『キミはぴかぴかのガラス玉 1【前編】』作者:緋智柚樹 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
薄汚れ光る宝石とぴかぴか光るただのガラクタ。そんなふたり【ボクと彼女】のお話。注意:かなり暗いものになります。
全角1462文字
容量2924 bytes
原稿用紙約3.66枚



   キミはガラクタだった。
   それこそどこにでもあるような
   だけれどキミは 
   ボクのようにケースに並ぶキラキラとした豪華な宝石なんかよりも純粋にキレイで
   ボクは心 惹かれたんだ。

   ボクは宝石店に皆と同じ顔して並ぶ、薄汚れ光る宝石


   キミ は ぴ か ぴ か の ガ ラ ス 玉。


→ボクと彼女の場合。

 ねぇ、キミが好きなんだ。大好きで、大好きで。
 何でもするから。キミが望むならば何だってするから。

 ねぇ、だからもう一度あの頃のように笑って?




 僕の名前は早坂 裕一朗(はやさか ゆういちろう)。
 僕の父は大手企業会社の社長。
 そして僕自身も、小さいもののすでにいくつかの会社を父から任せてもらったりと、このままいけば次期社長間違いナシと言われている。
 出世街道、真っしぐらの超エリート。その上、見目までも麗しい。
 そんな僕に女はいつもいれぐい状態だった。
 淑やかな女性から艶やかな女性。僕に声をかけてくるのは大抵みんな上等な女性ばかりだった。
 そして気に入ったら試しに付き合ってみて。だけども誰として長く続くことはなかった。
 どんなに完璧な女性でも一ヶ月として続かなかった僕だったが遂に一生を共にしてもいいと思える程の人に巡り会った。
 彼女の名前は朝丘 麗美(あさおか れみ)。
 しかし彼女は今まで僕が付き合ってきた女性たちとはハッキリ言って比べようもないくらいに全てが普通な女性だった。
        
 彼女との出会いも極々平凡だった。任せられていた会社のひとつの新入社員として彼女は入ってきた。
 社長室、僕の前には新入社員計五人。皆緊張してぎこちなくも一言ずつ挨拶していく。麗美もまた、緊張した面持ちで挨拶を終えた。
 僕は彼女に対して特に何も思わなかった。
 ただの新入社員。それだけの認識だった。
 そんな彼女に興味が沸いたのはそれからしばらくしてからのことだった。

「やっぱり社長って格好イイよね!」
 会社のロビーの一角で女性社員何人かが噂話をしていた。
 少し離れた席で新聞を読んでいる僕の事には気づいていないようで辺りを気にせずキンキンとした大きな声で喋っていた。
 そこまでは日常、いつも通りだった。だが…
「え? そう?」
 女性社員の一人、友人達が揃って「やっぱりー」「だよね」などと盛り上がっている中、麗美は一人キョトンとそう返した。
「何、麗美ってば興味ないの!?」
「んー、別に。そんなことよりもさー」
 心底驚いたように聞き返す友人達に、彼女は本当に特に何でもないと言ったように返した。
 僕がそれについ新聞から目を離し麗美を凝視してしまうと、女性社員の一人が僕に気づいたらしく慌てて他にも知らせると「お、お疲れ様です」とペコリと頭を下げ、麗美ごとそそくさと逃げるように僕の前から去っていった。
 僕は驚いていた。勝手にもプライドが傷つけられた気分になった。
 僕について全く興味がないといった、横顔が目に焼きついていた。
 身体の内からクツクツと湧き上がるような感情があった。
 そこで初めて朝丘麗美という人物に興味を持った。いや、興味というには、もっと屈折した。
 彼女の顔を歪ませたくなった。僕自身の力で押さえつけて。僕の下で泣いて懇願させて……。
 そんな屈折した思いが僕の中で渦巻いた。
2005-09-18 16:13:43公開 / 作者:緋智柚樹
■この作品の著作権は緋智柚樹さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
はじめましての方も、お久しぶりの方もこんにちわ。
「ユズキ」改名しまして「緋智柚樹」です。
ええと、来ないとか言ったものの早くも断念(ぉぃ
これからは受験が終るまでは一話一話完結のものを投稿させていただきたいと思います。
読者としても現れたりしばらく現れなかったりと不規則です;
自分勝手な事ばかりを言っておりますが生ぬるく見守っていただければ幸いです。

この話【キミはぴかぴかのガラス玉】はテーマだけを一緒にして一話完結の話になります。
今回は「ボクと彼女の場合」です。一応、前・後か前・中・後で終る予定です。
相変わらず甘くてストレートな恋愛ものを書けないので次からはかなり暗くなる気満々です(ぉぃ
説明(?)にもありますがそういったものが苦手な方はご注意ください。
それではここまで読んでくれた方ありがとうございました!
短くても、辛口でも甘口でも何でも良いので批評・感想等いただければ幸いです。
この作品に対する感想 - 昇順
こんばんわ〜。読ませていただきました。どうも、前編を見るだけだと長くなりそうなイメージがあるのですが、三回で纏められるのでしょうか。まあ、それは緋智柚樹の腕の見せ所でしょう。楽しみです。自分はけっこういい人間だと思っているのにそれをそのまま否定される。かなりショックですよね。上下はそんなもの存在しないので感じたことはありませんが、彼にとってはこれほどのダメージはそうありませんでしょう。だからこのような歪んだ感情が……。しかし、最初を見てみるとあまりそのような行為はなかったようですね。次回はかなり暗くなるとのことですが、これがどうやったらそうなるのか……。更新を楽しみにしています。
2005-09-18 21:08:25【☆☆☆☆☆】上下 左右
上下左右さん、こんばんわ〜。
本当ならかなりのSSになる予定だったのですが意外にも長くなりそうで書いている本人が戸惑っております(ぉぃ う、腕の見せ所ですか?腕、腕…。とりあえずは自分の精一杯でお送りしたいと思います。ハッキリ言ってしまうとこの主人公裕一郎はかなりのナルシストじゃないかと思います。私としてはその少しでも分けてもらいたいぐらいですが。自信もある程度は必要なものですが行き過ぎた自信は人を傷つけますのでやめましょう(誰に注意してるんだ、私…)3つに分けるとすれば次もそこまで暗くないやもしれないです。そして後編で幸せから一気にドゴーンと突き落とすワタクシ目でございます。最後はかなり…だと自分では思っているのですが、はてさて皆さんがどう思われるか書いているほうとしても楽しみなところです。それでは感想ありがとうございました!
2005-09-18 22:39:36【☆☆☆☆☆】緋智柚樹
久方振り(そうでもない?)で御座います、京雅です。拝読しました。オムニバス形式で御座いますね。冒頭の詩的な表現も心地好いし、全体的に特別引っ掛かりはしなかったのですが、裕一朗の自己を紹介するモノローグにてキャラクターの造型に既に癖があって、やはりそこへ同調出来得なければ物語へ入り込むレヴェルも低くなるかなと思います。文量は、出だしのペースを考慮すると三編成じゃあ難しいやもしれませんが、どう物語性を展開するのか、心情面のプロセスをしっかり踏んでほしいと願います。次回更新御待ちしております。
2005-09-19 11:03:37【☆☆☆☆☆】京雅
作品を読ませていただきました。冒頭の美しさと本編のテンポの速さにギャップを覚えました。早坂のキャラクター自体も薄っぺらい感じがしますねぇ。いかにもっと言う感じの出来合えのキャラクターを使っているようで感情移入がしづらいです。逆に、ありきたりなキャラクターをこれからどう料理していくかが楽しみです。長くなってもかまいませんから、心情面などしっかり描かれる作品になって欲しいですね。辛口の感想になって済みませんでした。では、次回更新を期待しています。
2005-09-20 00:36:30【☆☆☆☆☆】甘木
感想・批評・アドバイス等ありがとうございます!
【京雅さん】私としては中々お久しぶりな気がしますよ。詩的な表現ならどんとこいなので(ぇ そう言っていただければ嬉しいです。裕一朗ですね…。何やら読む人を選ぶというかな文で申し訳ないです;彼はこの話の結末が書きたいがために出来たキャラなのですが、私としてはこういった人物は苦手です(ぉぃ 物語性の展開・心情面のプロセスですか…。両方とも物語を書く上で欠かせなく、かつ難しいものですね。努力したいと思います。
【甘木さん】テンポが速いのはもともとssとして書いていたものだったせいだと;早坂のキャラ造形も朝丘のキャラ造形も極力言葉を少なくして外見など色々と想像できるようにしたつもりなのですが、私のやることなすことはどれも裏目に出るようで…。感情移入もやはりし難いようですね;長く、ですか。それはすでに大体のカタチが出来上がってしまっているものでかなりキツイです;が、それでも少しでも「ああ、なかなかじゃないの」と思っていただけるように精一杯頑張りたいと思います。辛口感想は逆に嬉しいですよ♪いつも的確なアドバイスありがとうございます。
2005-09-20 19:46:57【☆☆☆☆☆】緋智柚樹
受験勉強をほぼ放棄して小説を書いていたためにろくでもない大人になってしまったアタシとしましては、勉強がんばりつつその合間に書くということに敬意を覚えるわけでありますよ。さて、作品読ませてもらいましたが、うん、モノローグ一本槍がね。一人称語り形式の作品の場合、書き手はその語り手になりきって、演じなければならないところがありますね。おねえちゃんにチヤホヤされる青年というものは、何を見て、何を感じているのか。モテ男に対するイマジネーション、モテ男のムーヴに対するイマジネーション、そして語りによらず、主人公の身動きで「あ、こいつモテやがるなあ。ブサンボマスターの標的だな」とほのめかす小ドラマ仕立ての構成などなど、作りこんでいく点があると思いますね。でもただまあ、常にも増して、わずかな時間で書き上げたいっていう思いがある時期でしょうから、その思いのままにびゅんびゅん書くというのもひとつの方法で、その中に煌めくものを、もうしばらくして落ち着いてから、自分自身も探して見出していくのがいいかもしれない。続き待っておりますが、何より焦らんでくだされ。
2005-09-21 22:05:47【☆☆☆☆☆】タカハシジュン
レス遅くなりまして、すみません!すみません!!
【タカハシジュンさん】受験勉強をほぼどころか放棄し倒してます。柚樹です(ぇ いえ、近頃は中間テスト勉強してますけど。うん。
ふむふむふむ、色々とアドバイス有難いです。自分幸せです。しかし、自分にそれらが出来るのか?いや、出来るのかじゃないやるんだ!とか謎の決意表明は置いておきまして。むむぅ、やはり少し長めに色々とつぎ込んだほうがいいですかね?予定としてはかなり今後も展開がとてつもなく早く進みそうな感じなのですが…。とりあえずは色々なことを試してみたいと思います。じっくりと時間をかけて。更新速度があらら〜なコト(どんなこと)になりそうなので、そう言っていただけると幸いです。焦らずに頑張ります!
2005-09-26 16:44:44【☆☆☆☆☆】緋智柚樹
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。