『天国からの手紙』作者:††?†† / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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小学四年生の、高橋 守(たかはし まもる)は、
幼い頃からの病が全身がまわり、余命あと1年もつかもたないかと宣告された。
そんな彼には、友達はいなかった。
病院という名の、彼の“家”には、同じ年頃の子供などいないのだから…。
そんな彼には、口癖があった。
「寂しくなんか無い。ただ静かなだけ。」
彼は、家族がいないときは、読書をしている。
ただひたすらに、本を読んでいるのだ。
ある日ある看護士は、彼にこんな質問をした。
「読書は面白い?」
彼の答えは小学四年生の言う言葉ではなかった。
「ん〜。本を読んでいて、時間が流れていく…
 ページをめくるたびに自分が生きているっていう事を実感できる。
 そんな時間がいいです。」
彼には、年齢の自覚はなかった。
いや、自覚というかは、自分の年齢を知る必要が無かったのだ。
いつ死ぬか、いつまで生きれるか、ただそれだけだったのだ。
ところが、いつの日からか、彼は本を読まずにひたすらになにかを書くようになった。
そう、ちょうど余命を言い渡されてから3ヶ月たった日のこと。
その書いてる中身は、家族にも、誰にも見せようとはしなかった。
黙々と何かを書いていた。
 彼は家族にこういった
「これは、僕の宝物だから見ちゃダメ」
結局、何を書いているのか分からないまま、彼は、書く事をやめた。
それは、余命を言い渡されてから6ヶ月も過ぎたことだった。
そのころから、病で自由を奪われつつあった彼は、一つの厚い本を読み始めた。
その本のタイトルは、
『天国へのメッセージ』
本の内容は、死んだ、子供からその親へ手紙がとどくという本。

彼は、必死にその本を読んでいた。
余命後5ヶ月となり、その頃には、あの本も読み終わっていた。
しかし、彼は、今までとは違く決して、何かを書くとか
本を読むことをしなくなった。ただいつまでも、ベットの上で寝ていた。
彼は、ある日、家族にCDを届けるようにいった
とにかく、彼は音楽を聴きながら寝る事をしていた。

―――月日は流れて。
余命がせまりつつあった、ある日のこと
彼は、看護士に家族を呼ばせた。
「どうしたの?」
と彼の母はいったが、彼はなにも言おうともしなかった。
しかし、家族が帰りそうになると、引き止める。
そして、数時間後、彼は、また眠りについた。
永遠という名の眠りに…。
家族は、全くきづかなかった。
彼が死んだ事を、そして、きづいたのは死んでから3時間もたってからの
診察の時間のことだった。
余命より、一ヶ月も早い死だった。
家族は信じられなかった。心に描いても描いても彼は帰ってこない
そのもどかしさにみんな泣いた…。
彼の担当医は、家族にこういった。
「家族を呼んだのは、自分が死ぬ事を分かったから
 でも、そのことは言えなかった。いえ、多分言いたくなかったのでしょう。」

次の日に、彼の母親は彼のベットを片付けていると、彼の宝物がでてきた。
そう、彼が書いていた物だ。
そこには、こう書かれていた。

「僕が死んでも、世界は何も変わらないけど、お母さんやお父さんはとても悲しむから
 だから僕はこれを書いていてとても悲しくなります。
 お母さんやお父さんは、僕が生まれてきてよかったですか?
 邪魔ではありませんでしたか?
 僕は、お母さんとお父さんの子供であったことを心から幸せに思っています。
 そんなお母さんとお父さんに別れるのはいやだから、絶対いやだから
 僕は、死んでもお母さんとお父さんの近くにいます。
 でも、お母さんに一つだけ、最後にお願いがあります。
 僕に弟か妹をください。
 僕の変わりに、僕以上生きる弟か妹を産んで下さい。
 そして、たくさんの愛情をあげてください。
 僕の変わりに、一杯遊んでください。
 学校へ通わせて、友達を作らせてください。
 僕にできなかった事を、してあげてください。
 僕は、死ぬ事を後悔していません。
 それなりのわがままも、お母さんはゆるしてくれた。
 それなりの遊びも、お父さんとできた。
 僕はそれが一番うれしかった。
 だから、だから、泣かないで下さい。
 僕も泣きたくなるから。
 泣かないで下さい。                   高橋 守  」


彼の母親は、涙が止まらなかった。
拭いてもこぼれてくる涙を必死に耐えていても
彼の文字と言葉を見ると、涙が止まらなかった。
父親も、その後にこの手紙を見て、
涙を流した。

その後、彼の葬式は、少ないながらの人数で行なわれた。

それから1年が経ち…

“おぎゃ〜、おぎゃ〜……”
そう、母親と、父親は彼との約束をしっかりと守った。
高橋家次男 高橋 茂(たかはし しげる)の誕生―――。


                     完
2007-05-25 22:10:30公開 / 作者:††?††
■この作品の著作権は††?††さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうだったでしょうか?
自分で泣きそうになったのですが…。
アドバイス等まってます。
この作品に対する感想 - 昇順
うわーん、だからこういう家族愛には弱いんだってー。手紙のところで目頭があつくなりあと少し手紙が長かったら泣いていたでしょう。文章は拙い箇所が見られましたが、そんなことどうでもいいや。ええ話しやった。ありがとう。
2007-05-26 00:10:59【★★★★☆】猫舌ソーセージ
面白く拝読いたしました。内容としてはとてもシンプルで、だからこそ、伝えたいテーマがはっきりとしています。
シンプルさを殺さない程度に工夫した比喩表現を用いるようにすればもっと深みが生まれるのではないでしょうか。
たとえば「永遠という名の眠り」というフレーズひとつとってみても、このままでは重過ぎるし、手垢のつきすぎた言葉ですから、
もうひとつ趣向をこらしてみてはいかがですか?
また、全体的な流れ、シナリオの進行はやや急ぎ足ながらもしっかりと読ませる構成になっていると思いますが、文章全体の流れが
一辺倒であるが故、もったいない。もっと受身の文章を利用すると、全体の流れがスムースになりますよ。
最後の部分、”そう、母親と、父親は彼との約束をしっかりと守った。”だけとってみても、受身にして、周囲を調整してあげるだけでだいぶ
雰囲気が変わってきます。これはあくまでも僕なりの手法ですが、「約束を守る」という「行為」よりも「約束」そのものを、仮に僕が書くとしたら
ここでは強調してあげたいので受身を使う。なんて具合にいろいろやってみると、だんだん自分なりの手癖がついてきますよ。それは、もちろん、
良くも悪くも、という前置きつきにはなってしまいますが。
2007-05-26 02:00:12【★★★★☆】村瀬悠人
>猫舌さんへ
感想ありがとうございます。
文章のほうは、めんどくさがってあまり考えなかったものですから、
次の小説は作りこんでやりたいと思ってますので、
また、読んでくれるとうれしいです。

>村瀬悠人さんへ
こまかい、アドバイスありがとうございます。
文章に関しては上の通りですが、自分としても
もう少しは丁寧にやるべきだったと反省してます。
村瀬悠人さんも、次の小説を書いたときは
読んでくださるとうれしいです。

短いながらこれで終わりにさせていただきます。
2007-05-26 10:10:37【☆☆☆☆☆】††?††
感動しました。
家族愛っていいものですよね。
次の小説も楽しみにしています。
2007-05-26 13:03:55【★★★★★】ξЯёЙξ
点数が目にとまり読み始めました。以下、率直な感想です。「感動させたい系」の話のテンプレートをそのまま文章にした、という感じがしました。この手の話は世の中にいくらでも類型があり、その中で本作が特に優れているとは思えませんでした。小説として魅せるという点において、工夫が感じられませんでした。ノンフィクションならばこの内容で感動しても、と思わなくもないですが、フィクションであれば正直いくらでも作れます。大切なのは「見せ方」だと思いますが、どうでしょうか。(僕個人としては、ノンフィクションであろうと誰かの手によって何らかのメディアになったとき、それはフィクションの作品と大差ないと考えているので、やっぱり大事なのは見せ方だと思います)
2007-05-27 04:12:37【☆☆☆☆☆】ドンベ
作品を読ませていただきました。う〜ん、正直感動はしませんでした。よくある生死物の作品をなぞっただけにしか感じられませんでした。物語の構成が一本調子だったこと、主人公と読者の感情の乖離など小説として弱い部分が目立ちました。辛口の感想で失礼しました。では、次回作品を期待しています。
2007-05-27 10:40:33【☆☆☆☆☆】甘木
どうだ、泣けるだろう、という感じでした。ステレオタイプは王道ゆえに、より練り込まなければならないと思います。私にとってこれは泣ける話ではなく、泣かせようとしている話でした。
2007-05-27 11:07:31【★☆☆☆☆】アナハイム
計:14点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。