『ある自殺者からの手記』作者:アイ / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
下町の中学生が電車のホームに身を投げて自殺をした。大人からすれば自由で、しあわせで、可能性に満ちあふれた年代であるはずの彼らの身に、死を強く希求するほどのできごとがあったのか、そういった疑惑が疑惑を呼び、疑念を呼び、憶測を呼び、結果として謎めいた「若者の心の闇」としてかたづけられてしまった。失恋か、将来への不安か、漠然とした恐怖か。15歳の少年を死に急がせた原因については諸説論争がかわされたが、それも平成の時の流れにのって消えるころ、少年の友人である少女の手元に以下の手記が届いた。耳をつんざくブレーキ音に運命をゆだねるその瞬間を夢想し、むしろ穏やかな表情でこれを記していることが伝わる手記である。人々が混ぜこねた憶測の数々、少年の身に起こりうる大きな災厄よりも、ちいさく、あまりにもちいさな傷の痛みが記し尽くされていた。
全角4968文字
容量9936 bytes
原稿用紙約12.42枚
 2010年11月22日
 愛するきみへ

 朝日がもうすぐそこまで来ているよ。建物の谷間がぼんやり明るくなっているからね。夜をくぐって慣れた目を攻撃的にギラギラとつっついてくる日の光が、もうすぐ長い旅を終えて地球にとどくんだよ。考えただけで反吐がでるね。虫ケラは光を追いかけていくから光のまわりには虫ケラどもしかいないんだ。で、しかもさ、暗闇に慣れた人間にとって、光はまぶしすぎて目をつむってしまうんだ。
 さて、朝が本格的にやってきて「やあ、おはよう」と言う前にこの手紙を書いてしまおうと思う。たった今コーヒーをいれてきたところなんだ。とても香ばしいかおりがするよ。地面にストローをつきさして直接土のにおいを吸いこんでいるみたいだ。
 この場合、きみがいつこの手紙を読んでいるか分からないから、今の時間帯にあわせて「おはよう」と言うのはなしにしよう。そうだな、「ごきげんよう」はどうだろう? いいね、そうしよう。ごきげんよう。太陽と世界のはじまりにキスをしよう。
 暗闇をくぐらせてきたときの僕の目を、きみは覚えているだろうか。すっかり猫のような気分だよ。彼らをオーストラリアのナイトサファリで見たとき、夜闇の中でそこだけ希望があるようにふたつの目が光っていて、「やい、人間ども、気やすく見るな」と言いたげな表情をしていたよ。まったくかわいいね。いや、なに、僕はただ一睡もしていなくて、まぶたが碇か上皿天秤のおもりになってしまったようなんだ。困った話だろう? だけどこういった日常の細かいことがいちいち僕の命の存在を示唆させるから鬱陶しいことこのうえないね。先日庭にごろんと寝転んだら葉っぱの端で顔を切って、血が出てしまったよ。血のかよった人間がとかうんぬん、そんなことを考えてしまった。知らないあいだに生きてるなんていうことは、不思議だけれど、僕らの力ではどうしようもない、二十四時間後頭部に拳銃をつきつけられている気分だよ。ふりかえって銃弾がこめられているかどうかも確かめるすべがない。だから僕らは両手を高々とあげるしかないのさ。
 戦争があった時代には、おだやかな日本人だってハングリーに、エキセントリックに、アクティヴに動きまわっていたはずなんだけれど、ちいさな傷にも絆創膏を探しまわるような世代に生まれてきた僕らは水槽の金魚と真逆だね。やつらは結構ずぶとくてさ、汚い水でも温度差に耐えられてガンガン生き延びるっていうのに、逆に水槽を綺麗に掃除したら死んじまうんだよ。あれはさ、すみやすい健康な水を作るバクテリアまで一緒に掃除しちゃうからなんだよね。
 学校でいつだったか、先輩とつきあってる女子が修学旅行で三日も彼氏に会えないなんて言ってわあわあ泣いてたんだ。僕は青い血の通った人間を見るような目で彼女を見ていたよ。かわいい子なんだけどさ、急にものすごく頭の悪いやつに見えて、その涙は果たして価値があるものなのかとか、そうすることで現状が変わるのか、もしくは変えようとする意志が勝手に湧いてでてくるのかとか、ああ、それはもう言いたかったさ! まったく思考レスのお子様だよね。彼女たちの言い分だって分からないわけじゃないんだ。だけど、ただそのときの、まるで無邪気に虫をかっさばく子供のような彼女の純粋なまなざしに、僕はどうしても耐えられなかったんだ。あとでトイレに走って吐いたことは内緒。これはひとつの、あまりに、あまりに些末な事象。だって世界にとっては、こんなもの、なかなかつかないライターの先端で飛ぶちいさなちいさなスパークのひとつにすぎないんだし、何より、僕も彼女と似たようなものかも知れない。
 自分の身体の一部に羽が生えて飛んで行ってしまう夢を見たことがあるかい?
 先日顔を切ったと書いたけど、その前日の夜にちょうど怪我をした箇所がボロリと、海辺の砂の城を手でほじくりとるような感じで頬がころげおち、そこに真っ白な羽が生えて窓の外に飛んでいってしまう夢を見たんだよ。とても痛かった。身体の一部が飛んでいく夢は身を引き裂かれるような痛みが走って、夢の数日後、僕はまったく同じ箇所に怪我をしてしまうんだ。怪我そのものは大したことじゃない。痛みもほとんどない。だけどふりかえってみれば、自分が傷ついていると思いこんでいる以上に傷口はそんなに大きくないということ、またはその逆だということだけは、なかばあきらめるように漠然と理解できたんだ。
 今度は飛んでいってしまう身体の一部を追いかけてつかまえてみようと思うんだ。大丈夫、「西部戦線異状なし」みたいな結末にはならないさ。そうすればききわけのない現実にも何か変化があるかも知れないだろう? 現実と夢なんてやっぱりファイン・ラインなんだ。ただ背後をふりかえれば、誰かが後頭部に拳銃をつきつけている。
 ところでぬいぐるみをたくさん持っている人はさびしがりやだとよく言うけれど、程度の差こそあれど同じようなものだときみも思わないかい? おかしなことだよね。
 飛んでいってしまう箇所が増えてゆくごと、自分が途方もなく憂うべき存在だと思う。自虐的になることで価値をあげようとしたんだ。だけど気づいたんだ、それはおおきなまちがいなんだって。そして僕と同じように大勢のクラスメイトたちが同じことをしていて、同じように気づかないんだ。利己主義者とバイスタンダーたち。よそのおうちの賢い誰それちゃんを見てごらんなさいって言葉に意味がないと幼少期に誰もが一瞬でも疑問をたぐったはずなのに、気がつけばこの国の正義が僕らにそうあることを見のがさせ、競争心を高めるなんて言って認知する。
 ああ、きみには一度話してきかせたことがあったっけな。僕らはちがったんだ。誰よりも上をめざす競争より、誰よりも下に沈みこむほうが心地よかったんだ。だって、はがれ落ちたかさぶたに魅力はないからね。誰も敗戦後六十五年、僕らはそんなふうにしないと生きられない世間の荒波の中でたくさん怪我をしてしまったんだ。まるで泳ぎに自信があるやつが津波の真下にもぐっていって、たくさんの漂流物に全身を強打して死ぬようにね。
 教室のドアをあけたその刹那の一瞥を僕はおそれている。この狭くて超次元的な主観が独立しまくった世界の末端で「空気を読む」とか「人の気持ちを考える」とか免罪符が横行してるわりに、誰もが裸になって両手をひろげて「私を見て!」と言うんだ。その足首から流砂にのまれていくのを知っていて。
 熱くておいしい、新しいコーヒーをいれてきたよ。外はもうほとんど朝だ。すずめの鳴き声がとてもきれいだ。願わくば彼女たちのために祈りをささげよう。
 さて、これから必然的に起こるであろう僕の「超絶スーパー悲劇」な事件についての補足、というか言いわけをしておこうか。ポケモンカードの拡張パックの一番うしろにくっついていたエネルギーカード程度の補足だ。ああ、でも、エネルギーカードは多すぎても少なすぎてもだめなんだ。バランスを考えよう。きみも一緒に考えてくれるかい?
 僕は僕のクラスメイトたちが僕に嫌ってほど浴びせる言葉の「血のかよった人間」の意味が分からなくなってきているんだ。あの一瞬の一瞥だけをおそれて目を閉ざしてきた僕に、ようやく自分から動きだす気力が捻出されたってわけだ。数学の時間、僕は退屈すぎて机に伏して眠っていたのだけれど、誰かが僕の悪口を言っているのが聞こえてきてね。ああ、これは盗み聞きじゃないよ。ただ伏したはいいけど眠れない僕を勝手に眠っていると勘違いした彼ら彼女らがしたことなんだから、僕が責められるいわれはない。とにかくさ、聞くところによると、どうやら僕が自分自身の血でこめかみを汚すことを彼ら彼女らはのぞんでいるみたいなんだ。そして、オーマイガーだ、それが正義らしい。僕が苦しめているらしい自分たちが救われることにつながるらしい。らしい。血はかよっていない。血どころか骨も、内臓も、神経も、筋肉も、まるで創世記に神が何かのまちがいで人間の身体に入れそこねたみたいにぽかんと空白があいているんだ。彼ら彼女らも、僕も。
 悲しいわけじゃない。クラスメイトたちが僕を鬱陶しがっているのはじゅうぶん知っているし、どっちが悪とか正義とか関係なく、ただその感情が不思議だったんだ。晩年の壁にはりつくときになれば誰だって何かひとつにぐらい疑念をいだくものだろうけれど、僕もきっとそうなんだ。
 拳をにぎれば爪が食いこむし舌を噛みちぎれば誰だって死ぬ。そんな単純な図式にあてはまらない不可解でちいさくて些末なことが、世界の空気を端から僕らごと黒い絵の具で染めていってしまっているんだ。僕はただ、そんなちいさな巨人たちにガリバー旅行記さながらぷちっとつぶされてしまいたくないんだ。
 ベクトルのちがう彼らと僕をJ−POPの歌詞みたいに直列につなげるのは酷薄じゃあないだろうか。別にいいんだろうけどさ、ナントカ主義とカントカ主義のうまく相容れないいびつな矩形を見ているようだよ。そんなもん次の瞬間にはバラバラに砕けてしまっているんだよ。僕らはその破片のかけらを躍起になって集めてまたあらたなアイコンをきずきあげようとしていたんだ。その一員だったことに、これを書いている今、気づいた。いや、幸運だよ。
 ああ、絶対そうだ、これもまた些末な事柄なんだよ。きっとさ、そんないびつな矩形がスライムみたいに形を変えてゆく話だって、些末すぎてあくびが出てしまうんだ。だけど、それに関してこんなに長い手紙を書いている僕がいちばん滑稽だろう?
 目をこらしてみないと見えないような世界は、ひとの手がくわわることで寂莫の中、幼い少女のすすり泣きのような声をあげて僕らを残酷に包みこんでくれるんだ。
 街をゆく人々の雑多な足音がふと消えてしまう経験をしたことがあるかい? ほんの一瞬のことだから、すぐにトラックのけたたましいクラクションの音ではっと目がさめたんだけれど。だけどそうして音が消える瞬間だけは、人間は人間ならざる超越した視覚をもってまっすぐに、誰も考えなかった真理にたどりつけると思うんだよ。だからゲーセンのうるさい音だって、無数の車のエンジン音だって、それこそ小鳥のさえずりと葉擦れの音でさえも些末な音になってしまうんだ。けれど、残念だ、世界には音があふれかえってしまっている。僕らの耳にも、心臓にも。
 世界が平和になったとして、たぶん、僕もふくめて誰もがその状況に一度は驚き、とまどってしまうんだろうな。与えられた豪華な食事を食べるならまずフォークとナイフの使いかたを勉強しないといけない。そんなめんどうなこと、誰がする? 犬は一流レストランのフランス料理を目の前にしても口で食べるだろうさ。
 どうしてそんなにも貪欲になってしまうのだろう。死ぬことを知っていながらどうして、そこまで、なんてね。光が強く美しいほど、影は濃くなってゆくというのにね。テレビと戦争とセックスが肌に溶けこむことを誰が強く否定する?
 コーヒーをすっかり飲み終えてしまったよ。どうやら時間のようだね。始発もとっくに動きはじめている。さあ、僕はこれからこの手紙を封筒に入れてスタンプを貼り、着替えて朝食をとり、出発しなくてはならないんだ。ここで筆を置くことにしよう。いや、折れてしまった筆ではもうなんにも書けないか。仮に何も見つけられなかったとしたら、携帯できみに連絡をするよ。誇り高き文明の利器に乾杯。チアーズ!
 そして覚えておいて。僕はこの世界の些末な声にこめかみを撃たれたくはないんだ。ちっぽけな魂をぶらさげて煩悶し、誰かの祈りや歌に身をやつしていたとして、最後には僕が祈り、歌をつむがなくてはいけないんだ。それを録音したレコードの最終の溝にたどりついたら、きみに教えてあげる。きれいな場所ではないけれど、ここよりかはちょっときれいで、だけどやっぱり汚い場所を。
 どこかで合流したら一緒に行こうか。
 世界に平和を。きみに糖分を。ラブ・エンド・ピース。

 安藤彰 拝
2010-11-27 00:31:54公開 / 作者:アイ
■この作品の著作権はアイさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
高校生のころに書いた小説で、ある一人の中学生が自殺をし、その友人と片思いをしていた女の子と自殺をした本人の死後のことと、3つ連作の短編小説がありました。
この手記は突発的に書いたもので、今思いかえせばそのときの自殺した中学生の最後の言葉を想像して書いたんじゃないかと思ってます(自分のことなのに……)。

敏感で多感な15歳という時期に、友人関係や勉強のこと、進路のことなど、大人からすれば些末にもほどがある些末なできごとに人生の幕を見るほど苦しみ、悩み、最後に死をえらんだ男の子です。
そういった些末なできごとにいちいち苦しんでいるけれど、その自分の苦しさですら些末で、自分の存在も些末で、あまりにもあっけないこと、その些末さから逃れて偉大な何かになることの無意味さを知った、とか、そんなイメージです。
完全にこの手記を書いている男の子になりきってしまっていたので、書き終わったときにはどっと疲れました(笑)。
何考えて書いてたのかもよく分かりません。
書いていた時間帯もちょうど内容と合っていたし、まさに「主人公がのりうつった!」って感じで(笑)。
内容は毒々しいですが、主人公になりきりすぎてそのまま手記として吐きだす執筆行為は、無垢で無防備だけれど楽しい、けど疲れる、そんなことを知りました。

ギ・ド・モーパッサンの「ある自殺者の手記」からタイトルを少々変えて敬意を込めて引用しました。
彼の作品でいちばん好きですが、でもあんな死に方しなくてもよかったんじゃないかと今でもちょっと思います。
この作品に対する感想 - 昇順
 アイ様。
 御作を拝読しました。
 自殺者の言葉、ですか。僕個人としては自ら命を絶つ人の気持ちが分からないのですが、それはそれとして貴女の作品、楽しめました。
 以下、素人の意見。適当に流して下さいませ。
 貴女のあとがきにモオパッサンの『ある自殺者の手記』が出てきました。主人公のロベエルが途中までは第三者的に語り、途中友からの手紙に太字で書かれた自分の名前を見てから己の中に埋没していくように語り口をかえる。確かそういう見せ方をしていましたよね、あの作品は。ですから読者はラスト付近の感情の爆発部分で共感できるんですね。素晴らしい作品だと思います。自分は純粋に作品を楽しめない機械のような人間ですのでこんなコメントになっています。申し訳ない。
 で、それを考えれば、この作品は確かに『憑依』して書かれていますが、読者を引き込めているかと言うと怪しい気がします。僕は素人ですので確かなことは言えませんが、ちょっとおかしな主人公が氾濫する感情を所構わずぶつけたような話になっているような印象を受けました。
 短い作品には見せ方が必要かも、って思ったわけです。
 しかし、題材は良かったですし、良い文章だったとは思います。僕は貴女の作品、好きですよ。
 最後は拳銃自殺でしたっけ? 引き金を引く瞬間はどんな気持ちだったでしょうね。
 モオパッサンなら、『ダイアモンド・ネックレス』なんかよかったような気がします。僕にはああいう刺激の弱いブラックジョークがあっていると思うのです。
 次回更新、お待ちしております。
 ピンク色伯爵でした。
2010-11-27 13:58:28【☆☆☆☆☆】ピンク色伯爵
 連投失礼。
 『ダイヤモンド・ネックレス』ですね。日本語が不自由なピンク色伯爵でした。
 申し訳ない;
2010-11-27 14:03:42【☆☆☆☆☆】ピンク色伯爵
 まずは、あんまり他者様の作品にある感想欄でこういうことをいうのは適切ではないのでしょうが、ピンク色伯爵さんへ横レス。
 エンターテイメントと純文学を混同して感想をかいてますね、アイさんの作品だけではなくて他の作品でも。エンターテイメントと純文学だと魅せ方が違うんです。もちろん読み方も違う。エンターテイメントが読者目線に近寄った具体的な娯楽だとしたら、純文学は作者の持っている魂の揺らめきを文章で焼き付けてそれを読者が想像して楽しむものですかね。確か別のところでも天野橋立さんあたり同じことで横レスされていた気がする。
 あともう一点は、自分も初期のころから思い違えていて最近気づいたことで、各作者さんに謝罪しなければと思っているのが、ここに投稿している方々の誰もが一冊の本になる長編短編のリズムで書いているとは限らないことです。
 新人賞向けまたは一冊の本になる長編短編以外に、ネットで小説を読んでもらうには別の魅せ方があるんです。そこをピンク色伯爵さんも混同してしまっている感じ――なんて偉そうにいってますけど、かくいう自分も最近まで勘違いしていたので、見当外れの感想コメントをしたので謝らないといけない作者さんが結構な数でいたりします。

 ここからアイさんの作品への感想。
 
「ベクトルのちがう彼らと僕をJ−POPの歌詞みたいに直列につなげるのは酷薄じゃあないだろうか」この部分はいかにも15歳の高校生ですよね、自分の高校生のときに似たようなことを考えたのでにやりとしてしまいました。全体的に強烈な内面描写があって、瑞々しい感性の作品だと思います。過去作品も読み返してきましたけど、若さでしか表現できない貴重な描写がたくさんあって、心地好い刺激を受けさせてもらいました。
 変な話ですけど、過去作品も含めて加点させてもらいます。
2010-11-27 14:32:43【★★★★☆】akisan
 ピンク色伯爵です。
 akisan様のレスを見てのレス。
 いえ、勉強になりました。アイさんにはこの場を借りて謝罪を。
 別の作品でも注意受けてましたか……。
 アイさんには重ね重ね、お詫び申し上げます。以後、気をつけまする。
 ではでは。
2010-11-27 14:38:17【☆☆☆☆☆】ピンク色伯爵
拝読しました。水芭蕉猫ですにゃー。
タイトルに惹かれて読みました。私が思うに、あの手の年代はあちらの世界に強く引っ張られやすいんじゃないかなと最近思います。自分もそうでしたし、なんでだろう。そこを生き延びると、少しずついろんなことに鈍感になってどうでもよくなってくるんですよね。とまぁそんな戯言は置いときまして、うーん、感想書きづらいな……個人的には面白かったです。でも、万人向けではないな。それが私の感想としてはしっくりくるかも。あと、主人公のノリがアメリカンかと思ったです。変な感想で申し訳ないですが、これにて。
2010-11-27 21:55:09【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
 はじめまして。作品、読ませていただきました。
 自己矛盾を抱え込んだ若者の、その矛盾した心境がそのまま叙述された小説として、うまく書かれているなと思いました。ただ、もう僕はこういう心情には共感が難しくなってしまっていることもあって、うまく入り込むことができませんでした。「こんなんで死ぬなよな」と思ってしまいます。これがサリンジャーなら、今読んでもシンクロできるのですが、しかしさすがにそれじゃ比べる相手が悪すぎるでしょうし。若いときならもっと面白いと思って読めたのだろうなあと思うと、少し寂しい気も。
 
 蛇足ながら、僕は小説を物語性からしか評価できないというのは困ったことだと思ってるので、そういう感想に横から意見をつけることもありますが、しかしそういう感想を書いたことで書き手さんに謝罪する必要はないのじゃないかなあと思います。書き手さんとしては、どういう読み方をされるか分からないという前提で投稿してるわけですしね。僕だって、ライトノベルに見当違いな感想をつけていることがあると思います。要するに、自分の知らない読み方について教え合って、お互い少しずつ学んで行ければそれでいいんじゃないでしょうか。
 ちなみに「文学」を楽しんで読むのはそんなに難しくはないと思います。要するに、「書かれた文章を読む」と言う行為そのものを(極端な話、描写のみでストーリーが全くなくても)どこまで楽しめるか、それだけの話です。これができると、当然文章を書く時の意識も高くなってきますから、エンターテインメント指向の書き手さんでも、文学作品を読む楽しみを知っておくのは大事なことだと思ってます。
2010-11-28 23:04:51【☆☆☆☆☆】天野橋立
はじめまして、白タンポポと申します。
作品読みましたー。文章が軽快な感じがして、とても好きです!特に比喩の表現が豊かで、読んでいて楽しいです。
話の内容的には、かなり重い話ですね。でもそれなのに、最後まで冷静な彼にちょっと寒気を覚えました。うむむ〜、僕の思い描く自殺者像と違ったイメージだったので、なんというか興味深かったです。
真に迫る決定的なことは、なんというか明言を避けているように感じたのですが、そこを言えないところがやっぱり死んだ理由なのかな、とも思いました(表現が難解なため、読み取れなかっただけかもしれませんが)。

うーん、自殺者の遺書を読んでいるはずなのに、ドロドロとしたものをあまり感じず、むしろさっぱりとした感じがして不思議でした。こういうのも、ありなんだ、とやっぱり興味深い作品だな〜、と感じました。ではではー。
2010-12-03 21:19:12【☆☆☆☆☆】白たんぽぽ
>ピンク色伯爵さま
こんにちは。コメントありがとうございます。
読みづらかった、というか万人受けは絶対しないだろうなと覚悟していたので、しょうがないです(;´Д`)
元々こういう小難しい純文学系統の話が結構好きで、読むし書くしの暴食暴飲人間です。
それゆえになかなか自分でも操縦が効かない感じになってしまいました。
人物が憑依しきってそのまま勢いで書いてしまうとあんまいいことが起こらない、という典型的な例です。反面教師。
修練不足の一言に尽きます。勉強を続け、ふたたびこの場に作品を公開できるよう精進するのみです。
謝罪する必要なんか全くありません。どんな読みかたをされるかなんて読まれるまで分からないですし、これも純粋なひとつの感想かつ批評なので、真摯に受け止める次第です。
次回もお時間があればぜひよろしくお願いします。

>akisanさま
コメントありがとうございます。そして得点まで!頭があがりません。どっちに足向けて寝たらいいんでしょうかw
芥川龍之介作品を読んだ直後なので、文学っぽいというよりあの世に片足つっこんだ頭のおかしい作家の晩年の作品みたいな感じになってしまいました。
こう言うとかっこいいですが、ようは荒削りです。
今読み返すとワケ分かんないことばっか書いてんじゃねーよと己を叱咤したい気まんまんですが、完全に手記の書き手が乗り移った状態だからこそ自分でも共感でき、また、もしかしたら自殺間際の少年たちの気持ちには寄り添えているのかも知れません。
どういうものなのか自分でも把握できていませんが。
それを今現在生きている人間(私を含め)に理解しうるのかと言えば、私でもちょっと分からないぐらいです。
死に際にこれを読めば泣いちゃうかも、って作者であるはずの私が漠然と思うぐらいです。
自己満足ながら、私もそんなに自殺願望ないからこそこの手記を書いたことは楽しく、同時に疲弊する一方のもので、ぶっちゃけ「うぜぇ」って感じでした(笑)。
たまにこういう、感性だけ暴走させたようなものを書いたりしますが、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

>水芭蕉猫さま
こんばんは。コメントありがとうございます。
本作が万人受けしないのは承知の上です(笑)。芥川師匠の影響です。
思春期って揺れやすいというか、ちいさなことに影響されやすいのでそれに自滅されやすい、というイメージがあり私もそう言う経緯をたどって現在にいたるので、そういう不安定な心境が表現できたらなーと思いました(ほとんど理性ふっとばして書いたくせに……)。
主人公の口調がアメリカンなのは、純文学を書くときの私の癖です。たぶん幼少期からハリウッド映画を大量に見て育ったからだと思いますが、そのせいで翻訳文っぽいとよく言われます(笑)。
貴重な御意見をありがとうございました。またどうぞよろしくお願いいたします。

>天野橋立さま
コメントありがとうございます。
日常の些末なトラブルやちいさなイジメが積もって耐えられず、そのくせ世間は自分たちに夢を押しつける、そしてそれについて真剣に悩んで苦しんでいる自分のこの気持ちですら些末だ、何もかもが些末だ、と絶望して死を選んだ15歳のオトコノコの心情をつづりました。
完全に芥川龍之介の影響です(笑)。
私自身、書いているときは主人公の日常と完全に同化して、本人が憑依しきった状態で一気に書き上げたのですが、終わって冷静になって読み返すと、作者の私ですらそれこそ「そんなんで死ぬなよ」と思いましたww
生きてりゃいいことあるかもしれないし……というのは今生きてる21歳の小娘だからこそ説得力がないんでしょうけど。
ふらついてる年代の気持ちは分かりません。書いたくせに。
ちなみに私はこれを純文学にカテゴライズしていますが、細かいことは気にしないB型なので(んなアホな)どんな感想が来ようともそれを受けとめるばかりです。卑屈になってるともいいますが。
逆を言えば、みなさんが最後まで読んでくださり真摯にお返事をくださるだけでもじゅうぶんしあわせものだと思ってるので、単純ながら嬉しいです(笑)。
今後ともどうぞお付き合いくださいませ。こんなんでよければ。

>白たんぽぽさま
はじめまして!コメントありがとうございます。
軽快なかんじと言われてしまってギクッとしました。エンタメ系の小説を書くときはコミカルタッチな文章をあえてえらんでいるのですが、今回は文学系統なのでその要素をはずしたつもりでした。
まだまだ修練が足りなかったです。
話全体をつかんだ感じは、上の天野橋立さまのコメントに書いたような内容なのですが、ひっじょーに分かりにくいですね(汗)。
私としては、死を覚悟した中学生の不安定な感じが出ていていいと思ってあえて手直ししていないのですが。
自分じゃえげつねーと思ってた事柄が実は世間的、大人目線的には大したことじゃなくて、それを修正しようとしてくる大人が鬱陶しい、かつ大したことじゃないってことにショック受けた子って感じです。
これでもさっぱりしてますかね(笑)。
自分としては黒々してる感じがぬぐえません。もしかしたらほんとに自殺を決心した人間の心境ってこうなのかも。
中途半端な覚悟で死のうとしてる人のほうが動揺してるのかも、とか。
どうでもいいことですね、はい。
2010-12-03 23:28:28【☆☆☆☆☆】アイ
作品を読ませていただきました。中学生ぐらいってこんな感じだったかなぁ……言葉で飾ろうとする、格好良く書こうとする、それは中学生らしくてわかるのですが、その奥に存在しているはずの痛みが感じられませんでした。痛みでも嫌悪でもいいけど、行間にそれを覗かせて欲しかったです。では、次回作品を期待しています。
2010-12-07 22:22:50【☆☆☆☆☆】甘木
計:4点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。