- 『これも『愛』の形 第二話』作者:アドミット / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
- 愛にだっていろいろな形があるさ。そう、これも一つの愛の形なのである。そんな、甘酸っぱくもない非現実な『愛』の形。
- 全角1534文字第二話「現実を見ろよ」
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原稿用紙約3.84枚
「ずっと前からあなたのことが、魅剣さんのことが好きでした!」
それは、気づく度に己の身を引き裂く諸刃の剣。
「俺と付き合ってください!」
それは、伝える度に己の身を切り裂く諸刃の剣。
愛や恋という名の、儚く脆い矮小で何の意味も持たない刃。
俺の告白を聞き終え、彼女の薄桃色の唇が小さく微笑する。
吹き抜ける一陣の風が、彼女の長く真っ暗な髪の毛を大きく泳がせる。
そこは赤錆のフェンスに囲まれた屋上。長方形の形に広がるタイルの上に俺と彼女は佇み、何も言葉を発しないまま時が過ぎるのを待つ。
二人を照らす夕焼けよりも美しく、陶磁器のような染み一つ無い白い肌が赤く染まる。
それが俺の告白を聞いて紅潮したものなのか、夕焼けの所為で染まったものなのか、判断は着きかねる。
ただ、彼女は沈黙を破ってこう呟いた。
「私もあなたのことが好きです」
この世の何よりも、俺が待ち望んでいた答えだ。
そうして、俺の一世一代の告白劇は幕を閉じる。
いやいや、勝手に閉じられても困る。俺と彼女の恋物語は、これから始まるのだから。
事の始まりはこの告白劇の数ヶ月前。
友達の勧めと、若気の至りと言うこともあり、俺はとあるイージーミスを犯した。
だがその結果として、俺は彼女と出会ったのだ。
彼女の名前は魅剣 菖蒲(みつるぎ あやめ)。
陶磁器のような透き通る白い肌と、長く全てを飲み込む暗闇に似た髪の毛を揺らす、絶世の美女。
出会いの場所は、ムードの欠片も無いゲームセンターの一角だった。
運命なんてものは信じていなかった俺も、そのときばかりは信じざる得なかった。一目惚れ、なんて創造の世界でしか有り得なさそうなものを、信じてしまう。
十八歳にして、それが最初で最後の恋だったのかも知れない。
だが、俺は彼女に惚れた。それは狂いの無い、間違うことの無い感情。
「……は買うのか? 買わないのか?」
俺は、友人の言葉を耳にして我に返る。
「か、買う……」
何も考えず、俺は手に取ったゲームの購入を決めた。
彼女に魅入ってしまって、ほとんどゲームの内容など気にしなかったのは愛嬌のある失敗だろう。
それから俺は、家に帰ってゲームをハード機の中に放り込んでテレビをつける。
まあ、心ここにあらずと言うべきか、俺の頭の中は彼女のことでいっぱいになっていた。夕食時でも、トイレで用を足していても、彼女のことしか考えられない。
俺はいったいどうしちまったんだ?
それから数ヶ月、ここまで来るのに数ヶ月、掛かってしまった。
その間も俺は上の空で、彼女のことばかりを考えながら過ごしてくる。
好都合なのは、彼女が俺と同じ学校の生徒だったこと。不都合は、彼女は他の男子にも人気があったこと。
しかし、俺は夕日の差し込む学校の屋上で二人っきり、誰にも邪魔されることなく覚悟を決められた。
『告白する/夕日が綺麗だね』
そんな、進むか逃げるかだけの選択肢が浮かび上がる。
無論、俺は迷わず前者を選んだ。
答えの先にあった未来は、既に前述した通り。
俺はそこまで進むと、携帯電話に友人からの電話が入っていることに気づく。
『はろ〜、どこまで進んだんだ?』
「告白するところまで。慣れない所為で、二ヶ月もかかっちまったよ」
他愛の無い話をしつつ、俺はボタンを押した。セーブすることを忘れずに、ハード機の停止ボタンを。
続きはまた今度にするか。
こうして、俺の本当で現実じゃない恋物語は幕を閉じるのであった。 - 2007-06-28 00:55:43公開 / 作者:アドミット
■この作品の著作権はアドミットさんにあります。無断転載は禁止です。 - ■作者からのメッセージ
これ愛(勝手に略す)の第二話です。一話のキャラクターは使い捨てでしたので、二話には出てません。もしかしたら出てくるか、それとも別作で出てくるか、私の気分次第です。
まあ、何でも良いので見てやってくださいな。
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え? 第二話? 第一話とは、繋がりものですか?
2007-06-28 01:24:51【☆☆☆☆☆】勿桍筑ィ第一話とは、別物の様で。
しかし、一話と書いてあるのですから、単発の続き。一話一話別々の話ということですね。なら、一話に続けて、メッセージで、一話一話単発のものです程度の説明を加えて、やればいいじゃないですか。こうやって、一話一話新規に投稿すると、内容は違えど、違反になりかねない。そう思いますが。読む以前にそう感じたので、書きました。では。失礼します。2007-06-28 18:16:54【☆☆☆☆☆】勿桍筑ィ違反だと思うならわざわざ確認のようなしようもない短文は書かずに報告するほうが早いです。確認せずにしていたなら尚更です。ショートとジャンルわけされているのですから、そこくらいは注意しましょう。
作者も、規約にある通り、基本的に連作はまとめてですので、ジャンル設定だけではなく、メッセージ欄にもその旨を記述するとよりわかりやすくなります。2007-06-28 19:24:35【☆☆☆☆☆】アナハイムどうも、いろいろと批判をいただいているようですね。
私も一つにまとめるべきかどうか考えたのですが、ショートである以上は一話完結と言う形で進めて行きたいと思ったので同名別々の作品として出させていただきました。
ご意見をいただいたお二方には大変まどろっこしい思いをさせてしまったみたいです。ここにて、お詫び申し上げます。
まあ、一つ分かったことは、私にショートは向いていないと言うことでしょうか。ショートは止めて、やっぱり長編か中編ぐらいのものを出させていただきます。
それでは、誠に申し訳ありませんでした。2007-06-28 22:43:32【☆☆☆☆☆】アドミット計:0点 - お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。