『葬列』作者:灰人 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角789.5文字
容量1579 bytes
原稿用紙約1.97枚
「この分だと明日は雨ですかねえ」
 振り返ったが男は地面を向いている。棺は前方で斜めに傾いでいた。
「墓地までは遠いんですか?」
 だらだらと葬列は続いている。
「遠くもなく、近くもなく。ただあることはあるんでしょうね。皆さん向かってるようだから」
 横を歩いていた太った男。なんとなく気の利いたことを言われた気がして、私は彼をぶん殴った。
「雨が降ればいいのになあ」
 再び振り返ると、男はバイク用のジェットヘルメットを着けているところだった。私は靴を履き忘れてきたことに気付いた。しかしもう自分の家がどこにあるのか思い出せなかった。メキシコの夏をこさいだような風が地面の塵を巻き上げる。ミミズがちぎれて黒くなっていて、蟻が集っていた。
「知ってます? ノアの大洪水とか。人間に絶望してやったくせにそれでも人間を残すなんて、神様も懲りないんですねー。まあとにかく何もかも洗っちゃうってのは、コレ、気持ちいーんだろうなあ」
 彼は喋りながら浮き輪を広げて、空気を入れ始めた。輪型が途中でちぎれて、数字の3の形になってぶらんとしていた。
 痩せた婦人に追いついた。ハンカチで瞼を拭っている。零れ出ているのは灰だった。
 道がけっこうな坂になり、息切れがしてきた。棺はさらに傾いだ。胸の中では紙風船がぺこひゅこと動いて、私の五臓に○| ̄|_←こういう形の血球を送っている。
「まだ遠いんですかね」
 婦人は写真を取り出して眺めていた。
「息子が死んだんですよ。可愛い子でした」
 写真を見ると少年が死んでいた。
 先頭の集団はどうやら墓地に到着したようだ。棺は傾いでもうほとんど垂直になっていた。彼らは墓穴に入って行った。葬列はにわかに活気付いた。押し合いへし合い、私も墓穴に入るのに夢中になった。忘れられた誰かの棺が音を立てて倒れた。



2007-06-24 00:38:54公開 / 作者:灰人
■この作品の著作権は灰人さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ご意見ご感想は真摯に受け止めさせていただきます。
この作品に対する感想 - 昇順
ごめんなさいね。私には、この作品が理解できなかった。すべてを通しても、意味不明だし。みじか過ぎて、理解できないのもあるし。それに「 ○| ̄|_ 」は何? 笑いを誘おうともしてるのかな? では。
2007-06-24 01:58:50【★★☆☆☆】勿桍筑ィ
勿桍筑ィさん
申し訳ありません。素材の荒さはよく意識しています。よくよく推敲を重ねたいと思います。
2007-06-24 20:36:10【☆☆☆☆☆】灰人
今日和。初めまして。
早速ですが、私にも少々理解ができませんでした。質問なんですが、勿桍筑ィ様に言われて直しましたか?(直していたら申し訳ございません)どうして靴を忘れてしまったんでしょう。もう少し丁寧に書いてほしかったです。殴る必要性がわかりません。気の利いたことを言われて嫌だったのですか?先程も言いましたが、もう少し説明が欲しいです。
でも私的に最後の終わり方がとても良かったです。こういう終わり方大好きです。ですので、直して、理解できる作品をぜひ作って欲しいです。

戯言を失礼しました。
2007-07-01 19:12:22【☆☆☆☆☆】菱
意味不明過ぎる。
2007-12-16 20:26:40【★★☆☆☆】つ
計:4点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。