『生徒会長の私と眼帯の後輩(仮・未完)』作者:月結晶 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
櫻ヶ丘高等学校に通う、周りの為に尽くし笑顔と気配りを絶やさない優等生、時風由愛は入学式の早朝に眼帯の新入生、板垣史彦と出会う。内心を見透かすような史彦の発言に戸惑う由愛は次第に自分という人間の本質と彼の存在が気になるようになって?
全角12433.5文字
容量24867 bytes
原稿用紙約31.08枚
 辛い時ほど楽しくなるように務めてきた。悲しい時ほど笑顔でいるようにしてきた。それが皆の幸せだから。
自分が悲しそうにしたら周りの人達が困るから。周りの人達の幸せは自分の幸せ。
その頃の私はずっと、それが本心だと信じていた……。


―第1幕―
入学式前の出会い


 世間一般的な視点から言って勉強が出来て、学校行事に率先的で、人当たりも良い学生がいたらそれは【優等生】と呼ばれるんだろう。そういう意味では私、時風由愛(ゆめ)は優等生なんだと思う。勉強は得意だし、学校行事は積極的に取り組んできた。周りの人達や全体のことを第一に考えて行動もしている。
 なのになんだろう、この虚無感は? どれだけ人に感謝の言葉を掛けられてもそれが何故か空虚に響いてしまう。どれだけ人を助けても物足りない。何故自分がそんな事を考えるのかもわからなくて。そんな気持ちを引きずって迎えた、新しい季節。高校3年生に進級した春の話。


 櫻ヶ丘高等学校。私の通うその学校は桜並木のある公園を抜けた先にある学校だ。部活動の人気さに定評があり、運動系文化系問わず多くの学生が部活に勤しんでいる。とはいっても自分は友人や他生徒の推薦もあって生徒会長になって以来は部活を辞めざるを得なかったけれど……。
 入学式である今日はいつもよりもかなり早めに登校したせいか同じ制服に身を包む者は見当たらなかった。たまにジョギングやペットの散歩をしてる人達とすれ違うだけ。風が吹き、桜の花びらが散る。そんな景色に一瞬見惚れて、入学した頃を思い出した。
「この景色が好きで、この学校を選んだんだっけ」
 家が近いという理由もあったといえばあるのだけれど、それでもこの景色が忘れられなかった。学校の中身よりも、何よりも。気持ちが何か特別なものに満たされた感じを胸に、私は学校に歩を進めた。


 誰よりも早く登校した私はすぐに体育館に向かった。学生代表のスピーチをしなければならない為、その予行練習である。と、そんなわけで早足に向かった体育館にたどり着くとそこで意外な存在が視界に入った。
 男子生徒がそこにいた。自分より若干背の低い(自分が172?だから165か6くらい?)男子学生が体育館の入り口の壁に背中を預け、立ったまま寝ているのだ。
 左目には眼帯を着け、胸に着いている青いピン(2年は緑、3年は赤)がその男子が1年生であることを証明している。
――入学式まで2時間以上あるのに……どうしたんだろう?
 自分のような主催関係者ならともかく式自体に出席する生徒がこんなにも早く来るのは不思議で疑問に思わずはいられなかった。そんな事を思ったからだろうか? 私がその男子生徒に話しかけたのは。
「あの、こんな所で何をしてるんですか?」
 私の質問に反応して目を覚ました男子生徒は感情の起伏をあまり感じられない、不思議な表情で見返してきた。
 目の線が少し細く見上げる形になっているせいか少し睨んでるようにも見える。次に掛ける言葉に困る私に対して彼は、
「どちら様ですか?」
 と、問い返してきた。最初に自分が掛けた言葉は聞こえていなかったようだ。
 とりあえず相手の質問に対する言葉を頭の中でまとめてから答えた。
「3年の時風由愛です。1年生、だよね?」
「そうですけど、それが何か?」
 平坦で感情の感じられない、そんな声。
「いや、何でこんなに早くから来てるのかな? って思って」
「意味なんてないですよ。目が覚めたから早く来た、それだけです」
 上級生に対して敬語を使うのは別に自然なことだが、彼の場合人を遠ざける為に使っているように聞こえた。
「そういう先輩こそ、こんなに朝早くからどうしたんですか?」
「え? ああ、私は入学式でスピーチがあるからその練習。一応、生徒会長だから」
 予想外の質問に少し慌ててしまったがそこで自分の本来の目的を思い出した。
 私はここにスピーチの練習に来たのである。私の返答に何か思うところがあったのか男子生徒は壁から背中を起こし、
「それならお邪魔でしたね、失礼します」
 と、小さく頭を下げ立ち去ろうとする。
 そんな彼対して私は、
「ちょっと待って!」
 と、思わず声を上げていた。何で呼び止めたかなんて、正直自分でもわからなかった。
 ただ、もう少しだけ話がしてみたい。そんな気がどこかしたから。
「あの……人が居た方が緊張感を持ってやれるから、少し付き合ってもらえませんか?」
 振り返った彼の表情から感情は読み取れなかったが、程なくしてゆっくり口を開いた。
「暇ですから別に構いませんけど」


 櫻ヶ丘高校の体育館は結構広い。バスケットコート二つ分に加え二階には観戦席もある。交流試合などもここですることが多く、人数の多いバスケ部等の運動部も練習スペースに困ることはないだろう。
 でもそんな体育館も今は新入生歓迎の為の飾り付けやら沢山並んだ椅子やらで様変わりしている。特別に彩られた広い空間の一番視線が集まる正面に私は立ち、彼は生徒席の一番前に座った。
「それじゃあ、始めますね?」
 一言声を掛けると「どうぞ」と返事が返ってきて私は原稿を開いた。
在校生代表による祝辞というのは基本的に学生が考えることは少なく、実際は学校側が提供しそれを学生が練習して本番に備える形になる。この学校もその例に漏れず、基本的に文章は全て学校が提示した内容そのままだ。ただ最後の一文の前だけは「自分が新入生に伝えたい言葉を入れてください」と、担任教師に言われていた。それ自体の準備は出来てはいるもののその内容に自信が持てず、結局早朝に練習に来てしまったのだけれど。そんなことを考えているうちに最後の辺りに差し掛かり、思わずスピーチが止まってしまう。
 広い体育館に訪れる一瞬の静寂。しかし、正面の席に座る彼は表情を変えずに真っ直ぐ私を見ながら静かに促す。
「続きを。先輩」
 そんな彼の言葉に背中押された気がして私は続きを読み上げた。
「これからの学校生活で皆さんが何を思い、考え、実行するかは個人の自由です。ですが、この学校に来たことを後悔したりだけはしないで下さい。物事を実行した結果がどういうものであったにしても、それが無駄であるなどとは決して思わずに、この学校で過ごして良かったと最後の最後に思えるような、そんな学生生活を過ごしてください!」
 最後に締めくくりの言葉を付け足して、私は原稿を閉じた。それに合わせて拍手と一緒に賞賛が返ってくる。
「素晴らしい出来ですね、先輩。何度も練習したのが伺えます」
 相手の大袈裟過ぎるお世辞にこそばゆいものを感じつつ、私は彼に近付いた。
 その表情は先程と変わらずあまり感情の起伏を感じさせなかったが、最初より少しだけ和らいでいるように思えた。
「付き合ってくれてありがとう。正直最後の辺り自信がなかったんだけど」
 そんな私の一言に対して彼は唐突に告げた。
「それは先輩御自身が不安だからじゃないですか?」
 彼の突然の言葉に、私は思わず言葉に詰まる。
――私自身が不安? 何が?
「全校生徒の代表として、自分が最も理想とする形の言葉を新入生に伝える。けれどその言葉を伝えている自分自身が、
本当に後悔せずに過ごしているのかわからない」
「……!!」
 以前から自身が感じ始めていた違和感。
 それを彼は見透かすような、さっきまでの少し和らいだ感じとはどこか違う雰囲気漂わせて話を続ける。
「一体何に怯えているんですか?」
「何……を?」
 段々と質問の内容の意味がわからなくなってきて変な返しになる。
 そんな私を見て彼は少しだけその右目を伏せて、
「同じ、か」
 と、小さく呟いたかと思うと彼は踵を返してしまう。
「それではこれで失礼します。スピーチ、頑張ってくださいね」
「え、あ……あの!」
 呼び止めようと思った。
 けれど彼をここに止めさせることが出来るような言葉を私は思いつくことが出来なかった。だから、
「貴方、名前は?」
 と、ずっと聞き損ねていたことを質問するだけにした。彼は顔だけで振り返り、
「板垣史彦」
 そう言い残して去っていった。


 入学式本番を無事に終え教室に戻ってからも頭の中にあったのは早朝に会った少年のことだった。
「板垣君、か」
「誰それ?」
「……!?」
 独り言を聞かれていたのか突然背後から声を掛けられ思わず飛び上がるようなリアクションを取ってしまう。
「もう、隙なし生徒会長が一体何をぼーっとしてるの? それに板垣って誰? 男?」
 畳み掛けるようにズバズバと質問を飛ばしてくる彼女は高橋勇子。
自分とあまり変わらない、女子としては高い身長。髪はボブカットを少し短くした感じで活発な彼女に良く似合っている。
 そんな勇子が私の目をじーっと面白いものを見るような視線で覗き込む。理由は大体察しはつくのだけど。
「何を期待してるの? 勇子」
「べっつに〜。生徒会長様が一体どんな男の子に想いを寄せてるかが気になるかなんて一言も?」
 全部そのまま口に出して言っている辺り勇子らしいといえばらしいけれどここは流石に場所が悪い。周りにいる一部の男子生徒の視線がこっちに向かっているのだ。
「勇子、貴女ね……」
「はいはい、わかったわかった。皆ごめんね〜、今の私が大げさにしただけの冗談だから〜!」
 大声で言う勇子の声が教室に響く。勇子は元々誰とでも打ち解けやすいタイプでその声はクラス全体に届いていた。
 おかげで誤解はすぐに解け、問題は解決したが……。
「じゃあ、放課後ゆっくりきかせてもらうから」
 勇子はそう言い残し楽しそうに去っていった。尋問確定である。


 入学式の後始末は新入生を除く生徒達による合同作業ではあるが、それでも事務的な内容などになるとそれはやはり生徒会の管轄になる。
 学校そのものは午前中で終了したといっても行事が行われる時や、その事後処理というのは結構な仕事だ。
「ふう、こんなものかな」
「おつかれ〜」
 書類整理を終えて私が椅子に腰掛けると一緒に作業を手伝ってくれていた勇子が後ろに回り込み肩を揉み始める。
「勇子も無理に手伝ってくれなくても良かったのに……」
 そもそも生徒会関係者でもない彼女が手伝う必要は本来ない。しかし、当の本人である勇子は私の言葉に笑って答えた。
「アンタなら会議が終わった時点で他の人を帰しちゃうのは想像出来たからね〜。全く、一人でどんだけ仕事をする気だったのよ?」
「でも……」
 確かに量は多かったが今日中には終わりそうにないという程無茶なものでもなかった。
 しかし勇子はそんな私の反応が気に入らなかったのか、お互いの顔がくっつきそうな程近づき、
「でもも何もない! 友達の好意は黙って素直に受け取る!」
 そう言って私の額を彼女の右手中指がパチンと弾いた。
 いわゆるデコピンを喰らってキョトンとする私から顔を離した勇子は――それに、と付け足す。
「まだ例の板垣君って人の話聞いてないしね〜!」
 そう言ってウインクしてみせる彼女を見ていて私は思わず苦笑する。
――本当、勇子には敵わないな。
 私は椅子から立ち上がって書類を引き出しに仕舞うと勇子に提案した。
「ケーキ、食べに行こうか? 私の奢りで」
 生徒会室に勇子の喜びの声が響いた。


「本当にそれだけなの?」
「本当にそれだけです」
 桜並木の公園を抜けた先にある駅前の喫茶店【翠の園】は若い女性やカップルに人気な、ケーキと紅茶が美味しいと評判のお店。そんなお店の中で私と勇子の二人はケーキを食べながら話をしていた。論議の内容は勿論、例の新入生【板垣史彦】についてだ。
「入学式のスピーチの練習の為に前の席に座って聞いててもらった、ねえ」
 そう呟いて勇子は苺を口の中に放り込む。私は朝あった出来事をそのまま伝えた。ただし、自分の心を見透かすような発言をしたという辺りは全て省略したけれども。
「そもそも何でそんなに朝早くから学校来てたんだろうね、その子。新入生だったんでしょ?」
「うん、それは間違いないと思うけど……早く目が覚めたからとしか言ってなかったから」
 これでも学生の顔は結構覚えている。新入生なら見覚えがないのも頷けるし、ピンの色が1年生のものであったことも踏まえれば恐らく間違いないだろう。そんな私の話を聞きながら勇子は――ふ〜ん、と鼻を鳴らし、
「とりあえず1年生だって事がわかっただけでも収穫かな」
 と、言ってケーキの最後の一口を口に運んだ。そんな勇子の言葉に思わず私は「……へ?」と、口から疑問符が出てしまった。まさかわざわざ調べに行く気なのだろうか? そんな私の疑問を他所に彼女は「こっちの話」と話を打ち切ってしまう。
 流石の勇子も限度を超えるような無茶苦茶なことはしないとは思うのだが、結局店を出てからも意味ありげな表情だった彼女に一抹の不安を覚える私だった。


―第2幕―
再会の生徒会室


 翌日の朝。まだ7時過ぎの校内にいる生徒の数は多くなく、朝練をしている運動部の声がグランドから響くのみだ。そんな中、私は生徒会室前に置いてある投書箱の中に入っていた新しい案件の確認をしていた。
「食堂のゴミ箱の使い方のマナーが悪い。情報処理室で飲食をしている生徒がいる。……学食の金額が高い? もう、何これ」
 投書の内容の殆どは普通の相談だが、中にはやはり悪戯も含まれる。そして投書は匿名で出来ることになっている為、まれに相談そのものがガセであることさえある(名前の記載がある場合は本人に確認を取る為、成り代わりということはない)のだから困ったものである。
 と、そんなこんなで投書の中身の分類を始めると生徒会室にノック音が響いた。
「どうぞー」
 入室を促すと「失礼します」と、女生徒が入ってきた。ペコリと小さく頭を下げて会釈をすると私の方に近付いてくる。
「今日はどうかしました?」
 近くにあった椅子に腰掛けたのを確認してから私はそう質問した。
「えっと、その……会長に相談がありまして」
 躊躇いがちに言う女生徒。なので私は、
「私で答えられることなら何でも聞いてくれて構わないですよ」 
 と、微笑みながら聞いてみる。彼女は視線を逸らし、少し考えてから思い切ったように口を開いた。
「会長は……男子に人気がありますよね?」
「……え?」
 予想外の質問に私は逆に問い返してしまう。
「だって会長頭良いし、綺麗でスタイル良いし、皆に優しくて人望もあるし……!!」
「あ、あの……? 一体何の話?」
 話が飲み込めず頭がこんがらがる。
「だから! 会長は男子との付き合いとかも豊富かなと思って!!」
――えぇーーー!?
 どんどん凄い方向に話が進んでいる。だが、ここまで来た所でやっと彼女の言おうとしていることの察しがついた。
「あの、だから……!」
「待って! ちょっと待って!」
 彼女の顔を両手で挟み込み、真っ直ぐ見据える。相手の顔は火照っていて耳まで真っ赤だ。
「あのね。期待を裏切るようで悪いけど、私って男の人とお付き合いしたことないの」
「……え?」
 相手の目が驚くように見開かれ、そんな彼女に私はもう一度微笑を浮かべながら話を続ける。
「本当よ。私は今まで一度も男の人と付き合ったことなんてない」
「で、でも。いつも男子が噂してて」
 男子の噂、というのがどんな内容のものであるかはわからないがつまりは私が誰と付き合っているかとかいないとかそういう類のものだろう。
「あ、一応その……交際を申し込まれたことはあるんだけどね?」
「……けど?」
「何というか、お断りしちゃってるの。今まで全部」
 それは真面目なものから軽口程度のもの全て含めてだ。
 そのせいで周りの女子から疎まれることもなかったかと聞かれれば嘘になる。
「私が小心者だからね。うまく前に踏み出せなくって……」
「……」
 私が自嘲しながら苦笑を浮かべると彼女は視線を落として俯いてしまう。
 幻滅されただろうか、と少し不安になるが彼女は程なくして頭を下げた。
「すみませんでした。その、色々誤解してたみたいで」
「ううん。私も力になれなくてごめんなさい」
 謝罪する彼女に対して私は首を横に振り、力になれないことを詫びた。
 理由はどうであれ、今回は自分のせいで誤解を招いてしまったことに変わりはないのだ。
「そんな、会長は悪くないです。ただちょっと意外だったってだけで」
「意外……?」
 彼女の言葉の意味を図りかね、問い返す。
「会長ってお世辞でも何でもなく魅力的で尊敬出来る人だから。男子からの人気もあるんだと思ってました」 
「う〜ん、そうでもないと思うよ? それにさっきも言ったけど私、小心者だから」
 顔を指でポリポリと掻きながら苦笑いする私を見て、彼女が始めて笑顔を浮かべた。
私は内心ホッとしつつ彼女の頭を撫でる。
 そんな私の行動にビックリしたのか一瞬肩が震えたのがわかったが抵抗する様子はない。
「今の私に出来るのはこんなことだけで、こんな言い方無責任かも知れないけど……頑張ってね」
 私の言葉に彼女は「はい」と小さく答え、微笑んだ。


 放課後、とは言ってもまだ昼過ぎの生徒会室に勇子の声が響く。
「由愛〜! お昼食べよう〜!」
 今日は午前中で学校は終わりで部活のある生徒以外は殆ど帰ってしまう。しかし、陸上部である彼女は今から夕方まで練習である。
 そういう私も今日は今日で生徒会の仕事がある為、学校に残るわけだが。
「別にいいけど、貴女手ぶらじゃない。私ここで食べるよ?」
 生徒会室は基本的に飲食OKの教室だ。だが、勇子の手には弁当の類に見える手荷物はない。
「大丈夫。私の可愛い下僕が今、購買に買いに行ってるから!」
「……?」
 今まで彼女が誰かを使いっ走りにすることなどなかったはずだ。
 そんな勇子が突然こんなことを言い出すものだから不思議に思い首を傾げていると不意に廊下の方から声がした。
「いいから来いって! お前を連れて来ないと俺が姉貴に殺されるんだから!」
「……そんなこと俺の知ったことじゃない。引っ張るな」
「頼むって! 飯代は奢るから!」
 何やら騒がしいその声は段々生徒会室に近付いてくる。そんな状況を楽しむように勇子は「来た来た」と扉を開ける。
「お〜い、(きら)! こっちこっち!」
 教室から顔を出しながら手招きする勇子。そして2人の男子が生徒会室に入ってきた。
「失礼しまーす!」
「失礼します……」
「いらっしゃーい!」
――って貴女はここの関係者じゃないでしょう……。
 思わず心の中でツッコミを入れてしまう。入ってきたのは煌と呼ばれた学生ともう1人は、
「……え!?」
 私の驚愕に気付いた勇子がニヤリと笑みを浮かべる。そこにいたもう一人の生徒は見間違うはずもない。
眼帯の1年生、板垣史彦その人だったのだ。


「どういうことなの勇子……!?」
 2人の男子生徒が入ってきて早々私は勇子を壁際に引っ張って問いただす。
 声の大きさこそ相手に聞こえないように配慮はしているがどうしても語気は強くなってしまう。
「どうもこうも見ての通りだけど?」
 しかしこの状況を招いた張本人である勇子は楽しそうな笑みを崩さない。いや、実際にこの状況を楽しんでいるのだろう。
「男子からの交際申し込みの全てに首を横に振ったアンタが自分から男のことを口にするんだもん。ここは親友である私が手助けしてあげないと!」
――油断してた、勇子はこういう子だった。
 限度を超えた無茶苦茶なことではなく予想外の不意打ちを仕掛けてくる、それが勇子という女の子なのだ。
「あの……」
 そんな私達の会話に割り込むように声がした。板垣君だ。
「用がないなら帰りますが?」
「あ〜、ごめんごめん! 話ならもう終わったからお昼にしよう!」
 勇子はそう言って彼らのところに向かっていく。もう逃げられないと悟った私は大人しく席に着くことにした。


 机を挟んで男子側と女子側で分かれて席に着くと机の上に購買のパンが広がった。
「あれ? 煌、エクレアがないじゃない!」
「金がなかったんだよ! 俺の財布の経済状況考えてくれ!」
「アンタの財布のことなんか知らないわよ! 今から買って来なさい!」
「無茶言うなって!」
 高橋姉弟のパンを巡る抗争が勃発する中、板垣は静かに本を開いた。表紙にはカバーがついていて何の本かは確認できない。
「あれ? 板垣君パン嫌い?」
 並ぶパンに手を出す様子がない板垣君に勇子は問いかける。
「……自分は金払ってませんから。勝手に取るのもどうかと思うし、仮にもらうにしても余りもので結構です」
 淡々と答え、視線を本に戻す。その雰囲気は昨日会った時と同じ、丁寧なのにどこか人を突き放すような感じだ。
 しかし勇子はそんな彼の対応に気を悪くした感もなく楽しそうに言う。
「はははっ! いいよ、そんなこと気にしなくても。どうせこいつの金だし!」
「少しは気にしろよ! 弟を何だと思ってんだ!?」
「ん〜? どの口が何を言うのかな〜、お姉ちゃんに聞こえるようにもう一回言ってみて?」
「すみません、調子乗りました……」
 会話の全てが漫才と化している高橋姉弟はこの際放って置くことにし、私は板垣君に謝罪した。
 このままでは話が進展しない気がしたからだ。
「あの、ごめんね? 無理に来てもらったりして」
「いえ、別に構わないんですが……何の為に自分が呼ばれたのかわからなかったもので」
 本を閉じ、視線を私に向けた板垣が答える。確かに呼んだ張本人は自分たちだけで盛り上がって(いじめて?)いる。
「場所、変えようか? 少し話がしたいから」
 こう騒がしいと落ち着いて話も出来ない。そんな私の提案に彼は何も言わず、本を鞄に仕舞うという行為を返答とした。


 生徒会室から出た私と板垣君は教室を出てすぐの階段を上った先にある屋上扉前に移動した。
 屋上は普段から施錠されていて、出入り出来ない為人通りはほとんど無いに等しい。つまり隠れて話をするのにはうってつけの場所なのである。
「ところで聞きたいことって何ですか?」
 後ろからついて来ていた板垣君が問う。聞きたいことはいくつかあったが、それでも優先して聞きたい事柄は決まっていた。
「何に怯えているのかって、昨日……初めて会ったときに私に聞きましたよね? 何でそう思ったんですか?」
 私の問い返しに彼は表情を変えず、視線を少し逸らした。
「強いて理由をつけるなら……同じ顔をしていたから、でしょうか」
「同じ……顔?」
 言葉の意味を図りかね、聞き返す。
「言葉に語弊があるかも知れませんけど……貴女の笑顔は、自分で自分に嘘をついているように見えたんです」
――嘘つき!!
「……!!」
 頭の中で一瞬響いた声に思わず動揺する。
「心当たり……あるんですね?」
 私の変化を見て取ったのか、彼はそう聞いてきた。
「私……私は」
――わからない。私が自分に嘘をついてる? わからない……。
 考えれば考えるほど頭の中で色々な感情がぐちゃぐちゃに混ざり、結局それが何なのかわからなくなってしまう。
「私は……!」
 何か言いたい。しかし、今の感情を言葉にして発することは出来なかった。
 そんな私に対し彼は小さく首を横に振り、謝罪する。 
「……答えなくていいです。差し出がましいこと言ってすみません」
「い、いえ。最初に聞いたのは私ですから……」
 そう、これは自分の質問に対して答えただけで彼に非はない。
ただ、自分の中に処理出来そうにない何かが芽生えてしまっていたのも確かだった。


―第3幕―
由愛の夢


 春とは言っても4月の夜や明けがたはかなり寒い。
「くしゅん!」
「ん? 由愛風邪でも引いた? 顔赤いけど」
 授業も開始され、本格的に学校が始まった日の昼休み。私のくしゃみに気づいたらしい勇子が近づきながら聞いてきた。
「あ……大したことないよ。少し熱っぽいだけだから」
「う〜ん。由愛の大したことないは正直、信用出来ないよ?」
「本当に大丈夫だから。心配かけてゴメン」
 笑みを浮かべてそう答えると勇子は「無理はしないように」と釘を刺して自分の席に戻っていった。
「はぁ……」
 自分が熱を出してしまった大本の理由を思い出し、思わず溜め息が漏れる。
昨日、板垣君に言われたことをお風呂上りに考えていたところ、薄着のまま机に突っ伏すように寝入ってしまったらしい。
その結果、乾かしていなかった髪が凄い方向に跳ね返り風邪までこじらせてしまったのである。勇子には大丈夫と言ったもののやはり熱のせいか視界がぼやけて体もダルイ。
「時風さん!」
「……え?」
 大きな声で呼ばれ驚く私に対し、相手は「やっと気づいた」という感じの目でこっちを見ていた。
 もしかしたら何回か呼ばれていたのかも知れない。
「生徒会会議の話があるって。副会長が」
「あ、はい。……今、行きます」
 そう答えて立ち上がったその時だ。視界が一瞬、真っ白になったかと思うとそのまま平衡感覚がなくなり私はそのまま床に倒れ込んでしまう。
何が起きたかわからず、体を起こそうとするも何かに押さえつけられたように動けないまま私の意識は闇に飲まれていった。


『嘘つき!』
 どこからか懐かしい少女の声が聞こえる。しかし、その少女の声は怒りを通り越して悲痛な叫びのように響く。
――これは……。
『お父さんの嘘つき!!』
 これは夢なのだと私にはすぐわかった。そこに懐かしい男性の姿があったからだ。
『ゴメン由愛。すぐに帰って来るから』
『大嫌い……!!』
――やめて……!!
 目を瞑ろうとしても、耳を塞ごうとしても体が動かない。自分はただそこにいて、あるままがを見せられるだけだ。
『お父さんなんて……大嫌い!!』
――嫌ッ……!!
少女の叫びと共に私の意識はこの世界から遠退いていった。


 目が覚めるとそこには見慣れぬ天井があった。
ここがどこなのか、視点が合わずぼやける天井を見ながら考えてみるが、自分がベッドの上に横になっていて少し薬品臭がしたことから保健室であると察するのにさほど時間は掛からなかった。
自分が意識を失う前後の記憶が断片的にしか思い出せないまま少し身を起こす。と、頭から何かが落ちる。
――濡れタオル……?
 それを手に取り、眺めていると仕切りのカーテンが突然開いた。てっきり保険医の先生が出てくると思っていたのだが、予想に反して別の人物が現れる。
「……板垣君?」
「先輩、起きてたんですか?」
 入ってきた彼の手には自分の頭に乗っていたものと同じタオルあった。交換に来てくれたのだろう。
「ちょうど今、目が覚めたとこです。板垣君はどうして?」
「え? ああ、自分は保険委員ですから」
 彼は私の質問の答えを簡潔に告げるとタオルを渡すように促した。ちなみに保険医の先生は職員会議中だとか。
「でも、そろそろ帰らないと遅くなっちゃいますね」
「え……今、何時?」
 自分の記憶に間違いがなければ倒れたのは昼休みだったはずだ。時間にして大体、午後1時少し過ぎたくらいだろうか。
「あと10分もしたら5時半ですね。ご家族がご在宅だったら迎えに来てもらうのが一番なんですが……」
 相手の言葉の濁し方から察するに連絡が取れなかったと見える。まあ、無理からぬことではあるのだが。
「家には私以外、誰もいません」
「……そう、なんですか?」
 相手の反応を見て表現を間違えたと思い、私は言い方を変えた。
「あ、出張で海外に行ってて。それで連絡が取れないんだと思います」
「なるほど、そういうことですか」
 納得した彼はそのまま「帰り道に付き添いをしてくれそうな人はいますか?」と聞いてきた。
――付き添い、か……。
 友人らしい友人は勇子しかいない。だが、彼女は電車通学で帰る方向が全然違う。
生徒会副会長の柊智子とも親しい間柄と言えないこともないがそれもあくまで生徒会という枠の中での話だし、何よりもう帰ってしまっているだろう。
 最後の頼みは1つだけだ。
「あの、板垣君」
「はい?」
「付き添い、お願いしていい?」
「……え?」
板垣君の表情が少し困惑の色に染まる。それは彼と出会って初めての表情の変化だった。


〜人物設定〜

時風 由愛(Yume Tokikaze)
本小説の主人公である高校3年生、17歳。
容姿端麗で成績優秀、周りへの気配りも忘れない人望のある性格。
最近、自分が人助けをするのが本心なのかどうか疑問を抱いている。

板垣 史彦(Fumihiko Itagaki)
由愛と同じ高校に通う高校1年生、15歳。
左目に眼帯をつけているのが印象的な少年。
人付き合いをあまり好まず、1人で本を読んでいることが多い。

高橋 勇子(Yuuko Takahasi)
由愛の同級生であり親友の高校3年生、17歳。
ボーイッシュで開けた性格、誰とでも仲良くなる。
陸上部に所属している。

高橋 煌(Kira Takahasi)
勇子の弟である高校1年生、15歳。
史彦と同じクラスで自称友人。
姉の尻に敷かれている。


10月31日 人物設定追加
11月7日 誤字・脱字修正
2009-11-08 00:37:57公開 / 作者:月結晶
■この作品の著作権は月結晶さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
お初です。
至らないことも多いとは思いますが宜しくお願いします。
今のところ不定期更新です。

人物紹介は書くべきか悩みましたが一応足しました。
いらないと思う方は仰って下さい。
この作品に対する感想 - 昇順
拝読しました。はじめまして。水芭蕉猫です。にゃあ。
テンポは良くて、普通の恋愛のような出だし、というわけで、安心して読めました。甘酸っぱそうなところなど、本当に少女小説のように進んでいくのかな? なんて思いました。
スピーチ等は、私は大嫌いなので隅に隠れてコソコソした人生を歩んでますが、由夢ちゃんがこれから何を思い、どう発展していくのかはまだ解らないながら、良い方向に進んでくれればいいなぁなんて思いました。
2009-10-26 21:41:43【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
こんにちは! 羽堕です♪
 由愛が史彦を呼びとめたのって、どこかで今までの自分に疑問を抱かせるような存在だと、分かったからなのかもと思いました。ここから、どう二人が関わって行くのか楽しみです。勇子みたいなキャラの女の子は、ちょっと好きかもって思ってりもしましたw
であ続きを楽しみにしています♪
2009-10-27 11:02:03【☆☆☆☆☆】羽堕
>水芭蕉猫様
感想ありがとう御座います。
私もスピーチ等は苦手です、上がり症なのでw
変な所があったりしたらご指摘お願いしますm(__)m

>羽堕様
感想感謝です。
勇子は由愛というキャラが固まった段階ですぐに出来上がりました。
必要以上に遠慮してしまう由愛を無理やりでも引っ張る奴がいるなー、と。
2009-10-28 15:04:32【☆☆☆☆☆】月結晶
はじめまして月結晶様。右にならう頼家でございます。
作品を読ませていただきました!
新学期、新しい季節、新しい出会い……いやぁ、まさに青春、恋愛の季節でございますね^^拙僧もあの若かりし日々を思い、色鮮やかに蘇る甘酸っぱい思い出に、頬を涙で濡らしました……。
って、脱線はここまでにして^^;いいですね。登場人物、特に謎の一年生の印象に、眼帯が良いアクセントとなっていると思います。男の子のそっけない態度や、優等生なりの悩みを抱えるヒロインなど、今後の展開が楽しみでございます♪勇子は期待通り『限度を超えるような無茶苦茶こと』をやってくれることと、安心しております^^それでは、続きをお待ちしております!!
                        頼家
2009-10-29 02:23:25【☆☆☆☆☆】有馬 頼家
>頼家様
感想ありがとうございます。
自分も書いてて「全く縁がなかったな…」なんて思ってたりw
勇子はしっかりやらかしましたよ、弟パシって(
2009-10-30 16:10:27【☆☆☆☆☆】月結晶
こんにちは! 羽堕です♪
 勇子みたいに、何気にサポートしてくれる友達がいて由愛は良かったなって思います。若干、勇子は楽しんでいる所がありそうですが、良い付き合い方だなって。
 生徒の相談まで受ける生徒会長というのも凄いなと思いつつ、由愛の発言って一歩間違うと自慢に取られそうだけど、そういう嫌みがない雰囲気なのかなと思ったりしました。
 そして勇子の企みで再会した、二人の今後に期待ですねw
であ続きを楽しみにしています♪
2009-10-30 17:52:07【☆☆☆☆☆】羽堕
>羽堕様
どうも、月結晶です。
勇子は楽しんでやってます、間違いなくw
由愛の発言は確かに自慢とも取れるかも知れませんがどちらかというと一線を引いている、という感じなんです。実際、自分分のことを小心者と言っているように友人と呼べる対象も作中勇子以外は出てきません。それくらい人と距離をとってしまうんです、性別関係なく。
勇子は持ち前の性格が幸いして由愛と関係を維持してる感じですね。
2009-10-31 13:15:59【☆☆☆☆☆】月結晶
初めまして、鋏屋【ハサミヤ】と申します。作品を読ませて頂きました。
安定した文章で読みやすかったです。ストーリーについてはまだとっかかりの部分なのでわかりませんが、今後の展開が期待できるいい感じの出だしだったんじゃないかと思います。あとキャラの設定がちゃんと纏まっていてわかりやすいです。
登場人物の設定はご本人の判断で良いんじゃないですか? 
私が思うに、ちゃんとキャラが立っているので今のところ必要ないかとは思いますがね。台詞や前後の地の文でも、ちゃんとキャラの性格がわかる表現が出来てますし……
もう少しキャラが増えていった場合はあった方が読み手がわかりやすかったりもしますけど。
私は有っても無くてもどちらでもかまわないかと思います。
設定はありがちな感がいなめませんが、しっかりしたキャラクター達ですので面白くなりそうな予感がしました。次回更新もお待ちしております。
鋏屋でした。
2009-10-31 17:48:19【☆☆☆☆☆】鋏屋
こんにちは! 羽堕です♪
 姉弟の、こういう姉が主導権を完全に握っているような関係って好きです。煌にも何か、活躍の場が今度あればなと思います。
 由愛は、そんな誘い方したら勇子が、こっそりついてくるよって心の中で思ってしまいましたw
 連載の時は、もう少し書き溜めてからの投稿の方が読者としては有り難いかな。
であ続きを楽しみにしています♪
2009-11-01 10:10:14【☆☆☆☆☆】羽堕
作品を読ませていただきました。正統派恋愛小説って感じですね。文章は読みやすいし安定したリズムで書いているのですーっと読めました。由愛や史彦がまだ大人しいのがちょっと気になるけど、これからもっと動きを見せてくれるだろうと期待しています。高橋姉弟はいい感じですね。いまのところ一番個性がハッキリしている。脇役に主人公が食われないように。登場人物の紹介はあってもなくてもいいですよ。では、次回更新を期待しています。
2009-11-03 12:11:30【☆☆☆☆☆】甘木
こんにちは! 羽堕です♪
 由愛の過去だと思う、父親との確執もしくは別れ? のような物が、今の由愛に大きく影響しているのかな。きっとこういった感情も封印してたんだろうけど、史彦の言葉と存在が思い出させてくれたんじゃないかと、ここからの急接近も期待しつつ続きを待ちたいと思います。いずれ出てくるだろう史彦の過去も興味津津といった感じなのですがw
であ続きを楽しみにしています♪
2009-11-07 12:10:57【☆☆☆☆☆】羽堕
>鋏屋様
感想ありがとうございます。
そうですね、キャラの数も少ないし無理してキャラ表をつくる必要はないですよね。
キャラクターの基盤がはっきりしていると言ってもらえて少し自信になりました。
これからも読んで頂けると幸いです。

>羽堕様
読んで頂き、ありがとうございます。
なんだかこの姉があってこの弟あり、みたいな感じでつくりました。
これからも頑張って書きますので温かい目で見て頂ければ幸いです。

>甘木様
感想ありがとうございます。
由愛と史彦はこれからしっかり目立つと思います、多分。
高橋姉弟に主役の座を乗っ取られないように頑張ります。
これからも読んで頂ければ幸いです。
2009-11-07 13:09:17【☆☆☆☆☆】月結晶
はじめまして、プリウスです。
そうか高校生って物事をこんな風に考えるのだな、と過去に思いを馳せてみました。
27歳独身です。
僕の心が汚れているので、少年少女たちのセリフをそのまま受け入れることが出来ません。
例えば板垣君は相手の心を見抜いているのではなく、相手の心を揺さぶっているのです。
不安のような感情は誰もが少なからず抱えているもので、誰かに「不安があるでしょう」と言えばけっこうな確率でヒットします。
そういうことを板垣君がやって、主人公がうろたえてしまった。
だからこれは恋愛小説と見せかけて、実は心理ホラー物。
いえ、馬鹿なことを言ってごめんなさい。
『LIAR GAME』というドラマを観ながらずっと黒幕は主人公の女の子だと疑っていた僕が悪いのです。(実際には最後まで人を信じ続ける、誰も騙すことの無い無垢な子でした)
汚れた僕の心が洗われるようなピュアな物語を期待しています。

ちょっと指摘。
―第2幕―
再開の生徒会室(誤)→再会の生徒会室(正)

「会長ってお世辞でも何でもなく魅力的で尊敬出来る人だから。男子からの人気もあるんだと思ってました」 
という発言はちょっと変な気がします。
この前に主人公が交際の申し出を「全部」断ったというくだりがあって、それってつまり「人気」はあるということかと。
少なくとも2回は告白されないと「全部」という表現は使えない気がします。
だから「男子からの人気もあるんだと思ってました」ではなく、「付き合った経験とかいくらでもあるんだと思ってました」とかの方が自然。
2009-11-07 13:59:35【☆☆☆☆☆】プリウス
>プリウス様
ご指摘ありがとうございます、誤字の修正をしたその日に誤字の指摘をされて我ながら間抜けだと嘆いておりました(
主人公達の言っていることをそのまま受け入れることが出来ないとのことですが、その解釈で間違っていないと思います。史彦は由愛に対して曖昧な表現で問いかけていますが由愛はそれを「心を見透かされている」と解釈しています。これをバーナム効果と呼ぶのかどうかは分かりませんが結論から言ってしまえば由愛の思い込みなんです。この先で史彦が「自分は貴女の心が読めるわけじゃない」という意味合いの台詞を入れるシーンも作るつもりでいます。
「付き合った経験とかいくらでもあるんだと思ってました」とかの方が自然。>全く持ってその通りですね、気がつきませんでした。ご指摘感謝です。

『LIAR GAME』ですか。詳しいことは知りませんが負けたら多大な借金を負わされるゲームに参加させられる女の子と詐欺師の男の話でしたっけ?
2009-11-08 11:22:01【☆☆☆☆☆】月結晶
計:0点
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