『五時を告げるチャイム』作者: / ~Xe - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
 お化けなど、そういうあいまいなモノを全く信じない、少年・悠太。 だが、そんな悠太に、学校に二十年前から伝わる噂が耳に入る。 午後五時を告げるチャイムが鳴ると同時に現れるという、男の子の噂である。 最初はばかばかしいと思っていた悠太だったが、悠太はたまたま、その条件がそろった学校に居残ってしまったのだ。 そして、その噂の男の子と遭遇。悠太は、五時に一度だけ起きる、不思議な出来事に巻き込まれていくのだった…。
全角2915文字
容量5830 bytes
原稿用紙約7.29枚
 S県T市。
 この市に存在する、ある小学校には、奇妙な噂がある。
 その噂とは、午後五時のチャイムが鳴ると同時に、男の子が現れ、五時まで残っていた子を襲い、殺してしまうと言う、怖い噂である。
 この噂は、約二十年前から伝わっている、古いとも新しいともいえない、そんな噂だ。
 そして、時は巡って、現在・2007年にも、噂は語り継がれている……。
 まだ、噂の巡る学校の生徒達に、静かにささやかれる位………。






















 「ねぇ、ねぇ。あの噂、知ってる?」
 「知ってる、知ってる。怖いよねぇ〜。」
 「うん、うん。五時以降の学校になんか、絶対残りたくないよねぇ。」
 二時間目が終わって、20分休み。待ちわびていたかのように、女の子達は早速、噂話をし始めた。
 そんな、彼女たちを少しあきれながら見ている少年がいた。
 
 『まぁた、話てら。よーく、あきずにいつも話せるよな……。』
 出席番号十七番。滝見 悠太である。
 彼は、お化けとか、妖精とか、そんなあいまいなモノは信じない性格だ。
 だから、女の子達が話してる噂なんてもちろん、心霊テレビなんてものは見たこともない。


 「おぉーい!悠太!今日、放課後、学校で遊ばね?」
 「んっ?おぉ!遊ぶ遊ぶ!」
 「いつも通り、サッカーで良いよな?」
 「もちろん!負けねぇかんな!」
 「こっちだって!じゃなっ!放課後!」
 「放課後ー!」

 悠太にいきなり話しかけてきたのは、別クラスの友達だった。
 お化けとかを全く信じない悠太だが、サッカーだけは大得意で、何より、一番大好きなスポーツなのである。
 そんな感じで、悠太は、放課後、友達を遊ぶことになった。


 時はながれ、放課後……。
 

 「ごめっ!遅くなった!」
 「別にいいって!やろうぜ!」
 「おう!」

 まだきていなかった友達がようやく来て、悠太達の遊びは始まった。

 「悠太!手加減すんなよー!」
 「そっちこそ!」

 悠太達の勝負は、かなり長く続いた。
 そして…。

 「あっ!もーこんな時間だ!」
 「えっ?まだ四時五十五分じゃん。もっと遊ぼうぜ。」
 「だって、もうすぐ五時だろ?噂通りになったらやだもん!」
 「悠太も早く帰れよ!」
 「わかったぁ。」
 
 どうやら、悠太以外の子達は、みんな、あの噂を信じているらしい。
 友達の忠告に、生返事をした悠太は、一人でリフティングをしていた。
   すると……。



     きーん・こーん・かーん・こーん…。



 午後五時ちょうどを告げるチャイムが学校中に鳴り響いた。



             「ネェ。僕も一緒に遊んで良い?」


 背後でいきなり声がした。
  悠太と同じくらいの年齢の男の子が、いきなりそう他の背後に現れたのだ。

 「どぅわぁ!」
 いきなりだったので、悠太は思わず声を上げた。
 「一緒に遊んでも良い?」
 「えっ?あっ、あぁ…良いよ。」
 悠太の後ろにいたのは、普通の子だった。が、「どこかおかしい」と悠太は思った。

 「じゃぁ…何する?君が決めて良いよ。」
 「んっ?じゃぁ…そうだな。サッカー、できるか?」
 「サッカーか…良いよ。」
 
 男の子の承諾を得ると、悠太は、校庭の真ん中にバッテンをかいて、そこにボールをおいた。

 「よーし。先に、ゴールを決めた方が勝ち!それで良いよな?」
 「うん。良いよ。」
 男の子が静かに答えた。

 そのあと、ジャンケンをして、悠太が勝ったので、悠太からのキックオフでゲームが始まることになった。

 「おっしゃぁ…!いくぞっ!」
 悠太がボールを蹴りだした。
  だが、試合が始まって、十秒後に、ボールは男の子の足にあった。
 
 「えぇ!?」
 悠太が驚いた頃には、もうゴールは決まっていた。
 男の子が勝利したのだ。

 「僕の勝ちだね…。」
 「すっげぇ。お前すげぇな!」
 悠太は、男の子の肩をたたきながら言った。

 「それほどでもないよ…。」
 男の子も少し照れているようだった。


  時計の針が、五時十分を指した。
 
 「あっ。僕そろそろ、かえんないと。」
 「おっ?あぁ、そうだな。俺も、もうかえんないと。」
 
 たった、一度のゲームで二人はすっかり友達になっていた。


 「じゃぁね。」

 小走りをしながら、男の子は校門から出ていった…。
 その、数秒後だった…。


   ききぃいいいぃいいぃぃいぃぃぃぃいいいぃいいぃいいいぃいぃ!!!!!!!


 トラックが急ブレーキするような音が、悠太の耳をつらぬいた。


 「大丈夫か!?」

 悠太が急いで、校門の外に走った。
 だが、そこには何もなく、いつもどおり、車が走っているだけだった……。

  「…………」
 悠太は疑問を残しつつ、家へと帰っていった。














 あの不思議な出来事がおこった、次の日、学校にまつわるあの噂を、悠太は先生に聞いてみた。
 
 いつも、午後五時に現れるという、あの男の子は、二十年前のここの生徒で、少々ひかえめだが、スポーツ万能で、けっこう、人気のある子だったという。
 だがある日。友達が帰った後も、サッカーの練習を五時十分までしていたその子は、あせって、車の通りの多い学校の前へ飛び出してしまったのだ。その結果、彼はひかれ、若くして死んでしまったという…。
 悠太は何気なくいつも登校していたが、校門の前のすみには、悠太と同じくらいの身長(だいいたい、150?位)のかわいらしい、石像がある。その石像が、あの男の子の慰霊碑がわりの石像というわけだ。
 手にはサッカーボールが持たれていて、その男の子は、石像なのでいつも無表情だ。

 悠太は、先生から話を来た後、学校から下校するときに、男の子の石像を見てみた。
 すると、いつも無表情な石像の顔が、悠太にはなぜか微笑んでいるように見えた。

 「お前は、死んじゃったけど、俺、お前の分まで、精一杯生きるからな!」
 悠太は、石像に言った。
 石像は、何も言い返さないが、悠太には何か聞こえたようだった。

 「また、遊ぼうな。」
 ニッ、と悠太は笑った。
 
    すると……。

               


                「ありがとう。悠太。」
 



 悠太の後ろで、あの男の子の声が聞こえた……。




  −五時を告げるチャイム− 
            END
  
2007-03-15 20:40:10公開 / 作者:苺
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■作者からのメッセージ
 初めまして!苺です!
 意味のわからない小説ですが、呼んでいただけると、うれしいです!
 五時を告げるチャイム。いかがだったでしょうか?
 感想お待ちしております!

 これからも、がんばろうと思いますので、よろしくお願いします!
この作品に対する感想 - 昇順
訂正。
 恋愛と書いてありますが、手違いでなってしまいました。スミマセン。
  本当は、ミステリーとホラーです。
2007-03-16 13:57:02【☆☆☆☆☆】苺
ログインし直せばジャンルの訂正できますよ。
2007-03-19 18:02:38【☆☆☆☆☆】神月めい
はじめましてです。作品拝読させていただきました。最後の終わり方は好きです。ただ、途中の空白部分が少し、間が空きすぎかな、と思いました。
>午後五時のチャイムが鳴ると同時に、男の子が現れ、五時まで残っていた子を襲い、殺してしまう…
怪談ってやはりそれなりに実話があった方が面白味があるれす。例えば、最初の女の子達の会話部分で、『実際に○組の○○が男の子を見て…』とか、噂の信憑性を引き立たせるような何かがあるともっといいと思いました。あ、でもあくまで個人的な意見ですので。変な事を長々失礼いたしました。次回作も楽しみにしております。ではでは。
2007-03-21 13:37:40【☆☆☆☆☆】マーモン
計:0点
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