『ニートの恋物語 【読みきり版】』作者:高橋――@ / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
青空のように君は輝いて、太陽のように君は暖かくて。僕みたいなどぶ猫は、僕みたいな野良犬は、決して関わり等できない。運命が本当にあるならば、君と関われる運命がほしい。偶然が本当にあるならば、君と関われる偶然がほしい。“ニートとお嬢様のストーリー”
全角3680文字
容量7360 bytes
原稿用紙約9.2枚
僕には、彼女がいる。しかし、それは空想のもので、理想のもの。
片想いなら今まで何回でもしてきた。それとは別に空想も広がっていった。
しかし、その想いを失ったとき、広がった空想はまたたくまに絶望と変わりゆき、自分のコンプレックスにかわり
それがストレスとなり、そして悪意をもつ。そんなルートをいつまでも辿り、中学卒業とともに、僕はニートになった。
 ニート=きもい。この方程式は間違っている。なぜならば、きもいからニートになったわけではなく、
“きもいから”という理由でいじめられ、人を信用できなくなり、ニートになるのだ。もし、きもいというだけならば
そこらへんに誰でもいる。しかし、ニートか?といえばニートではない。つまり、ニート=いじめ。この方程式のほうが
正しいのではないだろか。
 でも、僕の場合、いじめもうけることもなくて、友達もいて、自分の意見を言えて、積極的に行動ができて。
でも、ニートになった。もし、僕の方程式をつくるなら、ニート=恐怖。
 今までのようなルートを辿りゆけば、僕はいつか人間として行動をできなくなるのではないか。と“恐怖”が芽生えたのだ。
恐怖を覚えた人間は、なんらかの“処置”を行わないと心は安定しなくなる。
そして、僕が自ら行った“処置”
          それが、“ニート”なのだ。
人間と関わらず、自分の世界をつくり、安全を手にした。僕の方程式は、誰に言っても間違いであろう。
しかし、僕にとってこの方程式は大正解なのである。



 はや、ニートになり、3ヶ月になる。4畳半という部屋にこもって、テレビやゲーム、パソコンや時々ラジオを聴いて過ごしていた。
しかし、1ヶ月前から僕の日常を狂わす“存在”があらわれたのだ。それは、平日7:30前後に僕の家の前を通る彼女だ。
 その存在に気づいたのは、部屋に1つだけある小窓から変わらぬ風景を見つめていた時だった。そこからは、僕のような
存在には相応しくもない一面に広がる花畑がある。しかし、そこを見つめていると、なぜか自然と心がさっぱりした
その時だ。彼女を見たのは……一目惚れだ。しかし、それは今までのような片想いの感覚ではなく、言葉に表せない不思議な…
そんな感じだった。その日から、僕は、花ではなく、彼女を眺める日々が続いた。制服からして、桜ヶ丘高校の子であった。
 桜ヶ丘といえば、ここでは名門校のお嬢様学校だ。ニートの僕がお嬢様に恋か…ふっ。自分でも笑える話だ。
今の僕には、広がる空想を抑えることが出来た。“諦め…断念…”そんな心のダムで。
しかし、一週間前のこと、心のダムが崩壊した。平日の事だった。彼女はいつものように、友達の子と話しながら僕の家の前を
通った。そう、今でも鮮明に覚えている。彼女と目が合ったことを。一瞬いや、僕としてはそれ以上に早かった。
 しかし、忘れることはできない。あの目とあの顔とあの髪型と。横顔だけしか知らなかったのに、正面をみただけで
ぐっと親近感がわいた気がした。それから、僕は彼女をことを見にくくなった。なぜ?その質問に回答するのは簡単だ。
また、目が合ったとき、彼女はどう思うだろうか?予想はつくだろう。 
 それから、僕は彼女の後姿だけを見た。他人からすればきもいであろうが、僕にとって純粋な恋なのだ。

 しばらくの月日が流れたある日、今まで彼女と呼んでいたのに、展開をむかえた。毎日を一緒に登校する子が珍しく
いない。っと思った時彼女の後ろからその子が走ってくる。その時かすかに「美由紀〜」確かにその子はそう言っていた。
彼女の名前は美由紀。僕の恋(片想い)は進展をむかえたのだ。
 美由紀ちゃん。勝手だが僕はそう呼ぶようにした。そんな名前を知る進展まで、もう季節は冬になっていた。
その頃から再び僕は横顔を見ることにした。あの目が合って以来何ヶ月も経つ。彼女も忘れていることだろう。

 一方で僕はブログを始めていた。
「ニートのプライド」。ネット仲間のニート達との雑談場といったほうがよいだろう。
あくる日に、僕は彼らに美由紀ちゃんのことについて話した。それに対しての発言がこうだ。

「恋はいかんぞ!恋は!俺達ニートが恋をしてもかなわない恋におわるだけだ by ガビョウ」
「↑に同じ。万が一の可能性もないべ by ナルシーニート」
「さらに↑に同じ。 by 整形したいけど金がない俺」
「恋は別にしてもいいと思うけど、それを早めに諦めたほうが後のショックがかるいよ。 by ピクミン」
「ハァハァ 美由紀タン萌えー」
 などなど、まあ、否定多数だった。

 ニートとは、意外と親しみやすいものだ。ネットだからというわけではなく、同じ“種族”として。
だが、ネットという形にもいいものがある。ネットは自分の理想像へ限りなく近いものになる。空想が多いニートは
それは、便利なものだ。
 
 春が来た。実りの春。そう、展開は大きく…変わる……。


いつもの時間、僕は小窓から美由紀ちゃんを待った。
8時を回った。彼女に限って休み? 妙な違和感が僕の心の中に蠢いてた。
そわそわとさせる“なにか”が僕を駆け回った。心臓の音がいつになく聞こえる。時計の針の音が心臓の音を追い立てる。
まるで、僕を突き動かすように……。


 もう、一年もこのドアに触れていない。取っ手に手をやると、なんともいえない、言葉ならない気持ちがこみ上げてきた。
“ガチャ”ゆっくりと、ドアを開けた。目の前の廊下は変わらない。できればゆっくりと家の中を見たかった。
でも、そんな感じじゃなかった。ただただ、“なにか”に突き動かされるまま、玄関にむかった。
玄関を見た時、僕は驚いた。そこには、僕が高校に行くためにかった靴がきれいに置かれていたのだ。ほこりもかぶることもなく
まるで、僕をまっていたかのように……涙があふれた。でも、僕は玄関をあけた。
 ここでは止まれない。なぜか心の中にその言葉があった。
いつも美由紀ちゃんを眺めていた窓。見る側から見られる側にきたのだ。僕は走った。美由紀ちゃんが来る方向へ。
道は変わっていなかった。1つも。
 一年も走っていないと、すぐ疲れた。でも立ち止まることはしなかった。ただひたすら前に進んだ。


“美由紀ちゃん!!!”
目の前に、確かに美由紀ちゃんはいた。しかし、それは、窓から見ていた彼女でもなく、目の前で見た彼女でもなく、
寝そべった彼女であった。しかし、寝そべっていただけなら、どうってことない。
 彼女の額から血はあふれ、どう考えても不自然な手があった。足があった。
まるで、糸の切られた操り人形のような彼女。

 “!!!!”
 僕は今何を考えていた!?その瞬間、状況すべてが僕の脳に流れ込んだ。
周りを見渡した。人気のない通り道。周りは田んぼで……
 悩んでる暇はなかった。人間のいざというものは限りなく強いもので、走れないはずの僕しかし、僕は走れた。
前に一台の車が。僕は飛び出した。悩む?そんなことはしない。いやできなかった。
                 声?そんなものはださない。いやでなかった。

 僕は、ひたすらに、手を上げて車を待ち構えた。タイヤと道路の摩擦によりだされる甲高い音とクラクションが
限りなく広い田んぼの中に響き渡っていった。 
 車が、僕の目の前にある。それが認識できたことは生きている実感をくれた。しかし、そんな実感などどうでもよかった。
ひたすらに、運転手に状況を説明した。その時は必死で、運転手の顔さえ男性が女性さえわからなかった。

―――。桜ヶ丘中央病院。集中治療室。
 彼女は一命をとりとめた。もし、僕があの車をとめなかったら、彼女は出血多量で死んでいたらしい。
一旦は責任者として、僕は病院にいたが、
彼女のお父さんとお母さんが来る前に、僕は、病院をあとにした。
なぜ?その質問に回答するのは簡単だ。


 僕は、彼女を愛している。ただそれだけ。彼女が僕を愛してくれなくたっていい。
これは、僕の空想で、理想のもの。
 
 
 


  僕はニートで、彼女はお嬢様。決して恋愛などできない関係で。
  僕はニートで、彼女はお嬢様。僕が片想いというだけの関係で。




彼女、美由紀ちゃんにあってから、2度目の春がきた。

僕はいつもの時間に小窓へ行って。

彼女は今日もきれいな横顔で。 

僕は彼女を見ているだけで。

彼女は僕を知らぬまま。

僕は彼女を愛してて。


 片想いでもいい。彼女を……美由紀ちゃんを、いつまでも小窓というちっぽけな心の鏡で見守って生きたい。




2007-11-21 14:24:08公開 / 作者:高橋――@
■この作品の著作権は高橋――@さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 長編っぽくなってしまいましたが、投稿させていただきます。
内容等が不十分点が多々あるかと思いますが、一旦はこれで。

 アドバイス等の感想お願いいたします。
この作品に対する感想 - 昇順
個性があって良いと思います。でも読みづらかったです。なんていうか、ニートにする必要がなかった気がします。引き篭もりで良いんじゃないでしょうか。引き篭もりの恋の方がしっくりきました。
2007-11-21 18:47:36【☆☆☆☆☆】猫舌ソーセージ
猫舌さま。
 毎度ながらコメントありがとうございました。引き篭もりに関しては、わたしながら
どちらにするか考えた上でニートにしたので、そこはご了承お願いいたします。
2007-11-22 20:28:43【☆☆☆☆☆】高橋――@
読み易さ、という点では大きくマイナスがあると思います。不自然な位置での改行、字下げの曖昧さなど、読み易さに対する配慮が欠けているように思いました。しかし反面、主人公の純粋な性質、熱情というものがどこか詩的な印象の文章によってうまく表現されているとも感じました。これは読み手によってかなり好みの分かれる文章の使い方ですから、否定的な感想を述べられる方も相当多いと思いますが、もう一歩味わいを深めたなら、より面白みが増すでしょう。美由紀という人物をもっと的確に表現することが出来たなら、作品の格が更に高まるかもしれません。今後のご活躍に期待させて頂きます。
2007-11-23 07:41:18【☆☆☆☆☆】夏梅 乃楽
作品を読ませていただきました。美由紀に対する想いは面白いですが、その想いが空回りしている様子をもっと強めても面白かったと思います。また、読美由紀のイメージが浮かびづらく、読者が主人公に同期しづらかったかな。主人公がニートである理由付けがちょっと弱かった感じがしました。ニートと言うよりは引き籠もりという感じでした。では、次回作品を期待しています。
2007-11-25 10:57:00【☆☆☆☆☆】甘木
初めまして。作品を読ませていただきました。

いきなり批判を書くようで気がとがめますが……。“ニート=脱力”というイメージがある私にとって、主人公の生活は少し引っかかりました。知り合いのニートが、飲み会に積極的に話しかけたり、いっぱい出かけてるんで。ただ、働く意志は無さそうってだけで、やる気のない大学生に似ていると思います。もちろん、冒頭部分に“ニート=恐怖”という主人公の方程式が書いてあるので、“ああ、そう考える人なんだ”と納得できますが。

話の流れや文章全体は、個人的に好きでした。ただ、美由紀ちゃんが倒れたあたりから、文章が荒っぽくなった気がします。恐らく、書きたいことがありすぎて急いで書いたのだと思いますが。それならば、一日あけて修正してから投稿する方法もありだと思います。
結末が……個人的には物足りなかったです。倒れていた娘を助けてくれた。それだけで、救急隊員や母親からお礼の言葉はあったはずです。また、美由紀ちゃんと少しでも近づけたんだから、それをネット仲間に報告するという展開があっても面白いと思います。その後、美由紀ちゃんと上手くいかなかったとしても、“あの時の母親の一言が嬉しかった”“ネット仲間からの励ましがあって良かった”という結びつきも有りではないかと……。

まとめると、個人的には「ヒーローぶっちゃってもうー。人間はそんなに綺麗なもんじゃないよ」って感じです。
長々だらだらと大口をたたいてすみません。ただ、ここまで書いてしまったのは、この作品が気に入ってしまったからです。
2007-12-15 00:15:29【☆☆☆☆☆】目黒小夜子
計:0点
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