『真珠奇譚【マリキタン】』作者: / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
高田和人19歳。二浪中の予備校生。頭にできたタンコブと、下心を抱えて病院に行く。目当ては美人の女医さん。しかし彼女は内科医だった。 訳も分からぬまま、男の身で妊娠、出産し、報われない子育てに翻弄される彼の運命は。そして生まれた我が子に、彼は――。
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原稿用紙約16.35枚
「妊娠ですね」
「えーと、あの……」

 高田和人は、女医の冷静な言葉にうろたえた。
彼の頭にできた大きなタンコブを診て、真顔で妊娠だと言う。

 数日前、頭をひどく打った。その時はあまり痛みを感じなかったのだが、頭にできたタンコブの痛みは、次第に我慢できないものになっていった。ずっと痛みが続くわけではない。痛みと痛みには間がある。激しく痛みを感じた後は、嘘のように痛みを感じなくなる。その間隔が、徐々に短くなり、短くなるにつれて、痛みは増した。
 最初は小さかったタンコブも、まるで成長しているかのように毎日少しづつ大きくなった。今ではその大きさが夏みかんほどになっている。
 頭が重い。タンコブは左の側頭部にある。なんとなく体が左に傾いたままになるのを、意識的に体を右に傾けてバランスをとらなければならないほどである。そのせいか、肩こりがひどい。背中、腰にも痛みを感じるようになっていた。

 そこで、近所の内科を受診することにした。何故内科なのかというと、女医が美人だからである。ちょっとセキをしても、食べ過ぎて胃がムカムカしても、彼はここへ通った。その美しい顔を拝むだけで、なんだか幸せな気持ちになるからであり、そしてあわよくばという不順な動機が、彼をそうさせるのであった。
 彼は激しい頭痛にも負けず、妄想した。彼女がその美しい顔を、何しに来たんだと言わんばかりに嫌そうにしかめたとしても、大きなタンコブを「なでなで」ぐらいはしてくれるのではないか……と。しかし、診察の結果は、彼の予想とは大きく違っていたのであった。

「先生、順調ですか? 」
 高田和人は、話を合わせることにした。それが無難であろう。先生はきっと、ひどく腹を立ててブラックなジョークを言っておられるのだ。頭を打撲して内科を受診するなんて、ストーカー行為以外の何ものでもない。叱責されずに済んだだけでも、先生の心の広さに感謝すべきだろう。そう判断したからである。

「ええ、とっても」
 見目麗しき女医は、高田の目をまっすぐ見つめて微笑した。美しい人の笑顔の、さらに美しいことといったら、ない。高田は頭痛をも忘れて、うっとりとその顔を眺めた。

「ただ、赤ちゃんは順調に育っていますが、場所が場所なので自然分娩は難しいかと。今すぐにでも、手術で出産した方がいいと思います。」
 高橋和人は、再びうろたえた。ここはどう答えるべきだろうか。意味なく周囲を見回すが、助けてくれそうな人は誰もいない。
 女医は、高橋の顔をまっすぐ見つめながら言った。
「自然分娩にこだわりますか? 」
「いえ………特には」
「では、今から手術します。一度家に帰って、入院の用意をして戻ってきてください。自宅の方には、こちらから連絡を入れさせていただきます。初産で緊張するのは分かりますが、気楽に構えてくださいね」
「あ、ありがとうございました」
 高田は何のことやら分からないまま、礼を言った。

 玄関を開けると、母親が仁王立ちで待ち構えていた。昔、近所のスーパーで万引きして、家に帰ったときと同じ状況である。
「カズちゃん! ママ、びっくりしちゃったじゃないの! 一体誰の子なの! 」
自宅に電話で連絡を入れると言ったのは、脅しではなかったらしい。
(冗談をここまで徹底的にやるとは。先生美人だけど結構怖いなぁ……)高田和人は冷や汗を流した。
「誰って言われても……」
「分からない? 二浪中の予備校生の分際で、どこまで無責任なの!」
「無責任って言われても……」
「もう臨月なんでしょ。ママに一言相談してくれてもよかったのに」
 母は涙声になっていた。そして、ハンカチで目頭を押さえながら、足元に置いてあった大きな鞄を息子に渡した。
「入院の用意しておいたから。頑張るのよ」

 鞄に何が入っているのかは分からないが、持って歩くのもやっとの重さである。
 高田和人は再び病院に戻った。とにかく先生に謝ろう。謝れば、許してもらえるかもしれない。万引きしたときでさえそうだった。何度も何度も泣きながら謝ったら、最後には許してもらえた。だから、謝るしかない。

 目覚めると、高田和人はベッドの上だった。
(ここは………?)
あたりを見回す。個室のようである。隣にしつらえられた台の上に、昔金魚を飼っていた時に使っていた、大きな水槽が見える。鞄の中身はこれだったのか?
 水のない水槽に、マリモのような、ふさふさした緑色の球体が浮かんでいる。メロンほどの大きさをしたそれは、意志を持っているかのように、水槽のなかをゆっくり動き続けていた。
 頭が痛い。タンコブがあったところに手をやると、そこにタンコブはなく、大き目のガーゼが当てられて、ネットで固定されていた。

 軽いノックの後、ドアが開いて、女医が入ってきた。
「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」
先生は水槽の中のマリモをそっと手に取ると、その物体に優しく微笑みかけ、ベッドの上の彼に手渡した。戸惑いながら受け取ると、マリモは突然、奇妙な音をたて始めた。動物か何かのうなり声のようである。彼はぎょっとして、マリモを投げ出しそうになった。

「ママのおっぱいが欲しいのよ」
「おっぱい? 」
「要するに、血液よ。母乳は血液から作られるけど、あなたは男性だから」
「えっ? 」
「大丈夫。出産後はちゃんと余分に血液を作って、それを赤ちゃんにあげるから、体には影響ないの」
 マリモは、何かを探すように彼の体を探り始めた。そして、この物体の本能がそうさせているのか、彼の鼻の頭に吸い付くと、そこから血を吸い取り始めた。
痛くはないが、今までに味わったことのない感触である。
 マリモはふさふさして、肌にくすぐったく、人と同じくらいの体温を持っていた。

「泣いたら好きなだけ飲ませてあげてね。もし、母乳用の血が足りなかったら、輸血用の血液を回すから。その時は遠慮なく言って下さい」
 女医はそう言うと、呆然としている彼を病室に残し、颯爽と去っていった。

 これは、どこまでジョークなのだろうか? 
 得体の知れない物体と、現実から切り取られたような空間の中で、高田和人は途方に暮れた。
 マリモは和人の鼻の頭から血液を吸い、満足するとふわふわと浮く。浮いたままにしておくと、壁や天井にぶつかって泣くような音を出す。危ないので、水槽に戻す。そうすると、ゆらゆら揺れながら、眠りにつく。その姿を眺めていると、彼はなんだか穏やかな気持ちになった。この緑色をした物体が、この世で一番愛らしいもののように見えた。

 病室ですごす時間は、単調そのものだった。何日も何日も、高田和人は、マリモに鼻先から血を与え、子守唄を歌って眠りにつかせ、泣き止まないと根気良く抱き続けてあやしてやった。それだけで一日が過ぎていく。
 病室には、一日に3回、7時、12時、6時と、同じ時間に食事が運ばれる。一日一回、10時に先生の往診がある。そして、9時半消灯。
 何日経っても、家族も誰も、見舞いには訪れなかった。電話はあるが、外部とはつながらない。
 窓の外には見慣れた町が広がっている。しかし、自分のいる部屋が病院のどのあたりなのかを考えようとしても、全く分からなかった。眼下に見下ろす町は随分下の方にあるようだ。病室は何十階もあるビルの一室なのかもしれない。そうだとすると、ここは何階なのだろうか。

 いつ退院できるのだろうかと思いながらも、彼はそのことについて、自分からは尋ねようとはしなかった。頭のガーゼはとっくに外され、手術の際にそり落とされたらしい頭髪も、いつしか生え揃った。
 退院すれば、このマリモを家に連れて帰り、自分一人で育てなければならなくなる。自分が出産したわが子、わが娘であるのだから当然である。この人の形とは明らかにかけ離れた、物体じみた赤ん坊と、その親である自分は、周囲からどんな目で見られるだろうか。母は、やはり怒り出すに違いない。
謝っても、今度は許してもらえないかもしれない。
 誰の子かも分からない上に、頭部で妊娠し、男が出産し、血を飲んで成長する赤ん坊である。人々の好奇の目にさらされて生きていかねばならないだろう。その恐怖に、彼は一人怯えた。そんな世界に戻るのは怖かった。

 彼はマリモに名前をつけた。真珠と書いて、「まり」真珠のように美しく、健やかに育つようにという心を込めて。
「お前は、高田真珠だぞ。真珠と書いて、まり」
和人は、言葉を発しないマリモに話しかけた。
「俺は、お前のママで、パパだぞ」
 真珠はやはり何も反応しなかった。真珠の体は完全に球体であり、ふさふさの緑色の体毛に覆われていて、相変わらず、どこが目で、どこが口だかも分からない。
 最近は、離乳食もすこしづつ口にしている。離乳食は高田和人の肉である。ある日、いつものように母乳代わりの血液を吸っていた真珠は、その鼻先を、ガブリと齧り落としたのであった。
 和人の鼻先は、その後ほどなくして再生した。女医によると、彼の体は、真珠に血液を吸われることによって体質が変わり、真珠に食われた部分は、組織を失っても痛みもなく、すぐに再生するのだそうだ。
 真珠の食欲は日増しに旺盛になっていった。彼は、ほとんど骨だけにされてしまうこともあった。それでも、自分の肉を食らい、内臓を引きちぎって大きくなっていく真珠を、彼は心から愛しく感じた。
「一杯食べて、大きくなるんだぞ、真珠」

 今や真珠は部屋一杯の大きさまでに成長していた。
 高田和人は、ただ、真珠の成長を望んだ。自分はどうなってもいい。真珠さえ幸せになってくれたら、それでいい。
 一方真珠の方はというと、いつまで経っても感情を外に表すこともなく、言葉を発することもなく、球体を大きくしていくだけであった。

 ある日、何の前触れもなく、突然真珠は変化した。何も食べなくなった。緑色の体毛はみるみる縮れて茶色く変色した。そして、次第に小さくなっていった。部屋一杯まで成長した真珠が、スイカほどの大きさまで縮んで固くなった。
高田和人は、必死の形相で女医に詰め寄った。
「真珠は、真珠はどうなってしまうんですか!? 」

 入院してから、地球上の時間に換算すると、20年の月日が経過していた。カレンダーとテレビと鏡のない病室から一歩も出ることなく、出たいとも出ようとも思わずに、真珠とここで過ごした日々が、高田和人の全てだった。
「あの子は、大人になるのよ」
20年経っても、20年前の美貌のままの女医は、そう宣告した。

 茶色く変色した球体は、何日かすると、音を立ててひび割れた。
「今までお世話になりました。お父さん、ありがとう。真珠は幸せだったよ」
目の前で、美しく輝く光が煙のように立ち上った。その光はきらめくだけだったが、彼には、真珠がそう言っているような気がした。
 茶色い物体は、穴の開いた風船のように、しゅうしゅうと音を立てて小さくなった。そして、光と皮だけになった真珠は、そのまま跡形もなく消えてしまった。

「真珠、真珠! 」
高田和人は泣きながら両手を伸ばした。その手を誰かが握った。女医だった。
「真珠は、どうなったんですか!? 」
女医は黙って首を振った。
「あの子はもう、行かなくちゃいけないの」
 彼は絶望した。真珠のいない病室は、空虚そのものだった。真珠がいたから、ここにいたのだ。真珠がいない今、この病室にいる意味はない。ここに今までいた意味もない。

 高田和人は、泣きながら謝った。誰に何を謝っているのか分からなかった。とにかく、ごめん、ごめん、俺が悪かった、本当にごめん。それだけを繰り返した。泣きながら、眠った。


目覚めると、高田和人は、病室のベッドの上だった。
(ここは………?)
 心配そうに彼をを見つめている母と目が合った。。そのそばに、女医がいた。緑色の、ふさふさした球体を抱いていた。
「真珠! 」
高田和人が、手を伸ばすと、女医は彼にその物体を渡した。それは、動物じみたうなりごえをあげた。
「よしよし、おっぱいだな」
赤ん坊に微笑みかける彼を見て、二人の女は、顔を見合わせた。
 その時、彼の頭に、鈍い痛みが走った。思わず頭に手をやる。
 女医が高田の腕から、真珠を抱き取った。
「無理しないで。ゆっくり休むのよ」
母が言った。彼は、再び眠りについた。

 それから後は、目覚めるたびに、彼は少しづつ入院前のことを思い出していった。
 美しい女医だと思っていた人は、彼の通っていた予備校の講師だった。7歳年上のその人から妊娠を告げられたとき、彼は言い様のない衝撃を受けた。美しい彼女に付きまとい、執拗に交際を迫ったことなどは忘れて、自分のことしか考えられなかった。誰にも言わずに、産まない選択をして欲しいと懇願した。
 母に知られたら、きっと怒られる。万引きをした子どものように、彼は母に叱られるのを恐れた。
 彼女は、真っ赤に泣きはらした目で彼を見つめ、言った。
「家に、電話するから」

 高田和人は、彼女から逃げた。あてもなく自転車を走らせて街をさまよった。家に帰れば、仁王立ちの母が玄関で待ち構えているような気がした。
 いつしかあたりは薄暗くなり、そして夜になったが、彼はぼんやり走り続けていた。走りながら、決心した。とにかく、謝ろうと。彼女にも、母にも、謝ろう。謝れば、許してもらえるかもしれない。そう思うと、心が少し軽くなった。彼は、勢い、ペダルをこぐ足に力が入った。自転車はどんどん加速した。
 加速しながら緩やかな坂を上る。しかし、反対側が急な斜面になっていることには気が付かなかった。彼はそのまま急な坂道を駆け下りて、暗闇の中で気配もなく立っていた、歩道橋を支える柱に激突した。頭をひどく打ちつけて、意識を失った。
 
 命に別状はなかった。しかし、彼はその目を開いても、元にはなかなか戻らなかった。
 食事を自分で取ることができようになり、身の回りのことも自分でできるようになった。それでも、眠りからは覚めていない様子であった。話しかけると答えることもあったが、意味の分からない言葉を、宙に向かってうわ言のようにしゃべっていることの方が多かった。
 彼の瞳に光はなく、何か違うものを見て、違う世界に生きているようだった。

 予備校の講師は、毎日見舞いにやってきて、少しづつせり出していく腹に、彼の手を当ててやった。月満ちて無事に女児を出産すると、「真珠と書いてまり」と繰り返す彼の言葉どおり、娘にその名前を与えた。

 完全に現実への生還を果たした高田和人は、その後しばらくして退院した。退院後も、時折激しい頭痛に苦しめられ、手足に少し不自由が残った。
 大学進学は諦めることにして、狭いアパートで、彼は家事や真珠の世話をして過ごすことにした。彼の美しい妻が予備校で働き、生計を立てている。
 人の形をした真珠が泣くと、血の代わりにミルクを与えた。家中を這いずり回るようになると、真珠は生えてきた小さな歯を父の鼻先に立て、笑った。人間用の離乳食を食べさせてやりながら、彼は娘に何度も優しく言い聞かせる。
「いっぱい食べて大きくなるんだぞ、真珠」

 真珠の笑い声が、部屋いっぱいに広がる。輝く光のように幸せな笑顔を残し、いつか自分のところから旅立つであろう娘。父はそっと、自分の心が一度は見た未来を振り払い、丁寧にしまい込んだ。
 そして、さあもう一匙お食べと、柔らかくした飯を掬う。そして、ゆっくりゆっくり、娘の口に運んでやった。
2006-09-25 18:12:04公開 / 作者:碧
■この作品の著作権は碧さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
登場人物に感情移入せず、客観的に書くことに努めてみました。
もっと短くまとめたかったのですが、思ったよりも長くなってしまいました。

読んで下さった方に感謝します。
感想、ご指摘など、お待ちしております。
この作品に対する感想 - 昇順
作品を読ませていただきました。
今回の作品は、今までの碧さんの作品とは少し違って、ブラックでしたね。母乳が血液からできていることや、左の脳の障害が手足にくることなど、よく勉強してるんだなぁと感じました。ただ、側頭部ではなく、左脳の頭頂部だったらもっとリアルだったと思いますが。途中で内科の女医が出産させるなんて……と思いましたが、後のストーリーを読めば全て繋がりました。いやそれにしても、気持ち悪いと思わせる描写が上手ですね(褒めているつもりです)。
碧さんは、登場人物に感情移入せず、客観的に書こうと思ったんですね。それは大成功だったと思いますが、結果的に私は“何だかよくわからないな”という印象を受けました。すごく失礼なのですが、読み終えた後に、何も心に残らなかったのです。ただ、作品としては面白いなと感じました。
2006-09-24 11:55:13【☆☆☆☆☆】目黒小夜子
>目黒小夜子さま

私、ブラック大好きブラック人間なのです。この話は、三日ほど前に、電子レンジの扉で左側頭部を強打して思いつきました。(まだ痛いんですよ)妊娠させておいて、子育てから逃げた男は、地獄に堕ちた後、『妊娠出産地獄(妊娠出産を繰り返して餓鬼を増産)』とか『餓鬼育児地獄(不眠不休で餓鬼の育児に明け暮れる)』を味わえばいい、とか、そんなことばかり考えています。
 薄味に仕上げようとした結果、味がなくなってしまった、ような仕上がりになってしまいましたね。で私の怨念はかなり入っていますが(笑)うーん、書くのって難しい。でも、面白い。それにしても、目黒小夜子さんは、詳しいんですね。左脳頭頂部が手足に影響を与えるなんて、全然知りませんでした。手術のシーンも書けそうもないので飛ばしましたもの。感想ありがとうございました。とにかくいろいろ書いてみようと思っています。これからも宜しくお願いします。
2006-09-25 07:34:43【☆☆☆☆☆】碧
奇妙で興味をそそる展開ですね。
主人公以外はいたって真剣に心配したりしている。その対比が面白いです。

そして、その主人公も戸惑っている割にはまりもに名前を付けて可愛がっていたりして、
思わずクスリと笑ってしまいました。
そのあとの展開に思わず息をのみます。

とても面白い設定でしたが、オチがちょっと平凡だったように思います。
でもそれは川上弘美さんのような奇妙な小説なんだという思いこみが私にあったせいだと思います。
2006-09-25 16:44:30【☆☆☆☆☆】読みました。
>>碧さん
電子レンジの扉で!? それはさぞ痛いことでしょうね。大丈夫ですか? でも確かに、“女を苦しめる男なんて、地獄に落ちてしまえ!”と思う気持ちには激しく同感です(笑) 男性の方々に対する軽い教訓ととれば、すごく納得のいく話ですよね(^^)
詳しいだなんてとんでもないです。それから、左脳だけでなく、右脳でもおそらく同じことが……。すみません、勉強不足でした。頭頂部には、体性運動野(運動を司る場所)や体性感覚野(皮膚の感覚など)があるらしいんで、てっきりその部分が傷害されたかと思ったのです。解剖的な話をしてもつまらないですよね;;でも、ブラックな話を追求するうえでは、軽い気持ちで解剖学を紐解くのも良いかもですが(笑) 手術は、術式やら麻酔やらを調べ出すとキリがないので、書かなくて正解だと思いますよ(個人的に)。これからも期待しています。では、乱文失礼しました。
2006-09-25 21:21:20【☆☆☆☆☆】目黒小夜子
>読みましたさま

川上弘美さんの小説は読んだことがないのですが、今度読んでみたいと思います。奇妙な小説、好きなんですよ。興味をそそられます。私はあんまり無茶なことは書けないというのか、どうやら現実の枠を超えられないみたいです。主人公を殺すか生かすか、どっちにしようか悩んだのですが、20年も地獄で子育てをさせた後だし、やっぱり生き返らせてやろうかと、お情けで現実に戻してあげました。感想ありがとうございました。

>目黒小夜子さま

私のタンコブの痛みは随分治まってきました。お気遣いありがとうございます。
手術を書くのはやっぱり難しいでしょうね。麻酔一本打つのだって、素人の私には一体どこに打つのか分からない。頭の手術だからって頭に刺すわけないだろうし、かといって麻酔なしじゃ可哀想だろうし。じゃ、どこに?なんて考え出したらキリないですものね。レオナルドダヴィンチが、正確な絵を描くために、夜な夜な死刑になった死体を盗んでは、解剖学に夢中になった、という話を思い出しました。天才の足元にさえ及ばない人間が、天才のすさまじい努力の万分の一も努力しないんですから、平平凡凡の下の下どまりになるのは当然のこと。何をするにも、勉強しないといけないんですね。頑張ります。
2006-09-26 05:50:05【☆☆☆☆☆】碧
作品を読ませていただきました。なんだか中途半端な感じを受けました。主人公と距離を置いて描くという手法は面白い試みでよかったと思います。しかしこの手の作品ならもう少し文章のテンポを上げ周囲の喧噪を強調することで、主人公の現実感の消失との対比を明確にしてもよかったと思います。もしくは主人公の混乱と周囲の当たり前の対応のギャップを強調するという方法もあります。作品としてすべてをやってやろうとして不思議さが薄くなってしまった感がありました。戯れ言を失礼しました。では、次回作品を期待しています。
2006-09-26 08:10:52【☆☆☆☆☆】甘木
>甘木さま

鋭い指摘をありがとうございます。対比によって明確にする、という手法、今後に生かしていきたいと思います。いろいろと模索する楽しさに目覚めてしまった今、次作は異世界ファンタジーに挑戦しようと思っています。我ながら無謀なことを思いついたものです。自分の力量も省みず、若者たちのように突っ走ってみたくなってきました。今度は長編を目指します。連載なんて器用なことはできそうにないので、全部書き上げてから投稿します。その際には、鋭い指摘、感想、ご指導を宜しくお願いいたします。
2006-09-26 14:46:57【☆☆☆☆☆】碧
 碧さんが今、猛烈なスピードで執筆している。読むのが追いつかない(笑) 
 客観的な視点からの客観的なアプローチのようでいて、行間、或いは言葉の向こうに、非常に興味深い空間やトーンを宿しうるポテンシャルがあると、僕は感じましたね。僕は対峙、という言葉が好きで、向こう岸を見つめるということが好きで、そういうものをベースにものを書いていきたいと自分に対して思っているのですが、そういう僕の嗜好と合致していて、この作品は好ましいですね。
 うん、瑣末の表現技法で気になるところもありましたが、それは、書き、考えることで自ずから習得されるものだと思いますし、自分の技術というのは丸ごと学ぶのでなく、きっかけを学び自らあみだすしかないように思いますので、今の執筆に向かう時期が先々ちょっと一段落したら、その後で自作の再検討をされたほうがいいと思います。書き捨てにすべきではないですね。
 そして、再検討、或いは自分の作品を媒介にして自分の世界の中に潜るということ。表現技法の向上という目的より更に核心部分への探求ということをやる余地が、僕はあると思います。リアルライフという時空と、書き手の創作の時空というものは、必ず或るズレを有しているものですが、そのズレがいったいどういうものであるのか、対峙する、向こう岸を見つめるという作業を行うと、本当の意味での自分らしさ、オリジナルというものが現れ出てくると思うんです。また、僕は地に足つけるというのですけれど、作品に内包された様々な情感の揺らぎというものが、短絡的でなく、複合的に、様々なものからの裏打ちを受けることにもつながっていくと思います。
 まあもちろん、これは僕のアプローチの方法論で(苦笑) 万人にとって同じ道程であるはずもなく、対峙だの見つめるだの、そんな面倒なことをしなくてもものは書いていけるわけです(笑) ただ、今作品の向こう側に見え隠れしているものつくりの鉱脈を、個人的には是非とも採掘してもらいたいなと思うのですね。
2006-09-27 03:55:15【☆☆☆☆☆】タカハシジュン
>タカハシジュンさま

今のこの感覚、私はずっと以前にも感じたことがあるような気がするんです。子どもの頃、楽器を習い始めた頃のような感じに似ているかもしれません。音が出せるようになって、楽譜が読めるようになって、曲とは言えなくても、最初から最後まで弾き終えることが出来る様になると、楽しくて楽しくて仕方なかったんです。この先どうなっていくかは、自分でも予想がつくのですが、臆病にはならないぞ、なんて思ってみたりもしています。
 対峙する、向こう岸を見つめる。私は本当にそうしようとしているのか、正直、自分ではよく分からないのです。初めて書いた短いものから、この作品で四つ、ここに投稿して感想を頂いて、いろいろ考えさせられました。そして、私は私自身以外のこと以外は何も書いていないし、書けそうもない、という限界のようなものを、ずっしりと感じています。私は、「自分ではない誰か」を書いてみたいと漠然と思うのです。(楽器を習い始めたばかりなのに、交響曲を作曲したいと思うようなものかもしれませんね)その誰かが、私の知らない世界で見たり聞いたり感じたりしたことを書きたいなぁ、なんて、そんな偶然を待つとしたら、途方もないことですよね。完全に地面から随分足が浮いてしまっています。
 とりあえずは、何かにぶつかるまで、掘り続けてみます。何も出てこなかったら、その時はその時。掘るのもまた楽しかったと思えるような気がします。今は。
 読んで下さってありがとうございます。タカハシさんの感想を読むのが好きで、いろいろな作品に寄せられた感想を読ませて頂いています。これからも、宜しくお願いいたします。
2006-09-28 00:56:11【☆☆☆☆☆】碧
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。