『魂ぞ散りける』作者:みーな / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
それは、蝶のように、自由だった。
全角6999文字
容量13998 bytes
原稿用紙約17.5枚
 その日、僕は、聖が蝶になるのを見た。


 蝶になった聖の羽は美しかった。世界中のどの薔薇より真っ赤で、繊細な輝きを放っている。きめ細やかで、艶があって……粘り気もあった。
 その日、僕は、聖が蝶になりたいと言っていたことを思い出した。
 私はね、敏。そんなふうに彼女は僕に話をふっていた。
「私はね、敏。今でこそ、蝶が好きだ好きだって毎日のように言ってるけど、本当はすっごく小さい頃から蝶が好きだったの。紋白蝶も、アゲハ蝶も好きよ。かわいいでしょ? 私は蝶の、自由なところが好きなの。そして憧れるの。いつも、これからも、蝶になりたいって思い続けるわ」
 聖は笑っていた。どこまでも深い、深淵の、誰も知らないところで。テレビのドッグフードのCMで、大きな柴犬と遊んでいるツインテールの幼い少女を思い出した。広い、セントラル・パークのような芝生豊かな公園で、柴犬と一緒にスローモーションで走っている女の子。ワンちゃんの毎日の健康に、などといううたい文句が女性の声で流れる、そして同時にカメラに向かってにっこり微笑み、柴犬にしがみつく女の子の笑顔が、どこまでも聖に似ていた。かるいステップを踏む聖のヒールが、とんでもなく高い音をたてて、僕の耳をくすぐった記憶だけが鮮明。掻き混ぜられる、その音。
 口角をひき上げて、歯を見せてにっこり笑う彼女の姿は美しかった。ならびの良い彼女の歯は美しく、手入れがゆきとどいていた。それは、蝶の中でも、あるいはアゲハ蝶にもっとも近くて、艶めいた感じがした。
 ねえ、私の中に、蝶がいるのを感じることが出来る? 聖はときたま、そういう謎めいたことを僕にたずねた。僕はそのたび、首をかしげた。蝶が私の細部にやどっているのよ。
「私は蛹から蝶になって生まれたいの。蛹を見たことがある? 敏」
 ああ、小さいころ、何度かね。
「蛹から蝶が羽化する瞬間は?」
 いや、それはビデオでしか見たことがないな。
「蝶が蛹を破って外の世界にとびだす瞬間は美しいのよ、敏。蝶の赤ちゃん、つまり幼虫はね、大人の蝶になるための準備として、一生懸命糸をはいて躯を包むの。立派な蝶になるために、蛹になって外界の敵からの攻撃をふせいでいるの。まるで人間みたいね。自分が成長するために、傷つかないように、防護しているのよ。成長してしまえば、命はみじかいというのにね」
 私はまだまだ、蛹のままかもしれないわ。最後に聖は笑ってそう言った。
 聖は蝶になりたかったんだとおもう。今になってそう感じる。聖はそういう女の子だ。妄想や空想の中でリアリティを掘り出そうとする、虚無的な、あるいは絶望すら感じられる、躯全体がすきとおっているような子だった。
 授業が始まると、聖はきまって左手で頬杖をつき、右手でノートの端に蝶の絵をたくさん、たくさん描いていた。大きい羽を二枚、小さい羽を二枚、胴と触覚だけの、本当に簡単な絵だ。それに聖は乱雑に、カラフルなカラーペンで色づけをし、ノートを鮮やかにかざるのだった。彼女は本当に蝶が好きで、身のまわりには蝶をモチーフにした雑貨やアクセサリーが多く、携帯電話は蝶のストラップやシールまみれになっている。
 一緒に帰っていて、道端の花とたわむれる紋白蝶を一匹みつけようものなら、甲高い声をあげて駆けより、しゃがみこんでじっとみつめていた。その様子が妙にかわいらしくて、僕はそれを後ろで立ってながめていた。とてもきれいな笑顔だったことは記憶にあたらしい。その後ろすがたは無邪気で、年齢に相応する雰囲気をいくつか欠いて、存外に美しく艶かしい瞳で蝶の遊ぶさまを微笑みをたたえてながめているのだった。ほうっておくと聖は何時間でも蝶をみつめているので、キリのいいところで僕は彼女の手を引っぱってもとの下校ルートに意識を戻す。それでも彼女は何度かふり返り、花のまわりを飛びまわる蝶をみているのだった。
 僕たちは割合はやい時期から付き合っていて、それは何も変わったところのない一般的すぎるほどに普通の付き合いだった。女の子はみんな、少女漫画のような恋愛に憧れている、とはよく聞くが、しかし、聖はまるで蝶に恋をしているような子だった。去年の僕の誕生日のとき、彼女からプレゼントとして蝶のシックな柄がはいった眼鏡ケースをもらった。僕はときどき伊達眼鏡をかけるので、ガラスレンズに傷をつけないようにとのことらしい。それが付き合いはじめてから二ヶ月ほどの出来事だったので、ああこの子はよっぽど蝶が好きなんだな、程度の感想ひとつだけだったが、しかし聖の持ちものを見ればいかに彼女が蝶を溺愛し、その魅力にひかれているかが一目瞭然だ。
 だから、下校中、蝶をみかけたら目の色を変えて追いかけるのも、かわいいな、としか見ていなかった。
 それ以外に、何も思わなかった。
 聖は本当に、蝶に憧れていたのだ。
 耳をすませて、敏。聖は一度、道端の花の蜜を吸う紋白蝶を指さしてそう言ったことがある。敏には聞こえる? 蝶の羽音が。本当に小さなものよ。虫の羽音ははっきり聞こえるときがあるけど、蝶の羽音はなかなか聞きとりづらいのよ。薄くて、ちいさい羽だからかしら? でも、私には少しだけ聞こえるの。蝶が一生懸命飛ぶときの羽音が。ねえ、敏にも聞こえる? 僕は首をふった。紋白蝶の羽音はあまりに小さすぎる。聖、君には分かるんだね、蝶が飛ぶときの音が。聖はにっこり笑っていた。美しい笑顔だった。
「誰も耳をすませてみようとも思わないからよ。蛹から飛び出した蝶の羽音が聞こえないのは」
 きれいに手入れされた唇から伝えられたその言葉は、単に蝶が好きな女の子の戯言というよりも、もっと深い意味で、ともすれば世俗のシンプルなかんがえかたを一掃してしまえるような、当時の僕には理解しがたい言葉だった。彼女は本当に何度も言っていた。私には、蝶の羽音が聞こえるの。
「私もいつか、羽音をたてて、蝶のように空を飛びたいの」
 僕は今でも、何もおもわない。


 聖の家庭は複雑だった。父親は滅多に家に帰らないらしい。もうかれこれ二ヶ月以上はすがたを見ていないと聖は語る。共働きで、母は毎朝家から出勤し夕方に帰ってくるらしいが、父は分からない。真面目に会社に行っているのかどうかも不明だ。どこか別の女のところにいる、と彼女の母がヒステリーをおこすまでにそれほど時間は必要なかった。
「離婚の話もだいたいのぼってきてるわ。私のいないときに、お父さん、家に帰ってくることがあるらしいけど、そのたび喧嘩してるっていうのは部屋の散らかりようとか、テーブルから落ちた雑誌とか、倒れた置きものとか、そういうので分かるの。仲がわるいのね、うちの両親」
 付き合って間もないころ、学校の屋上で初めてそのことを話してくれたとき、聖はつとめて平然としていた。まるで高卒ドラフトで入団してきた新人の野球選手がやるしれっとしたヒーローインタビューのような、十代らしい、何ごとにも感銘を受けない、こましゃくれた表情というより、はじめから自分とは関連性を断絶している、全力をもっての拒絶に近かった。お茶の間で、テレビのむこうのニュースについてぼそっと文句をもらすような感じだった。屋上でならんで床に座っていながら、聖の目ははるか遠くの景色を写し、あるいは空を、フェンスを、屋上にかざられた花の鉢植えを写していた。
 ……聖は、寂しくないのかい?
「寂しいなんて大それたものじゃないって。父娘だからね、昔から私とお父さんも特別仲がいいわけじゃなかったわ。私が学校に行く直前に出勤して、眠る直前に帰ってくるような人だから。日曜日には部屋で惰眠をむさぼるお父さんのすがたをみてきた。格別愛情もなかったわ。ただ遺伝子をわけあった人、それだけの話。あの人が父親らしいことをしているところ、みたことないしね」
 お母さんは?
「毎日のように被害妄想にかられてるわ。他の、私の知らない女と寝たんだわ、ってね。実際そうなんだろうけど。最初のころは、ごめんねごめんねって私に何度も謝ってたけど、お父さんが帰ってくる日が減るにつれて、だんだん感情的になって、腹いせに私を殴るの。平手だったり、何かのカタログ雑誌だったり、料理のお玉だったりね。その動機はほとんどの場合において、つまらないことばかり」
 そうね、いつだったか、お母さんは台所にたって、私と自分と、帰ってくるかどうかわからないお父さんの、三人分のシチューを作っていたの。私はお風呂を掃除しおわって、ほっとしてテレビを見ていたの。ただのお笑い番組よ。芸人が画面に出てコントをするんだけど、客席の笑い声が聞こえるたび、同時に背後からもお母さんの舌打ちが聞こえてきていたわ。妙に緊迫感がつよくてね。どうしても私は、壊れかけた家庭でもできるうるかぎり平然とした娘をよそおっていたかったから、ここで中途半端にテレビを消して二階にあがるのは不自然だろうと思って、コマーシャルに入ったところを狙って「あぁ、つまんないの」って言ってテレビを消したの。そうしたら、お母さんが台所から、ものすごい怒気で、つまらないのなら最初から見るんじゃない! って喚いたの。ついさっきまで二人とも黙ってて、テレビの音しか聞こえなかった空間に、いきなり声がひっくりかえるような嬌声がひびいて、私はガラスでも割れたみたいに驚いた。お母さんは、シチューの鍋に突っ込んでいたお玉を取って、私のところに大またで歩いてきた。お玉からはまだシチューがぽたぽたたれてきてるのに、全然きにしないで。お母さんは、テレビばっかり見るからこんな頭の悪い子に育ったのよ、って根拠のないことばかり喚きちらして、シチューがしたたるお玉で何度も何度も私を殴ったの。あんたさえいなければ、あの人とのこんなくだらない問題、とっとと解決できたのに、邪魔なのよ、あんたが邪魔になって、すんなり終わってくれないのよ、ってね。床にへたりこんで、両手で顔をおおっても、お母さんは殴り続けたわ。泣きながら、腹が立ったけど、ごめんなさいごめんなさいって叫んだのに、お母さんはやめなかった。骨とぶつかってすごいステンレスの音がして、このままだと重症を負う、って思って抵抗したかった。でもそれはできなかったの。暴力や抵抗じゃ何もつたわらないから、もう一度お母さんときちんと面むかって、言葉で話しあおうと思ったの。でも、無理だった。不安や妄想にかられて自暴自棄になる人間ほど、正しい論理や説得が自分への悪意のように聞こえるのよ。
 ……だったらとにかく力で抵抗すればいい。僕は本当に何度も提案したが、そのたび聖は首をふった。暴力が導く解決は迷妄のむこうよ、女の脳の構造って難しいからね、全体的にとらえるのが女なのかな? どちらにしろ、ヒスを起こした熟女に論理や世間様の定義はつうじないわよ、長いこと主婦だし。
 そのときの聖の表情は、蝶をみかけたときのような明るいものではなく、どこかしら、母親に同情しているような、あるいは自分の運の悪さに辟易しているような、寂しげな笑顔だった。もしかしたら僕を見そこなっていたのかも知れない。それでも聖は笑顔だった。聖がリアルとディルーションの境界線を見失ったのは、この日からかもしれない。追い求めるものがおおい。
 僕は聖と一緒に学校の屋上で話したことを忘れない。一生忘れない、言葉がある。触手のように僕の脳髄にからみついて、僕が死骸になって火葬されるまで決してその命を絶やすことのない言葉。
 ――私は大学に進学したら、一人暮らしをするわ。別にお母さんを見捨てたわけじゃない。というか、私のいない状況をつくってあげたいの。依存しまくって固執した心は、一旦ぬくもりから離れることによって自立するのよ。私だってそう。このままじゃいつまでも、お母さんの元から離れられなくなる。自由っていうのは、悲しいけれど、やっぱりどうしようもなく魅力的でかがやいているものだからね。
「だから蝶は蛹から出たがるのよ。自分が完全体になったと判断したころあいをみはからって、これまで自分を守っていた蛹を突き破って、幼虫のころから憧れていた空にはばたくの。そして悲しいことに、自由になった蝶は人の憧れの的になって、ピンで串刺しにされて標本にされ、自由を求める人々の見世物になるの。でも、標本はもう死んだ蝶なの。飛んでないの。だから、標本を楽しそうに見ている人たちには、あの崇高な羽音も聞こえない。ねえ、敏、聞こえる? 花から花へと飛びまわる蝶の羽音が、聞こえる?」


 心理学で蝶は「自由」を象徴するらしい。あまりに単純すぎて馬鹿馬鹿しいと思っていたが、聖と出会って以来、かんがえが一新された。真実かもしれない。単純なところに真実はある。複雑に絡みあっているものは、嘘で何度も塗り固められた証拠だ。
 蛹から蝶になるその姿は「自由」なのだろうか。ほんの僅かな時間で命尽きてしまうそれは「自由」と呼べるのか。いやしかし、これまで身を守り大人になる準備をしてきた蛹から、空を目指してはばたける蝶に成長するということは、ある種の自由か、もしくは精神の解放、そういった呼称がよく似あうのかもしれない。
 聖はそれよりもどこか神聖で、気高いいきもののような気がした。
 ほんの一瞬の自由に酔いしれている。
 僕には何もわからなかった。だから聖には何もいわなかったし、どういう言葉をかければいいのか僕には検討もつかなかった。僕に「自由」は理解できない。僕には、きっと、いつまでたっても、蝶の羽音が聞こえない。
 聖はまた、学校帰りに蝶を見つけては言っていた。
「ねえ、敏。蝶ってすごくかわいいね。花から花へ、小さな羽根で飛び回って、蝶よりも美しい昆虫はいないわ。これが一応、虫なのよ。信じられる? 蝶はこんなにきれいなのに、まるで色彩を飛び散らかすようにきれいなのに、どうして気持ち悪い虫と一緒にされるんでしょうね。ばかみたい」
 聖は頬をふくらませて怒っていた。彼女は蝶は好きだが、芋虫は嫌いだというから面白い。どうしてきれいな蝶が虫に分類されるのかという質問に対し、僕は適当に、何もおもわず、気持ち悪いもののなかにきれいなものだってあるんだよ、と答えると、聖の目の色が変わった。
「そうよね」彼女はため息をついた。「本当にきれいな魂は、汚れたもののなかに埋もれていると思うのよ。誰にも気づかれないまま」
 そして、自由を手に入れようともがいてるの。
 そう言い残して、聖は身をひるがえし、いつもの下校ルートをスキップで帰っていった。僕はそのあとを追いかけながら、なんとなく「西部戦線異状なし」を思い出した。
 蝶を追いかけたら、壊れるんだ、きっと。
 自由ってそういうものかもしれない。



 その日、僕は、聖が蝶になるのを見た。



 ビルとビルの間にある数メートル幅の隙間に、聖はいた。制服を着たまま、靴だけがなくて、うわ向きで、口も目もしっかり閉じたまま倒れていた。服を着ているのでわからないが、おそらくは内臓も衝撃のあまりに破裂し、骨が砕けて悲惨なありさまになっているのだろう。仰向けで死んでいる聖の背中と接する地面には、真っ赤な血がビルの壁にかかるほど飛び散っていた。その血の飛び散りかたはさながら翼か、あるいは――蝶の羽根に似ている。
 おそらくはどちらかのビルの屋上から飛び降りたのだと思う。誰にもしられず、誰にも気づかれず。人目につかない裏路地で、聖はひとりで何も言わないまま、死んでいた。至極おだやかな表情で、ただ血だけが赤く、美しいほどに赤く、地面を染めていた。ビルの隙間からわずかに入る光を反射して輝き、蝶の羽根のようになっている聖の血は、まだ乾いていなくて水気があり、触るとべたつくかもしれない。
 人のざわめきすら遠く聞こえる路地裏で、鮮やかな赤と無残な死体がころがっているさまは、この国でもう何度目のことなのだろう。あふれるほどのゴミと腐臭と煙草の吸いがらと、聖。蝶は何をさがしていたのだろう。右顧左眄まよいまよったあげくに、聖は何におわれていたのだろう。
 前日、聖の両親は離婚したらしい。
 そんなことなど気にもとめずいつもの明るさを見せていた聖。学校ではいつもどおりだった聖。まるで一生可能性を失ったものを抱えているすがたを、誰にも見られまいとするように。死を急ぎ、死をのぞみ、だからこそ彼女は無言のままだったのだろう、と僕はそうとしか思えなかった。
 ねえ、最後の最後まで、僕には蝶の羽音は聞こえなかったよ。
 聖は何も言わずに蝶になった。縛られていた蛹から解放され、背中をやぶり飛び出して、美しい翼を広げたのだった。

 手にはいらなくても、たとえ一瞬の自由であったとしても、ひとには、最後まで欲しいものがあるのだろう。

 君を殺したのは僕かもしれない、と。
 僕は携帯で救急車を呼びながらそう思った。
2007-10-29 22:59:33公開 / 作者:みーな
■この作品の著作権はみーなさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
本格的に小説家を目指しています。
ライトノベルでも良かったんですが、文学の道で。

私はどこか、聖みたいな感じの一面がありました。
蝶がめちゃくちゃ大好きで、いつでも蝶ばかり見ています。
そんな私に、ある日彼氏がいいました。
「蝶は心理学では、自由を象徴するらしい」と。

そういうもんなのかなぁ、と思いましたが。

そんでもって生まれたのがこいつです。
何かしら、ひとつでもふたつでも、あるいは形にないものでも、
感じていただけるものがあればなぁと思います。
めちゃくちゃ短いですが。。。

11月29日 一部加筆修正
この作品に対する感想 - 昇順
 こんにちは。はじめまして。
 よかったです。こういう雰囲気はとても好きです。男性の立場から言うと、こういう女の子に心をひかれるとあとで大変なんですよね。自分自身が弱い男の子ほどこういう女の子を好きになってしまって、共倒れになっちゃったりするんだよなあ、なんて、考えてしまいました。
 これは半分以上冗談ですけど、「文学の道で小説家を目指してます」なんて真剣な眼で言う女の子を好きになっちゃったりした男はもう大変ですよ。(ごめんなさい。失礼しました)

 たいへん僭越なのですが、気になったところをふたつみっつ。

 ちょっと疑問に思ったのですが、聖が最後にこういう決断をする必要があったのかな。そこまで出口の無い状況だったのでしょうか。「僕」もいるのに。
「僕」がわりと安定した少年に見えるせいか、そんなふうに感じました。彼女の苦しみによって、「僕」がもっと掻き乱されているところが描写されていたほうが、結末が納得できたのではないかという気がします。この雰囲気を損ねてしまうかもしれませんが……。

 それから、「蝶は心理学で自由を象徴する」という話題が作中に出てくるのは全然かまわないのですが、作者ご自身があとがきでそうおっしゃってるのにはちょっと引っかかりました。心理学における象徴って、(作中で「僕」が言うとおり)やはりそんなに単純なものじゃないと思うのです。「文学の道」とおっしゃるからには、まともな大学の先生が書いた心理学の本を複数参考になさったほうがいいように思います。ぼくもすごく苦手な分野で、全然人のことは言えないんですけどね。(しかし、これは作品への感想じゃないですね)

 最後に、

>それは世間様で言われるに足る普遍的な、何らぬきんでることのない付き合いかただった

 このセンテンスはちょっとおかしな感じがしたのですが、いかが思われますでしょうか。「世間様」「言われるに足る」「普遍的」「ぬきんでる」の四語がいずれも微妙にずれた意味で使われているように思ったのです。
「世間様」は他の箇所でも使っていらっしゃったので、よく使われる語なのかなとも思いますが。

 長々と差し出がましく失礼いたしました。
 次回作を楽しみにお待ち申し上げております。
2007-10-28 16:44:54【☆☆☆☆☆】中村ケイタロウ
中村ケイタロウさん、初めまして。読んでくださってありがとうございました。
お見苦しい小説(というか文法)で大変申し訳ないです。

男性の気持ちに関しては私は女なのではっきり分からないのですが、虚無的な女の子には私も惹かれます(別にレズじゃありませんが)。
ただ、男性の方ってきっと聖みたいな女の子に対して「守ってあげたい」感じがするのかなーと、中村さんの文章を読んで思いました。
恋愛小説の域に一歩もふみいってないだけに難しいです。

ご指摘の件、ありがとうございます。
聖が最後に自殺をしたことは、確かに至らぬ点が多々ありました。本当はもっと敏にすがりつく場面を入れたほうがいいのかなともおもったんですが、聖はどこかひとりよがりなところがあるなーとか、あるいは「自由」を強調しまくりたかった私の未熟さゆえの早とちり(書き)かなーとか、色々原因を探ってみましたが、結局「未熟」ということで。申し訳ありません。
心理学の件ですが、私自身まだ勉強の段階に足をつっこんでおらず、大学で哲学科に在籍していた彼氏の言葉を真に受けてしまいました(笑)。
「そんな単純じゃないだろ」と私も当初は思ったんですが、シンプルなものに真理はある、みたいな意味不明な解釈のまま「じゃあそういうことで」とさくっとのみこんでしまっていた私の単純さゆえのミスでした。きちんと勉強します。
なんか言い訳めいてて申し訳ないです;;

>「世間様」「言われるに足る」「普遍的」「ぬきんでる」の四語がいずれも微妙にずれた意味で使われているように思ったのです。
「それは一般的で奇異なところのない、ありきたりな付き合いかただった」というような分かりやすい書き方の方が意味的につうじていたかもしれません。精進します(これすらも間違ってるかも知れませんが)。
きちんと推敲をしていれば気づけた間違いでした。
そもそも一般的な付き合いって、何がいいたかったんでしょう私(汗)。

丁寧なご指摘とご感想、ありがとうございました。
まだまだ未熟な自分の国語力を実感しました。反省し、今後の作品に生かしたいと思います。
作家を目指していると宣言した以上、未成年でクソガキだからといいわけせず(笑)精進していきたいと存じます。
お読み下さりありがとうございました。
2007-10-28 18:14:38【☆☆☆☆☆】みーな
拝読しました。水芭蕉と申します。小学生のころ担任に「アレは死体の上に集まるもんだ」と言われてから蝶を見るたびに背中に軽いぞぞげが走ります。重苦しい空気が良いですね。敏視点でこれに似たような状況におかれたことがあるのですが、あっちこっち言いまくってすがりまくって混乱を巻き起こす子も居る一方で相談もすがり付くこともせず自分だけで決断、決行してしまう聖みたいな子も居るのですね。なので私の場合は別段違和感を持たずに読み進めることができました。
短い感想で申し訳ないですが、なかなかに面白かったです。
2007-10-28 23:07:28【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
水芭蕉猫さん、初めまして。読んで下さりありがとうございます。
蝶が死体に集まるという話は聞いたことがないですが(笑)何か神秘的なものは感じます。
聖にはもうちょっと敏にわんわん泣きついてもよかったかなと後から反省したのですが、違和感を持たれなかった方もいるようで……なんだか不思議です。
とにかく、感想ありがとうございました。今後も日々精進していこうと思います。

>中村ケイタロウさんへ
書き忘れてしまったのですが、「文学の道で小説家を目指しています、と真剣な目で言う女の子を……」とは、もしかしてあとがき文章のおかしさを指摘してくださっていたのでしょうか。
あとから読み返すとなんか変なことに気づきました(汗)
「文学」の道で「小説家」を目指す……っておかしい表現ですよね;;
ようするに、ライトノベルや大衆文学ではなく「純文学」と言いたかっただけなのですが、表記の仕方に語弊がありました。すみません;;
わかりやすいよう修正しておきます。
もし違う意味でのツッコミでしたら失礼しました(汗)。
2007-10-29 00:34:12【☆☆☆☆☆】みーな
 ええと、ちょっとお返事を書いてから寝ることにします。

>男性の方ってきっと聖みたいな女の子に対して「守ってあげたい」感じがするのかな

 そうかもしれません。そういう場合が多いと思います。
 男の子の「守りたい」志向が本能的なものなのか、社会的に作られたジェンダーの要素なのかはぼくには良く分かりませんが、問題は、原始時代でも戦国時代でもない現代においては、別段男性が女性より強いわけじゃないということです。
 自分自身の弱さによって悩み苦しんでいる男の子ほど、屈託を抱えた女の子に自分の弱さを投影して「守りたい」(実は、自分自身の弱い魂を「守りたい」くせに)などと思ってしまい、自分の器量を越えた「癒し」を与えようとして、結果的に彼自身が潰れてしまう。そんな傾向があるような気がします。
 身の回りの見聞と(小規模な)経験に基づいて、ぼくは前々からそんなことを考えています。

>もしかしてあとがき文章のおかしさを指摘してくださっていたのでしょうか。

 ちがいますよ。いくらなんでも、そんな突っ込み方するほど性格悪くないっす(笑)。
「文学」が「純文学」の意味であることは良く分かってます。ぼくが言いたかったのは、上記のこととも重なりますが、「芸術家志望とか文学志望の女の子ってすごく魅力的なことが多いけど、親しく付き合うとすごく大変なことも多いんですよね」という、言葉通りの意味です。どっちにしてもそんなに深い意味は無いので気にしないでください。余計なこと言っちゃいました。ごめんなさい。

 ところで、これも最初の「守りたい」の件とつながるのですが、ぼくは、聖が「わんわん泣く」必要はなかったと思うんですよ。ぼくが思ったのは、敏がもうちょっと弱いほうが、聖がもっと不安定な感じに見えて良かったんじゃないかな、ということです。敏があまり揺るがないから、聖を支えることが出来そうに(ぼくの眼には)見えちゃったんだと思うのです。聖はあのままでいいと思います。

 ところで、すっごく身も蓋もないことを言ってしまえば、ある種の蝶は動物の死体などのアンモニア臭を好むようです。中にはトイレに集まったりするのも……
 科学って散文的だ。失礼しました。

 それではおやすみなさい。
2007-10-29 01:20:38【☆☆☆☆☆】中村ケイタロウ
 はじめまして、みーな様。上野文と申します。
 御作を読みました。
 やりたいことはわかります。
 文章も綺麗です。
 ですが、最初に浮かんだ感想は、とある漫画の台詞。
「貴様はまばゆい光に惹かれてうろつくだけ。 一人では高くも遠くへも飛べない、醜い蛾だ!」
 すみません。きつすぎる感想かもしれませんが、聖の動機が薄いのです。
 本当に蝶に、自由になりたいのなら、普通、足掻きません?
 結局この娘は我慢してただけじゃないですか?
 両親を変えようとも、自分を変えようともせず、ただ光を、蝶という自由の幻想を夢想していただけ。
 なぜ自分の足で走らなかった?
 足のない芋虫でさえ、必死に生きて、生きているのに。
 死の描写もそう。
 飛び降り自殺をした死体は、綺麗なんかじゃない。
 糞尿と臓物と生臭い血の匂いを撒き散らす、「モノ」です。
 生きていた人がモノに変わるから、死というのはあまりにも、悲しい。
 この小説で描かれた負の側面、聖のおかれた環境はあまりに軽く、彼女が求めた自由はあまりに夢を見すぎている。
 それが、私の受けた印象でした。
 でも、これは心動かされた証拠かもしれません。
 興味深かったです。では。
2007-10-29 12:49:09【☆☆☆☆☆】上野文
>中村ケイタロウさん
ごめんなさい、私の勘違いでしたね(汗)。どうも失礼いたしました;;
敏がしっかりしているのかどうかは、私にもよくわかりません。彼はどうしてだか中立の立場みたいで、聖のやることなすことすべてに興味がなかったように見えます、私には。
証拠に、聖が愚痴ろうとたずねようと、聡は曖昧に返事をするか返事すらしないかのどちらかばかりですし。
極論になりますが、もしかしたら聡はあの物語にはいなくって、何もない虚無の存在(あるいは神さま)とかの視点から聖という女の子の境遇をただ感想めいてぐだぐだ言ってるだけ、とも私は考えました。
基本的に、私は自分の作品に「こうあるべき」「こういうはなし」という定義をあまり持っていません(笑)
もちろん基礎となるものはあるのですが、それぞれの人物たちの存在意義やお話そのものの結末の意味は、読み手によってちがっててそれを聞くのが楽しい、と今は思っていますので。
ましてここのように投稿して感想をもらう場であれば。
なんかいいわけみたいになってて本当に申し訳ないです;;
こんな作品でも、読んでくださってありがとうございました。
中村さんなりの解釈を読めてよかったです。

>上野文さん
はじめまして。読んで下さりありがとうございます。
辛口の感想、丁寧に読ませていただきました。
聖は我慢していただけです。それは確かです。なんの狂いもありません。
けれど足掻きもせずに自殺をする人間はあまりに多いと思われませんか?
言葉で自己表現することがなにかと規制されているこの国で、己の気持ちを口に出して誰かに伝えることが難しい人もいます。
私は聖をそんな感じの女の子として書いたつもりだったんです。
両親の諍いや離婚を、その両親から暴力を受けた年端もいかない女の子が止めることは難しいです。
もしかしたら聖はこの話に書かれていない場所で両親と話し合ったりしていたのかも知れませんが、いずれにせよ、聖が夢におぼれる現実離れした女の子で、誰も信用すらしていなくて、あるいはすでに半狂乱になっていて、自分から死を選んだんだと思います。
聖はほとんど私自身と思って書いていたのですが、私でもわからないところはあります。
両親の離婚なんてつらすぎて、誰だって向き合うのは苦しいから。
「まるで一生可能性を失ったものを抱えているすがたを、誰にも見られまいとするように。聖は何も言わずに蝶になった。」
この一文に、すべてを詰め込んだつもりでした。

本気で自殺をする人は、誰にも何も言わず、ただ必死にそれだけを願っている。ほかに何もいらない、ただ今の状況から解放されたい、どうすることもできない、そんな感じで。
……自殺したことないですが(笑)。
薄汚い蛾なのは私ですね……。

何かを手に入れるとき、代償が必要になる。それがあまりにも大きすぎると苦しむことになる。
道がはるか遠くまで続いていると感じたとき、若者が簡単に挫折してしまうのが現代日本じゃないでしょうか。
私もまだ若すぎて、人生の苦しみなんて少ししかわかりませんが。(いいわけ…;)
ともあれ、読んで下さってありがとうございました。
2007-10-29 15:20:17【☆☆☆☆☆】みーな
初めまして、読ませていただきました。
文字一つ一つがとても丁寧に書かれていて、作者様の気合が伝わってきました。
敏は、聖の彼氏であるのに、聖の事を何一つ理解していなかったのですね、そこが悲しいかったです。この作品の中から聖の本当の自殺の原因を量ることは私には出来ませんでした。それは、語り手である敏が、聖の事を何も知らないから。
 最後の場面で、ただ聖の死体を見つめて救急に電話を掛ける敏の姿が余りにも寂しく感じました。そして、敏はビルから聖が飛び降りる所を、ビルの下から何もせずただ見ていただけなのでしょうか? 敏と聖の位置関係が良くわかりませんでした。ビルの屋上に二人共いたのか、敏だけ下にいたのかでだいぶ、ラストの感じ方が変わると思いますので、その辺だけははっきりとさせてもらえたらなあと感じました。
次回作も頑張ってください。
失礼いたしました。


2007-10-29 16:26:32【☆☆☆☆☆】オレンジ
オレンジさん、初めまして。読んでくださってありがとうございます。
聖の自殺の原因については私もいろいろ考えられるのですが、一番の原因はオレンジさんがおっしゃるままの「敏が聖のことを何も知らないから」なのかも知れません。
愚痴っても問いかけても、哲学的な疑問をなげかけても、興味がないみたいにしれっとしてて簡単な答えしか返さない聡がいちばん、自殺の引き金をひいてたのかなーと。
どこかで聖がSOSを出していたはずなのに、「だったら抵抗すればいい」と無下にさらっと答えをかえしてる。
いじめもそうですが、「だったらこうすればいい」という無責任な答えはいわれるがわにとっては苦痛になる場合が多いと思うんです。

最後の場面についてはいろいろ間違ってましたね;;失礼しました。
私としては、路地裏で死んでるのを聡がぐうぜん見つけて、という気持ちで書いたつもりだったんですが、推敲が足りずにビルの上なんて余計な表現まではいってしまっていました;;
修正をいれます。お見苦しい文章をお見せしてしまい申し訳ないです。
丁寧な感想をありがとうございました。
2007-10-29 21:11:01【☆☆☆☆☆】みーな
 こんばんは、みーな様。上野文です。
 けっこうキツい感想をつけてしまったので補足します。

>「まるで一生可能性を失ったものを抱えているすがたを、誰にも見られまいとするように。聖は何も言わずに蝶になった。」
>この一文に、すべてを詰め込んだつもりでした。

 そうだろうなとは感じていました。
 でも、致命的な部分で聖も、……たぶん、みーな様も間違ってます。

 最初に聖の望んだ「蝶になる」とは、「死による苦痛からの解放」でしたか?
 違うでしょう?
 両親が仲直りして、平穏な幸せを大事にすることでしょう?
 いつか己の翼で飛ぶことでしょうが。

 その望みを投げ出して、死んだ方がマシだと勝手に思い込んで、火に飛び込む蛾よろしく「自分自身の夢から逃げ出した」
 これを蝶になったと綴られて、はいそうですかと受け入れられますか?

>何かを手に入れるとき、代償が必要になる。それがあまりにも大きすぎると苦しむことになる。
>道がはるか遠くまで続いていると感じたとき、若者が簡単に挫折してしまうのが現代日本じゃないでしょうか。

 違います。何でもかんでも社会のせいにしないでください。
 過去の方がよっぽど酷くて、他の国―――たとえば中国なんて悪夢よりも酷い。
 これについては感想の範囲を逸脱するため割愛しますが。
 必要なものは代償じゃない。道が遠かろうが関係ない。
 ハートにほんの少しの意地があったか、勇気があったか、それだけです。
 両親が険悪になった? クラス中が敵に回った? 自分を殺したいほど呪ってる?
 それがどうした! 悩んでる自分ひとりを特別に思うなっ!

 貴方がもしも一度でも本気で自殺を考えたのなら、問いかけましょう。
 貴方は、今までに、その時死んでいたら得られなかった幸せを、これまで何一つ、その手に掴みませんでしたか?

 蝶って言うのは、時間が経ったら勝手に蛹から孵るんじゃない。
 そこまで生き抜いたものだけが、蝶になるんです。

 おせっかいな感想失礼しました。
 まあ貴方は大丈夫なんじゃないですか?
 この小説を読む限り、なんとなくそう思いました。
 では。
2007-10-29 22:56:57【☆☆☆☆☆】上野文
2007-10-29 23:03:10【☆☆☆☆☆】みーな
↑これは間違えて投稿ボタンを押してしまいました;;失礼しました。
ただいま若干の修正をしました。目立たないほどですが。

上野文さん、再度感想ありがとうございます。
おそらくは仰るとおり、最初と最後の「蝶になる」は全く意味がちがうと思います。多分。
でもなんだか、私もよく分からないままなのですが、はじめの「蝶になる」は聖からの視点で、最後の「蝶になる」は敏が勝手にかんがえてるのかなーと思ってます(笑)
修正後の文章をもとにしてのいいわけ(ぇ)でもうしわけないのですが、聖にとっての自由と敏にとっての自由はなんだかちがうもののように感じます。
聖の自由は上野文さんのご指摘のとおりかと思いますが、敏にとっての「蝶」ってどういう意味をもっていたのかなって私自身思います。
加筆後、最後のほうに「僕には蝶の羽音は最後まで聞こえなかった」と書き足しましたが、それはたぶんつまり、聖が望んだとおりの自由じゃない結末なのかなーとか。
けど敏は「聖が蝶になるのを見た」と言ってる。
私は蝶を自由の象徴だとは完全におもいこんでませんが(笑)、学校帰りに蝶をうっとり眺める聖を見てきた敏にとって、蝶はまた別の意味をもってたのかもしれないなーと。
上野文さんの言葉を読んで思いました。
いいわけにしかなってませんが(汗)。

自殺の件についてはなんともいえません。自殺したことがないですし。
けど、イジメ問題についての各方面の意見や、かつての流行りだった練炭自殺の現状、自殺掲示板の書き込みなどを見ると、若いひとほど諦めがはやく(or突発的に自殺する)現状打破のために行動できないままなんだな、と思いました。
とくにイジメに関しては先生や親に相談もできないまま自殺するケースが多いですし(専門じゃないので詳しくはさっぱり分かりませんが)。
外国がどうかもしりませんが、少なくとも国内は「自分が世界で一番不幸」とおもってる子供はたくさんいますよ(その可否はここではおいといて)。
本気で自殺したい人は誰にも何もいわないし、まだ生きたいと心のどこかで思ってる人は少なからずSOSのサインを出してる(と思う)。
だから聖は平穏な家庭を取り戻したいとどこかで思いつつ諦めてて、でも諦めきれなくて彼氏の敏に相談(?)して、でも敏は無関心だから「誰も私が死んでも悲しまない」と一方的に思い、自殺した。
思いつきで書いたのですが、こんなもんだと思います。半分いいわけです。ごめんなさい。
最後には、聖は彼女が望んだとおりに蝶にはなれなかったけど、敏にとっての蝶にはなった。
後者がどういうものかは私はわからないし、読み手の方々が個々に解釈されるのが私は嬉しいです。
私個人の考え方はありますが、とりあえず伏せておきます。

昔の私は聖のようでした。昔っていっても彼女たちと同じ中学生かそこらだった数年前ですが。
死んで逃げることばかり考えていました。
そういう子供は今でも数多くいると思います。
けど、ご指摘のとおり、蝶は勝手に蛹からでてくるわけじゃないんですよね。盲点でした。
「今は絶望しても、生きていれば何かあるかもしれない」と考えることは、簡単じゃないけど難しくもないと思います。

わかりませんわかりませんばっかりでホントに書き手かよと思うぐうたらぶりで失礼しました;;
上野文さんはこのおはなしにすくなからず怒りを感じられたかと思いますが、そういう意見があるということも私は向き合っていきたいと思います。
貴重なご意見ありがとうございました。
今後の糧にして精進していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
2007-10-29 23:27:26【☆☆☆☆☆】みーな
>上野文さん
えと、書き忘れです。
「まあ貴方は大丈夫なんじゃないですか?」
大丈夫、だと思います。たぶん。こんな小説書いてるぐらいですし(てゆうか、書いてるからこそっていわれる、んだろうなぁ…;)
全然おせっかいなんかじゃないですよ。厳しいご意見ありがとうございます。
なんだか小説の話題ではなく社会情勢に関してのディスカッションにもっていってしまい申しわけありません(汗)。
近いうちにまたべつのおはなしもここに投稿してみようとおもうので、その際にはまたご意見いただけると嬉しく思います。
2007-10-29 23:44:47【☆☆☆☆☆】みーな
作品を読ませていただきました。一つのキーワードへの固執による強調が読んでいる人間を幻想感ある世界に誘ってくれますね。古来、蝶は人間の魂の象徴とか、死者の魂を運ぶものと考えられていたので作品の雰囲気に合っていたキーワードだと思います。ただ、物語の流れからラストが想像しやすい分、ラストでの敏の無力感なり虚無感なりをもう少し強調しても面白かったと思います。では、次回作品を期待しています。
2007-11-06 07:56:00【☆☆☆☆☆】甘木
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。