『hibiki-響ー 0』作者:アポロ計画 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
 30分間で、1章分と致します。 このお話は、私の、頭のすみっこのお話です。よって、展開が、予測もつきません。それは、私の気まぐれと言うことで。
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原稿用紙約2.49枚

 ……リーン……
 …………リーン…

 目覚める。
 いつもの、朝。

 いつもいつも、日課として、やるんだ。この行為。 精一杯、縄を引いて。

 ゴーンゴーンゴーン…

 「毎朝毎朝、本当に有難う。助かるよ」そんなの、あんたに言われても、何とも思えなくて。
 「別に」素っ気無く、俺は一言。
 「……そうか」そんな事は、答えてくれる。

 とにかく、俺の両親は、戦乱で死んだ理由で。で、いつの間にか、アルフォード神父のいるこの教会に、居候している理由で。
 で、毎朝毎朝、縄を引いて、鐘を、鳴らしている。

 それが、日常。

 「……では、いただきますか」 「あぁ」
 二人の、静かな朝食。かちゃかちゃと、食器の音が、鳴る。
 「どうかな?」 「……まぁまぁ」 いつもの、朝食。

 そう言えば、俺は、あの夢の中の音を、知らない。

 「外の様子も、相変わらずだな。どうだ、フォルト、川にでも行ってみないか?」
 「別に、いい」
 いつでも、おれは、フォルトと呼ばれても、ああやって。
 いつでも、神父は、別にと言われても、ああして。

 それが、日常。

               ・
 あの音を聞いたのは、ちょっとまえ。

 …リーン…
 ……リーン…

 なんて、音が、聞こえ始めてきた。最初は、思い違いと思っていた。でも、あの音は、夢でも、現実でも、今も、響き続けて。起きてる時は、少しだけ。寝ているときは、大きめに。とにかく、ずっとずっと、あの音は響き続ける。
 
 「大丈夫かい?」

 「え?あ、あぁ。」もちろん、その音は、今も響き続けている。
 「そうか。上の空だったから、心配したんだぞ」なんて、言われた。大丈夫だけど、あの音が気になって。

 とにかく、日常をただ、なんとなく。

 川の向こう。

 「…」

 あれ。あの人。日常に、いない。

 「…」

 ふと、消えた。 「…なあ、神父」 「ん?なんだ?」 「川の向こうに、誰かいなかったか?」 「…何を言ってるんだ。人なんて、居なかったぞ」

 …え?

 そうして、俺の日常は、崩れ始める。
                       −end and start for hibiki-
 
 
2007-02-03 16:49:03公開 / 作者:アポロ計画
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