『影の守護者』作者: / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
日本から少し離れた場所に浮かぶ孤島。そこは特殊な民族の住む世界から離れることを決意した島だった。  特別な力を与えられた彼等は力を使い、影で世界を支える事を仕事としている謎の組織が島の中で結成されていた。 そんな彼等にあこがれる少年は自ら危険な道を選んでいく。
全角7706文字
容量15412 bytes
原稿用紙約19.27枚
              序章 「噂される者達」
「1985・8・8」
 
 午後十二時三十二分

 闇が落ちた書庫。
 そこは六教室分の長さを持つ大型書庫だ。
 部屋全体は一人が移動できるだけの間隔を空けた本棚で埋め尽くされている。
 深夜という時間には人などいないはずの書庫にある二つの影。
 書庫の中央、そこには本を片手に背を向け合っている二つの影がある。
 それはお互い背を向け合って本を探るスーツを着た青年と白衣姿の初老だ。
 青年は一冊本を抜き取り、初老へと問いかけた。
 「教授、明かりが無いと見ずらいんですけど、点けませんか?」
 「駄目じゃよ。 見つかると管理人さんが怒るんでな」
 「そうですか。 ……じゃあ、突然ですが教授はあの話を知っていますか? 太平洋に幻の島があることを」
 「おお、唐突な質問じゃな。 でも松本君、学界の中でもすごく話題になっておるぞ。 その幻の島に住む人々は特殊な能力を持っている、とな」
 青年、松本は背後からの声に頷きを入れ、深刻な面持ちで己の持つ情報を伝える。
 「しかし、その島が姿を現すのは一年の内、少しの間だけ。 写真に残そうとしても残らず、文字などで表しても違う事が書いてある。 頼りになるのは己の記憶のみですよ。 可笑しいと思わないですか? 世界が集団催眠でも掛けられているんじゃないでしょうかね」
 と、会話を交わして二人は苦笑した。
 だが、初老は本を引き抜き、
 「その島には大変興味はあるが何も出来ないのは少し残念だよ。だがな、松本君。 もし、本当にそんな人物が居る証拠が出たら?」
 反射的には松本は本を閉じ、後ろへと振り向いた。
 さらに口に手を当て、期待を含んだ声で問いかける。
 「証拠が合ったんですか?」
 「まだ、はっきりと証拠は出てはいないよ。 だが、日本では幾つかの目撃例が出ているのは本当みたいじゃ」
 「そうですか。 ――それじゃあ、一つ聞いてもいいですか?」
 「何?」
 「もし、本当にそんな幻の島とか特殊な力を使う人がいるとしたら、世界はどうなるのでしょうか?」
 問いに対し、うむ、と初老は頷き、
 「何か、急激に話が進んでしまったな。 でも、どうなるも何も決まっておるよ」
 一息。
 「世界が滅びる」



 午後十二時三十七分

 月光が降りる夜空の下に街がある。
 闇と光が入り混じる住宅街には今時分、動きを見せる影は無い。
 だが、街には微かな音がある。
 家の上。
 屋根を飛び交う二つの影が生む音だ。
 風を切り裂くように影は走り、疾風となる。
 前の影を追う後ろの人影は白の色を持っていた。
 黒の短髪と白衣を風に靡かせるその影は女性のもの。
 彼女の襟首には名前を現す金の刺繍が施されている。
 神谷 龍一と。
 彼女、龍一は屋根を走り、跳んでいく。
 前へ、眼前に見える人の形をした影の背へ。
 「待ちなさい!」
 叫び、龍一は前の影へと手を伸ばした。
 が、届かない。
 数センチ、その距離が二人の間に生まれ、縮まらない。
 ああ、と龍一は嘆息する。
 屋根へ着地した瞬間。
 表情を険にした龍一は、ごめんなさい、と誰にとも無く謝罪を入れ、
 「背炎・速!」
 瞬間、背から炎を噴出させた。
 朱の色を持つ炎は背後の空間を歪めた、直後。
 瓦を砕き、巻き上げ、龍一は後ろから背中を押されるように前へと加速した。
 距離は一瞬の二文字を持って無くなる。
 そして、龍一は伸ばしきっている手で影の肩に手を置く。
 「灯炎」
 と、呟くと同時。
 影が消えた。
 何の前触れも無く、ただ静かに闇に溶け込むように影は消えたのだ。
 龍一は屋根へ着くと、は、と両手を腰に当て、呼気を吐く。
 背の炎が消えるのに合わせて呼吸を整え、
 「ハズレ、か。 本物は何処に行った」
 辺りを見渡す。が、ただ周りにあるのは無音の静けさを持つ街。
 眉間に皺を寄せつつ龍一は全天を見上げた。
 視覚には雲の無い空があり、月がある。
 光に満ちた満月だ。
 が、一点。月の中心に黒い点が見える。
 ? と龍一が首を傾げていると、黒点が一回り大きくなっていく。
 それは時を刻むごとに大きくなっていた。
 「何だ、あれ?」
 言い、月に手を掲げて黒点だけを見えるようにするとそれは見えた。
 銀の光がある。
 その奥には男性の顔が見えた。険の表情がある。
 「何だ、あいつの持っているものは?」
 疑問を感じ、数秒の間を持って確信を持った声で龍一は叫んだ。
 「もしかして……、槍!」
 既に穂先は十メートル手前まで迫っている。
 だからというように龍一は叫んだ。
 「掌炎・盾!」
 直後、天へ挙げている掌の上に異変が起きた。
 空気が圧縮していく。
 直径三十センチ程の空気の塊へと。
 さらに球体は上から潰されるように横に伸び、直径二メートルの円となる。
 そして、円は回転し、小さな火の粉を吹き始めた。
 次第に火は大きくなり、円全体を飲み込んでいくものとなる。
 次の瞬間。炎の先、そこに龍一は槍を持った彼が降りてきたのを見る。
 衝突。
 鉄が爆ぜていく音が空に響く。
 破砕音を聞きながら龍一は叫んだ。
 「攻撃がベタなんだよ! そして、ベタにはベタをてね。 ――掌炎・盾・加柱!」
 言った瞬間、盾の中心が隆起した。
 それは高さ二メートルの炎柱。
 炎は微かに揺らぎつつ、槍を持った彼を突く。
 骨を穿つ音を耳にして龍一は言う。
 「掌炎・盾・柱/重複発動/周気・球・粘!」
 突如、龍一の周りに流れる大気の動きが変わり始めた。
 大気が彼女の周りを囲むように高密度の固まりとなって球体の壁を作っていく。
 その直後、四方から鉄が爆ぜる音が球体内に響き渡った。
 龍一は周りを見ることなく額に手を当て、足元を見る。
 「おしかったなー。 やるならもう少し静かに行動しろ。 他とは違う、風の動きが微かに感じられたぞ。 ――で、これで忠告は終わりだ」
 一息。
 「周気・球・粘/変・燃/周炎・球・焼!」
 周りを囲んでいた球体は龍一の言葉と共に火を噴く。
 一瞬で球体は燃え、炎の塊となる。
 炎は酸素を求めて蠢き、四方に衝突したものを包み、焼け尽くす。
 その時、う、とも、あ、とも取れる悲鳴の声が球体の中に響き渡った。
 うむ、と龍一は顎に手を当て頷く。
 「初任務だからって、少しやりすぎたか」 
 と、顎に当てた手で前髪を書き上げた。
 同時。
 炎の球体が消えていく。二酸化炭素を得てしまった火のように火力が衰え、灰のように火の粉となって風に流されていく。
 大気の流れを感じつつ龍一は下の道へと跳躍。
 着地し、左へ視線を送る。家の壁に。
 そこには一台の自転車が壁を支えに置かれている。ハンドルの前には籠があり、フレームはアルミ製の物だ。
 龍一は自転車に歩み寄り、無言でハンドルを持って道路の真中へと引いていく。
 自転車を東の方へと向けて跨り、さらに足をペダルに掛け、
 「かよわい女の子をこんな夜中に外に出させるなんて、あの人はどういう脳味噌してるんだ……」
ん、と龍一は三秒ほど考え、
 「何か忘れているような気がするが……、いっか」
 そう言って、龍一はペダルを漕ぐ。
 視線の先、そこには月光の届いていない山がある。
 だが、龍一は迷うことなく闇へと跳び込んだ。







            第一章 『始まりのとき』


 「1995・1・11」

 午前十一時二十三分

 日本から少し離れた場所にある孤島。
 そこは半径五キロ程の広葉の木々に埋め尽くされた島だった。
 だが、東端には整地がある。
 周りを高い壁に囲まれた整地には無数の建物が建ち並ぶ。
 街だ。
 西の門から伸びるアスファルトの道にニ分割された住宅街と、道の先にある白の色を持つドームでこの街は構成されている。
 そして、街の中心を通る道は左から右へ、右から左へを人の主な流れとしていた。
 だが、縦の流れは少ない。
 道路沿いには店がないため、縦に移動する人がいないのだ。が、今、人を避けながら門へと行く影が二つある。
 先頭を走るのはスーツを着た禿頭の少年。
 彼は首だけを後ろへ向け、視線の先には白衣姿の女性が茶色の短髪を揺らして後を追って来るのを見た。
 風に靡く身を包む白衣の襟首には女性の名前が金の刺繍で施されていた。
 神谷 龍一と。
 人の波を抜けとき、少年は龍一が跳躍したの見た。
 彼は瞬時に表情を驚に変えて、
 「母さん、こんな所で――、って声をかけてる場合じゃない!」
 さらに加速する。
 その後ろで龍一は右拳を握り、言葉と共に拳を神谷に向けて放った。
 「拳炎・飛!」
 拳が虚空にぶつかり、大気がその場で潰れていく。
 直後に圧縮された大気は神谷へと飛んで行った。が、それだけではない。
 大気は火の粉を吐き始める。
 火は次第に多くなり、最後に大きな火を吐いた大気は、次の瞬間、爆発した。
 だが、爆発は一瞬で圧縮されたように小さくなっていく。
 拳程の火の塊が出来た。
 神谷は後ろから来る熱風を感じ、自ら前へと転がる。
 その後ろで拳炎はアスファルトを溶かし、地面へと衝突。
 ……よかった。
 笑みで立ち上がった神谷は龍一の叫びと行動を見た。
 「指炎・飛!」
 「えっ!」
 神谷が視線を送った先、龍一は人差し指を神谷に向けていた。が、指には何も起こらない。
 しかし、一メートル先に密度の濃い空気がある。
 それは、指の先端に圧縮された大気が言葉と共に放たれていた事を意味する。
 球体の形をしたそれは細長く後ろへと伸び始めた。
 三十センチ程まで伸びた大気は音を発した。
 空気の尾が勢いよく燃え盛る音。
 次第に炎は二重螺旋を描きつつ先端へと巻き伸びる。
 その光景を呆然と見ていた神谷は驚きと疑問で反応が遅れた。
 当たる。
 額の中心にぶつかった指炎は轟音と共に消え、神谷は反動で後ろへと仰け反る形となる。
 神谷は額を抑えつつ上体を起こし、地面へと着地した龍一へと問う。
 「いったぁいよ、母さん。 普通、子供に向かって火を投げないでしょ?」
 「教育の一環よ。 それにねぇ、火力は人間の体温より低いから熱くは無いし、あんたはもう中学卒業したでしょ? だからいいの」
 「否、全く意味が良くわかりません。 それに人間に向かって火を投げることが変だよ」
 と言い、神谷は前を見るとこちらを指差す母の光景を見た。
 「ごちゃごちゃうるさい息子だねぇ。 殺されたい? そう――指炎・飛!」
 正面、火の柱が腹部の高さを飛んで来る。
 だから神谷は体を横に向けて、腰を後ろへと引く。
 虚空を通り過ぎる指炎を見つつ神谷は額に汗を浮かべて問うた。
 「母上様には我慢という二文字は御存在しないのでしょうか?」
 「ないわよ。 それより、私が楽しみに残していたケーキを食べたのを謝りなさいよ」
 神谷は急いで服装を整え、頭を下げた。
 「ごめんなさい。 ――あの、一つ聞いても良いですか? 母さん」
 「いいわよ? 何?」
 右手を挙げて、
 「それだけの理由で能力を使ったんですか?」
 「ええ、そうよ。 もしかして、駄目だったの?」
 「も、もちろん駄目に決まってるでしょ。 それに一時間後に大事な試験があるんだから。 怪我したらどうするの?」
 「んー、そうね。 でも、秀一だけ特別に五年も早く試験を受けさせてもらえるんだから、別に怪我して来年になっても大丈夫でしょ。 ね?」
 問いかけに、いや、と神谷は手を横に振って否定。
 「何を言ってるの母さん。 俺は一年でも早く試験に合格して、あの伝説の創操神みたいな人になりたいんだ」
 と、神谷は拳に力を入れて空を見上げた。
 鴎が飛んでいる。
 数秒、その状態が続いた後で、声が飛んできた。
 「秀一、そろそろ話し掛けても良い? 普通は二十歳にならないと試験は受けられないでしょ。 だけど、貴方は中学を卒業したばかりなのに試験を受けられるから特別な存在なのよ。 でも、受けられるのは当たり前のこと何だけどね」
 「うん、解ってるよ。 ようするに母さんが言いたい事は、俺はすごいってことでしょ?」
 額に手を当てた龍一は、はぁ、と溜息を吐く。
 それに対し、神谷は顎に手を当て、うなりはじめる。
 一息の間を入れて、はっとした表情で神谷は顔を上げ、
 「そういえば母さん。 俺、高校に行けないでしょ? それじゃあ、高校で習う創操発動の原理って、どんな風なんか教えてよ」
 「何だか、話が変わったわね。 それは、話しても無駄な知識が入るだけだから話さないわ。 それよりも、そろそろあの娘でも探してドームに行ったほうが良いんじゃないの?」
 そうだね、とつぶやいた神谷は前へと走り出す。
 無言で神谷は龍一の横を走り、
 ……何で笑っているんだろ。 それに一言ぐらい声を掛けてよ!
 思い、前に視線を向ければドームの扉の前に人影が見えた。
 立っているのは白衣姿の体格の良い青年だ。
 彼は腕を組んだ姿勢でこちらを見ており、
 「よう」
 と片手を上げた。
 だが、神谷は返事をせずに彼の数メートル手前で足を止め、
 「何だ、今瀬。 こっちは急いでいるんだ」
 「少しくらい時間とってもいいだろ? それにお前、あんな若い母親と遊んでたくせに」
 神谷は口に手を当て、少し考えた後で。
 「母さんは若くないぞ。 確か、今は三十――」
 瞬間。何かが熱風を残して二人の耳を掠った。
 「!」
 神谷の視線の先、扉の一点が目線の高さで溶けているのを確認。
 だから神谷は軌道を辿って後ろを振り向いた。
 遠く離れた場所にこちらを指差す白衣姿の影が見える。
 二人は冷や汗を掻きながら視線を合わせ、
 「危ねぇなぁ、お前の母ちゃん。 それもそれで良いかも。 なにより若いし!」
 「お前は若ければ何でもいいのか。 後、もう母さんの話はしないでくれ。 殺される」 
 そして一息を吐き、神谷は表情を引き締め、
 「どうでもいいから、早く用件を言え!」
 額に手を当てて今瀬は吐息。呆れたような口調で淡々と告げた。
 「何で、俺にはそんなにきついんだ。 そんな急いでるなら率直に言うけど――」
 今瀬は懐に手を入れ、黒の機械を取り出した。
 立方体の形をしたそれを口に当て、
 「――これ凄いだろ?」
 しかし声は今瀬から聞こえない。神谷の右側から声が聞こえてくる。
 ? と神谷は右を見るが、そこにあるのは何も無い空間。
 視線を戻すと笑みで口から機械を放している今瀬がいる。
 神谷は眉を顰め、
 「まぁた、変な物を作ってきたな。 で、今のはどうなっているんだ?」
 「おう、知りたいのか」
 今瀬は右手に持っている機械を前へと突き出す。
 「これに声を当てると、自分の好きな場所から声を出す事が出来るんだ。 でな、この名前は何処からでも声が出せるから“ドコダ”だ」
 「原理はどうなっている? と聞きたいが、お前の説明は下手だから遠慮しとく。 それに、その“ドコダ”は家庭か戦闘で役に立つものか?」
 問いに今瀬は腕を組む。
 「ふっ、難しい質問をするな。 これは主にお前を驚かすために作ったものだから、使い道は一切 考えていない。 だが、目標は達成したから俺は満足している」
 そう、と神谷は言い、視線を右へとずらし、吐息。
 視線をそのままに、なるべく今瀬を見ないように神谷は前へと歩き出す。
 二歩ほど右へずれるように歩くと、横を何かが通過する感覚を得た。
 頃合を見計らって前へと視線を戻すと木製の扉が眼前に現れる。
 そして神谷は扉を押す。
 金属が悲鳴をあげつつ奥へと開いていく。
 扉が止まったのを見て、右手を上げ、
 「じゃあな、今瀬」
 と言い残して中へと入った。
 「おい! 何か無視されてるぞ、俺!」
 神谷はさらに無視して中を見た。
 視覚に入ってくるのは白の空間。五十メートル四方の部屋だ。
 十歩、中へと踏み込むと背後で音が響く。
 ? と後ろを振り向いた神谷は一つの光景を見た。
 扉が自動的に閉まっていき、その隙間からは今瀬がこちらに手を振っている。
 そして轟音と共に扉は閉まった。
 直後。
 白の壁に扉が飲み込まれていく。
 「!」
 神谷が手を差し伸べたときには既にそこは白の壁へとなっていた。
 扉のあった筈の場所を触りながら、神谷はつぶやく。
 「何が起こった?」
 手を首に当てて横に捻った時、神谷は人影を見た。
 左手に白髪を後ろへと流した初老の男性が立っている。
 身はスーツに包まれており、足下は足袋。
 片手が上がり、
 「やあ、秀一君」
 「何だ、山田会長か。 で、何で会長がお出迎えなんだ?」
 初老、山田は口髭を触りながら前へと一歩を踏み出し、
 「何でって言われても。 能力解放を出来るのはわしだけだし、仲が良いっていう理由もあって特別に来てあげたわけじゃよ」
 「別にいいけどよ。 何でさっきからじりじりとこっちに近づいて来るんだ? ……気色悪い」
 神谷が正面を見ると山田が十メートル手間で足を止めている。
 「気にするでない。 で、急で悪いのだが、今から能力を解放させてもらうから」
 「ああ、それは助かる」
 「……で、香澄君は?」
 「…………!」
 あ、と言う表情で神谷は山田を見た。
 次に汗を額に浮かべ、神谷は言う。
「……忘れてた」
 だが、それを聞いて山田は呆の表情を見せなかった。
 口に手を当て、笑ったのだ。
 ? と神谷は首を傾げ、山田の言葉を聞く。
 「あのな、香澄君は二時間前に来て待ってたんだが、三十分ぐらい前に寝てしまって起きないんじゃよ。 今は保健室で寝ているよ。 でも、香澄君がいなくても大丈夫。 準備はしといたから」
 「そっか。 じゃあ始めてくれ」
 無言で頷いた山田は、静かに神谷の頭に手を置いた。

2006-07-25 17:09:05公開 / 作者:宮
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■作者からのメッセージ
とにかく今はまだ途中段階ですが、ここまで呼んでくださってありがとうございます。 直せるところはどんどん直していきたいので、いろいろと指摘してもらえると嬉しいです。 
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