『鏡と隣り合わせ  ー第二章ー』作者:みーな / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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キーンコーンカーンコーン・・と、今日に限って、とてもうるさくなったチャイム。

それが、今回の事件に関係しているとは、誰も思いはしなかっただろう。

「あ!私のお化粧ポーチがない!」
一人の小柄な、女の子が、きちがいの様に叫んだ。
「私の、大事なミニミラーもよ・・・。」
お上品な女の子が、静かに言った。
「私も!」   「私も・・・。」
  「あたしも」          「うちもや。」

皆が口々に言う。
皆が盗まれたものの共通点は、「鏡」だった。
お化粧ポーチには、鏡が入っていたし、ミニミラーは、鏡そのものだ。
他の子たちも、「ミラーシール」や、「鏡もどき」など、持って来ていたのだ。
それを、一斉に盗まれたのだ。
大変な事件だ。

ただ一人、被害に遭わなかった女子がいる。
それは、『ありさ』。
ありさは、自分の顔を学校で見ることは、まずないので、鏡など、持ってきていてもしょうがないのだ。

   家にいるときは、わからないが。

しかし、同じ、「鏡」でも、なぜか、景一の鏡は、盗まれてはいなかった。
紺色の縁取りの、小さな手鏡は。

女子達は、景一とありさを責める。
「ねえ。おかしいんじゃない。」
ブーブー・・と、周りから声が聞こえる。
「近藤さんと、佐々木君だけ、どうして被害に遭わないのよ。」
冷たい視線を浴びるありさと景一。
景一が、机をバン・・と、思い切り叩く。
「何だよ!自分達が、ちゃんと管理してなかったのが原因だろ!人に罪を押付けるんじゃねえよ!」

   その後の教室は、しん・・・と、静かだった・・・。

そう、とても。
ひそひそ・・と、女子達が何かを言っている。
ありさはそれを聞き逃さなかった。
「ねえ・・絶対、近藤さんじゃない・・?」
「鏡持ってないから、あたしたちの使ってるのよ、きっと。」
「そうだわ、そうだわ。」

 こんどは、ありさがバン!と机を思いっきり、叩いた。
その音は、教室中に響き渡った。
「何・・・あんた達・・・。あたし、鏡なんて、学校で使わないし・・・。馬鹿じゃないの・・・?」
ありさの、冷たい声が、響いた。

でも、表情は、やはり、何一つ変えない。
無表情で怒っているのだ。
女子達は、一目散に逃げていく。
はあ、とため息をついてから、席に着くありさ。




   放課後のこと・・・・。
「近藤。」
そう、ありさを呼び止めたのは、景一だった。
「今日、俺の家、これる?お前ん家の裏の横なんだけど・・・。」
ありさは、少し考えから、「いいよ。」とOKした。

それが、あの、きっかけだった。
景一宅・・・・。

景一の部屋を、見渡すありさ。
「すごいね・・・。」
景一の部屋は、綺麗さっぱりに片付いていたのだ。
部屋の真ん中には、大きな綺麗な鏡があった。
三面鏡だ。

「ねえ、鏡に触ってみていーい?」
何気ない、ありさの一言だった。
はっとしたように、眉間のしわがよる、景一。
しかし、気づいたときにはもう、ありさは鏡に触れていた。
「ダメだ!近づくなあぁ!」

ポチャン・・・・。
「いやぁ・・・!」
無表情のありさの手は、鏡に吸い込まれていった。
どんどん吸い込まれるありさ。
鏡は、どんどんありさを吸い込もうとする。

『こい・・・もっとこっちに・・・。』

何者かの、低い声が聞こえた。
「ヴィダルッシュ様・・・?!ヴィダルッシュ様・・・・!」

景一がそういい終わったときには、もう、ありさの姿はどこにもなかった・・・・。

ヴィダルッシュとは・・・いったい・・・・。
2003-11-11 15:50:09公開 / 作者:みーな
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■作者からのメッセージ
ありさはいつでも無表情。(いまだに)
ヴィダルッシュっていう名前は、適当につけました(はあ!)
でも、なんかいい感じだと・・・
たぶん次回くらいに登場するかも。
ではこの辺で〜
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