『黒の大陸 ?章 「形見」』作者:Rue / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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騒動も一段落し、
光慈と仁は本部へと歩いている。
第6居住区と本部との間は何もない荒野だ。

「傷大丈夫か?光慈。」
「ああ、血ももう止まった。」
「そうか。」
「それより・・・、」

光慈には気になることがあった。
仁の様子がさっきからおかしい。
疲れて力が入らないのか、
足を引きずっている。

「お前こそ大丈夫か?」
「あ?」
「足、引きずってるじゃねーか。」
「へへ、ちょっと疲れたか・・・、
 うっ・・・!」

仁はその場にうずくまった。

「仁!」

光慈は肩に手をかけようとした。
しかし、仁はそれを払いのける。

「仁・・・?お前どうし・・・。」

仁の全身が軽く痙攣している。
光慈の言うことは聞こえていないようだ。

「仁・・・!?」
「うぁあああああ!!!」

間違いない。
仁は『SATAN』に感染したのだ。

「ああああああ!!!!」

仁は光慈に向かって突進してきた。
光慈は仁を受け止めたが、
吹っ飛ばされてしまう。
光慈はすぐに体勢を立て直した。
しかし、なお仁は突っ込んでくる。

「仁!!」

仁の動きが止まった。
まだ、人間の心が残っているようだ。

「う・・・光慈・・・。」
「仁!大丈夫か!?」
「へへ、大丈夫なわけ・・ないやろ・・・。」
「仁・・・?」
「光慈・・・頼んでええか?」
「な・・・なんだ?」

仁は大きく息を吸った。

「俺を・・・殺してくれ・・・。」

光慈は耳を疑った。

「な・・何を・・・。」

言い終わる前に、仁からナイフが
飛んできた。
光慈はとっさに受け取る。

「頼む・・・人の心を・・・
 失う・・前・・に・・・。」

光慈の頭の中に、
仁との思い出が浮かび上がる。
しかし、光慈はそれを必死に消し去ろうとした。

「俺は・・ウィルスなんかに操られるなんて・・・
 まっぴらだ・・。その前に・・・光慈、お前の手
 ・・・で・・。」

仁は再びうずくまった。
しかし、必死に立ち上がろうとする。

「・・・早く!!」

その時、光慈の中で何かが崩れた・・・。

「うぁああああ!!」

光慈は仁に向かって突進し、
その胸にナイフを突きたてた。
仁は光慈に寄りかかるように倒れる。

「ありがとな・・・親友・・・。」

仁は息を引き取った。

光慈は仁のものだったナイフを見つめている。

仁の父親の形見だったナイフが、
今は仁の形見になってしまったのだ・・・。


2003-11-09 23:05:18公開 / 作者:Rue
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■作者からのメッセージ
これも?章と同じで作り直しです。
ついでに一部(本当にほんの一部)書き直してみました。
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