『世界の滅亡』作者:湯船ゆきと / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
世界はもう滅亡したのだ。
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原稿用紙約1.87枚


 電灯一つとして燈っていないほの暗い街を、僕はひたすらに駆けていた。
 背後から無数の足音が聞こえる。気のせいかさっきよりも近づいている。確かめなければならない
のだけれど、後ろを振り向く気にはなれなかった。きっとそこには地獄が広がっているはずだ。
 目を瞑って、手を握り締め、僕はただその音から逃げていた。ただその闇から逃げいていた。


 そういえば昨日の朝刊がすべての始まりを告げいていたのだ、と今更になって僕は思う。あの時はそ
んなことがあるはずないと思っていたけれど。
『地球滅亡!? 異世界からのメッセージ』
 こんな見出しだったと思う。そこには、異世界の生き物からの警告らしきものが、世界各国の官邸
宛に送られてきたという内容が書かれていた。当然ながら、手の組んだいたずらだろうと誰もが思った。
事実、その記事も一種のネタとして書かれていたもので、文体から真剣さは感じられなかった。
 しかしその、いわゆる異世界からのメッセージとやらは、どうやら本物だったようだ。
 それは今日の朝、僕が目を覚ました時には確信を持って言えた。その時には人、いや今まで地球
に生きていた生き物たちは、みな姿を消していたのだ。そして、そこには影がいた。僕は、地球にたった
一人残された生き物だと言うことに気づいた。


「もう、無理だ……」
 堪え切れなくなって、僕はついにひざまずいた。じわじわと背後に闇が近づいてくる。
「できればお前らのような闇の存在とは向き合いたくなかったよ」と僕は言う。そして、目を閉じる。
「オレタチハ、モウ、トモダチダヨ」と闇の声が聞こえた気がした。


 世界はもう滅亡したのだ、と僕は思う。少なくとも僕の中では。
2009-06-24 21:30:44公開 / 作者:湯船ゆきと
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■作者からのメッセージ
2作目です。
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この作品に対する感想 - 昇順
[簡易感想]もう少し細かい描写が欲しかったです。
2009-06-28 12:11:00【☆☆☆☆☆】氷島
作品を読ませていただきました。ちょっと完結に書きすぎていて粗筋を読んでいるような気分でした。主人公の切迫感とかを書きこんだ方がいいと思いますよ。では、次回作品を期待しています。
2009-07-21 22:39:49【☆☆☆☆☆】甘木
計:0点
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