『自由』作者:Orpheus / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3.01枚
私には戸籍がなかった
生まれてからほとんど家の外に出してもらえなかった
出生届すら出されていなかった
家から出してもらえないだけで私には、それ以外は普通の家庭であったと思う
私は本が好きで本はいくらでも買ってもらうことが出来た
家族とそれなりに会話をしていたし
ご飯ももらっていた、衣服も買ってもらっていた
特につらくはなかったが
家の外に出て自分ひとりで生きたい、「自由」になりたい
と思うようになった
18歳のある日、私は逃げ出した
家から逃げ出すのは簡単だった
誰もいなかったし鍵もかかっていなかった
働いて一人で生きよう、逃げるとき私はそう決心した
私は自由だった
どこにでもいける、そんな気がした
とりあえずホテルに泊まった
お金の使い方は本から学んだ
逃げるときにしばらく食べれる程度のお金は持ってきた、2週間は働かなくても大丈夫だろう
その間に仕事を探さなくてはならない

1日目は町を歩き回ってみた
本で読んでいた想像とはずいぶん違っていた
とても新鮮なものが多かった
時々「求人」と書いた張り紙を見つけた
履歴書が必要だということを知った
履歴書とペンを買ってホテルに戻った
名前を書く
とりあえずホテルの住所を書く
電話番号にもホテルの電話番号を書いた

腕が止まる
「学歴」
私にはそんなものはなかった
ウソを書こうとも思ったが第一、どんな学校があるのかも知らなかったしすぐにばれてしまう
私は履歴書をあきらめた

2日目
履歴書を必要としない…過去にこだわらない職場を探さなくてはならない
一日中歩き回ったが見つからなかった
それから9日間歩き回った
お金も底をついてきた

ある日ついに履歴書を必要としないところを見つけたずねてみた
今まで感じたことのない雰囲気のところだった
そこにいる人たちもとても怖かった
私は逃げた
ひたすらに走り続けた
しばらくして振り返る
追ってくる人はいなかった
それすら確認せずに走っていたのだ

それからまた3日間職を探し続けた
お金も底をついた
ホテルも追い出された
夜の街は怖かった
どこに行けばいいのかもわからなかった
私は自由であるはずなのにどこにもいけなかった

気づけば家の前にいた
結局ここに戻ってくるしかなかった
ドアノブを捻る
ドアは簡単に開いた
両親は私の姿を見ると「おかえり」と言って食事を出した
「どこで何をしていたの」とか「心配した」などは言わなかった
両親は知っていたのだ
私が外では生きられないことを
私が働くことが出来ないことを
私にははじめから自由などなかったのだ

それ以降私が外に出ることはなかった
家の鍵は開いている、誰も家にはいない
それでも出ることが出来なかった
2005-08-11 22:21:04公開 / 作者:Orpheus
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■作者からのメッセージ
初投稿です
指摘されてみようと思い前にblogで書いてたのを載せてみました
ベースを仕事中に考え
続きを考えながら書きました
この作品に対する感想 - 昇順
もう少し細かい描写が欲しかったです。 (簡易感想)
2005-08-11 22:37:05【☆☆☆☆☆】ナボーグ
はじめまして、座席です。
なんだか淡白で淡々としていて、掴み所がないなあ、と思います。これは日記風なんでしょうか、それとも日記なんでしょうか。よくわからないなあ、という感覚が先行してしまいます。
主人公の背景が希薄で、よくわからないのであまり物語に入ることができないのかもしれません……辛口な言い方をすると、意味不明。主人公の素性を知らせない、ミステリアスな作品なのなら申し訳ないですが、それならそれで匂わせるような描写がないと、首を傾げるばかりかな、と。
文章が短いので、小説というよりは詩的なイメージがあります。もう少しボリュームが欲しい気がしました。
2005-08-12 00:23:39【☆☆☆☆☆】座席
初めまして。ミノタウロスと申します。所謂籠の鳥ですね。籠の中から出て痛い思いをすると扉が開いていても逃げ出さなくなる。その人間版。猟奇的犯罪でも最近ある話で暴力で支配された女性がいつでも外に出られる状態にあっても逃げなかったと言うのがありましたが、直ぐにそう言った諸々のお話を思い出しながら読みましたので、状況説明が極端に少ないのですが、私にはそれ程違和感無く読めてしまいましたが、それは好きなジャンルの話の為でしょう。何故両親が娘を監禁して戸籍も与えないのか。ここで想像するなら、?契ってはならない相手との間に出来た子?異世界から来た子?クローン人間等でしょうか。想像する楽しみというのもありますが、これでは小説とはなりえません。小説らしくするなら、肉付けすれば、いくらでも広げていける話です。
私の好きそうな話だったので残念です。指摘が欲しいとのことですが、指摘を受けこの話を書き直すのか、新たに書く話の糧にしたいのか、どちらにせよ、読者にもっと言葉を尽くして伝えようとしてあげてください。長々と失礼致しました。では、次回作、あるいは更新をお待ちしております。
2005-08-12 01:12:23【☆☆☆☆☆】ミノタウロス
始めまして、おんもうじと申します。
家から出してもらえないだけで私には、それ以外は普通の家庭であったと思う
この部分がおかしく感じました。
話の内容は、切ないですね。両親は優しく「おかえり」といっていたはずですが、そこには何か険悪なものを感じてしまう。結局家からでられないなんて、可哀想すぎる。
本当にさらりっと流れていってしまったので、よくまぁ状況というか何故親がそんなことをしたのかとか分かりませんでした。失礼ながらも、内容が浅すぎて伝わらなかったのかな、と。もっと深みを増せば、更に面白くなると思います!
えらそうにすいませんでした!それでは
2005-08-12 18:51:54【☆☆☆☆☆】おんもうじ
初めまして甘木と申します。作品読ませていただきました。作品そのものが淡白ですねぇ。絶対的に描写が少ないこと、主人公が初めて触れる外界に対しての心情の少なさ、「〜た」「〜だ」で文が終わるものが多く作品のリズムが単調に感じられます。この作品は一種のファンタジーだと思うのです。ただし普通のファンタジーと違うのは世界は我々の現実で、主人公が異世界(常識外)の立場だということです。異世界に対しての描写はファンタジーの読者の楽しみで、物語の面白さのひとつです。なのにこの作品にはそれが描かれていません。それがないため、主人公の不思議な立場も希薄に感じられます。長々と辛口な感想を書いてしまいすみませんでした。お気に障られたら謝罪します。では、次回作品を期待しています。
2005-08-12 23:09:31【☆☆☆☆☆】甘木
拝読しました。先ずは句点くらい打ってほしいかなぁと思います、やはり書き物で御座いますからね。物語性は組み立てられているのだろうけれど、そこで止まってしまっているように感じました。心情・背景等の描写によって場面をつくり、それらを繋ぎ合せてゆく事によって、「私」の見たものは何だったのか、そこから何を感じたのか、Orpheus様の心に凝っておられるそれらの情景を伝えてほしいです。イマジネーションを内側に溜めたままにしておいては、どれほど魅力的な世界がそこにあっても輝く事はありません。「閉じ込められた彼女」を解き放ってあげてください。偉そうに語りました、申し訳御座いません。次回更新御待ちしております。
2005-08-14 13:27:14【☆☆☆☆☆】京雅
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。