『僕と私と僕は犯人』作者:Town Goose / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
僕は麻薬などやっていない。しかし、僕も私も僕が麻薬をやっているという。だから、僕は麻薬などやっていなかった。(犯人の日記)
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原稿用紙約3.71枚


 日記、   私

 面白い小説を借りて読んだ。最後のあとがきのところに「空白はメモ帳に使ってください(笑)」などという文章が残されていた。
 無論、私は書き込んだ。びっちりと。
しかし、それを僕に返すと何故か私は殴られたのだ。憤慨する。この作品を最後まで彼は読んでいなかったのだろう。
 そんなおっちょこちょいな僕だが、その本を返した翌日よからぬ噂を聞いた。なんでも僕が麻薬に嵌っているとかなんとか。麻薬と言うものがどういうものなのだか私は知らないが、とりあえずそのことをそれとなく注意しておいた。

日記、   僕

 今日、私に貸した小説が戻ってきた。私は面白かったと言っていた。僕の買った小説の中でも素晴らしい作品だったと思っている。しかし、なんということだろう、その最後に落書きがされていたのだ。僕は憤慨し、私をたたいた。
 翌日、僕は私にこんな話をされた。「麻薬はやめなさいよね。危ないらしいわよ?」なんのことだろうか、僕はそんな話は知らなかった。

日記、  僕

 今日、僕が貸した小説が戻ってきた。僕は面白いと言って、僕はつまらないといった。ただ、私の起こした事件はかなり笑えるもので、僕は彼女を叩いた僕に注意をしたかった。僕はユーモアというものをもう少し勉強するべきだ。しかし、どうやら僕は私に麻薬をするな、と注意をされたらしい。だが、僕は麻薬をしていない。では、私の言っていることはなんなんだったのだろうか?私の聞いた噂とは、誰から聞いた噂だったのであろう。

日記、  私

 今日、僕から「僕は麻薬なんてしていないよ」というメールが届いた。なるほど、たしかに僕は麻薬をしていなかったようだ。でも、私は正しかった。きっと僕はちゃんとこの作品を読んでいたのだ。そして僕は麻薬をやっていた。でも、私に麻薬と言うものはいまひとつどういうものなのか分かっていない。でも僕は私を叩かなかったのだから、そんなのは些細な問題なのだと思う。

日記、  僕

 私からメールが届いた「僕が麻薬をやっているならやめたほうがいいよ」何度も言うようだが、僕は麻薬などやっていない。しかし、どうしたものだろうか。私は新しい本を僕に渡した。すぐにその本を読もうと思ったが、それはかなわない。僕は数日後にその小説を読むことにした。お返しとばかりに僕は本の最後に落書きを。
 だが、それはシッパイだった。僕は私に叩かれた。いいさ、別に僕は叩かれない。小説をちゃんと読んでいたのだから。

日記、  僕

 昨日、私に僕は叩かれなかった。だが、僕は叩かれた。
 そして、今日、僕は重大な事実を知った。なんと、僕は麻薬をやっていたのだ。悲しくなった。なぜ、僕は麻薬などやってしまったのだろうか。悔し涙があふれてきたが、どうしようもなかった。私は麻薬がどういうものだか分かっていないらしい。はやく、?僕を止めなければ?。


日記、  僕(犯人)


 僕たちの回答
 僕から僕へメールが来た。でも僕は麻薬をやっていない。
僕と私は麻薬をしている奴をやっとわかったらしい。だから僕はやっと自由になれる。最後に皆さんに聞かなければ。麻薬をやっていたのは誰だろう。
 もしや、私が麻薬をやっていたのだろうか?
 もしや、僕が麻薬をやっていたのだろうか?
 もしや、僕が麻薬をやっていたのだろうか?
 犯人は3人のうち誰かだ



―――だけど、どの日記も、ウソは書いていない



2006-04-07 03:34:36公開 / 作者:Town Goose
■この作品の著作権はTown Gooseさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どうも、ショートGooseです。この作品は規約に引っかからないかびびりびびり投稿したのですが、もし駄目ならば紅堂さんに謝らなければ(汗
 さて、この「僕と私と僕は犯人」ですが、胸の辺りがむかむかしてむず痒くなれば自分の狙い通りです。そして、なんだこれ?削除対象作品じゃね?と言われたら見事自分の狙いははずれています。
 犯人は一人、回答は一つしかございません。ショートショートゆえの遊び心と挑戦、ご感想をお待ちしております。
この作品に対する感想 - 昇順
やりたい事はわかりましたが、個の書き込みだけが乱立しているだけで、特別面白みは感じられませんでした。淡々としていてストーリーを感じにくく、SSの醍醐味の(私が求める)読後感が得られないためだと思われます。狙い通りなら、私的にはややストレスの色を感じました。
2006-04-07 09:39:39【☆☆☆☆☆】アナハイム
多重人格の人間が日記を通して他人格と会話している話だとするならば、麻薬をしていた人(犯人?)は結局僕しかいない。
「たたいた」や「話をされた」という表現を素直に受け取るならば最低限、私と僕は別人で、この場合は僕が二重人格とするならば麻薬をしていた人は僕しかいない。
ここでさらに僕と僕が別人だとすれば、落書きをされて憤慨した僕とお返しに落書きをした僕は同一人物で、麻薬をしていた人は落書きをしなかった僕ということになる。
ただしこれは僕が二人の時で、三人目の僕(最後の日記の僕)が存在する場合は、麻薬をしていた人はその僕。
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度肝を抜かれる意外な真犯人登場の解決編を楽しみにしています。
2006-04-08 01:46:56【☆☆☆☆☆】ウィチロー
■アナハイムさん

厳しい意見、有難うございます。ストーリー性が無いのは物理トリック(なのか?むしろ叙事トリックかもしれない)みたいなものを前面に押し出したものを書いてみたかったのでそうなったのでしょう。ストレスを感じさせる見苦しい文章失礼しました。今後はストーリーのある文章をかいてゆきたいと思います。

■ウィチローさん
 
 この後に文章を「解決編」と言う形で書き足すことは無いと思うので、ここに答えを書かせていただきます。
 まず、私、が少なくとも3人の多重人格でないことは一度だけ僕のことを「彼」と読んでいることがわかりますね?そしてその時点で私と僕は別人であることは分かります。さらに僕(彼)は私に「麻薬はやめなさい」と「話」を聞いたと書いてあるのです。
 しかし、この時点で私と僕が多重人格であることは分かりません。
 少なくとも、私と僕(彼)は別人でありますが私と僕は多重人格の可能性はまだあります。
 しかし、僕は麻薬をやっていない。そして僕は麻薬をやっている。
 この時点で僕(彼)と僕(犯人)の多重人出ないと言う確証はありません。
 しかし、僕(彼)と僕(犯人)の行動で一部分だけおかしい文章があります「すぐにその本を読もうと思ったが、それはかなわない」この文章ですね。つまりこの時点で「私は僕に本を渡した」というこの僕はいま日記を書いている僕ではないということです。
 そして最後に3人と書かれており、日記が全て本当である以上多重人格と言う可能性はありません。
 ここから先の説明は犯人が分かっていないと説明しにくいので犯人の日記を公表します。

 犯人は上から、3つ目の日記、5つ目の日記、だけです。

 3つ目の日記

 何の謎もありません。僕(犯人)は何もウソを言っていません。そのありのままの事実を書いているだけです。ここの僕(犯人)は僕(彼)に麻薬云々のメールが届いたことを知り、僕(彼)はなにもやっていないのに、と言っているわけです。

 5つ目の日記

 このとき僕(犯人)のところへ私からメールが来ました。そのとき僕(犯人)は僕は麻薬などやっていない。……『僕(彼)は麻薬などやっていない。』と言っているわけです。

 そして最後の日記僕(犯人)

 これは僕(犯人)ではなくコレだけが自分(作者)と言う形にさせてきたいたきました。なぜならばこの日記の書いたところにも書いてあるとおりこの日記を書いた日とは僕 ではなく 僕(犯人)という名前の新しい登場人物だったからです。
  そうすれば、この物語は完結です。最後にべらべら僕(犯人)が喋っていることもつじつまが合います。

 アナイハイム様、ウィチロー様、さいごまで読んでもらえて自分は嬉しいです。捻ろうと思った割りに全然捻っていない作品になってしまい申し訳ございません。ですが、自分はそんなことを謝れるほど上手い作品はまだ書けません。
 ですから、こんな作品ですが、宜しくお願いします、とお願いすることしかできません。
 有難うございました。
2006-04-09 22:23:13【☆☆☆☆☆】Town Goose
こんにちわ、はじめまして。ゆるぎの 暁(あき)です。独特な構成の仕方が面白いと思いました。私は頭が悪いので(コラ)僕二重人格説と僕二人説がごちゃ混ぜでした。最後に解説を読んで、また読み直してようやく消化完了した次第です。言葉にこれほど気を使って読むのは久しぶりでした。素敵なお話をどうもありがとうございました。次回作、楽しみにしております。
2006-04-11 17:57:32【☆☆☆☆☆】ゆるぎの 暁
ごめんなさい、答えを読んでわからなくなりました。特に、最後の日記僕(犯人)の部分について。
しかしゆるぎの 暁(あき)さんの「消化完了した」という言葉を読んで、きっとわかる人にはわかるんだなと自らの理解力の無さを思い知った次第です。
今回の作品は、規約に引っかからないかどうかの思い切った投稿だったそうですが、違反報告が付かないということはセーフですよね。
そういう意味では、一歩枠を広げた大きな価値のある作品だったと思います。
2006-04-11 21:15:42【★★★★☆】ウィチロー
作品を読ませていただきました。古典的な真贋問いかけはいいのですが、その前提となる小説部分が弱く、小説としては楽しめませんでした。では、次回作品を期待しています。
2006-04-11 23:58:20【☆☆☆☆☆】甘木
■ゆるぎの暁さん

 有難うございます。このようなぐにゃぐにゃしていて更にムカムカするこんな作品を素敵と呼んでいただけて光栄です。本当は小説は読ませるものなので言葉に気を使わせてしまってはいけないのかもしれませんが(汗 精進です。

■ウィチローさん

 分かりにくい解説スイマセンでした(汗
 規約に引っかからなくて少し安心している反面、枠を広げただけの作品になってしまっていることだけは悔いが残ります。ここは小説投稿掲示板、物語を書くところなのですので「物語」の奇抜を目指して頑張りたいです。

■甘木さん

 シンプル……といえば聞こえがいいでしょうが甘木さんの言う通りあきらかにこれは「物語」ではないです。もしかしたら、これは数学の問題と回答が書かれているようなものと変わりないのかもしれません。的確なご指摘有難うございます。
 ですが、このシンプルな言葉の不思議と言うものに触れていただけたら光栄です。これから言葉の奇抜でなく物語の奇抜を目指したいと思います。
2006-04-13 21:18:56【☆☆☆☆☆】Town Goose
計:4点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。