- 『友情 〜第二章 決行〜』作者:悠 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
- 全角1605文字授業は終わり、掃除の時間になった。
容量3210 bytes
原稿用紙約4.01枚
紗子、玲、唯乃、航の四人は、運動場掃除なので、各々の友人と外に出て行く。
紗子が靴を履き替える時、玲が近くにやってきて、耳元でささやいた…
「只今より決行。」
紗子はハッとし、玲を見つめた…
『本気…なの?』
目で尋ねようとしようとした刹那。玲は外へ走っていってしまった。
外では掃除しても仕方がないと思うクラスメイトが、いつものように遊んだり、話したり。
変わった風景はない。しかし、紗子は玲の一言に不安を覚えた。
『どうしよう…玲はやる、といったらやるタイプ。何かが起こる…それをただ見てろ、っていうの?!』
今日の男子の遊びは、竹箒でチャンバラと、カッターで何かを切ること…玲と航は、
座って何かを切り刻んでいた…唯乃は、ぽかぽかする日向で、友達と喋っていた。
玲はやる、と言ったらやるし、体格の割に、子供っぽい一面があることを紗子は知っていた。
『やばい。止めなきゃ!』
紗子の中で誰かが叫んだ。それに答えるよりも前に、紗子は走り始めていた。
玲と航…少なくとも航は、夢中になって遊んでいる…玲がこちらを向き・・・ニヤリ、と意味ありげな微笑。
「玲!は、話ある…んだけどっ」
息を切らしつつも、紗子は言った。玲はチッ、と舌を鳴らし、紗子のほうに歩み寄る。
手に持っていたカッターの刃をしまう音がした。
「何だよ?さっき、只今より決行、って言っただろ?聞こえなかったか?」
「聞こ…えた。」
まだ息切れをして苦しそうな紗子を見て、仕方なさそうに
「座るか。」
と玲は言った。
二人は旗揚台の段差があるところに、紗子を壁側に座らせ、それをブロックするかのように玲が座った。
「…で、何だよ?」
「やっぱ、ダメだよ。」
紗子は周りを見つつ、小声で、そして恐る恐る言った。
「何が。」
「何が、って、玲、航君にカッターで何かしようとしてたでしょ?」
「ふぅん、気付いてたの。何か、っていっても、まだそんなたいした事しねぇよ。」
「たいした、って…」
「とりあえず、お前が俺の邪魔をした、って事は判っているんだな?」
「判って、声をかけたの!」
紗子をさらに壁側に追い詰めるように、玲が座りなおした。
「ふぅ…ん?じゃ、わざとなんだな?いいか、俺、今無性に苛立ってるわけ。別に、
あいつじゃなくてもいい…お前でもな。」
玲はカッターを持った手で、紗子の壁側の髪を数本つかんだ。
「ど、どういう意味よ?」
「こーゆーことだよっ」
耳元でチキチキという音がした。きっと、カッターの刃を出したんだ。紗子は思った。
次の一瞬、玲がグッと力を入れ、つかんだ髪を切った。
「判った?お前、確か彼氏いたよな?いつまでも上手くいくって思ってんじゃねえ。
見ててむかつくんだよ。だから、お前だっていいんだ。」
そこには、いつもの子供っぽさが残る笑顔を見せる玲はいなかった。
「まだ、なんかいう事あるか?」
「…る」
「はぁ?」
「あるよ。今ので、いっぱい言う事できた。」
半ば挑戦的に、でも恐々と紗子は言った。
「…へぇ?言ってみろよ。」
他の人から見えないように、玲は再びカッターに力を入れた。そして、紗子が答えようとした刹那、
掃除終了のチャイムがなった。玲は舌を鳴らし、紗子の耳元でささやいた。
「放課後、続きを聞いてやるよ。もしお前が帰ったら、航の方にするからな。」
背筋に何か冷たいものが流れるのを、紗子は感じた。玲はニヤリとし、カッターをズボンにしまい、友達の方に走っていった。 - 2003-11-02 23:38:07公開 / 作者:悠
■この作品の著作権は悠さんにあります。無断転載は禁止です。 - ■作者からのメッセージ
第二章です。
はるかさん、第一章のレス、ありがとうございました。
- この作品に対する感想 - 昇順
-
面白く(?)なってきてますねぇ・・次が気になります!それにしてもカッター・・怖いですね。(笑)一章より2章の方が私的にいいと思います!!
2003-11-02 23:55:38【★★★★☆】はるか面白いですね〜。ドキドキですね〜。2003-11-03 11:53:53【★★★★☆】柳沢 風計:8点
- お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。