『血。(事件偏)』作者:ボーン / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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俺は一週間前あるマンションに越してきた。
そのマンションは特に変わった所も無く、どこにでもありそうな普通のマンションだ。

しかし、このマンションでこれから惨劇が起こることになる・・・

「ふぅ〜、疲れた・・・シャワーでも浴びるか・・・」
いつもの様に仕事を終え、汗だくになって帰ってきた俺はすぐにバスルームへと向かった。
『ガラッ』
服を脱ぎ終えると、俺はバスルームの戸を開けた。
『ザーーーーー』
キュッとシャワーの蛇口をひねるとシャワーから勢い良く湯が噴出す。
  
  そこで俺はふと、ある事に気づいた。

「あれ・・・?・・ここのカーテン・・・閉まってたか・・?」
それはシャワーを浴びている俺のすぐ横にある浴槽のビニールカーテンだった。
 いつも俺はそのカーテンを閉めないのだ。
何故か・・・何故か嫌な予感がし、全身に鳥肌が立った。
そして俺は恐れながらもカーテンに手を伸ばす・・・
『シャッ』
そこには見慣れた浴槽・・・
「何だ・・・何もな――」
心臓が止まりそうだった。
「う、うわぁぁぁぁ!!!」
浴槽を覗き込んだ俺は腰を抜かし尻餅をついた。
なんとそこには裸の血まみれの女性が倒れていたのだ。

   ここにいては・・・マズイ!!

そう思った俺は四つんばいのまま浴槽の戸に手を伸ばす。
『ガチャッ!・・・ガチャガチャ!!』
しかし、何度戸のノブを回しても戸は開かない。
「くそ・・!何でだよ!!」
その戸は何か向こう側から誰かに押さえつけられている感じだった。
「誰だよ!冗談はよせ!!」

   『ガタッ・・・』

後ろで物音が・・・
予想はできた。見ずとも後ろで何が起こったか分かった。
俺は恐る恐る後ろを見た。
・・・・・そこには予想通り、血まみれの女が。
その女は段々と近づいてくる。
「くそ!くそ!!くそ!!!」
何度もドアノブを回す・・・が、やはり開かない。
『ペタ、ペタ、ペタ・・・』
裸足で歩いてくる音・・・

   『大丈夫・・・私は何もしない・・・』

俺は振り返る。
女の声・・・それは目の前の女の声だとすぐにわかった。
言葉ではなく、心の中に話し掛けてきた。
しかし、今の俺にはそんな言葉は信じることができなかった。
『カタ・・・』
後ずさっていた俺の手に何かが当たった。
それは、何故こんな所に落ちているのか・・・・ナイフだった。

   『コロセ・・・』

また・・・声。
しかしそれは目の前の彼女の声ではなく、自分の心の声だった。

   『コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ、コロセ!!』

俺はその瞬間そのナイフを手にとり立ち上がった。
そして、目の前の女を見据えた。

   『私は何もしない・・・ナイフを置いて・・・』

またあの女の声だ。
俺にはそれが本当だろうが嘘だろうがどうでも良かった。
とにかく今は・・・・殺らなきゃ殺られる!
「うわぁぁぁぁ!!うるさぁぁぁぁい!!」
『グサッ!!』
俺の顔に吹き出した血が付着する。
女はあっさりと倒れていく。

   『どうして・・・信じてくれなかったの・・・?』

「え・・・?」
『ブシャアァァァ!!』
思った頃にはもう遅かった。
背中が生暖かい・・・血だ。
俺も・・・殺られた・・・?
意識がもうろうとする中、最後の力で後ろを振り返った。
そこには、もう一人の知らない女が微笑んでいた。

   『バカめ・・・・』

「くそ・・・」
そのまま俺は倒れた。
あそこで、あの女の言葉を信じていれば・・・




2003-10-30 23:33:05公開 / 作者:ボーン
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