『ザ・ショートショート』作者:夜来香 / V[g*2 - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
 星新一を思わせる難攻不落のショートショート(SS)。天下に名だたる一刀も、このSSの切れ味には及びません。 
全角525文字
容量1050 bytes
原稿用紙約1.31枚



 私は小説を書いている。
 どんな小説かというと、小説家を目指す主人公が小説を書く話だ。
 主人公は小説家なのだから小説を書くのは当然だろう。
 そして、私の小説の中に出てくる小説家が書く小説の主人公に選ばれたのは小説家だ。
 もちろん、その小説家も小説家に関する小説を書く。
 そうして小説の中に次々と小説家が登場する。
 この作品の中の小説家たちは、自分が作られた主人公であることに気付いているのだろうか?
 いや、もしかしたら私自身も……。

 〜終わり〜





 友人の視線が最後まで文章の上を移動したことを確認して、私は尋ねた。
「それで、どうだい? 私のショートショートは」
「……面白くはないな」
「どうして」
「アイデアが陳腐だ。オチがわかってしまったら、人は途中で読むのを止めてしまうだろう? それにオチが分からない奴でも、こんな面白みを欠いた文章では最後まで読んでくれやしない」
「じゃあ、何故あんたは最後まで読んだんだい?」
「え? だってそりゃあ、お前が『星新一を思わせる難攻不落のショートショート』だなんて大見得をきったから……」



 〜今度こそ終わり〜
2005-09-25 21:36:45公開 / 作者:夜来香
■この作品の著作権は夜来香さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。

これはある意味ブラックユーモアの塊のような作品ですので、人によっては理解し難いかもしれません。しかも前書きを読んでいない人もサッパリ分からないと思います。ですが、自分なりにショートショート(SS)がどういうモノかを意識して書いてみたつもりです。

もし感想などがありましたら、どんなものでもいいので書きこんでくれると嬉しいです。
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして月海というものです。作品の紹介文読んで、『おぉ! なんてぇ凄い自信なんだ』とビビリながら読み始めて……三十秒後、読了。いや〜普通に面白かったですわ。久しぶりにキレのある作中作を読ませて頂きました。感服です。
2005-09-25 23:06:59【★★★★☆】月海
【月海さんへ】
はじめまして。最後まで読んでいただきありがとうございました。
紹介文から読んでいただけたんですね(笑) 良かったです。皆が皆、本文から読み始めていたらどうしようかと思っていたもので。しかし人から感想を貰えるのは嬉しいものですね。それも誉めてもらえるなんて……!(感動) 初めて感想をいただいたのも何かの縁です、きっと!(笑) これからもよろしくお願いしますね。
2005-09-26 00:38:05【☆☆☆☆☆】夜来香
小説が小説で小説家が小説家の……うあぁぁぁぁっ頭がこんがらがるぅーっ。私も昔超ショートショート五本立てというのをやったことがあるので、他人とは思えませんでした(笑)星 新一のファンって本当に多いですね。私が初めて小説というものを読んだのが星さんの作品でした。亡くなってしまった時はかなりショックでした。だから私の作風と夜来香さんの作風が似ていると感じてしまったのかもしれませんね。良かったです。次回作も期待してます。
2005-09-26 01:31:51【☆☆☆☆☆】猫舌ソーセージ
拝見させていただきました。まるで仮想空間の中の人間がまた仮想空間を作る。そのようなお話のようですね。しかし、そんなものよりもこっちのほうが自分は好きですね。短編でこれを書くということ自体がすごいと思いますよ。自分もこれぐらいの短い作品を書いてみたいものです。紹介文はとてもびっくりいたしましたよ。なんて自身だ!物すげえ〜ってね。ちなみに上下はオチを予想できなかったおろか読者です。そでは、次回も楽しみにしています
2005-09-26 09:09:38【☆☆☆☆☆】上下 左右
はじめまして。時貞(ときさだ)と申します。拝読させていただきました。これはアイデアの勝利ですね。前書きも含めて仕掛けになっているとは!!細かい技が活きておりました。こういったタイプのSS、自分は好きですねー。激短ながらもキレと捻りがあって面白かったです。夜来香様の次回作を楽しみにお待ちしております。
2005-09-26 12:45:44【☆☆☆☆☆】時貞
拝読しました。前書きを巧くつかったオチに思わずくすり、面白かったと思います。まあ、嗜好的なもので、このてのSSを小説として見られない己が居ます。一つのネタとして、楽しかったです。次回作御待ちしております。
2005-09-26 12:47:13【☆☆☆☆☆】京雅
【猫舌ソーセージさんへ】
はじめまして。そうですよね。最初の部分は非常に混乱すると思います。でも、だからこそ後半が生きてくるんです、きっと……。ところで私は星新一さんも好きなんですが、実はフレドリック・ブラウンさんのSSも大好きなんです。わかりやすいかなぁと思って星さんの名前を使っちゃいましたが、彼の作品も面白いのでぜひ一度読んでみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。
【上下 左右さんへ】
できれば作品全体をひとまとまりとして見ていただきたかったんですが……私の構成力不足でしょうね。前半部を階層的にしたのが失敗なのか、それとも前書きがラストに直結するというのが変則的過ぎたのか、うーん。まぁそれでも楽しんでもらえたならOKということで(笑) 読んでいただきありがとうございました!
【時貞さんへ】
はじめまして時貞さん。読んでいただいてありがとうございました。前書きに仕掛けをしても気づかない人は通り過ぎてしまいますからね。そういう意味でも読み手を選ぶ作品になってしまっていますが、楽しんでもらえたなら良かったです。ちなみに、この手のSSは海外の本にたくさんあります。でも訳書は少ないです。この手のSSが好きなら英語を覚えるのです(笑)
【京雅さんへ】
読んでいただきありがとうございました。微妙に否定的な意見をくださったということは、私の意図するところが伝わったんでしょうかね。この手のSSは読者を読者と思わない要素が多分に含まれていますから(笑) そんな感想こそ大歓迎なのです! 個人の嗜好、大いに結構。これからも構わず本音を言っちゃってください(笑)
2005-09-26 15:47:21【☆☆☆☆☆】夜来香
初めまして。水芭蕉猫です。さっくり読めました。いや実はこれが更新された直後に既に読んでたのですが、感想遅くなって済みません;さくっとぱりっと読めてオチにクスリと笑ったり。テスト一日前で勉強にヒィヒィ言ってる自分には丁度いい長さです。それでは、次作お待ちしています。
2005-09-26 17:32:27【☆☆☆☆☆】水芭蕉猫
【水芭蕉猫さんへ】
はじめまして水芭蕉猫さん。いえいえ遅くなんてありません。読んでいただいてありがとうございました。でもテスト前に登竜門にくるのはやめた方がいいですよ? やるべきことそっちのけで読み耽っちゃいますから(経験あり) テスト前日はきっちり一夜漬けをしないといけないのです。そのように日本の法律で決まっているのです(違) だからこんな所で油売ってる暇はないはずです(ぇ テスト頑張ってくださいね。
2005-09-26 20:26:31【☆☆☆☆☆】夜来香
メンインブラック2(たぶん、あってるはず)の落ちを思い出しました。前書きがボディブローですね。意外性というのが好きなんですよ。次回作も期待してます。
2005-09-26 22:31:26【☆☆☆☆☆】buchiM
ども、読ませてもらいました。まぁ、SSだからこそ許される手法でしょうね。小説家が小説を目指す主人公を書く。瀬名秀明さんの「八月の図書館」を思い出させますね。それと、小説家が小説を目指す主人公を書き、その主人公も……。という手法は、画家が画家を描き、その画家はまた画家を書き……。っていう絵を彷彿させますね。

ではでは〜
2005-09-26 22:37:32【☆☆☆☆☆】rathi
【buchiMさんへ】
メンインブラック2は見ていないのでノーコメントで(笑) ボディブロー……なるほど、面白い表現かもしれません。前口上で切れ味を謳っておきながら、その実ジワジワとした、もっと陰湿な部分が売りの作品ですからね。この作品の持ち味を指すのに、案外適当な言葉でしょう。それに意外性が好きだなんて言ってもらえると嬉しいです。ありがとうございました。

【rathiさんへ】
もちろんSSだからです! 長編小説で「実は前書きが落ちでしたー」なんてやったら、読者にぶん殴られますよね。瀬名秀明さんの「八月の図書館」は読んだことありませんが、おそらく画家のほうは見たことがあります。無意識的にそこからネタを持ってきてしまったのかな? 謎は深まるばかりです(オイ 何はともあれ最後まで読んでいただきありがとうございました。

しかし、ここの人は皆さん優しいんですかね。もうちょっと「こんなのは認めねえぞコノヤロー!」的な感想もあると思ってたんですが。私が次に書く作品からでもいいので、言いたいことがあったらガンガン言ってくださいね。
2005-09-26 23:28:40【☆☆☆☆☆】夜来香
 多重構造を成すのなら読者を騙すくらい、のめりこませてほしかったなぁと思いました。さすがに二度三度は騙されてはくされないと思いますが。
 まぁあんまり前半を面白くすると後半が活きてきませんが。
2005-09-27 00:12:16【☆☆☆☆☆】clown-crown
【clown-crownさんへ】
感想ありがとうございます! 前半を立てれば後半が立たず、後半を立てれば前半が立たずといったところでしょうか。つまり読者を楽しませるという面においては始める前から失敗していたのでしょうね、このSSは。ところでclown-crownさんにお尋ねしたいのですが、登竜門でのSSの定義って何かあるんですか? 個人的には短ければSSというわけでもないと思うのですが……他の作品を見ているとなんとも言えなくて。もしよろしければ教えてください。お願いします。
2005-09-27 00:35:44【☆☆☆☆☆】夜来香
参考http://gallebasra.xrie.com/novelist/cautions.html

 原稿用紙換算の当サイト考え方
長編小説:250枚以上
中編小説:100枚以上250枚未満
短編小説:30枚以上100枚未満
掌編小説:30枚未満
ショート:10枚未満   ――SS(ショートショート)

 いちおー必読なんだけどなぁ。
 SSというのは(少なくともこの登竜門では)文量しか問題にしていないと明記されている。書き手はそれほど厳格に守っているわけではない気もするが。
2005-09-27 01:12:32【☆☆☆☆☆】clown-crown
【clown-crownさんへ】
! 見落としてました。お手数かけてすみませんでした。ところでclown-crownさんの「どんぐりな日常」を読ませてもらったんですが、あのような書き物は頭の中にふと浮かぶんですか? それとも独自の発想法があるのでしょうか? こういうのを聞くのは良くないことだとは思うんですけど……あと、このような会話は雑談掲示板で行うべきなんでしょうか? 質問だらけですいません……。答えられる範囲だけでいいので教えてくださると嬉しいです。
2005-09-27 01:28:46【☆☆☆☆☆】夜来香
初めまして新先と申します。以後よろしくお願いします。
自分もSSを書く読むことが多いのですが、こんなアイデア読んだ事も思いついた事もなかったので、思わずパソコンの前で拍手をしてしまいました。
紹介文と本文の書き出しで引き込まれさくっと読んでしまったのでオチを理解するのに多少時間がかかりましたが、こういう作品は好きなので次回作も楽しみにしています。
2005-09-27 18:49:08【☆☆☆☆☆】新先何
【新先何さんへ】
はじめまして。じゃあ新先さんて呼ばせてもらいますね? よろしくお願いします。しかし登竜門はSS好きな人が多いですねぇ。SSを書く人にとっては本当に居心地がいい場所です(笑) けど次回作は掌編小説もしくは短編小説に挑戦しようと思っているのですよ。人間は居心地のいい場所にいたら何も変わらない、激流の中に身を置いてこそ成長するんです! でももしかしたら溺れるかもしれないんで、その時は助けてください(オイ それではお付き合いいただきありがとうございました。
2005-09-27 22:38:26【☆☆☆☆☆】夜来香
 では。
 SSを書こうと思うのはオチが思いついたときです。オチが思いつくのはトイレで唸っているときだったり、無音の車内だったり、うつらうつら舟を漕いでる勤務中だったりします。よくあるのはプロの小説を読んでいるときですね。小説を読んだ後、私をここまで感動させたのはなんだったのだろうか、と探すうちにいくつかのエッセンスが見つかってきます。その中でも特にセンスが光っている部分を見るけると、どうにか自分のものにできないか、とまた考え込むわけです。自分だったら設定をこうする、とか。ここは逆を突いたほうが読み手をアッと言わせることができるんじゃないか、とか。こっちのネタをメインにして物語を引っ張ったらどうなるだろう、とか。SSはオチが決まったらあとは雪崩式に物語を組むパーツがはまっていきます。オチがくだらなさを売りにするものならハチャメチャな場面設定をしますし、シックに決めたいのなら静かながらも徐々に徐々に盛り上げていき最後でしめやかにオトします。
 投稿した【どんぐりな日常】は、最初に考えたオチとはずいぶん違う形になってしまいましたがオチの原型は同じで、それは会社から帰宅している間に浮かんだものでした。まぁこれは浮かばなければずっと浮かばないですね。オチが浮かんだらオチに辿り着くまでの描写や展開や雰囲気作りをするのですが、これは考えて考え込んで作ったものです。この部分は自分にどれだけの『小手先』ができるか、読み手に通用するか、ですね。
 SSという言葉のイメージが先行してしまったのかそう考えるとこの書き物は『小手先』が足りないようです。物語を肉付けし、登場人物たちに血肉を与える。オチがゴールのように見えてしまうと焦ってしまいがちですが、そこに辿り着くまでのドラマがゴールした瞬間をより映えるものとするのだと思います。
 いろんなものを書いてみてください。
2005-09-27 23:24:53【☆☆☆☆☆】clown-crown
【clown-crownさんへ】
 丁寧な回答ありがとうございました! 自分に足りないものがいろいろと見えてきました。ただ漫然と本を読むだけで面白い小説が書けたら、世の中は小説家だらけですもんね。書き手としての努力を怠っていたようです。clown-crownさんのいう『小手先』は、経験によって培われる部分が大きいと思うので次回作で上手くお見せすることは叶わないかもしれませんが、自分のペースでゆっくりやらせてもらいたいと思います。
 それにしても「どんぐりな日常」……あれはオチのキレも素晴らしいんですが、私としては誰が読んでも面白いというところがミソだと思うのです。日本でも昔、SF系のSS(例えばタイムパラドックスを利用したの)とかが流行りましたが、あんなのはそこら辺のおじさんおばさんが読んでもちっとも面白くないのです。私としては、あの作品はかなり完成したSSに見えました。でもいずれは、それを超えるSSを書いてみせます。宣戦布告なのです(オイ
 さてさて長々とお付き合いしていただき、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。あ、あと勤務中に眠っちゃダメですよ(笑) それではまたの機会に。
2005-09-28 01:57:38【☆☆☆☆☆】夜来香
作品を読ませていただきました。感想が遅くなって済みません。合わせ鏡の迷路のような書き出しは良いですね。前半の掴みがよかっただけに、コン版がちょっと弱かった感じがしました。合わせ鏡のようにずっとどこまでも拡大していくような雰囲気が後半にもあると面白かったかもしれませんね。では、次回作品を期待しています。
2005-09-28 07:54:24【☆☆☆☆☆】甘木
【甘木さんへ】
いえいえ、読んでいただきありがとうございました。前半が良かったですか。なるほど、興味深い感想です。前書きが忘れられてしまうと思い書き急いだのが仇になったんですね。しかし甘木さんの感想を読んで作品の中途半端ぶりを痛感です。前半が良いという人に対しては後半が、後半が良いという人に対しては前半が足を引っ張ってたわけですから。でも今回の作品ではいろいろな話が聞けてよかったです。次回作の糧にさせてもらいます(笑) それでは。
2005-09-28 23:11:18【☆☆☆☆☆】夜来香
初めまして、今更感想を書いておりますが、皆さんと語り合ったようなので、遅すぎるでしょうが、幾つか言葉を送らせて頂きます。ここ、登竜門ではSSが大変多く発表されています。その中でも逸品といわれる物が幾つか有ります。そう言われる物を目指すのもいいのですが、やはり、魅力ある小説を目指すのであれば、ある程度の分量がないと伝わらないかと。SSはあくまでも発想力や筆力の練習と考える私の個人的戯言でした。失礼致しました。
2005-10-02 00:10:06【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
計:4点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。