『退屈という武器からは、誰も逃れられない』作者:寝緋魅 / t@^W[ - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
 退屈。それは、地位、名誉、何とも関係せずに、誰にでも、絶対に逃れられないこと。戦争と同じ。戦争だって、どうもがいても避けられない。 私は、退屈という武器に、開放されることは無かった。だから、私は――
全角8935文字
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原稿用紙約22.34枚
――?―― いろいろな人

 私、つまりルウという名前の私は、姫である。幼少時代、町へ出たとき、横を通ると「お姫様の生活、いいね。」とか、言ってくるけど、私は、「普通の生活しているの、いいね」と、問い返したくなる。いつもは、「そうですか?大していい事ないですよ」それで済ませる。
 私は、姫であるけど、本当につまらない、生活。外出ていいのは、日光に当たりに行くとき、それだけ。昔は、町へ出て行っても良かったのだけれど、隣の国では姫を盗み、金を目当てに脅す人が出てきた。
 だから私は、外の町に憧れた。普通の人に、憧れた。本当はいけないことだけど、押さえきれない、衝動。だから、私はやってしまったんだ。本当でも、もし、嘘だったとしても、言ったとしたら、いけない事を。世界中の何処の誰に行っても、いけない事を。

 此処は、ルウの居る町の、とある兄妹の居る場所。いわゆる、とある兄妹の、家である。
 辺りはもう日が昇っていて、いつもの風景になっている。もう、学生は皆学校へ行っていて、遅刻しそうな顔で走っていく人しか見当たらない。
「ねえ、まだ行かないの?」
「はは、ちょっとまってね。あと少しだから。」
「笑い事じゃないよ!本当に遅刻しちゃうよ?初日からこれでいいの?」
「大丈夫だって。睦は心配しすぎなんだよ。」
「阿ヰ真兄は遅すぎだって。もういい。私、一人で行ってるから。」
「ちょっと……」
 睦は、歩きながら、考え事をしていた。
 私は、いつだって単独行動をしていた。よく考えると、小学、幼稚園からかもしれない。グループ行動、と言うのは、実際学校ではしているが、作り笑いが多い。学校では、存在は濃い。皆から、頼りにされている。誰も、私の愚痴を言う人は居ない。と、友達は言う。でも、私は、そんなのを望んでいないと思う。私は、虐めとか、そういうのが好きではない。でも、やる人は、どんどん出てくる。止めることなんて、私が一緒に虐められて、相手が虐められなくなったときにだけ、初めて止められる。
 世の中なんて、どうせそんな道理なんだ。こう、一人で考えている時は、とても怖く思えるが、これは、私の中の話。外の私こそが、本当の私。思い込みであっても、そう、思いたかった。だから、私はいつもと変わらないで
「おはよう。元気してた!?今日さぁ、寝坊しちゃったんだよね。昨日、休みだったじゃん?だから、今日も休めたら……なんて思って!!」
「え!?睦が休んだら嫌!!」
「はは、よっぽどのことがないと、私は休まないよ!」
 此処は、いつもの教室。一人で、難しい考え事をしていた睦は、もう、何処にも居ない。

 此処は、この町の路地裏。一見、路地裏と聞けば汚いイメージがあるが、此処はそうでもない。ただ、場所がいいだけか、そういうことは、一切分からない。路地裏は、誰もが、入りたくない場所だからだ。
「おい、姫が逃げ出したそうだぞ。トペ、一緒に探して、大金を手に入れないか」
「悪ぃ、俺は、そういうことに興味はないんだ。本当に悪いな。アル」
 姫がどうのこうの、ってハナシが裏ではしてあるが、俺は実際、そんなことに興味はない。今、アルが話しかけて来たので、聞いたのは14回目だ。俺が興味のある事は、ほかの国にある、黒魔法の書。でも、この国から出るには、もの凄い努力をして、<通行所>を手に入れるか、悪魔に魂を売って、悪魔と一緒に、悪魔が居ることに苦しみを味わいながら、国の外に出、苦痛に耐え茂垣ながら一生を過ごすか。まぁ、誰もこんなこと、両方したくねーから、やんねぇけどな。俺は、維持でも外に出てやる。絶対に。でも、どうやろう……

 此処は、この町で唯一魔法が使える男の子が住んでいる家。
「陸……そろそろ……やめたほうが良いんじゃないかしら?今日も昨日も、やりすぎなんじゃない?」
「うん……分かったよお母さん。」
「分かったなら……やめたらどう?いつも言ってるけど、お母さん、魔法、あまり好きじゃないのよね。」
「うん……分かってるよ。一日に、耳にたこが出来るほど聞いてるよ」
「分かったらやめたらどうなの!?いい加減にしなさい!」
「五月蝿いなぁ!!だったら僕なんか生まなきゃ良かっただろ!?どうせお母さんには魔法のよさが分かるわけないよ。そんなに嫌なら、どっちかが出て行くしかないだろ?お母さんは幸せに暮らしていれば良いさ。<嗚呼……今日もアイツが居ないから、良いなあ!>って、のんびり言ってれば良いじゃないか。僕は、もう我慢できない。出て行くから。」
「ちょっと……そういう意味で言ったんじゃないのよ!!」
「アロケラ!!」
「ちょっと―「じゃあね、お母さん。どうか、お幸せに!!!」
 その声は、涙が混じっているのか、単に皮肉だったのか、本人でないと、分からない。
「嗚呼……どうしましょう……うぅ……」
 魔法使いが居なくなった子の部屋には、<お母さん>のすすり泣く、今にも消え入りそうな声が、ずっと続いていた。

 此処は、この町の城のすぐ近くの、路地。そこには、上品そうな服を着た、一人の少女がいました。
「私は、どうしてここにいるの?名前も覚えていない……どうしよう……」
 女の子は、とりあえず、近くにあるものを見てみました。どうやら、この国の言葉・文字は読めるようです。
 女の子は、順に、ポスターを見ていきました。
「エメラルドのお買い得……メロンはいかが……ロイター版はこちらがいいですよ……イルカサーカス!……アイスを買うならアイスマン……スイミングスクール……」
 女の子は、しばらくいろいろなポスターを眺めていました。そして、俯いて、考え事を、ほんの少しの間、していました。そして、ぱっと、顔を上げたとき、何かいい事を思いついた様な顔をしていました。
「私の名前、ポスターで決める!最初に読んだのは、エ メ ロ イ ア ス……
私の名前は、エメロイアス!でも本名と危険そうだから……エメ・アス!これに決めた!そうしましょう。私の偽名はエメ・アス」
 少女は、もしかすると、頭がいいのかもしれません。
 しばらくすると、少女はまた、当てもないまま 歩き出しました。

 その頃、城では、
「姫様が居ない!どうする?隊長!また、城下を探しましょう!」
「全く、どうしてこんな良い生活をしている人が逃げるのか、見当が付きませんね。どうしてしまったのでしょう。もっと沢山の応援を呼びなさい。そして、一刻も早く、姫を捕まえ、あの汚らしい町を好きにならない様、十分注意させなさい!」
「ハイ!!」
 この城の、隊長、エレナは、女性でありながら、短期間で隊長まで上り詰めた、とても凄い人。エレナは、今は亡き、元・この国の女王のプアルの写真を見つめていた。
「貴女も、沢山逃げ出しましたね。私は途中から入ってきましたが、ルウ様も沢山逃げ出しておりますよ。よく考えると、貴女様のおかげで、私は昇進できたのかもしれませんね。貴女様が沢山逃げ出してくれたからこそ、私は沢山移動し、上の方々に気に入られたのかもしれませんね。有難う御座いました。だから、私はあの時と同じ様に、ルウ様を、全力で見つけ出しますね。たとえ、この命、尽きようとも。」
 そういって、エレナは去っていった。

――?―― 出会い

 そのとき、エメロイアスは、裏路地を歩いていた。何せ、なにも覚えていないから、裏路地がどんな場所か分からない。その為、エメロイアスは、わけも分からぬまま、入っていた。
「うわぁ……なんだか、さっきと風景は違うわね。どうしてかしら?それに、なんだか薄暗いし、誰も居ないわ……」
「誰だお前ぇ?見慣れない顔だな……しかも、まだ餓鬼じゃねぇか。どうしたんだ?」
 エメロイアスに話しかけたのは幸運にも、先程の、トペだった。
「分からないんです。私も、どうしてここにいるのか。」
「そうか……だったら、俺と一緒に、町を出てみないか?」
「町を出るんですか?なんだか、面白そうですね。良いですよ。お願いします。名前、なんて言うんですか?私は、エメロイアス……」
「名前は覚えてたのか?俺はトペ。変な名前だろ?」
「いえ。私だって、自分でつけた名前ですもの。十分、変だと思っていますよ。トペさんの名前、とてもいい名前じゃないですか?」
「今は言い合ってないで、此処を出よう。エメ、腹減ってんじゃねぇのか?」
「エメ?何ですか?」
「エメのあだ名。長ぇから。」
「そうですね。行きましょう」
 こうして、エメとトペは、一緒に出かけることになった。この二人が会ったのは、この二人の今後の人生に、大きな影響を起こすことを、まだ、誰も知らなかった。
 そして、トペは、少しだけ、エメを、どこかで見たことがあったから、話しかけた、ということを、エメに隠していた。

 睦は、友達と一緒に、通学路を帰っていた。
「昨日の――あれ?あの子、どうしたのかな?」
 その一言で、友達は、全員、そっちを向いた。睦は、ただ、友達の高感度UPのために、その男の子のほうに向かっていった。
「うわー!!睦、優しい!やっぱり睦は凄いね。」
「そんなことないよ!!ただ、かわいそうなだけだから。」
 また、えらいね、という声がする。ヤッパリ、出向いたのは正解だった。
「どうしたの?こんな所で。座ってたら、服が汚れちゃうよ?」
「…………関係ないじゃん」
「でも、心配なの。」
「じゃあ、泊まるとこ、一緒に探して。」
「泊まるとこ……?でも、一人じゃきっとホテルの人も泊めてくれないから、私のうちで良いよ!真上におにいちゃんが居るけど……」
「分かった。……ありがと、お姉ちゃん。」
「どういたしまして。」
 このとき睦は、きっと一日すればかえると思っていた。でも、それはあたることは無かった。
 男の子は、何日経っても帰ろうとはしない。
「どうしたの?何で帰らないの?」
「……」
 このことに触れると、いつも何も話さなくなる。
「いい加減にしてよ!!」
 とうとう、睦が吹っ切れた。それは男の子もびっくりした。今まで、ずっとやさしかった彼女が、いつも起こらないから、ずっと同じ態度をとっていたら、いきなり……だったからだ。
「どうしていつまでもそうなの!?信じられない。彼方、本気で私がこんなに優しいとでも思った?私は、こっちが素、今までのは嘘なの。私は、こんなに優しいお人よしじゃないのよ!だから、いい加減教えなさい。何処から来たの?どうして此処に来たの?名前は?」
「……名前は陸。家から来た。家出した。」
「どうして家出したの?」
「…………何聞いても僕のこと嫌いに成らない?追い出さない?」
「うん。だから教えて」
「僕は、生まれつき白魔法と黒魔法が使える人で、お母さんが魔法が嫌いで、いろいろもめて、喧嘩になって、ランダムでどこかにいける呪文を唱えて、此処に来た。だから、何処でもお母さんから離れられれば良かったから、別に此処じゃなくてもよかった。ただ、魔法で来ただけ。」
「へぇ……魔法って、本当にあるんだ。」
「信じてくれるの?」
「だって……辻褄合うし……」
「有難う。さっき、怖いのが素っていったけど、絶対お姉ちゃん優しいよ。名前、なんていうの?」
「睦。なんか、男の子みたいな名前でしょ?」
「ううん。大丈夫。」
 睦は、一人暮らしの家から、二人暮らしに変わった日だった。

 人は、どうして、こう自分しか責めないのだろう。もちろん、私だって他人を攻めたことは無い。高感度をあげるためには、そうできなかった。今までは。でも、今は違う。自分の気持ちに、正直になれる。それも、すべて陸のおかげだ。もう、私を<いろいろなことが出来て、頭の良い、優しい人>と思っている人は、友達なんかじゃない。ただの、クラスメイトだ。私を<友達>と思ってくれる人で無いと、私は、もう、友達とは思わない。
 そうだ。紹介しようか。「私の一番の友達。」いや、親友、かな。名前は、陸――――

――?―― 企み

 此処は、外の世界に一番近い、通行書を見せて外に出ることの出来る場所。名前を、エリナスという。場所は、誰も居ない、町外れのような場。ゴミも散乱してあり、血痕の後のようなものもある。よく見ると、白い固い石のようなものも落ちている。もしかすると、骨かもしれない、という予想もつく。とにかく、誰もが、寄りたくないような場所だ。
「嗚呼……今日も誰も来ないな兄弟!!」
「そうだね兄弟!!」
 人気のないエリナスから、同じ様な声が聞えてくる。反響しているから、1人で言っているのか、2人で言っているのか、よく分からない。
 だが、やはりそこは、汚い場所でしかない。
「誰もが、通行書を探しているんじゃねえのか?そう思わねえか兄弟!!」
「俺も同じ事を考えていたぜ兄弟!!」
「「やっぱ俺らってサイコー」」
 ギャハハハハ、という声が、また、反響している。今の会話で2人で話しているものだと思われる。
「通行書なんて、名前だけなのにな兄弟!!」
「あるわけないのにな兄弟!!」
「毎日必死こいて、全員が全員、探しているんだろうな兄弟!!」
「そうだったらめっちゃウケるな兄弟!!」
 ギャハハハハハハハハハハハハ という声が、ずっと聞えていた。
 汚いゴミ山の中で、ずっと、途絶えることなく――――

 エレナは、なるべくなら、自分で姫を探し出すことは、したくなかった。なぜなら、自分の意思で、「御免なさい」と、言える人になってほしかったから。連れ戻したとなると、自分の意思関係なく、強制的なので、「御免なさい」は、嘘でも言える。それは、自分で帰ってきても嘘で御免なさいはいえるが、自分で帰って来るとなると、城にいない辛さが分かるはずだからだ。
 でも、エレナの期待は、永遠に、叶うことはない。
 エレナは、信用する部下が居た。何でもテキパキやるし、屁理屈など言ったことがない。名前はエドラ。女性です。また、エレナは、エドラに対し、自分に近いものを感じていた。女性でありながら、短期間で、自分は隊長に、エドラは上等兵に。まだ、入ったばかりだから、さらに昇進するという噂があった。
 エドラは、エレナを、とても尊敬していた。
 それは、エレナを、隊長としてではなく――――

――?―― 出会い

 トペは、常日頃から、情報を仕入れるために、図書館へ行っていた。どうして図書館かというと、無料で入れて、いろいろなことが出来るからだ。大して無い金のことを考えると、そうするしかなかった。
 パソコンを調べるうちに、新聞である重大な事を見つけた。それは、自分にすると、ありえないほど、うれしいのか、悲しいのか、分からないものだった。見出しはこう。
「○×町の 唯一白魔法、黒魔法が使える 男の子 脱走」
 トペは、黒魔法が常日頃からやりたいことだったから、居場所を見つけようかと思った。見つければ、もちろん大金が手に入るが、そういう問題ではない。黒魔法を教えてもらえる、ということだ。
 今から早速行こう、と思ったが、駄目だ、と意見を切り替えた。
 今の住処には、エメが居るのだ。あんな、12〜5歳位の女の子が、長旅に付き合えるはずが無い。自分は、まだ20だが、お金が無かったため、いろいろな所を歩き回った。だから、嫌と言うほど体力と精神力は付いている。
 ―エメに話してみようか―
 甘い考えが頭を過ぎる。駄目だ、自分の野望や夢のために、女の子一人分の命を無駄には出来ない。同じ新聞で、見出しが出ていた。
「この国の皇女、ペットランド・ルウ姫逃げる」
 また、誰かが逃げたのか。そう思って、先ほどの問題を忘れようとしていると、もっと重大なことを見つけしまった。さっき、甘い考えに負けて、図書館を出ていたほうがましだった。内容は
<先日いきなり城から消えたルウ姫は、現在行方不明。まだ、場所が分からない様子。町の者によると、ルウ姫らしき女の子が路地裏に入っていった様子。ただ、服に少し違いがある。本当に姫なのか、見間違いだったのか。路地裏に入っていった女の子は、誰かと話していた様子。
 ルウ姫は、両親共々居なくて、途方に暮れてしまったのかもしれない。
 ペットランド・プアル女王は、一年前に何者かに殺害されて死亡、ペットランド・アル国王は何者かに連れ去られて消息不明。現在も何処に居るかは分かっておりません。少ない可能性にかけて、お父様を探しに行った、という噂も早くも流れております。>
 そんな……どうして……路地裏と言えばエメとあった場所じゃないか。しかも、エメが入ってすぐに、話しかけたことも事実だ。
 もしかしたら、エメが、ルウ姫なのか……?
 どこかで見たことあるといえばあるが、くそ、どうしてルウの写真が載っていないんだ……くそっ。もし、父を探しにいったんだとしたら――――
 もういい。俺は、エメを連れて、この町を出る。ほかの町に行くしかない。

 そして、俺は住処に行ったと同時に、エメを連れて行ったんだ。エメは、まだ、幼いというのに、エメにはまだまだ早すぎる、闇の世界へと、引きずり込んでいってしまったんだ。
 エメ、ごめん。俺が――――
 とりあえず、魔法の少年を探すフリでもしてれば、怪しまれないかな。エメは、頭が良いから。あって間もないというのに、もう、知恵を借りている。
 俺は、なんて無力なんだ。なんて、非力なんだ――

「そろそろ、家に帰ったら?お母さん、心配してるんじゃないの?」
「……いいの。お母さんは、僕を嫌いなんだから。」
「そうやって、お母さんの気持ちを勝手に決め付けることしない」
「だって……いつも、僕に怒ってばっかりなんだよ?」
「それは、いつも陸を心配していたからだって。いつも、魔法いっぱいやっていたから 注意したんでしょ?よく考えてみなよ。そんで、よく思い出してごらん。例えば、自分が何時間も魔法やってたときだけ怒ったとか……ね?」
「うん……」
 それから陸は、部屋から丸一日出てこなかった。たまに、うめき声が聞えた。

 明日、陸は、家に帰る、といった。でも、悲惨な出方をしたし、ずっとお世話になってたから、一緒に来てっていわれた。学校は、サボることにした。イケナイコトだけど、親友のために、仕方なく、だ。電話もした。風邪だ、って。
 私は、正直、うれしいのか楽しいのか解らなかった。それは、親友が家に帰って、お母さんと仲良く暮らすのは、毎日願っていたことだ。でも、私は、普通に生活して行けるだろうか。絶対に、イキケはいけない。だって、いつもご飯とか量多く作っちゃいそうだし、布団だって二枚しいてないと安心出来なそう。
 どうしよう……
「どうしたの?睦?僕……何かした??」
「え?」
 築くと、私は涙を流していた。どうしてだろう……
 ――強引にでも帰すなよ―― ――帰した方が良いんじゃない?だって、陸の幸せのためなら――

「ううん。なんでもない。玉葱が眼にしみただけ。」

 天使と悪魔――本当に考えると出てくるよね。どうしたら良いの――

 次の日は、容易く来た。誰も、今日がどんなことが起こるのか、まったく予想もしていない。たとえ、今日、交通事故で死ぬとしても、会社で昇進するとしても、誰も、そんなことは、「願望」でしかない。後は、「こんなことがおきませんように」という、願い。やはり、願望でしかない。「予想していない出来事」が起こる事だって、ある。ただ、「奇跡」なんて有る訳がない。だから、私は「奇跡」は、頼らなかった。どうしても、どうあがいても、奇跡なんて無いことを知っているのは、私だから。今まで、奇跡なんて無かったんだ。奇跡は、自分を不幸にするためにしか、無いものなんだ。いつも、そう思う。だって、両親が死んだのだって、「奇跡」が起きてくれなかったんだから。もし、「奇跡」が有ったのなら、それは、両親を殺した、トラック運転手が生きていたことくらいだろう。結局、どうしても、「奇跡」は無いのだ。
 だから、私は、「願い」も、「奇跡」にも助けを求めず、ただ、自分に助けを求めた。
 結論は、「陸が決めたんだから」
 そう。それで、おしまい。私は、これからどうやって生きていこうか……陸がいない、この世界で、どうやって、生きていこう。だったら、陸の居る町に、引っ越そうか。ストーカーに思われるかな?嫌われるかも。フフ……いっそのこと、死のうか。自殺?どうでも良いけど、死ぬなら、安楽死が良いな――

 と、くだらないことを一人で考えていると、突然、光に部屋が囲まれた。
「何!?何なの!?――」

 そこで、睦は意識を手放した。
 最後に言った言葉は、人の名前だが、陸では無かった。それ以上は、何も――


 光が消えた後、睦の部屋には、誰も、居なかった。

 誰も。





「いったぁ……ここは何処なわけ?あたしを此処に連れてきた奴誰だよ!?出てこいよ?」
「やっとお目覚めですか?目覚めの悪い姫さまだ事。」
「誰?何が目的なの?身代金?悪いけど、私両親いないよ??」
「そういうことではない。陸 に一番近い存在が、お前、だったからだ。」
「は?」
「だから、我々【クリケプチ】という組織には、陸の存在が必要なのだ。」 
2007-01-06 19:06:33公開 / 作者:寝緋魅
■この作品の著作権は寝緋魅さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
まだ書き終わっていない、途中物です。御免なさい……
今後、いっぱい増やしていく予定です。
初めて書いたので、まだまだな所が沢山ありますので、いろいろ教えていただけると光栄です。
単純なハナシなので、先が読めてしまうかと思いますが……Orz
では……
この作品に対する感想 - 昇順
はじめまして、読ませていただきました。
世界観やキャラクターの設定などしっかり考えていらっしゃって、物語の世界に入り込みやすいです。ただ、会話文をだーっと続けていくのではなく、キャラクターがどんな気持ちで、どんな表情で、何をしながらその言葉を言ったかを間に入れていけば感情移入もしやすくなると思います。そのほかの文も、世界やキャラクターの境遇(冒頭近くの陸の孤独癖など)の説明は、町の風景などの描写を加えながらさりげなくすれば浮かなくなるのではないでしょうか。
未熟者がいろいろ偉そうに言って申し訳ありません。素敵なお話なので、続きを楽しみに待っています。
2007-01-03 21:13:43【☆☆☆☆☆】キイコ
キイコ様、素敵なご意見、有難うございます。
次はもっといろいろな所に気を使って書いてみます。学習機能の無い私ですが、がんばってみます。有難うございました。
2007-01-04 13:38:12【☆☆☆☆☆】寝緋魅
初めまして、でしょうか。祟られる者です。

物語自体はうまく進んでいますが、やはり会話文が先行し過ぎて描写が足りないと思われます。
筆者の脳内に広がる描写が、読者の脳内にも広がるようにするのは中々難しい事ですよね。

短いですが次回更新に期待をしまして、感想とさせていただきます。
次回更新に期待しております〜(’’
                                  
2007-01-19 22:24:05【☆☆☆☆☆】祟られる者
計:0点
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