『春の終わりの匂い』作者:甘木 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 僕が菜穂美とつきあい始めたのは高校三年生の春の終わりだった。
 なんの取り柄もない平凡な僕のどこを気に入ってくれたのか、夏の予感させる空気が充満する学校の裏庭で『貴史君、好きです。わたしとつきあって』と単刀直入に言われたんだ。女の子に告白されるなんて生まれて初めての経験で、思わず出た言葉は『僕みたいのでいいの?』と間抜けなものだった。
 だって菜穂美はクラスで一番可愛いし、頭も良いし、人柄だって男女問わず悪口を聞かないほどだよ。ま、運動神経だけはお母さんのお腹の中に忘れてきたようだけど菜穂美の魅力を損なうものじゃない。かたや僕は見た目普通、成績中の上。菜穂美に勝っているのは運動神経ぐらいだけど、運動部で活躍するほどの能力じゃない。そんな僕に好きって言ってくれるなんて信じられないよ。
 だいぶ後になって菜穂美に聞いたんだけど、彼女に言わせると僕の不器用な真面目さと一緒にいると安心できるところが、昔飼っていた犬に似ていて安らげるんだって──これって褒めているのか貶されているのか微妙な表現だよなぁ。
 とにかく僕に反対する理由はない。受験生という立場を忘れて菜穂美とつきあうことになったんだ。
 これがドラマかなんかなら同じ大学に進んで波瀾万丈のキャンパスライフを送るということになるんだろうけど、僕と菜穂美では頭のレベルが違いすぎた。菜穂美は楽勝で国立大学に、僕は一流半といったところの私立大学になんとか滑りこみ。でも、幸いなことに二人とも東京の大学だったから近所のアパートに住み──四年後には同じアパートに住むまでに二人の中は進展していたんだ。そりゃそれまでにはケンカもしたし、一時的に別れることもあったよ。でも、二人とも相手がどうしても必要なことを気付いてはよりを戻してきたんだ。
 小さな波を何度も乗り越えながら僕らは無事に大学を卒業して、就職して、二十五歳の時に結婚した。いずれ子供ができて、子供や仕事に追われながらも、お互い協力し合ってまた波を乗り越え歳をとっていくなんてことを漠然と思っていたんだ。
 結婚した年の秋までは……。


 菜穂美が入院したという連絡が会社に入ったのがすべての始まりだった。
 菜穂美は仕事中に具合が悪くなり救急車で病院に搬送されたのだ。そこで待っていたのは検査と緊急入院。
 それまでにも菜穂美は何度か腰が痛いと言っていたんだけど、僕が一度病院で診てもらったらと言っても『立ち仕事が多いから疲れが溜まっているだけだよ。病院なんてお金と時間の無駄。ゆっくり寝れば治るよ。お休みの日に貴史君がご飯と掃除と洗濯をしてくれればいいだけだよ』と笑うだけ。僕もそんなものかなと思っていた。
 病院での診察の結果は肝臓癌のステージ?B。つまり遠隔転移を伴う末期癌だった。すぐに手術が行われ肝臓の腫瘍は摘出。けれど転移は広範に及んでいたため癌剤治療が始まった。
 菜穂美は仕事を休職し入退院を繰り返す日々。一時は回復に向かうような元気さも見せたけど、今年の春の終わりに大量に喀血して……僕は病院の先生に『奥さんも頑張っておられます。我々も最善の努力はします。しかし、肺と脳への転移は予想を超えたスピードです。ご主人も覚悟だけはしておいて下さい』と深々と頭を下げられた。
 覚悟ってなんだよ! 覚悟って。できるわけないだろう!
 菜穂美が死ぬ覚悟ってなんだよ! バカやろう!




 *          *          *




「貴史君は仕事があるんだから、毎日、お見舞いになんて来なくていいんだよ」
 菜穂美は点滴のチューブをずらさないようにゆっくり上半身を起こし、ふぅと暑い息を吐く。
「ここ個室だから話し相手もいないし淋しいだろう」
「そうでもないよ。昼間は看護士さんや先生が診察やなんやで何度も来るから、ノンビリお昼寝を貪る暇もないほど」
「そうなんだ。入院したことがないから知らなかった。でも、見舞いのことは気にしなくていいよ。僕が来たいから来ているだけだからね」
「嬉しいけど、残業とか断ってきてるんじゃないの。社会人は仕事が大事だよ」
 菜穂美は精いっぱいの怒ったような顔で声を弾ませる。
「いいや、年度明けたら夏過ぎないと暇なんだよ。島崎なんて残業代が減って小遣い減らされたぁ昼飯減らさないとヤバイって言って頭を抱えてたよ」
「島崎さんって結婚前に会った体の大きい人だよね。凄く食べそうだから本当に切実なんでしょうね。頭を抱えるの分かるなぁ」
 菜穂美は声を出して笑い──次の瞬間、前屈みになって激しく背中を振るわす。
 癌が肺に転移しているせいで長い時間話しをしたり笑ったりすると喘息のような発作が起こることもあるのだ。ひゅーともしゅぅーともつかぬ息を漏らし、それを押さえこむようにさらに身体を丸める。
「いま、看護士さんを呼ぶからまってろ」
 ナースコールに伸ばした僕の手を押さえ菜穂美が顔を上げる。
「大丈夫……もう……治まったから」
 菜穂美は薄い笑みを浮かべて僕の手を包みこむように握る。しばらく僕の手を握ったまま荒い息を何度も吐き出す。だんだんと息が落ち着き、それと同時にあれだけ熱かった手が急に温度を下げていくのを感じた。
 夏が近付いてきているというのに、菜穂美の手は恐ろしいほど冷たく乾燥してガサガサになっている。きっと抗癌剤の副作用なのだろう。頬もこけ、肌の色も沈んだような色になってしまっている。なのにこんなにも大変な治療を受けているのに、菜穂美は僕の前では決して辛そうな表情を見せたことがない。
 それどころか笑みを浮かべ、
「本当に大丈夫だから、心配そうな顔はしない」
 トンっと僕の額を指で弾く。いつもこうやって不安げな表情を浮かべているだろう僕を叱咤してくれるのだ。


「手が冷たい。ちゃんと布団に入っていた方がいいよ」
 僕の言葉に大丈夫とばかり手を振って菜穂美は窓の方に顔を向ける。
「もう春は終わりなんだね」
 菜穂美は窓の向こう、前庭に植わった大きな木を見つめている。なんという種類の木か分からないけど、大きく広げた枝に幾千もの葉をつけ長くなった夕陽の最後の光を受けている。
「そういえば、わたしたちがつきあいだしたのも今頃だったよね」
 外を向いたまま、ひとりごちるように菜穂美がつぶやく。
「わたし本当は凄く不安だったんだよ」
「なにが?」
「貴史君に告白した時。だって初めて男の子を好きになったんだもん」
「嘘だろう」
「嘘じゃないよ。貴史君がわたしの初恋の相手だよ。もう断られたらどうしようとか思って前の晩寝られなかったんだから」
 僕がいまどんな表情をしていたかは分からないけど、菜穂美が外を見ててくれてよかったと心の底から思ったよ。驚きのあまり相当間抜けた顔をしていたと思うから。
 だって、菜穂美を好きだという男はクラスにも、いや学年中にたくさんいたんだ。
「信じられない。菜穂美はモテてたじゃないか。だから菜穂美に言われた時、僕の方が心臓が止まるかと思うほどビックリしたんだぜ。なんでモテない僕に告白してくれたんだろうって」
 菜穂美は顔を僕に向けるとにっと悪戯っぽく笑う。
「うん。何度かつきあって欲しいって言われたことあったけど、わたしがその人を好きじゃなかったもん。わたしが本当に好きになったのは貴史君だけだよ。それに貴史君は気付いていなかったんだ……貴史君を狙っていた女子はわたしだけじゃなかったんだから。二年生の女子にも人気あったんだよ」
「マジ?」
「うん。マジ、マジ」
 どうだ驚いたかとばかり菜穂美が胸を張る。
「だって僕モテなかったよ。ラブレターを貰ったこともないし、告白だって菜穂美が初めてだったんだからさ。僕の初恋の相手は菜穂美なんだよ」
「ま、貴史君は恋愛に鈍いところあるからなぁ」
 僕は自分の顔が赤らむことを感じていた。
「わたしだって本当は受験生だから受験が終わるまで告白を待とうと思ったんだけど、三組の美希さんが貴史君に告白するつもりだって話しを聞いちゃってさ。それなら先手必勝と思って勇気を出して告白したんだよ。昔から戦いは巧遅より拙速って言うじゃない」
 菜穂美は点滴が刺さっていない方だけでガッツポーズをつくる。
「じゃあ僕たちって初恋同士だったんだ」
「そうなるね。ひょっとしてわたしじゃ不満だった?」
 揶揄じみた声に首を振り、
「凄いよ! 初恋は実らないと言うけど、僕たちは結婚までしてちゃんと実ったじゃないか!」
 自分でも恥ずかしいことを言っているなと思いながら菜穂美の手を握った。
「ううん……実ってないよ」
 帰ってきた言葉は僕の予想に反するものだった。


 菜穂美の言葉にどう反応していいのか分からず、僕は呆けたように手を握り続けた。
「恋が実るってやっぱり言葉通りだと思うんだ」
「言葉通り? どういうこと?」
「実りって次の世代を残すこと。つまり子供を残すことだよ。でも、わたしにはそれができない。ごめんね貴史君」
 握っていた菜穂美の腕から力が抜ける。
「そんなことないだろう。まだ時間はいくらでもあるんだし」
「ううん。自分のことは自分がよく分かるんだ。転移も色々しちゃっているしね、今回の入院でお終い。もう先はないよ。だから子供も産めない」
 菜穂美は視線を落とし声をひそめる。
「で、でも、新しい抗癌剤も使っているし結果なんて分からないじゃないか」
「気休めはいいよ。貴史君だって先生に言われてるでしょ。でも気にしなくってもいいんだよ。わたしも死ぬ覚悟はできてるし、貴史君がいてくれるから怖くないんだ」
「…………」
 どうしてこう言う時に言葉が出てこないんだろう。嘘でもいいから励ます言葉を言わなきゃと思っても舌が張り付いたように動いてくれない。
「残しちゃう貴史君には悪いと思うけど、わたしは後悔してないんだ。病院のベッドで寝ててもね、貴史君と一緒にいられた日々を思い出すだけで辛くも淋しくもないんだよ」
 妙にサバサバとした口調が、菜穂美の辛さを滲ませているように感じられた。
「あっ、でも、本当言うとひとつだけ後悔がある」
「なに?」
 やっと開いた口から絞り出せたのはこんな一言だった。
「後悔と言うよりもわたしの妄想と言った方がいいかな」
 菜穂美は自分のお腹を触り恥ずかしそうに僕を一瞥する。
「もしさぁ、わたしが男で貴史君が女だったら、病気になっても子供を残してあげれたのになぁってね。男は種をまくだけでしょう、一時間もあれば余裕で終わっちゃう。だけど女は十ヶ月だからね……ま、しょうもない妄想だよね」




 面会時間が終わって外に出ると、僅かに夏の匂いがする空気が鼻孔を刺激した。
 この匂いはどこから来るんだ? なんとなく病院から離れたくなかった僕は、匂いの元を探してみようという気持ちになった。
 僕は匂いを追って正面玄関から病院の建物に沿って歩いているうちに前庭にでた。そこには大きな木が──菜穂美の病室から見えたあの木が──青白い外灯の光を浴びて太い幹を天に伸ばしている。よく見れば幾つもの小さい花が葉に隠れるようにして咲いている。
 この小さな花が春の匂いをかき消すように、夏の匂いをさせていたんだ。
 花はいずれ実をつけるだろう。そして菜穂美が決して迎えられない夏の空気を思い切り浴びて育つんだ。だから菜穂美はこの花を見てあんなことを話したのだろうか……病気になって初めて言うグチを。
 他愛もない妄想を金色に輝く夢であるかのように話す菜穂美の顔を思い出し、僕は春の終わりに二人でかいだ空気の匂いを思い出した。
 夏への希望を抱いていた空気の匂いを。


【終わり】
2008-02-17 21:20:50公開 / 作者:甘木
■この作品の著作権は甘木さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ジャンルを恋愛小説にしたけど、本当にこれが恋愛小説なのかなぁと不安に苛まれながらの投稿です。私的には恋愛物だけど……不安です。
恋愛小説って書いているとなんだか身体がむず痒くなってしまうから、いままでなんとなく敬遠していたんですけど苦手分野は克服しなきゃと今回書いてみました。
拙作ですが読んでいただければ幸いです。また、感想や御意見がありましたら書いていただけたら嬉しいです。
この作品に対する感想 - 昇順
 最初に出てくる感想は「甘木さんらしくない」ということでしょう。今まで甘木さんの作品を読ませてもらいましたが、今までの雰囲気とはまったく違いましたね。今回の作品は本当に穏かで安定もしていて、読んでいて落ち着くよう感じがしました。
 内容は言っちゃ失礼ですけどベタですよね。実は終盤まで読みながら焦っていました。まさかこのまま定番の終わり方をするつもりか、と。ただ最後に「後はご想像におまかせします」という感じの終わり方をしてもらって安心しました。そして同時に、想像をめぐらせて悲しくなりました。
「覚悟って何だよ」と嘆く主人公がよかったです。そりゃ愛した人が死ぬかもしれないので覚悟しろなんていわれも出来るわけはありませんから。そこが切に伝わってきました。
 偉そう及び贅沢なことを言わせてもらいますと、もう少し何か欲しかった。物語が短すぎた気がします。すごくいい作品なんですが、物足りなさが残ります。まだ読んでいたかった。ストレートすぎた。
 失礼なことをいってすいません。無視してくださって結構ですよ。では、次回作に期待します。
2008-02-17 22:42:09【☆☆☆☆☆】コーヒーCUP
読ませていただきました。
切ないような、悲しいような。余韻にどっぷりと浸れる作品で良かったと思います。貴史と菜穂美に待っている未来を考えると悲しくなりますが、切なさを演出するということでは、ラストの切り方は良かったと思います。
できれば、こういった内容は短編ではなく長編の中のワンシーンで読みたかったですかね。まぁ僕の我儘でしかないのですが。
あと、貴史の心情面をもっと濃く書いて欲しかったです。死を迎えようといている妻を前にした夫の心情にしては淡々と流されてしまった部分が目立ってしまったように思われます。貴史が何を考えているのかがあやふやになってしまった感がありました。
戯言をすいません。次回作品も期待して待っていますね。
ではでは、
2008-02-17 22:54:56【☆☆☆☆☆】こーんぽたーじゅ
作品を読ませて頂きました。
何というか、優しいタッチの名画の一部分を切り取ったような、そんな印象を受けました。
この二人の今までの事柄を見てみたい。在りし日の日だまりにどんなエピソードがあったのかを追いかけたくてたまりませんよ。
でもそうすると、きっと長くなってバランスが悪くなってしまうのだろうなぁ。少々物足りなさを感じてしまいました。着地点は見事だと思うんですがね。
だんだんエンジンが暖まってきたようで嬉しく思います。次回作に期待しつつ、お待ち申しております。
鋏屋でした。
2008-02-18 19:52:53【☆☆☆☆☆】鋏屋
 一回、感想を書こうとしたら2chの落書きレベルだったのでやめました。植物ってスゴいですね。
 【わたしが男で貴史君が女だったら】から始める台詞部分が甘木さんらしさかな、と思いました。そこ以外は特に思いませんでした。だって、投稿者名がなかったらこれが甘木さんの書いたものだなんて絶対にわからない。本当に書いたの、甘木さん?
2008-02-19 07:45:06【☆☆☆☆☆】模造の冠を被ったお犬さま
えー……良くも悪くもフツーだな、という印象でした。それからお犬さまと同じく投稿者名がなかったら甘木さんが書いたとはわからない(笑)実験的なんだろうけど、それにしたって普通すぎやしないかと思ってしまいましたごめんなさい。妙に薄っぺらいように感じたのですね。だから恋愛小説にも思えないし、かといって何かほかのジャンルが当てはまるかっていったらそうでもないし、涙がこみあげるほど心にぐっとくる何かがあるわけでもないし。
自分でもいつにもまして失礼な感想を書いてるなって思うんですが、なんとなーく自分でその原因は予想ついてるのです。なぜかって、わたしの名前も「菜穂美」だから。わたしもアタマで病院通いをしているから。「菜穂美が死ぬ」、いやなこったい!!と思ったら、もう機嫌を損ねたがきんちょみたいな感想になっちまいました。申し訳ありません(笑)
ついでに「!」(覚悟云々のところ)が一番わざとらしく、薄っぺらく感じました。「!」がないほうが雰囲気でるんじゃないかなあ、と私自信は思ったのですがあくまで一個人の感想でございます。失礼ばっかり書いて申し訳ありませんでしたー!!ではでは。
2008-02-19 12:10:51【☆☆☆☆☆】ゅぇ
 読んで下さった皆様、感想を書いて下さった皆様、本当にありがとうございます。
 これだけ私の駄目な部分を指摘して頂けて、今回も色々な意味で書いた甲斐のある作品でした。

 >コーヒーCUPさん、ありがとうございます。はい。私も私らしくない書き方だと思います。思うところがあって、そのように書いたんですよ。題材も非常にありきたりだと思います。とにかくベタな題材をどうにかして物語にできるかと思って挑戦したかったんです……見事に失敗してますね。すみません。この作品(この書き方)を長く書くことはできません。ちょっと自分の書き方じゃないから辛いんですよ。
 >こーんぽたーじゅさん、ありがとうございます。コーヒーCUPさんにも書いたのですが、この作品を長くすることは不可能です。本音を言うと私が書きたくないです。こんなひねた書き方は辛いです。心情を排したのは私の実験の一つでした。心情を極力排してセリフと動作で情景を描けるだろうかと挑戦してみたんです……変な書き方ですみませんでした。でも自分にはまだそのような書き方ができないことが分かっただけでもよかったと思っています。
 >鋏屋さん、ありがとうございます。分不相応なほどの御言葉をいただいて赤面しています。ワンシーンを切り出せればと思って書いたのですが、同時に心情を極力排するという相容れないような書き方をしたからガタガタなうえ尻切れトンボですよね。猛省しています。
 >模造の冠を被ったお犬さま、ありがとうございます。本人が書いてますよ……私も信じられないけど。私的には2ch的な感想を読んでみたかった気持ちもあります。忌憚ない罵詈雑言も勉強になりますから。模造の冠を被ったお犬さまは凄いなぁ。私が本当に書きたかったのは『わたしが男で貴史君が女だったら』のセリフだけですから。
 >ゅぇさん、ありがとうございます。書いている時どこかで聞いた名前だなぁと思ったらゅぇさんの名前だったんですね。まったく他意はありません。名前を考えている時に浮かんだから使っただけです。しかし、偶然とはいえ他人様を不快にさせてしまったことは詫びなければいけません。本当にすみませんでした。このレスを読んでいただけているか分かりませんが、謝罪の意を込め24時間後(2月20日午後8時45分)に、この作品を削除させていただきます。感想のレスになりますが、故意に感情を削りまくって、わざとらしく一個所だけ強調したらどう反応するか知りたかったので非常に参考になりました。 

 この作品は私にとっては実験的な意味合いが強い作品だったので非常に参考になりました。しかしなかなか自分の思った通りには書けないですね。自分の未熟さを実感しました。
 わざわざ感想を書いて下さった皆様には本当にすまないと思いますが、この作品によって不快感を与えてしまったことを反省し明日(2月20日午後8時45分)、この作品を削除させていただきます。
2008-02-19 20:46:59【☆☆☆☆☆】甘木
 こんばんは、甘木様。上野文です。
 御作を読みました。
 消しちゃうんですね。勿体無い……。
 私自身、非常に実験的な作品との印象を受けました。
 勢いよく筆を振るわれたなあって。
 主人公の理不尽に対する怒りが伝わってきて良かったと思うのですが。
 ただ、恋愛小説として考えると、感情描写を切りすぎたかもしれません。
 二人の結婚からの時間と交流を積み重ねていったら、それは、愛というかけがえのない「実」だと思うのです。
 面白かったです。ではでは、また。 
2008-02-19 22:34:33【☆☆☆☆☆】上野文
おう、まにあった――というような問題じゃないですね。
狸としては、文体もセリフ回しも、甘木様そのものに感じるのですが、なんといいますか……クルツのいないOUR HOUSE? ホームドラマと男女の愛をいっしょにしてはいけないのでしょうが、あちらのほうをクルツという猫を中心に据えたホームドラマとすれば、今回の愛情物語は、本来クルツなみの存在感(いや、そこはかとなくでも、とにかく全体を通して)を見せるべき『名も知れぬ小花たちの木』が、ラストにストンと提示されるだけで、いささか物足りなく。
簡明に淡々と描くにしろ、はやり物語上永遠の定番である『愛と死』は、もう少し煮つめて、いえ、見つめてみたい気がします。
2008-02-19 23:16:22【☆☆☆☆☆】バニラダヌキ
 今のうちにレスしておかなければ……。
 わざわざ感想を書いてくださりありがとうございます。ちょいとハノイの塔の公式を自力で作ってみようと、無い知恵を絞っていたらこんな時間になっていました。
 >上野文さん、ありがとうございます。勿体ないはありがたい御言葉ですが、やはり他人様を不快にさせた作品を晒し続けるのは問題がありますのでキッパリ削除するつもりです。24時間時間をおいたのはレス返しをしたかったので……。自分自身に対する実験という意味では非常に価値があったので満足もしています。『二人の結婚からの時間と交流を積み重ねていったら、それは、愛というかけがえのない「実」だと思うのです』は深い言葉だなぁ。この作品では「実」を短絡的に捉えましたが、実際はきっと子供ができなくても大きな実りがあるのでしょうね。
 >バニラダヌキさん、ありがとうございます。コメントを読んで上手い表現だなぁと素直に感心してしまいました。この2作ほど感情を極力排してみたい(感情ばかりが目立つ携帯小説の逆を書いてみたい)という思いに囚われ書いてみたのですが、なんとも上手くいかず、逆に清々しています。携帯小説のようなものを書きたいわけではないですが、やはりもっと心情を生かせる物を書いていこうと思っています。

 改めて。読んで下さってありがとうございます。作品は削除しますが皆様からいただいた感想はしっかり保存させていただきます。本当に勉強になりました。
 こんどはもっとマシな物を書こうと誓っております。
2008-02-20 00:08:02【☆☆☆☆☆】甘木
甘木さま。初めまして。
高校生同士の恋愛かと思いきや、病院の話でびっくりしました。
「恋」愛じゃなくて、愛の話だったと思います(むず痒い表現でごめんなさい)。
個人的な考えですが、想いが通じ合うまでの感情が恋で、通じ合えば愛だと思うのです。だから、二人の恋は実ったんじゃないかなとか。愛だって、子供という形ではないけど、そこにあったんじゃないかなぁとか思ってみたりして。
命の表現は、木との対比が印象的でした。
つまらない感想でごめんなさい。
消してしまわれるということだったので、その前に一言だけ、面白かったという意思表示をしたかっただけなんです。
それでは、失礼致します。
2008-02-20 01:12:55【☆☆☆☆☆】渡瀬カイリ
 昨日の今日でなんとも面目もないのですが、ゅぇさんがこの作品を削除する必要はないと優しい御言葉を下さいました。もうご厚意に甘えまして前日の「24時間後に削除する」と言った言葉を取り消させていただきます。ああ、朝令暮改だなぁ。

 >渡瀬カイリさん、ありがとうございます。「想いが通じ合うまでの感情が恋で、通じ合えば愛」の言葉、うなずいて読んでいました。いままで「恋」と「愛」を同列で考えていたんですが、状況の変化を表す言葉だったんですね。納得です。話変わって、私は木って永遠の生命的なイメージを持っているんです。だから儚い命との対比に使ってみました。分かってくれる人がいて嬉しいです。わざわざ感想を書いてくださってありがとうございます。

 昨日からガタガタさせてしまい済みませんでした。削除を楽しみにしている方がいたら期待に添えなくて済みませんでした。皆様のご厚意により削除せず掲載を続けさせていただきます。
2008-02-20 20:46:49【☆☆☆☆☆】甘木
読ませていただきました。普遍的なものを主に扱ったものなだけに、もう少し読後に衝撃を受けたかったです。衝撃というと違うか、なんというか、何かをしなくてはならないような、何かをしたくなるような、そういうものを与えてもらえないと、溢れかえったテーマなだけに、あまり良いものだと思えないのだと思います。甘木さんのやりたいことを自分なりに愚考しても、分量的に若干厳しいかもと思いました。失礼します。
2008-02-23 19:17:36【☆☆☆☆☆】メイルマン
 >メイルマンさん、ありがとうございます。自分でも馬鹿な制約をかけて書いたもんだ反省しています。この手法で書くには私の技量は足り無すぎました。もっと長くエピソードを織り交ぜながら書けば違った感じになったかもしれませんが……いや、この書き方だと何枚原稿用紙を費やしてもものにならなかったかな。でも、私的には色々な問題点が浮き彫りになったので収穫のあった作品でした。改めて読んで感想を書いてくださったことに感謝致します。
2008-02-24 22:20:41【☆☆☆☆☆】甘木
拝読しました。嫌いじゃありません。ただ、非常に物足りない印象を受けました。面白かったのにー……。幸福が途中でぷっつり途切れるシチュエーションは切なくて本当に好きなんですよ。それから淡々とした日常風景的なものも。総括すると結構良かったです。無難な感想で申し訳ありませんが、これにて。
2008-02-26 07:55:02【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
はじめまして。
淡々としているのに優しい雰囲気の文章だと思いました。でもするっと終わりすぎて、皆さん仰っていますがなんだか物足りない気がします。余計なものをギリギリまで省いたものだとは思うのですが、なぜ菜穂美が貴史を好きになったのかはエピソードがあると良かったです。個人的に。それかもっと最初の説明も簡潔にしてしまうか……でも、難しいところですね。
上手く言えなくてすみません。失礼しました。
2008-02-27 23:36:10【☆☆☆☆☆】忍足 推
 >水芭蕉猫さん、ありがとうございます。やはりある程度過去の事象を書かないと二人の結びつき(愛情)は伝えられませんよね。自分自身に変に制約をかけて書いたのは失敗だったです。日常のワンシーンを鮮明に書くといういうのは難しいです。
 >忍足推さん、ありがとうございます。優しい雰囲気との御言葉嬉しかったです。心情をなるべく書かず雰囲気をを伝えられたらなぁ、と思っていたので少しだけほっとしています。冒頭の説明文は長すぎましたね。やはりエピソードを織り交ぜて書いた方が本編の雰囲気をさらに醸し出せたでしょうね。反省材料です。

 わざわざ読んで下さり、感想まで書いてくださり本当にありがとうございます。
2008-02-29 07:30:31【☆☆☆☆☆】甘木
こんにちは。
ずいぶん遅い感想になってしまいました。この作品が投稿されたばかりの時に一度読ませていただき、本日もう一度読み返したところです。悲しいお話なのですが、やはり主人公の思いが書かれていない分それが半減されてしまっているのかなあと、そんな風に感じました。主人公の感情描写がほとんど無いのは、何となく甘木さんの照れ隠しのような気がするのですが、最後にぽつりと主人公が『悲しい』と言うような内容をほのめかす事で、彼女も救われるような気がしました。
他の方のレス返しにありましたが、『もしさぁ、わたしが男で貴史君が女だったら〜』のくだりを書きたいが為の作品なんだなあと、実際思いました。なので、そのくだりに共感、もしくは反感等を覚えた読者にしか印象を植え付けられないのだと思います。
ずいぶん遅い感想で、しかも言いたい放題で本当に申し訳ありません。
甘木さんの次回作、心待ちにしております。
2008-03-01 11:35:14【☆☆☆☆☆】オレンジ
 >オレンジさん、ありがとうございます。心情を排して書くというのは難しいです。おまけになんのメリットもない(苦笑。やはりこのぐらいの長さの作品ならば感情をもっと押し出してメリハリを付けないといけませんでしたね。確かにベタベタとした心情を綴ることに抵抗はありましたが、やりすぎて無意味なものになってしまいましたよ。『わたしが男で〜』のセリフから作り上げた作品ですから、オレンジさんの指摘通りだと思います。このセリフを生かすためには彼女の未練をもっと描くべきでした。いえ、いえ、率直な御意見は大変参考になります。わざわざ感想を書いてくださってありがとうございます。

読んで下さった皆様ありがとうございました。
2008-03-02 22:38:24【☆☆☆☆☆】甘木
 お久しぶりでございます。ミノタウロスです。遅すぎる感想で申し訳ありませんが、書かせて頂きます。
 甘木様が描く恋愛とは如何なるものかとかなり興味深く読ませて頂きました。それと同時に読んでいてくすぐったくて堪らない……と何度もニヤついてました。
 中盤まで読み進めた頃、このベタなストーリーで何を表現なさろうとしてるのかがよめず、徐々に違和感が強くなっていました。
 最終的に主人公が夏の匂いに想いをのせる表現がよい印象でしたが、それ以上に感じるものがありませんでした。なにやら実験的な書き物であったようなので、仕方ないかもしれませんが……。もしまた恋愛ものに挑戦なさるなら淡々としたものでなく、もっとのめり込むような作品を期待しております。
 では、またお目にかかる時まで。
2008-03-07 14:20:47【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
 >ミノタウロスさん、ありがとうございます。感情を極力排除したらどうなるか、などという無謀な試みがこれです。ベタな題材で挑戦しましたが……見事に散りました(笑。それでも皆さんから感想や意見をいただけて色々参考になった作品で、書いた甲斐がありました。匂いって記憶を蘇らせる効果がありますよね。それを題材に使ってみたかったんですよ。いやぁ恋愛ものは苦手だから当分は手を出さないかな(笑。でも、何かの拍子でまた恋愛ものを書き出したりして……。ともかく、この作品のような感情を排除するような書き方はやめ、普通の書き方に戻ろうと決心しました。また、お目にかかれる日を楽しみにしています。
2008-03-15 10:47:10【☆☆☆☆☆】甘木
どうもお久しぶりです。恋愛ものは自分も苦手でして、甘木様のむずがゆくなるところわかる気がいたします。久しぶりに読んだ甘木様の作品としましては、少々中途半端な気がしましたが、それはたぶん題材が難しいせいでもあるのでしょう。やっぱり「死」っていうのは扱いにくいですもん。言葉が軽く感じられたのですよね。
さて、短い作品だったので時間のない今の自分でも読むことができてそれに満足しています(笑) 今度は時間がたっぷりあるときに他の甘木様の(以外のかたがたのも)作品を読ませていただきます。ではでは。
2008-06-19 22:06:53【☆☆☆☆☆】影舞踊
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。