『欠伸しただけ』作者:桜並木 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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たいてい欠伸というやつは退屈な時とか眠たい時にするものだ。
でも、彼女の場合は泣きたい時にするらしい。
俺がそんな彼女の知ったのはバスケの試合の時だった。

「女子も負けちまったな?」
女子より先に試合の終わった(負けた)俺らは女子の試合を見ていた。
今、友達が言ったとうり女子は負けた、しかも圧倒的な差で・・・
「なぁ、見ろよ殆どの子泣いてんのにあの子だけ暇そうに欠伸してるぜ?
 感じ悪くねぇ?」
友達がそう言って見ていた先にいた女子
―柳井 茜―
「確かにな」
俺はその時はまだよく彼女の事を知らなかった。

試合の終わった俺らは試合会場での現地解散となりその場で散らばった。
友達は決勝まで見ていくと言って残ったが俺は早々と帰らせてもらうことにした。
会場の入り口を出て暫く行くと小さな公園がある。
そこに設置されているベンチに柳井 茜が座っていた。
俺はなんとなく話し掛けて見た。
「女子も残念だったな。」
俺の声に反応して降りかえった柳井の目は赤かった・・・
泣いていたのか?
「だからなに?」
と彼女は気の抜けた言い方をした後に欠伸をした。
目じりにわずかに涙が浮かんできた。
「泣いてたのか?」
俺がそう聞くと柳井は少し驚いたような顔をして
「泣くわけないじゃん!?なんでそうなんのよ?!」
と怒鳴ってきた。
「だって涙目になってるし?」
そう言うと鼻で笑われた。
「フッ、欠伸しただけよ?」
ムカツいた。強がりやがって。
「負けたの悔しくないのかよ?お前も3年ならこの試合最後だろ?」
「ハァ〜ァ」
また欠伸をされた。目じりには涙・・・
「悔しくないか?悔しくないわよ別に。」
「強がるなよ!!」
俺は何故か叫んでいた。
柳井はビクッと肩を震わせた。
「つ、強がってない!!」
「お前泣きそうになると欠伸して誤魔化してんだろ?
 いかにも欠伸して目が潤んでるんですって感じに!?」
俺が言ったあと柳井は目から涙を零した。
既に溢れる涙を必死に抑えようと目を硬く閉じて歯を食いしばって・・・
それでもいっこうに止まない涙、どれだけ我慢していたのかわからないほど
「ぅっくっ・・・っ」
「そんなに今泣くくらいなら我慢すんなよ、
 泣きたい時に泣いとけばそんなになくこと無いんだから・・・」
そう言うと柳井は俺の方を見て
「泣いてなんかいわよ!!」
と言ってきた。
「あっそ、じゃぁこれなんなんだ?」
と柳井の頬から零れる涙を拭ってやった。
「涙よ!!」
「意味わかんねぇ・・・泣いてるってことじゃん?」
「泣いてない!!欠伸しただけよ!!」
「ありえねぇー欠伸でこんだけ涙がでるかっての」
「うるさい!!だいたいアンタ誰なのよ!?」
「泣いてるって認めたら教えてやるよ」
意地悪そうにいってやったら
「訳わかんないわよ!!」
ってまた怒鳴られた。
こんな会話が決勝が終わるまで続いた。


終わり
2003-11-06 01:51:14公開 / 作者:桜並木
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■作者からのメッセージ
なんか中途半端ですね・・・
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