『カエルの王女様』作者:羽乃音 / AE - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角5150文字
容量10300 bytes
原稿用紙約12.88枚

                   


                          カエルの王女様




――空は青く、どこにも雲の陰すら見えない、そんな真夏の午後。
 真夏の陽光は白い校舎をより空間に映えさせ、それによって自分自身の存在を表示していた。
 そんな自分本意な太陽に焼かれながら、僕は自分の家までの道を歩む。
 白のシャツがよく似合うと言われる――これも太陽のせいなのだ――小麦よりやや濃い褐色の肌。人に言わせると「女ったらし」。自分なりには純情なつもりなのだけれど、誰もそんな僕の心を見てはくれない。派手な顔立ちとか、服装のセンスとか、そんなものでしか僕を計ってはくれない周囲の人達がいまいち好きになれなかったりする、そんな僕である。……調子に乗って髪をアッシュに染めたりしたからかな……。
 僕は実際、人にそんな風に言われるほど女の子には縁が無い。だからほら、今日の様に帰り道を一緒に歩く女の子もいないのだ。周りの男友達も今日は皆部活が忙しいらしく、今日に限っては独りで寂しく帰る羽目になった。辛いよぉ、これ。でも部活とか、合わないんだよなぁ、体質的に。
 そんなどうでも良いことを長々考えて落ち込みながら、僕は雑草がアスファルトからがつんがつん飛び出してきているのを横目に、家路を辿る。しかし、家に帰ってからのことを考えて、また落ち込んでしまう。……家に帰るのかぁ……。
 家に帰っても、僕の場合呑気なことを言ってられないのだ。部屋を片付けてくれる母も、金を稼いできてくれる父も、優しい兄も、口うるさい姉も、遊び相手の弟も、ましてや可愛い妹もいない。……困ったことに僕は今独り暮しなのだ。それも全部、教育熱心な母のおかげである。
 母はかつて高校の教師だった。その経験と、築き上げた人脈によって、最高の教育を一人息子である僕に受けさせたい、その一心によって僕は故郷を離れることを余儀なくされ、遠く離れたこの松山市の高校に通わされている。贅沢なことかもしれないが、ちょっとはた迷惑だ。
 ……そんなことを考えている内に、自然とそれに目が行ってしまった。
「ん?」
と声を出してしまったのも、きっと頷いてもらえると思う。誰だってそんなのを見たら、……。
 僕が歩いていた道から入れる空き地。そこに、女の子である。グリーンの、やたら派手なドレスを着た僕と同じ年頃らしい女の子が、……相撲取りが敵に向かっていく時みたいな、つまり手を地面につけて、足を広めに開いて、こっちを見ているのだ。しかも僕が見ているのに気付いたらしく、こちらを見てニコッと微笑んでいる。
 ……変な子だろうか。これは大人に最も近い子供といわれる年代の代表として、大人らしく見てみぬ振りをするのが得策なんだろうか。そうやって醜い大人色に染まって、過去の青春を遠く遥かに眺める人生を歩もうとするべきなのだろうか。そして「あの時のあの少女は、一体何だったのだろう」と死の直前に考えるべきなのか。
 僕は……。
「あなた、私が見えてるんですかぁ?」
「あ、はい」
 僕が何か言う前に、彼女の方が僕に声を掛けてきたので、僕は思わず素直に答えてしまった。ああ、大人の渋い僕が遠ざかっていく……。
「やったぁ! ようやく見つけたぁ」
 なんだかその変なポーズと同じ位言葉遣いも変だ。というか、なんだかとろくさい。天然系というか、男に媚を売るような感じというか。
 僕はなんだかすぐにでもこの場を立ち去らないと骨の髄までしゃぶり尽くされるような気がして、彼女から目をそらし、逃げようとする。
「あぁぁ、待ってくださいよぉ」
と追い縋る――変なポーズのままで――女の子を振り切るように、僕は早足で進む。
 しかし、その足も……あっという間に止められてしまう。
 足元に群がった、無数のカエル達によって。




 ワンルームの、白を基調にした清潔な内装。母の知り合いに紹介してもらった、僕の部屋である。
 しかし普段は清潔感溢れるこの部屋が、今はなんだか湿った連中に埋め尽くされている……。
 緑、茶色、黄色。どでかい奴、ちっちゃい奴、普通の奴。どれにも共通しているのはヌメヌメした肌。
「……で、あんた誰なんだ? 謎のカエル使いか?」
 僕は本心から言った。だってそうだろう。これだけの数のカエルを引き連れた変な女なんて聞いたことが無い。きっと変な子だ。
 ……少女は僕の言葉を思い切り無視して、クーラーの下でウシガエルと涼んでいる。
「おいっ!」
 僕が大きな声で呼ぶと、少女の横にいたウシガエルは物凄い低い声で鳴いた。それを合図に周りにいたほとんどのカエルが鳴き始める。いきなりカエルの大合唱だ。
「……黙らせろ!」
 僕はあとほんの少しで手当たり次第にカエルを血祭りに上げてしまう、そんな精神状態だ。
 僕が言うと、少女はウシガエルよりも大きな音で鳴いた。……げっぷに似た、汚い音が部屋中に響き渡る。それで周りのカエルの鳴き声は収まるが……お前等、近所迷惑だよ……。
「すみません、余りにも暑いものですから、皆ストレスが溜まっちゃってぇ」
「いや、カエルのストレスなんて知らないけどさ。だったらどっかの水辺に連れて行けば良いだろ。それよりも俺に一体何の用があるんだよ、謎のカエル使いに知り合いはいないぞ」
 僕は洗濯機がまだ家に届いていなかった時に、コインランドリ−まで歩いていくのが面倒でわざわざホームセンターで買ってきた、大きなコントで使うような金盥に冷たい水を張る。それをフローリングの上に置いてやると、ザブザブとカエル達が水を溢れさせながら飛び込む。……あぁぁ、後で片付けないと……。
 少女は、自分もその水の中に入ろうとしている。が、僕の変な視線に気付いたらしく、こほんと軽く咳払いをして僕の目を見つめた。
「ええと、何の話でしたっけぇ」
「だから! 俺に何の用なんだよ」
「ああ、その件ですかぁ……。ところでこの部屋、ハエとかいませんかねぇ、イエバエが好みなんですけど」
 僕はもう一度変な、というかこの子はイエバエを食べて生きてるのか、なんていうちょっとした同情心を込めた視線を向けた。今時、もっとまともな食べ物がどこにでも溢れているだろうに。ましてやそんな派手なドレスを着てるのに。そのドレスを売れば良いものが食べられると思うんだけど……。
「あ、申し遅れましたぁ。私、カエルの王女ですぅ」
「……ハァ?」
 僕はとりあえず言っておく。いや、さっきからなんとなくそんな気がしてたんだけど、でもやっぱり言わなきゃいけないお決まりのせりふでしょ?
 ……もう一度僕は彼女を見つめる。
 柔らかそうな茶色の髪はうなじにかかる辺りで軽くくるっと巻き、顔立ちは少女らしさをアピールする様に、目は丸く大きく、鼻はそれほど高くなく可愛らしいという言葉が似合うくらい、唇はしかしどこか大人びた艶のある表情を持っている。その上ポイントは、膝上の丈のドレスから伸びたニーソックスの足……全体的に、……僕の好みなのだ。
「……名前は?」
「あ、リディですぅ」
 僕はその名前を頭の中で強固に記憶回路に叩きこんだ。リディね。
「私はですねぇ……」
 彼女がそのとろくさい口ぶりで語り出したことを要約するとこうだ。なんで要約するかといったら、彼女の言葉でその内容を語らせると原稿用紙が何枚あっても足りないからである。
 



 彼女はカエルの王女として、日本のどこかにあるというカエルの王国を治めていた。陰ながら世界の平和を守っていた彼女だが、ある日……。
「すぐ近くにぃ、蛇さんの王国があるんですよぅ」
 ……なんて防衛面で問題のある王国なんだろう、という突っ込みは置いときつつ。
 蛇といえばカエルの天敵なわけで、その蛇さん達がカエルの王国との間に結んだ条約――年に三百匹の生贄を蛇に与えるという、カエルにしてみればかなり酷な条約――を突如覆し、その有り余った食欲でカエルの国に侵攻し始めたのだということだ。
 もちろん、相手が天敵であろうと条約違反を許すわけには行かず、その上滅びの道を歩むわけにも行かず、リディはカエルの王国の王女として戦った。それは、父である大王アルティルグ二世との約束――アルティルグがリディの夫を探し出し連れてくるまで、王として王国を治め守ること――を守る為であった。
 その為に、蛇を食べる鷹を遥か高山地帯へと訪ねていった王女であるが、その道の途中蛇側の呪術師の手に掛かり、人間に姿を変えられてしまったのだそうだ。
「こんな姿で鷹さんに助けを求めるわけにもいかないし……困ってるんですぅ」
 しかも人間の姿をしている訳だが、しかし人間の中でも純粋な心を持った人間にしか彼女の姿は見えないのだそうだ。それであの空き地で変な格好で居た訳だ。



「どうか力になってくれませんかぁ? ソンウンさん」
「ソンウン?」
 僕の名前は一ノ宮なのだが。
「ええ、表札にそう」
「むーらーくーも! そんな主婦が喜びそうな韓流な名前じゃないっての!」
 村雲という僕の名をそう読んだのか。もちろんカエルなのになんで文字が読めるのかとかいう突っ込みも置いておくべきだ。
 しかし……話を聞いて思ったのが、何故そんなことで悩む必要があるのか、ということだった。蛇を駆除すれば良いんだろ?
「……蛇をやっつければ良いわけだろ、簡単じゃん」
「え?」
 リディが小さく驚きの声をあげる。それに合わせてまたウシガエルがげふぅ、と鳴く。うるさいっつの。
「保健所に頼めば良いんじゃないの?」
 そう言いながら僕は携帯の104のボタンを押し、「松原保健所」と言った。そして機械の音声を聞きながらメモをとる。そしてその番号に掛けなおす。
「あ、もしもし? 一ノ宮といいますけど、最近東松原の林の中に入ってみたんですけど、なんか凄い数の蛇がいたんですよ。……ええ、アオダイショウとかだったらいいんですけどね、中にマムシとかも混ざっていたんです。危ないですよね、近くに住宅地もあるわけですから……ええ、ええ、……そうですか、ありがとうございます! それでは失礼しますぅ」
 ……終わった。僕に出来ることは終わった。燃え尽きたぜ……。
「……終わりですか?」
「うん、近い内に駆除されるって」
 僕がそう言うと、部屋中のカエル達がげこげこ、げふげふ、くえくえと鳴く。だから……、まあいいか。
「それより……どこかに不潔な家ってありませんかね? 皆お腹を空かせてるんですけど」
「あぁ、上林さんの家からよく食べ頃の虫が飛び出してるよ。隣の部屋なんだけど」
「あ、じゃあそこに行こうか、皆」
 リディがそう言うと、またカエル達がげこげこ、げふげふ、くえくえと鳴く。……もう諦めたよ。



「じゃあね、元気でな」
 いつの間にか、陽射しは西に随分と傾き、しかし外の暑さは変わらずそこにあった。
 一足先に上林さんの部屋をジャックして腹を膨らませているカエル達を横目に、僕はリディに声を掛ける。
「ええ、村雲さんもぉ元気でぇ」
 僕は西日に照らされる王女が僕を見上げる視線にドギマギしながらも、しかしやはり訪れてしまった別れの時に少し悔やんでいた。なんならもうちょっと、シリアスな協力の仕方をしてやればよかったか、と。毒蛇の牙をかいくぐり、大蛇に体を締め付けられ、それでも村雲は諦めず、とか、ねぇ。
 そこで僕の脳裏にふとした疑問が過る。
「あれ、そういえばリディってどうやってカエルに戻るの?」
 リディもその事実を思い出した様で、しかし慌てることもなく、僅かに頬を赤らめた。……不思議に彼女の瞳が潤んでいるような気がする。
「それは……、こうすればいいんですよ」
 

 僕の唇に、柔らかな羽毛にも似た感触が、一瞬だけ、僕の全身の感覚のどれよりも僕に響き、そして離れた。


 思わず目を閉じた僕のまぶたが開いた時、……そこには、


 物凄いでっぷりと太ったウシガエルがげふぅ、と鳴きながら僕を見上げていた。
 それを見て僕は思う。
 


 ……なんか、ロマンチックじゃねえな……。








                        終
2005-09-06 17:14:57公開 / 作者:羽乃音
■この作品の著作権は羽乃音さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 初めまして、羽乃音(はのね)と申します。何卒よろしくお願いします。拙作ではありますが、ほんの少しでもお楽しみ頂けたら本当にうれしく思います。
 それではお読みいただきありがとうございました。できましたら感想をお聞かせください。
この作品に対する感想 - 昇順
はじめまして。時貞(ときさだ)と申します。よろしくお願い致します。
作品、拝読させていただきました。正直な感想は・・・・・・お、面白かったです!!主人公の軽妙な心情描写といい、リディやカエルたちのかわいらしさといい、ストーリーといい、かなり楽しく読ませていただくことができました。「蛇の王国」の撃退法が、非常に現代的なところが良かったですね(笑)最後は綺麗に終わるのかと思いきや・・・・・・このオチもお見事でした。最後の台詞がまたニクイです(笑)羽乃音さんの次回作を楽しみにお待ちしております。
2005-09-06 18:26:35【★★★★☆】時貞
初めまして、ゅぇです♪アスファルトから雑草が「がつんがつん」飛び出しているという描写が気に入って読み進めたちょっと動機不純の読者です(笑)描写もしっかりしていてよかったのですが、少し説明的すぎるような印象も受けました。でもひとつひとつの表現には力があって、とても良かったと思いますねぇ。しかしカエル王女の話を要約してるところは笑いました。っていうか鷹だってカエル食べるんじゃん、と思いつつ――「敵の味方は敵とは限らないのよ」的発想はそれでも横に置いておくべきなんでしょうね(笑)単にお笑い童話としてみてしまっていいのか分かりませんが、楽しいといえば楽しい、少し唐突にはじまって味気なく終わるといえば味気ない、いやでもこの分量で見ればこれもありなんだろう、と(笑)もう少し分量があれば良かったかもしれませんね☆あと少し個人的には「……」が多かったような印象を受けました、と付け加えておきますね。ではでは次回作もお待ちしています。
2005-09-06 18:29:04【☆☆☆☆☆】ゅぇ
はじめまして!ねこまと申します。読ませてもらいましたよー。
話全体がオリジナリティーがあって面白かったです。なんだかあっけなく終わっちゃうかなぁ、と思ったらこんなロマンティックな展開が待っていたとは!笑)
読みやすい文章とうまい描写で一気に読めました。とても気持ちの良い作品だと思います。爽やかで。
自分こーゆー話大好きなので、また次回作期待してます!なんだか参考にならない感想でごめんなさい。では。
2005-09-06 18:40:16【☆☆☆☆☆】ねこま
はじめまして。浅葱と申します。「童話」ということで「ほほう」などと思いながら読み始めたら……はまっちゃいました。
リアルに想像してみたら、部屋にカエルがうじゃうじゃというのはいい光景ではないなぁ……(笑)。でもそこを読者にグロテクスに思わせないところは良いと思います。軽快な文章でうまくカバーしてましたよね(何を偉そうに)。
細かい批評になりますが、「記憶回路に叩き込んだ」という表現は「頑張って記憶した」と思えました。リディという名前は充分インパクトがある(笑)ので、そこまで大げさに覚えるまでもないかなぁ……と。(細かぃ
全体的には、スイスイ読める、楽しい作品でした。次回作、楽しみに待ってます。
2005-09-06 19:19:03【☆☆☆☆☆】浅葱
ジャンルがリアル・現代と童話。気になって読んでみたら、とても素敵な作品でした。まず、主人公が好感が持てます。『なんならもうちょっと〜とか、ねぇ。』までの思考が面白い。読みやすい文章で、全体的に軽快なリズムの作品だと思いましたが、ラスト十行程度には不覚にもドキドキさせられました。次も頑張ってください!
2005-09-06 19:42:34【★★★★☆】月海
皆様、ご感想誠にありがとうございます。本当に感激しながら読ませていただきました。短いながらもお返しをさせていただきます。
<時貞さん>面白いといって頂き、本当にありがとうございます。少しばかり下らな過ぎるかと心配もしたのですが、とにかくお読み頂いた方に喜んで頂けるならこれ以上の幸せはありません。今後も精進していきますので、どうぞよろしくお願いします。
<ゅぇさん>いえいえ、動機不純なんてとんでも御座いません。説明臭くなってしまうところや三点リーダを多用してしまう癖が自分でも気になっているのですが、やはり見えてしまいますね。申し訳御座いません。ふふふ、鷹がカエルを食べることは「しーっ」ですよ(笑)。これからもどうぞよろしくお願いします。
<ねこまさん>お読み頂き、ありがとう御座います。オリジナリティですか。はい、少し気を配って皆様に楽しんで頂けるよう、また飽きないで頂けるよう、書いてみました。拙作では御座いましたが、うまいと言って頂けたなら感無量で御座います。参考にならないなんてとんでもない!また楽しい感想をお聞かせください。これからもよろしくお願いします。
<浅葱さん>すみません、似非童話では御座いましたが(笑)はまって頂けたとのこと、ありがとうございます。アドバイスの点、心に刻みました。少し大袈裟が過ぎましたか。これからも楽しんで頂ける作品を書きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
<月海さん>ジャンルの選択という機能で少し悩みましたが、結果こうしました。そのおかげで月海さんのご感想を頂けたのなら、悩んだ甲斐があるというものです。素敵と言って頂ける程の作品ではないと自分では思っておりますが、頂いたお言葉はしっかりとメモに刻んでおきます(笑)これからもどうぞよろしくお願いします。

 それでは皆様、本当にありがとう御座いました。
2005-09-06 22:37:21【☆☆☆☆☆】羽乃音
初めまして、ミノタウロスと申します。童話が好きなので読ませて頂きました。落ちには、くくくと笑いが漏れました。だって、かなりの興ざめですよね、魔法のキスの後に現れたウシガエルなんて(笑)思わず唇を袖でごしごし拭きたくなるじゃないですか。カエルってかわいい顔をしてると思うんですが、キスはできないな;;
さらっと読みやすいお話でしたが、そうなると、もう少し捻りがあるともっと面白かったのかな、と。では、またの機会にお会いいたしましょう。
2005-09-07 00:58:34【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
 clown-crownです。小物の使い方はやはり童話だと思いました。でもノリはライトノベルっぽかったような。キスをするとお姫様になる、のではなくて、キスをするとお姫様ではなくなる、ってところが面白かったです。鷹はともかく、蛇に関する記述がほしかった気がします。
2005-09-07 01:58:33【☆☆☆☆☆】clown-crown
ご感想を頂いたこと、心より御礼申し上げます。短いですが、お返しを。

<ミノタウロスさん>カフカの『変身』を反童話的と読んだりいたしますね。もう少し軽い雰囲気でそれを表現してみたかったのです。落ちで笑って頂けて、本当に嬉しいです。もう一捻りとのこと、なるほどとしっかり心に刻ませていただきました。どうしようもないおろかな作者ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いします。
<clown-crownさん>お読み頂きありがとうございます。落ちを思いついて書き始めた作品でして、それがだめなら全部だめになってしまう情けない作品です。作品を書く時にどうしてもそのモノについての調べものを省いてしまう怠惰な作者で本当に申し訳ありませんが、今後ともよろしくお願いします。

 お二方、見苦しい稚作を読んで頂き、本当にありがとう御座いました。
2005-09-07 07:04:31【☆☆☆☆☆】羽乃音
こちらでは初めまして、最近まるで新人さんの作品を読むことをしていなかった神夜です(嫌な挨拶だ(笑)さてさて読ませてもらいました。しかしこれ、何ともまあ何でもありな物語ですね。いやはや、突っ込みどころ満載です。断っておきますが笑いの突っ込みどころ、という意味ですからね。そう、蛇の退治が主人公ではなく保健所なのかよ、とかカエルをそのまま部屋に入れる凄まじさ、とかもういろいろと。この小説のノリや勢いは好きです。が、少々インパクトが弱かったかな。いや、ヒロインがカエルに戻るインパクトはありますが、全体としてのそれが足りないのです。もうちょっと肉付けをすればより楽しくなっただろう、とつぶやきながら、神夜でした。
2005-09-07 20:19:41【☆☆☆☆☆】神夜
初めまして甘木と申します。作品を読ませていただきました。なんだか冒険の部分がない「ケロケロちゃいむ」(少女マンガ。作者は藤田まぐろ)みたいだな、と、思ってしまいました(スミマセン。でも、主人公のやる気の無さなどは微妙な面白さを醸し出していて良かったです。ただ、楽しい作品なのに展開が早すぎて少々物足りなさを覚えています。楽しさと文章のテンポが合っていなかったのかなぁ……SSに拘らずもう少し書き込んだら、より面白い作品になったと感じています。雑草の生える様を「がつんがつん」と表現したのは良いですね。イメージぴったりの表現だなぁと感心しました。長々戯れ言を書き込んでしまいスミマセンでした。では、次回作品を期待しています。
2005-09-07 23:58:33【☆☆☆☆☆】甘木
初めまして、京雅と申します。拝読しました。文章の雰囲気や構成、何より言葉選びのセンスは心地好いし面白かったと思います。童話風味で御座いますね。ラストの一文が主軸ならばメッセージ・示唆で御座いますから、童話と位置付けるのかもしれません。ある程度簡略化しつつも、要所では細かく書いているのは書き慣れているのか、それとも無意識か。些かオチへむかうまでスムーズ過ぎたこともあり、あと一つ二つ撃って戴ければさらに快で御座います。次回作御待ちしております。
2005-09-08 10:33:48【☆☆☆☆☆】京雅
初めまして、菖蒲と申します。拝読させていただきました。全体を通して、丁寧に選ばれた言葉たちが印象的であり、柔らかく、まさに童話になぞらえられている話運びにはとても好印象を抱きました。怠惰で妙に常識範囲のような対応をする主人公と、のんびりと気の抜けた反応をする可愛いお姫様という二人の対立に光るものがあるなぁと感じますね。素直に笑える展開の和やかさには共感も覚えますし、何より文章の中に定期的に存在する面白い部分が、読み手にとって魅力的でした。読み切りとして簡潔にまとめられていることは上手いと感じますし、短いながらに伝わるものもきちんと目を惹いてくれています。移入しやすい文面としては、「あの時のあの少女は〜」や「保健所に頼めば〜」のところは即決にこちらも頷けて、より楽しいですね。私が特に気に入りましたのは、「骨の髄まで〜」「カエル使いか?」「手当たり次第に血祭りに」などたくさんあるのですが、「というかこの子はイエバエを食べて生きているのか」の一言にはすごく笑ってしまいました。最後の閉め方も童話らしく道理に適っているかな?と思えまして、一貫してすんなりとしていることも含め、個人的に好ましいお話でした。次回も期待してお待ちしておりますね。
2005-09-09 21:29:17【★★★★★】菖蒲
計:13点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。