石に刻み付ける碑文のような文章だった。槌と鏨の音が聞こえてくるようだった。文字が小さいことに腹を立てる(笑) コピペしてWordに貼って、フォントを明朝にして読んだ。ええと、恋羽さん、今更ながらお久しぶり(笑) 無礼な言い草ながら、刮目ですよ。正直、思惟の中に滑らかならざる部分もあると思う。文章に時折乱れというか、振幅、起伏の乱れのようなものを感じもする。だけれどもアタシは嬉しい。ここまでタイトに良く紡ぎだしたと思う。なまじな気概ではないと思う。だけれどもここで安住してはならないと思う。もっともっともっと高みに行ける筈だ。僕はそう信じる。今回、この世界観とこの文体との相乗効果があったんじゃないだろうか。単に表層的なこの文体の選択とも思えないし、また世界観も表層的ではないと思う。ただこのふたつの結びつきの時間がまだ少し不足しているせいかな、文章と世界とが練りきれて居ない。例えばこの世界の色がすこしばかりちぐはぐだと思った。ぎらついた太陽が照らす極彩色の世界なのか、荒地と砂ばかりのくすんだ世界なのか。いやそれぞれに描写はある。だけれども、文体のリズムや雰囲気、漢語とかなとのバランス、そういうものからもトーンというものが伝わってくる。どことなく薫ってくる色彩。僕はこの文体であれば、色のない世界、色彩の乏しい世界を連想してしまう。そしてその中で、何かひとつだけに、決定的な色彩を施したくなる。それが例えば町なのか、太陽なのか、マヤなのか。マヤならばそれは瞳なのか、髪なのか、唇なのか、肌なのか。生であり死であり、生があり死があるこの世界の中で、僕は何か決定的な刻印を何かに対して下したくなる。ふたりの交わるくだり、言うまでもなく情交はエロス(生)とタナトス(死)との交錯だよね。それを感じさせる。ただ、一人称作品でここを活写する文体と、世界をつづっていく文体と、やはり微妙な差異を生じさせるべきかな。官能、迸るものというエロスか、暗澹たる中に落ち行くタナトスか、ここは或いはもっと感覚的な、情感と密着した文体、粘膜的な文体に足を踏み入れるべきだったかもしれないと思う。ごめんなさい。こんな調子で書いたら、後が続かないかもしれない(涙) その点どうしようもなく切ないのだけれども、書かずにいられないので書かずにいられないことを書きました。
2005-08-24 19:17:30【★★★★☆】タカハシジュン
お久しぶりです。本当にタカハシさんらしくない!(感想が早過ぎる(笑 とにかくお褒め頂き(?)ありがとうございます。カオスより出でカオスに消ゆ、僕としてはそんな感じの作品でした。色彩、ばらばらでしょう? でも色彩に関しては、とことんまでにぶち壊したかったんですよ。ほんの少し歩いただけで荒野の赤土が灰桃色の花の林に変わり、そして紫に染まる海に変わる、そんな異常な世界が書きたかったんです。繊細な部分での囁くような色彩を無視してでも、基調というものをぶち壊したかったんです。あえてそこに根幹をなすようなものを取り入れるならば「夢」なんていう不気味なものにしたかった。不規則な揺れは最初にある程度イメージしてあとは流れに任せた部分が大きいのですが、いつ崩れるともわからないアンバランスさを描きたかったのもありますね。夜のシーンですが、本当はもっと濃密にしつこすぎるぐらいに書きたかったんです。粘膜的、そうそうそんな感じで。それは実現しなければならなかったんですが、まだ勉強不足と欲求充足(?)で、練りこむしつこさと萎えずに書き切る意欲に欠けていましたね。全身全霊を賭して、というにはまだ甘すぎます。とにかく読む者を拒む文章なのかなぁと書きながら思ってしまったので、読んでいただけてうれしいですよ。多分僕は今成長と安定の中間地点にいます。不安定な周期でもって繰り返す成長ではありますが、どうか長い目で見守っていただけたらなぁ、なんて思っとります。ありがとうございました。
2005-08-24 19:56:00【☆☆☆☆☆】恋羽
御久し振りで御座います、元気にしておられましたか?さて、拝読しました。書き方等小難しいことは小難しいのですけれど、京雅の感性に一寸引っ掛かりましてね、これはもう感性的に言葉を連ねます。冒頭から引幕の前くらいまで、装飾過多ってくくれないほどの色・感覚によって綴られていて、ふいに観た瞬間統制がとれていない気もしました。けれど能く読んでゆくと個個の光彩は静かでおとなしく、しかし読み進めると異様に速い。これは至極不可思議な情覚であり、均衡のとれていないわけじゃあないのに崩れている。不思議。でも、何て言うかな、物語全体を見渡してみたのですよ。するとね、ジェットコースターに乗っているような錯覚をうけた。一つ一つは止まっているのに、わたくし自身が速く動いてしまっている。不透明なうえで鮮明、うん、微妙なズレ。そこで引幕に差し掛かる。するとふっと、コースターは止まった。生きた心地になる。言いたい事はね、終幕になって漸く「安堵した・一息吐いた」。書き物のなかの彼等は歩いてきたのだろうけれど、読み手である京雅にとってそこまでは曖昧で模糊な、不安な場所で、そこから先がやっと現実、みたいな。兎も角、わたくし生きているなぁ、かな。異常に感覚的な感想、申し訳ないです。素直に書いたほうが喜ばれるかなぁって、ね。次回作御待ちしております。ps,己の昔書いたものを思い出して、ああ、あれも読み難いなとひとりごちてみました――。
2005-08-25 02:57:11【☆☆☆☆☆】京雅
お久しぶりです。元気過ぎて色んな意味で危うい恋羽ですが(笑 なんとなくこの作品を書いて、一段上へ上がった気がしている恋羽なのです。筋を通すことを故意的に拒んで、今まで書きたくても書けなかったことをこれでもかと書いたんです。感覚的な感想、それがふさわしいのかもしれませんね。だってこの作品はいつも以上に感覚で書きましたから。しかも慣れた書き方から大きく離れて。ジェットコースター。面白い表現です。それは異常なまでにある一方へ傾いたこの作品の性質によるのかもしれません。間隙が余りにも多いコマ送りですからね。とにかくこの感想は非常に嬉しかったです。曖昧模糊っていいですね。好きですそういうの。今までと一味違った感じを味わっていただけたらもうそれで満足かもしれません。ありがとうございました。
2005-08-25 03:35:42【☆☆☆☆☆】恋羽
はい、clown-crownです。書き物を分解し、ポイントを絞って捉える感想の書き方をしたいと思います。
出だし【陽の光と夜の神】ここが全体にかかるテーマの表れですね。【幾度となく繰り返された一瞬】等、反対の意味をもつ言葉を、(ココハさんであれば問題なく処理できる言葉群であるにもかかわらず)わざと違和感を残して接着させている。この手法は【蒼く霞んだ荒野の赤土】といった色に関する部分で使われることが多い。そうしたものは、読み手に視覚イメージでの混乱を招かせている。この最初の段落で既に充分な世界観を有している。
次の段落から、違和感がグロテスクにまで引き上げられる。【果実から腹を切り裂かれた人の身】なんかは特にそうだと言える。見立てであるぶん婉曲的であり、世界観にマッチする。【己の思考の内から生まれ出ることは期待できそうに無い】一見、一人称としては邪道である書き方だが、自分を自分の外から見ているかのような現実からの剥離を感じさせる。【何故死の町と呼ばれているんだ?】知らない男と知った風な女。これは鰻番外編にも見られる。ココハさんの立場としては間違いなく【僕】であり知識欲があるゆえに、もがき苦しんでいる姿である。【死の生活】、これが【陽の光と夜の神】から匂わせていた主題。最も伝えたい対比。
次の段落は性描写。これはこの書き物のオチ(笑)。オチが途中であるなんて、なんて発想だ! 素晴らしすぎる(涙)。
最後の何か。これは、まったく丸のままの素っ裸ココハさん(ハズカチっ)。生と死の同一性を唱えてみるも、あえなく撃沈。ただし、ここには憐れさがない。知ることができないことに心得ができている。それが、将来にはわかるだろうと楽観しているのか、永遠に解けない疑問として残しておこうとしたのかは私にはわーかりーませーん(真面目モードに疲れた)。
では、分解したものを再構成。『不確かさ』。はい、これですね。安定したものがないのです。でもね、不確かさを不確かさと感じさせてるようじゃ駄目な気がするんですよ。教科書的な文体が織り成す異様な結合は、最初こそ力をもつものの持続しない。直線的であり、エッシャーの騙し絵のような感じです。変であることを認めてしまうと変であることがそれほど異常だと感じなくなってしまう。もっとぐねぐねと気持ち悪く動き出してくれないと。何かもうひとつ、畳み掛けるような異常がほしかったです。
最後の何かなんだけど、あれには必然性がいる。前の段落と結びつけるような何かが。それを書き込めば、二段オチではないけど緩急のついた衝撃となって、読み手をビビらせることができると思う。
どうしても気になったこと。【ごみのポイ捨てはやめましょう】この部分だけ、読んだときに脳内でコメディーな音楽が流れていたよ。イメージの統合をするならもっと言葉を変えたほうがいい気がするね。
はい、偉そうに書きましたよ。私は尊大ですから!
2005-08-25 19:35:40【☆☆☆☆☆】clown-crown
お久しぶりです。皆さんの熱の入った深い観想を読んでびびっています(苦笑 自分には皆様のような感想を書くだけの頭がないので、とりあえず面白かったかどうかだけを伝えようかと……ていうか、正直わかりづらかったです(笑 あいまいな小説ならではの表現とでも言うのか。オサレな文字での挑戦というのか。なんだか描写にそんな印象を受けました(悪い印象じゃないですよw さて、面白かったかどうかということなんですけど、面白くはなかったです(マテ ただ、何かこう読ませる力はあって、興味深いというのが当てはまります。語彙も増えているようで(いや、もともとこれぐらいあったのかもしれませんが(ごめんなさい)恋羽様の成長が羨ましいですwんんまぁ、このぐらいで勘弁してください。もう書くことがないです(苦笑 あ、あと、恋の羽根という題の意図が全然わからず、悩んでいるのですが、恋羽様自身ということでしょうか?(笑
2005-08-26 11:54:54【☆☆☆☆☆】影舞踊
恋羽「ねえ、この名前で変な作品書くのやめてくれない? 私としてはもっとセンチメンタリズムに溢れた大人の恋愛なんかが好きな訳よ」
俺「うっさいわ! HN(PN)が主人格を否定してんじゃねぇよ!」
というやりとりが青年の中で繰り広げられたかはさだかじゃありません。
さて。
clown-crownさん。これまた面白い見方をしてくれましたね。尊大でも構いませんので、貴方には思ったことを全部吐き出してもらいたいと思っておりますよ。ふむふむ、そういった読み方かぁ。なんとなく、最近は矛盾した表現が妙に世の中をうまく捉えている気がしてならないんですよ。この世界はもちろん非現実ですけど、そういった面での背景世界の描写はなんとなくうまくいったかな、なんて思ってます。無知な男と知った風な女。これはもうなぜか僕の中にこびりついた人間関係なのかもしれません。村上春樹的と有栖川さんに言われましたが、どちらかといえば真逆のパターンとも言えるかもしれません。性描写、これはもうなんとなく純粋にして純情な語り口だと嫌だったので、やや汚い表現を使いました。生娘じゃあるまいし、そんな綺麗さを追いかける純粋さってちょっときついなって。なんかリアルってそれほど美しさに満ちたものじゃないでしょ? 本当のところはどうなのかわかりませんけどね。……素っ裸、見られた……(笑 うーん、素の意味での僕は、多分マヤと常に語り合ってその度に「違うよ」といわれているのだと思いますね。『マヤ』は存在としての混沌だと思うし、僕が描かなければならないものの本当の形でもあると思う、なんて真面目に語ってすいません(汗 うん、不確かさを狙ったのもありますし、でも不気味さは狙ってないんです。難しいでしょうか。気持ち悪い作品を書きたくて書いたわけでもないし、人間には相対的にしか物事を推し量る力は無い、というようなテーマもどっかにあったのかと思ってますね。最後のそのごみとかなんとか。うん、要らなかったかと今更思ったり(笑 三度書いて、三度読み直してみて、最終的に付け加えてしまった言葉。改悪してしまったんですね。すみません。ありがとうございました。
影舞踊さん。お久しぶりですーーー! と生娘の如く(微笑 一番頭が足りないのは恋羽です! 取らないでください! と怒ってみたりもします(笑 うーん、……オサレ? 多分おしゃれということですよね。そういうことだと思っときます。で、あんまりおしゃれではなかったですよね、少なくとも僕はそう思っています。割りに時代に左右されない書き方で書いてみたのです。うん、面白くなかったというのはもう、わかるわかるうんうん……ヒーン(泣 といった感じで(笑 最終的に視界がぱっと開けるような爽快感もないし魅力的な登場人物を魅力的な綴りで書いたわけでもなくて、退屈といわれてしまったならそれまでなのかもしれませんね。語彙が増えている、そう言って貰えると、もっそい嬉しいっす。飲み屋で変なノリになってるおっさん並みに抱きついてキスしてしまいたいぐらい嬉しいっす。最近割りといろんな作品を読んでいるからかもしれませんね。もともと知ってる言葉でも、使い方のパターンが増えたというか。あと恋の羽根。その通りですよ。作者としての恋羽が、どういった意味で作品を書いているのかを書いたという感じですね。死の町を巡って、船に乗って、妙な世界をぐるぐる回って、何を探しているかもわからないまんまで、何かを掴もうとして、そうやって不器用に生きている恋羽ですので。ありがとうございました。
それでは。
2005-08-27 15:41:21【☆☆☆☆☆】恋羽
計:4点