびっくりでした。ああ言う文章もアリなのかぁ……と思った訳です。なんと言いますか、現実と非現実の境界線が曖昧な感じで、私は夢を見ているような感じになります。
この話にも若干それを感じました。あと、中盤から文の印象が変わったような気がしました。
ただ思うに、変に村上さんを意識せずに書いた方がもっと濃い話になるような気がします。
あと所々文法や表現がおかしなところがありました。それに字下げもねw
色々くだらない事を書き綴ってしまい申し訳ありません。また次回作もお待ちしております。
鋏屋でした。
2012-11-08 07:29:01【☆☆☆☆☆】鋏屋
こんばんは、はじめまして。作品読ませていただきました。
村上春樹がお好きとのことで、よくわかります。僕も熱心なファンで、小説は全部読んでいると思います。昔は僕も、完全に村上調の作品を書いていた時期がありました。

で、この作品ですが。ところどころに挿入されるメタファーや、主人公の理屈っぽい長々としたモノローグなど、完全に村上さんの(恐らく初期〜中期作品の)影響を受けた文章だと思われます。しかし、例えばメタファーは、村上さんの並外れたセンスがあるから格好もいいし、説得力もあるのですが、普通の文章力でこれをやっても苦笑いの対象になるだけ、と言うのが残念ながら事実かと思います。
 また、このように句読点の極端に少ない文章も、読みやすいとは言えませんでした。これもまた、卓越した文章力がなければ、このような書き方は難しいのです。もっと普通に、句読点で区切ることを意識されたほうが良いかと思います。

 鋏屋さんもおっしゃっておられますが、村上さんを意識して書くのはおすすめできません。一度影響を受けた部分を切り離して、ご自分なりのナチュラルな文章が書けるようになってから、このような技巧に挑戦されるほうが良いかと思います。なるみさんのレベルの文章力なら、十分可能ではないでしょうか。
 今後に期待しています。
2012-11-08 21:24:59【☆☆☆☆☆】天野橋立
→鋏屋さん
 ご指導ありがとうございます
 鋏屋さんの言うとおり、wordの更新履歴を見ますと前半と中盤では二か月ほど放置していたみたいです。そのことにわかる鋏屋さんの考察力の高さに感服します。
 そうですね。村上さんは本来、翻訳に特化されている方なのでどうしても英国風といいますかドップリ日本人の私たちからするとどこか夢物語風の文章ですよね。
 私の中から村上さんが消えることはないと思いますが、村上さんの背を見ながら文を作るのではなく独自の文をこれから書いていきたいと思います。

→天野橋立さん
 どうしてここの方々はそんなに私の文章から私の好みがわかるのか不思議でたまりません。
 天野さんのおっしゃる通り、私の愛読書は“風の歌をきけ”と“ノルウェイの森”ですw
 私が村上春樹さんを尊敬する最大の理由に隠喩の素晴らしさがあります。誰もが認める村上さんの武器となっている隠喩に少しでも近づきたいと思いこのころの私は必死に比喩表現の技巧を上げていました。(あげていると勘違いしてましたw)
 この後の物語はすでに以前に書き終えているのですが、一度削除し鋏屋さんや天野さんのおっしゃるように村上さんの部分を変えていきたいと思います。

 鋏屋さん。天野橋立さんこれからもご指導よろしくお願いします
2012-11-09 03:09:40【☆☆☆☆☆】なるみ
拝読しました。水芭蕉猫ともうします。
読むのが遅れて申し訳ありません; で、私も村上さん好きですよ! 特に『羊を巡る冒険』と、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』が好きです。で、読んだ感想なのですが、村上春樹の匂いは感じるのですが、あまりにも匂いが似すぎていてなるみさんの匂いが薄かったなぁという印象です。印象でしか感想を書けなくて申し訳ありません;ただ、最後にミオがこの場所から居なくなってしまったのが解せないです。村上春樹さんの「ノルウェイの森」でも感じたのと同じ気持ちになりました(まぁ、こっちのは別に緑ちゃんが居たのでそういう結末もありかと思ったのですが……)。
それではにゃ!!
2012-11-22 23:00:42【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
→水色さん
大変レスが遅くなってしまいすいません
なかなかpcが開けないほど忙しかったもので・・・

村上春樹の匂いってどのようなものなんでしょうか?
私もなんとなくわかる気がしますが私にはそれを表す言葉が見つかりません(汗)

直子か緑か、その二人はなかなか面白いですよね
直子の姉が緑という分析をされている批評家の方もいらっしゃるくらいですし・・

これからもがんばりますのでまた読んでください!
レスありがとうございました
2013-02-11 12:15:42【☆☆☆☆☆】なるみ
計:0点
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