『サッカー少年正輝!』作者:グルコサミン / RfB/΂ - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
サッカー少年の正輝は今お笑いの通信教育を受けているのだ! がんばっているのだ!
全角2244.5文字
容量4489 bytes
原稿用紙約5.61枚
「ごめん隆司、俺、お笑い芸人になりたいんだ」
正輝がそう言ったのはちょうどサッカーの全国大会決勝の試合中だった。
「ちょっと! お前こんな時になに言ってるんだよ!」
相棒の隆司が言った。隆司は正輝の幼馴染で一緒にプロになることを夢見てがんばってきた親友だった。
「ごめん。俺言ってなかったけどサッカーよりお笑いの方が好きなんだ」
「そうなのか……。それならまぁ仕方ないな」
隆司は残念だと思った。正輝の最大の持ち味のシュートはすっごくまっすぐなシュートでそのシュートのまっすぐさだけは誰にも真似できないものだった。
「お前のまっすぐなシュートもう見れないのか……」
「そうだな、だけど俺のシュートまっすぐだからすぐ止められちゃうんだ」
そうなのだ。正輝のシュートはとてもまっすぐなのだがそのまっすぐさゆえにキーパーに止められやすいのだった。
「そうだなお前一回もシュート入れたことないもんな」
そう、そんな正輝がなぜ全国大会のスタメンに入れるかというとこのチームの監督が正輝のおじさんだからなのだ。正輝は何度もおじさんに頼んでも入れてくれなかったのだがお金を渡したら入れてくれたのだ。
「隆司、俺昨日寝ないでネタ考えたんだ聞いてくれるか」
「おう! 親友のネタを聞かないでどうするってんだ」
隆司は人差し指で鼻をこすった。その時だった。審判のホイッスルが鳴った。
「はい、前半終了です」
正輝達はベンチに戻って行った。監督が言った。
「正輝、隆司! お前達なにもやってないだろ! ベンチに入ってろ!」
監督は怒りに震えていた。だが正輝はひるまなかった。こっそりと監督にしか見えないように人差し指と親指でわっかを作って見せた。それは後でお金を渡すというサインだった。
「やっぱりベンチ入りはなし! お前達は今までどうりがんばれ!」
仲間の選手からは非難の嵐だったがそれにも正輝はひるまなかった。選手一人一人をこっそり呼び出し人差し指と親指でわっかを作って見せた。
「よし、みんながんばろうぜ」
 チームが一つになった瞬間だった。ただいま両者の得点は0対0で力は拮抗しているのである。
 そしてホイッスルが鳴り後半戦が開始された。
「敵のキーパーはすごいぜ! どんなシュートでも止めやがる!」
そう、敵のキーパーはとてもすごい奴だった。前半戦で俺たちのチームが打ったシュートは合計50本を超えていた。だが敵のキーパーはそれをすべて止めたのだ!
「だが俺たちのキーパーも負けちゃいない!」
そうなのだ。俺たちのキーパも前半60本ものシュートを打たれたのにもかかわらずそのシュートをすべて止めたのだった。
「敵のシュートはすべてまっすぐだ! ゴールは俺に任せろ!」
俺たちのチームのゴールキーパーが言った。いや、向こうのゴールキーパーも今同じ事を言っていた。
その言葉で両者の監督があることに気づいた!
「おい! お前ら! まっすぐなシュートだったらすぐ止められちゃうだろが!」
両方のチームが間違いに気づいた瞬間だった。
 そこからの両者の戦いはすごいものだった。入れたら入れ返し入れ返されたら入れるの繰り返しで点差は拮抗したまま試合は終わりに近づいていった。
「おい! キーパー! ちょっとはシュートを止めろ!」
監督が叫んだ。だがその声は正輝の叫び声にかき消された。
「おい! 正輝! ちょっと面白くないって言ったからって、そんなに錯乱しないでくれよ」
「キョエー!」
正輝は叫び続けた。そう、たった今正輝がとっておきのギャグを披露したのだが全然面白くなく、隆司が面白くないと正直に言ってしまったのだ。
「おい、もうそろそろ止めてくれよ」
「……。俺のギャグ面白いよな!」
「うっ……まぁ関節をはずすところは……」
隆司は言葉に詰まった。そして正輝のギャグをもう一度思い返してみた。……まったく面白くなかった。関節をはずしたのも逆効果だったと今は思う。
「……面白いよな!」
そう言った正輝の右手には人差し指と親指でわっかが作られていた。
「うん、最高のギャグだったぜ!」
その時の隆司の笑顔は誰にも真似できないほどの最高の笑顔だった。
 審判のホイッスルが鳴った。
「はい、後半戦終了です」
 結果、正輝たちのチームは50対62で負けてしまった。
「くそー!」
正輝が悔し涙を流した。今までの自分の努力を思い出してしまったのである。
「くそ! あんなにがんばったのに負けちまった」
「正輝! がんばったんだからいいじゃないか! なっ!」
「隆司!」
二人は腕を組んでフィールドを後にした。だが二人の涙は枯れる事はなかったのである。
 試合会場を出た時、監督が言った。
「よし! みんな! 焼肉でも行くぞ! 今日は俺のおごりだ!」
だが正輝はそこでもひるまなかった。
「あっ! すいません、僕、今日合コンあるんで。これで」
「あっ、そうなの? うん、ごめんね……」
そして正輝は颯爽と合コン会場に向かったのだった。その瞳は輝きにあふれていた。
 だが今日やる事は合コンだけではない。通信教育でやっているお笑いの課題も今日出さなければいけないのだ。
 正輝は今、夢に向かって走っている!





2007-01-12 16:52:56公開 / 作者:グルコサミン
■この作品の著作権はグルコサミンさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
よかったら意味の分からないところとか教えてくださるとうれしいです
この作品に対する感想 - 昇順
待ってました、グルコサミンさん!(笑)こんばんは。目黒小夜子です。
よかったら意味の分からないところとか教えてくださるとうれしいです、というメッセージがあったので率直に述べさせていただきますと、全部が全部意味わからなかったです(笑) でも、私みたいに変な人間は、その意味のわからなさが心地良かったりしますが。
グルコサミンさんの今までの作品を読ませていただいて感じたのですが。登場人物全員が意味のわからない考え方だったりしませんかね? もちろん、それが面白さなんだよ! という考えも有りだと思いますけど。でも、正直に言っちゃうと、読者がついていけません;; 一人は常識的な人間(ツッコミの役割)を置くとかしないと、ボケ逃げになっちゃって、せっかく出したボケの面白さが際立たなくて水の泡になっちゃいませんかね。
一人変な人間を置いて、周りを普通の人間で固める。あるいは、一人普通の人間を置いて、周りを変な人間で固める。そうして温度差を作ることもお笑いの方法として有りなんじゃないかなと勝手に思いました。色々と大口を叩いてしまいましたが、意味わからないところが個人的にはゆるくって癒されます。ではでは、失礼します。
2007-01-12 19:27:59【☆☆☆☆☆】目黒
なるほど!どんなギャグ漫画でもツッコミは必ずいますもんね。実は隆司をツッコミ役にしようと思ったんですけどまったく変な方向に行ってしまって、そうなりゃ監督だ!と思ったんですがなんかよくわからないツッコミを一回しただけで終わってしまいました。目黒さんも料理人シロウの時自分でツッコンじゃってましたもんね……。やっぱりそういうのをこっちがやらなくては駄目なのだと思いました。ありがとうございます!!
2007-01-12 19:58:14【☆☆☆☆☆】グルコサミン
読ませていただきました。僕も目黒さんと同じく、意味がわからなかったです。
よくわからない世界設定と流れ、ついていけませんでした。
全てをギャグと捉えれば楽しめるのか、それにしても僕にはできませんでした。

正輝の「とてもまっすぐなシュート」がキーパーに止められやすいというのに首を傾げてしまいました。
そもそも、シュートはカーブをかけなければまっすぐいくのが普通だし、とてもまっすぐなシュートを打てるなら普通は何本もゴールを決められると思います。
つまり、正輝はゴールに対してまっすぐ打っているのではなく、キーパーに対してまっすぐ打っているということ。
仮にもサッカーをやっている正輝が、何故そうするのか、理解しがたいです。
それと、誰にも真似できないと言ってある正輝のまっすぐなシュートを、味方側の選手だけでなく相手側の選手までも打っているということ。
プロのサッカー選手になりたいわけでもない正輝が、監督であるおじさんにお金を払ってまでサッカーを続けた意味がわかりません。

他にもありますが、ここまで書いて、こういうジャンルの小説には、こういうツッコミはするべきではないのかもしれないと感じたので、ここまでにします。失礼しました。
2007-01-12 23:17:59【☆☆☆☆☆】an
感想ありがとうございます! やはりツッコミがいないとただのわけのわからない話になってしまうって事ですよね。そしてanさんの言っている所ツッコミどころですね(笑)
次回はツッコミをがんばります!
2007-01-12 23:55:26【☆☆☆☆☆】グルコサミン
作品を読ませていただきました。う〜ん、とらえどころに苦しむ作品でした。正輝の性格を際立たせるなり、正輝・隆司の二人に関係なくちぐはぐな試合が進められている状況なり、なにか特異な部分を描かないと笑いには結びつかないと思います。戯れ言を失礼しました。では、次回作品を期待しています。
2007-01-14 23:39:09【☆☆☆☆☆】甘木
感想ありがとうございます! わかりました、いちよう今はつっこみを入れるってのを目標にがんばってみます!
2007-01-17 17:08:52【☆☆☆☆☆】グルコサミン
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。