『雨の降る日』作者:深海 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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雨が降っている

空で生まれた粒は容赦なく地面に叩きつけられて激しく飛び散り跡形も無く消えました。


僕はここにいます。
貴方が来るのを待っています。


雨の日――――。



僕はココで貴方を待っている。


薄暗くて空気には有害な毒が混ざっているこの場所に僕は気づいたら居た。
最初は怖くて悲しくて切なくて…
それでも、貴方が迎えに来てくれるのを信じて
僕は待ってる。ずっとココで。

空から降ってくる粒がこの狭い箱に溜まって
もう
足が濡れた。


近くを通る車が激しくうなって
地面に惨めな程広がっている水溜りを引いて殺してしまった。
死んでしまった水溜りの血が僕を濡らし、僕は空色に染まる。

それでも僕はココを動かない。
もう、腰が濡れました。


貴方にもう一度会いたい
だから僕はココで貴方を待っている。

だって
「大好きだよ」って言ってくれたから
僕も貴方が大好きだから
離れる理由が…わからないから…

今はそれがすべてで
ココが僕のすべてだから…

誰かが僕を見て笑っている

ケラケラケラ

僕は目を閉じた。何だかとても怖かったから…。
もう
何も見えません。

早く貴方が来てくれることだけを祈って
もう
肩が濡れました

「大切な友達」
「大好きだよ」
「ずっと一緒」
「ごめんね」
「ごめんね」
「ごめんね…                       」

僕は泣いた
声をあげて

水の粒が地面にぶつかる音にも
車がうなる音にも
ひかれて叫ぶ断末魔の音にも
ケラケラ笑う誰かの音にも

かき消されてしまわぬ程の音で…僕は鳴いた…。

…………
………
……



誰かが近づいてくる

コツコツ
コツコツ

でも僕は鳴くことを止めなかった。
ただ声を張り上げていた

貴方の声に潰されてしまわないように…

僕は大きな足で蹴られた。
コツコツコツコツが僕を蹴ったんだ。
僕は何度も何度も蹴られて…意識が遠くなって
結局
動くことも
泣くこともできなくなって
箱の中に倒れた…。

僕が動かなくなると

コツコツ コツコツ

逃げていった。音が響く。逃げていった音が…

もう
何も見えません
もう
すべてが濡れました

僕は
もう
貴方を待てません

大切な貴方
大好きな貴方…

僕は濡れています
空から降ってくる粒で
水溜りの血で
僕の涙で

僕は濡れています
もう
何もわかりません



「さようなら…大好きな貴方」

最後に呟いた声は泡になって消えました。

もう
何もありません




もう…


何もありません







雨が降り続いています

空で生まれた粒は容赦なく地面に叩きつけられて激しく飛び散り跡形も無く消えました。


少女が
ボロボロの箱の前で泣いています。

雨が少女を濡らしています。




2005-07-14 16:56:33公開 / 作者:深海
■この作品の著作権は深海さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最近雨ばかりです。
この作品に対する感想 - 昇順
独特の雰囲気と表現方法に圧巻されました。水溜りが死ぬという表現が私は特に印象に残っています。ただ、内容は解りづらかったです。小説というより詩のような感じでしょうか。深海さんの感性が良くわかる作品だと思いました。
2005-07-14 17:07:33【☆☆☆☆☆】鈴木太郎
雨はねぇ、じめじめして厭で御座いますねぇ――と戯言をほざきつつ。拝読しました。鈴木様の書かれている詩のような感じとは若干ニュアンスが違うと思いますけれど、小説になりきれていないような感じがしました。視覚的要因としては「、」の打ち忘れがあったり文章が細かく区切られているせいであるかなと。文章としては感性による書き方をされているのでもう一寸抑制すれば解り易く仕上がると思います。少ない言葉で訴えかける業はすごいなぁと受けましたので、あと一歩物語性を強くしていればもっと入り込めたやもしれません。失礼な事を書き込みました、申し訳御座いません。憂鬱になる気持ちを煽る、雨とは兎角不思議なもので御座いますね、と何やら語りつつ次回作期待しております。
2005-07-15 03:36:39【☆☆☆☆☆】京雅
読ませて頂きました!!深海さんの作品は、さっぱりとした綺麗なものでとても良いのですが、やっぱり、セリフ等もあればもっと分かりやすいのではないのかなぁ。と思います。といっても、自分の作品をみると、アドバイスできる側ではないんですが…(笑)とにかく、深海さんの次回作に期待しています!!
2005-07-15 11:24:57【☆☆☆☆☆】聖藤斗
鈴木様>感想有難う御座います!こちらに投稿した当時のほうがまだ小説らしかったなーっと読み返して思ったほど最近書くものは詩とも小説ともいえないものばかりです;;それでも、読んでなおかつ感想まで書いてくださって本当に有難う御座いました!今後も日々勉強していきたく思っております。
京雅様>雨ですね、気分が滅入ります。感想有難う御座いました。「、」の打ち忘れですか!!全然気にしておりませんでした;;どうも小説を書こうとするとサッパリになってしまい内容がうまく取り込めなくなってしまいます。もっと頑張らねばと思っているのですが(苦笑)ご指摘有難う御座いました。私は、憂鬱=怒り=不安だと思っています。次回作もお暇があればお目に留めていただけると幸いです!
聖籐斗様>初めまして。感想有難う御座います。台詞ですか。あまり自分の子(キャラ)を喋らすのが苦手で;;実をいうと描写も苦手なんですけどね(苦笑)次回はもっと物語らしい物語を書いてみようと思います。

2005-07-15 13:30:00【☆☆☆☆☆】深海
近頃、だんだん暑くなっていましたね〜などとどうでもいいことを言いながら登場する上下です。う〜ん、羽堕さんと同じで自分も捨て猫を想像していました。空から降ってくる粒が狭い〜ってところが、なんかいいな〜って感じがしました。雰囲気が出てますね〜。なんだか、雨の季節にあったようなお話です(いえいえ、悪い意味ではありませんよ)自分もこのような雰囲気の作品を書きたいものです。それでは、次回も楽しみにしています
2005-07-15 21:53:20【☆☆☆☆☆】上下 左右
作品読ませていただきました。小説と言うよりは詩を読んだ感じですね。情景はイメージできるのですが、作品の主題が何なのか読解力のない私には捉え切れませんでした。イメージが先行しすぎた感じで、物語の部分を読者に頼りすぎている感じかなぁ。その分読者は色々想像できて楽しめるには楽しめますが。色々と戯れ言を書いてすみません。では、次回作品を期待しています。
2005-07-16 09:30:28【☆☆☆☆☆】甘木
羽堕>感想有難う御座います!私は普段必要最低限しか書かない癖(?)があるので足りない部分を読んでくださる皆様の想像力で補っていただければ等と生意気なことを思っていたりします;;雨は好きくないですが雨が止んだ後の浄化されたように静かな道を歩くのが好きなんです(笑)次回作も読んで頂ければ幸いです。
上下 左右>最近暑い日が続きますね…いい加減溶けますよ。っなどと書いてみたり。ご感想有難う御座います!こんなことが実際はどれだけあるのでしょうか…あまり良いものではないですね;;私が書く物は悲しい作品が多いので自分も書いていて思わず泣いてしまったりするんですよ;;お恥ずかしい(苦笑)次回もきっと重い話を書くかと存じますが宜しかったら読んでやってください!!
甘木>「物語の部分を読者に頼りすぎている感じか」まったくその通りです!自分の想像力とソレを伝える文才が乏しいためいつも読んでくださる皆様にご迷惑をおかけしているなーっと存じております;;次回はもっと物語を自分の中で完成させて書いていきたいと思います。ご指摘有難う御座いました!!
2005-07-18 22:53:58【☆☆☆☆☆】深海
計:0点
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