『平成の探偵』作者:bohe / ~Xe - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約21.99枚
 まだ日光がじりじりと地面を照らす真夏の昼、ものすごい電話のベルの音がなり響く
建物の中に私はいた。こう毎日が忙しくてはいくらなんでも体がもたない。ついに私は机にへばりついてよこになってしまった。私のような人間がいまや警部をやっていられるのが奇跡のようだ。
 私の名前は天草 宗一。こんな人間だが、れっきとしたエリート刑事なのだ。エリートといっても自分の知識が優れているわけではないのだが、なぜかたくさん手柄をたてているのだ。どうして手柄をたてられたのかは私の日常生活を見れば分かる。
これで4回目の電話だろうか・・・・ベルがなっては止む。しかしどうしたことか警部の直感で5回目の電話を取っていた。電話からは巡査の声が聞こえる。
「警部!殺人事件ですよ!何回も鳴らしたのになんで出ないんですか!」
警部の直感と自信満々な顔が、ものすごい顔になっていた。
「ああ。今行くよ。」
人が死んだというのにこの余裕の言葉がでるのは、今回の事件もすぐに解決できるという自信のあらわれだった。
 現場の家の近くに到着すると、私は急ぐ様子もなく人ごみをかきわけ、現場へ向かった。家は今建てたばかりと思わせるくらい新しく、一見豪華だった。
 殺人現場はこの家のリビングだった。死体はリビングの特別に装飾された手すりのある椅子の上で、テーブルによりかかるように倒れていた。被害者となったのはこの家の主人の遠藤 博之氏(29)だ。事件発生当時は、ちょうどこの家で博之氏の三十路の誕生日記念としてのパーティーをしていた。三十路でパーティーをされるなんて喜べやしない、と私は変な表情を浮かべていた。
 パーティーに参加していたのは博之氏の妻の遠藤 美由紀(28)さん、息子の遠藤 博文くん(7)、友人の吉田 健斗氏(30)、塚田 栄一氏(25)、美由紀さんの友人の白石
優香さん(26)、岸本 明美さん(27)だ。さっそく私は事情聴取をすることにした。
 事が起こったのは今日の午前12時ごろ。さきほども言ったように遠藤氏とその友人達はパーティーを行っていたわけだが、博之氏は会話中に突然倒れた。みんな動揺してその時の事はよく覚えていないそうだ。死因は青酸カリ。多分食べ物の摂取で青酸カリを体内に入れてしまったのだろう。テーブルにはさまざまな料理が置かれていた。
チキン、しゅうまい、ケーキ、肉まん、餃子等・・・・どう見てもバランスがわるい。
現場を見る限りでは、肉まんを食べたことによって青酸カリで亡くなってしまったと、推測される。案の定食べかけの肉まんには青酸カリが付着していた。さらに興味深い証言もあった。殺害された博之氏は、直前にトイレに行っていたそうだ。そしてその前に栄一氏もトイレに行ったそうだ。ついでに座っている位置関係も聞いてみた。まず、博之氏はテーブルの手前の真中、美由紀さんがその右、栄一氏が左、博文くんが栄一氏の向かいの席、健斗氏は博之氏の向かい、優香さんは美由紀さんの向かい、明美さんはその隣、というようになっていた。この中で肉まんを食べたのは美由紀さんと栄一氏以外全員だそうだ。さらに全員の博之氏との仲についても調べてみた。
 まず美由紀さん。彼女は被害者の夫でいざこざもなく仲が良かったという。次に健斗氏。彼は被害者の同級生で小学生からの親友だ。そして栄一氏。彼は被害者の仕事場の部下で博之氏に借金をしているらしい。さらに優香さん。彼女は美由紀さんの友人で特に被害者とは関連がない。最後に明美さん。彼女は被害者とも仲がいいらし。い
 「う〜む、いろいろ疑わしいトコが多いが、多すぎて逆に混乱してしまう。」
  メモを見ながら私が独り言をみんなに聞こえるように言っていた。言葉のわりにはなぜか顔が余裕の表情だ。すると後ろの方から何者かが言った。
「今日の事件もおもしろそうですね警部。」
 振り返るとそこには1人の男が立っていた。夏だからか半そでのTシャツに半ズボン、裸足にサンダルで日本ハムの帽子をかぶった20〜25歳くらいの男だ。彼の名前は北沢 洋介。一応探偵をやっているらしい。
「また君か。これは警察の仕事なんだからな。分かっているのか?」
 私は少しわざとらしく言った。もうお分かりかと思うが。そう、私の手柄は全てこの北沢 洋介が解決した事件なのだ。もちろんこんなことは許される事は無いのだから上には内緒だ。部下にも口止めをしている。
「まあそういわないで下さいよ警部。こんなことをさせてくれるのは警部1人だけなんですから。」
 洋介がニコニコしながら言う。
「君は毎回ひょっこりでてくるが、こんなことしていて本当に生活が出きてんのか?」
「本職だってもちろん探偵ですよ。だいじょうぶです。」
「まあそんなことはいいが、君はこの事件がとけるのか?」
 私は本音で言っていた。
「話しは一部始終聞きましたが、このままではまだわかりませんよ。」
 洋介はそう言うとメモを取り出し、1人1人に何かを聞いている。しかしここで私ははっとした。このままではこの男に事件を解決されてまた警部としての面目がたたないではないか!私はまけじと自分の推理を言うことにした。
「みなさん。私はこの事件の謎が解けました。」
 私がそう言うとみなこちらのほうを向く。なぜか気分がよかった。しかし洋介は振り返りもせず栄一氏に何かを聞いている。気分がそがれた。私は気をとりなおし、続けた。
「犯人はどうやって博之氏に青酸カリを食べさせたか。まず博之氏が青酸カリが付着した肉まんを食べた事はご存知ですね。私はその時美由紀さんを疑いました。なぜなら美由紀さんが料理を運んだ張本人だからです。」
 と言った時美由紀さんが激怒した。
「私は夫を殺してなんかいないわ!証拠だってないのに!」
 私は怒っている美由紀さんを見てちょっと怖かったが続けた。
「だれも美由紀さんを犯人と断定した訳ではありません。なぜなら肉まんに青酸カリをいれたなら博之氏以外にも食べられる可能性があるでしょう。だいいち同じことなら肉まんを食べた人全員ができます。そこで私は思い出しました。博之氏は亡くなる直前にトイレに行きました。そうです、犯人は栄一氏、あなたです。あなたは博之氏がトイレに行く前にトイレに行き、流すレバーに青酸カリをつけておいたのです。そしてそれに触ってしまった博之氏がその手で肉まんを食べてしまったのです。それにあなたは博之氏に借金がありますよね。それで殺したんじゃないんですか?」
 そう言うと栄一氏が反応した。
「なぜ私が――」
 と言ったところで調査を邪魔された洋介が振り返り言う。
「それはありませんよ警部。だいたい被害者がトイレに行くなんて誰にも分かるわけないし、他の人が使う可能性だってある。それに被害者がトイレから出た後トイレに行った人はいない。もし警部の推理が正しければ今でも青酸カリが残っているはずです。」
 結局レバーに青酸カリは付着していなかった。私は唖然としていた。こんなことに気付かないなんて。
すると調査をおえた洋介が口を開く。
「それではみなさん。こちらに注目してください。」
 みんなの視線は私にむけた時以上に真剣だった。ショックだ。
「今回の事件はとても単純で驚きました。疑問に思ったのは犯人はどうやって青酸カリを食べさせたか。しかしこれは普通に考えれば分かるはず。犯人は青酸カリを椅子にの手すりにつけておいたのです。」
 そこで私は言った。
「ちょっとまってくれ。椅子からは青酸カリは検出されなかったぞ。それにふき取ったとしても青酸カリが付着した物は出てこなかったし。」
 そう言うと、洋介は笑ってるのかどうか分からない不思議な表情で続けた。
「それは簡単ですよ。そのトリック前にさっさと犯人を言ってしまいましょう。犯人はあなたです。」
 と言って美由紀さんを指差した。
「え!どうしてですの!?」
 さっきとは違ってあわてた表情だ。
「それはですね。警部もしっかり事情聴取しなかったこの子が証言してくれますよ。」
 洋介の後ろから博文くんが出てきた。私は子供だと甘くみてちゃんと調べていなかったのだ!
「この子の証言によると、被害者が死亡してすぐ、皆が混乱しているときに何者かがなにかを椅子から取っているところを見たと聞きました。そこで私は分かりました。犯人は椅子の上にテープを貼って、その上に青酸カリをつけたのです。被害者の見えない角度につけてね。」
 すると美由紀さんが反論する。
「まってよ!同じ事なら私の反対側にいた栄一さんだってできるはずよ!」
 それはもっともだ。と私はうなずいた。
「それはありません。だいたい栄一氏が被害者の隣に座れるなんて分かりませんし、美由紀さんならみんなが来るまえに貼ることもできますし。ご主人の隣に座るのは簡単ですから、すきがあるときに貼ることもできます。おそらく後者でしょう。前者ではばれてしまう可能性が高くなります。ばれてしまったら真っ先に疑われるのはあなたになってしまいますからね。たぶんあなたは主人のすきをうかがい被害者と栄一氏2人がトイレにいったのでそのすきに貼ったのでしょう。そして混乱に乗じてテープをはがした。子供の博文くんは何が起こったかわかっておらずはがすところをしっかりみたのでしょう。あとはポケットにでもしまっておいて、警察に電話をするついでにまるめて外にでもほうり出せば完璧でしょう。」
 美由紀さんはまだ反論する。
「じゃあ栄一さんが主人の隣に座れるのを知っていたかもしれないじゃない!主人が倒れてから栄一さんだって側に寄ったのよ!」
 美由紀さんには焦りがでていた。
「あれ?あなたは混乱して当時のことを覚えていないのでは?」
 洋介は奇妙な笑みを浮かべている。しかし美由紀さんはひかない。
「た・・・たまたまそれだけ覚えてたのよ!それに証拠がないわ!」
 そして洋介がとどめの一撃をはなった。
「ならあなたのポケットを調べましょう。あなたが犯人ではないのならもちろんないはずですよね。テープをポケット入れた時に付着した青酸カリの跡が。」
 美由紀さんはとうとう膝をついた。そして白状した。
「博文がいたからばれたなんて・・・・ねぇ。」
 私は美由紀さんにすぐさま手錠をかけ、巡査に車までつれていかせた。
 動機は博之氏との子育てに対する考え方のくいちがいだそうだ。
「まさかこんなささいなことで殺人とはねえ。」
 私が言うと洋介がニコニコしながらいう。
「人間の心は狭いということですよ。」
 私は洋介の帰りを見送った。その途中洋介の嫌いなネコが通って彼がひっくり返っているのをみた。私は洋介にとどめの一撃をはなった。
「アホ」




             「平成の探偵」〜探偵の集い〜
 夏が過ぎ、涼しい風が窓から入ってくるようになってきた。今日は年に1回あるかないかの休暇だ。私、天草 宗一はぼさぼさの髪にちょび髭、茶色のスーツを着る(自称)エリート警部だ。私は満面の笑みで1日のスタートをきった。朝食をすませ、ソファーにねっころがるとテレビのスイッチをつける。ちょうどサスペンスドラマをやっていた。
「こんな日までドラマとはいえ、死体はみたくないわ!」
 誰もいない部屋でこんな独り言を言うと、チャンネルを変えた。
「しかしあれだな。今日はなんか今までの休日と違うな。なぜか分からんがいやな予感がする。」
 また独り言を言っていると、突然電話がなった。驚いて2センチくらい浮き上がった。私はおそるおそる受話器を取った。そして相手の声を聞いた瞬間、両手足を地面にべったりつけて絶望した。
「もしもーし!警部ぅ?」
相手はもちろん北沢 洋介だ。私はこの時だけ自分の電話番号を教えたことを後悔した。
「なんだね君は!そのしゃべりかたは!いつものクールな探偵はどうした!私は休暇で忙しいんだ!」
 私は少し怒りをこめて言った。
「そんな私生活まで探偵になる必要ないですよぉ〜。それに後半言ってることがめちゃくちゃですよぉ〜。」
 私は早くソファーにねっころがりたかった。
「その最後にちっちゃい字を入れるのはやめろ!それはともかく私は休暇で忙しいんだ!切るぞ!」
「ちょ!ちょっと待ってくださいよ〜警部。っていうか全然忙しくないでしょそれ。僕の話を聞いてくださいよ〜。」
 洋介は泣きそうだ。私は仕方がなく話を聞いてやることにした。話と言っても一言だ。
「とりあえず僕の事務所に来てください。」なんてずうずうしいのだろう。まあ言われて
しまったいじょう行くしかないのでさっさと家を出た。
 事務所の前に着くと、車のエンジン音に反応したのか事務所のドアがすごい音を立て
て開き、中から洋介が勢いよく飛び出してきた。しかし段差につまずいてこけた。アホ
だな、コイツ。私はばか笑いしながら洋介に近づく。
「あれ?」
 私は洋介がいつもと違うことに気がついた。上着とズボンはいつもと同じ半そでなの
だが・・・
「なんで七三で分けてるんだ。七三の探偵なんてかっこ悪いぞ。」
「ちょっと訳ありなんですよ。」
 そういうと洋介はポケットからはがきを取り出した。
「今日呼んだ理由はこれなんですよ。」
 はがきにはこう書いてあった。
『探偵の諸君。○月○日午後3時に私の家で謎解きのゲームをする。一番早く解けた者には賞金500万を贈呈する。』
 私は目が飛び出る心境だった。洋介が言った。
「おかしいと思うでしょ警部。ただの謎解きの、しかもゲームなのにこの賞金額は変ですよね。何か裏があると思いませんか?」
 私は、変なのはお前の髪型だ!と言いたかった。それはともかく変といえばこのはが
きの冒頭。もちろん印刷なのだが、『探偵諸君』ということは洋介以外にも大人数の探偵
が招待されているわけだ。まるで探偵なら誰でもいいというように。
「まあこの額ならお前のような儲かってない探偵はとびつくだろうな。」
 洋介はムッとしている。私は平然と続けた。
「しかし、500万かぁ。私も行くぞ。」
 洋介が今の仕返しに言う。
「欲に満ちてますよ警部。」
 こんどは私がムッとした。こんなやりとりはどうでもいいのだが、私は洋介がいつも
の探偵に戻っていることに気がついた。やはりこのはがきは謎があるのだろう。○月○
日というのは今日の事だ。はがきの裏には住所と名前が書いてあった。
 午後2時、私と洋介はそこに着いた。すごい豪邸だ。門が大理石でできている。この
豪邸の持ち主、つまりはがきの差出人の名前は柏村 茂雄氏。金持ちという以外まだな
にもわからない。私は金でできた名前の表札の下にあるインターホンを押した。女性の
方がでてきた。多分奥さんか雇っている人だろう。
「探偵の方ですね。みなさんは庭に集まっていますので。」
 そう言うと、大きな門が自動的に開いた。私達は中に車を止め、人がざわついている
所へ向かった。そこは「さすが金持ち」という広さだった。小さな遊園地なら作れそ
うだ。豪華なテーブルと椅子、食事がいくつもならび、『ようこそ探偵諸君』という幕が
あった。ゲームにはいろいろな探偵がきていた。ネクタイをしめた人やら金髪の人やら
ちょび髭の人やら。
「ざっと100人くらいいますね。」
「そうだな。みんなはがきの謎にはきづいているんだろうな。」
 と、私が振り返るとそこに洋介の姿はなかった。洋介はテーブルの上の豪華な食事を
遠慮もなくムシャムシャ食べていた。
「そういう恥かしい行動は慎んでもらえるかね。」
 私が言うと洋介が振り返る。
「ばっぺぽむまぽぷびめっぱみぱめわえまいむまもむ。」
 洋介は食べ物をまきちらし何か言ってる。宇宙人かお前は。洋介はまた食べはじめた。
その間、私は柏村氏らしき人物を探した。金持ちそうな探偵が多いので分けがわからなくなった。まあ3時になれば出てくるだろう。私は暇つぶしに歩きながら他の探偵の会話を聞いていた。やっぱりあのはがきの話でもちきりらしい。昔の財宝が埋まっているとか、我々の実力をはかってるとか、いろいろな説があがっていた。3時10分前になった。洋介はこんど満足そうな顔で、歯をつまようじでシーシーやっている。宇宙人でしかもおっさんだな。私が知らない人のふりをしていると、いつの間にか洋介が私のよこまで来ていた。
「そろそろ3時ですよ警部。」
「こんな時ばかり真剣になりおって・・・」
 とうとう3時になった。と同時に豪邸からマイクを持った人物が出てきた。上から下まで指輪やらなにやらものすごい格好だ。
「彼が柏村氏か・・・」
 彼はステージに上がり、言った。
「探偵諸君ようこそ。それではさっそく今日のゲームについて説明しよう。このゲームはいまから配る紙の謎を解き明かすというシンプルなものだ。分かったら私に言ってくれ。一番早く解いた者が優勝者だ。」
 その紙が配られた。ここで洋介は・・・いや、ここにいる探偵全員がこの発言のおか
しなことに気づいた。今配られた紙にはこうかいてある。
『聖なる石の下にそれを隠した』隠した、とかいてあるのに「私に言ってくれ」では明らかにおかしいではないか。これはやはり裏があるのだろう。と、気づいたころには
みな謎解きをはじめていた。紙にエンピツで何かかきこんでいるもの、さっそく移動す
るもの、他の人の会話を盗み聞きしているもの、などなど。
「警部。さっそく僕達も移動しましょう。」
 まず私達が来たのは柏村家のお墓だった。
「『聖なる石』にしては簡単すぎやしないか?」
 と、洋介を見ると。
「でも念のためですよ。ネンノタメ。」
 墓には既にたくさんの探偵が集まっていた。さすがに墓を掘り起こすわけにはいかないので、みな周りを観察している。
「墓に埋めたとしても掘った形跡がないわね。」
 女探偵が言っている。
「いや、墓石をどかして掘ったかもしれないぞ。」
 男の探偵も言う。そんな会話がとびかう中、洋介が私に言った。
「さっさと行きましょう警部。」
 そして墓を離れてしまった。私は洋介にたずねた。
「なんで行くんだ?さっきのとこにあるかもしれないぞ。」
「それはないですよ。あの墓の周りには他の墓もあったでしょ。あのスペースで墓を動かすのは不可能でしょう。もし動かせたとしても墓の周りの大小の丸石が土にめりこんでるはずですよ。1人で持ち上げられる重さじゃないですしね。」
 そう言うと洋介は庭に戻り、紙を見はじめた。
「これがもし柏村氏の作ったものでなければ、暗号ではないな。」
 とりあえず私は何か手がかりを探すためにそこらへんをぶらぶら歩いた。と、建物か
ら100Mほど離れた所に何かを見つけた。石だ。私は庭に戻って洋介を呼んだ。その
石にはすでに探偵がむらがっていた。石をよく見るとゴボウセイが彫られていること
に気がついた。
「魔除けの石でしょうか?これが『聖なる石』ということなんでしょうか?」
 と言うと洋介はまた庭に戻り、紙を見つめている。表情を見るかぎりお手上げのよう
だ。せっかくセットした七三分けを、頭をかいてくしゃくしゃにしている。
「ちょっと私はトイレへ・・・」
 そう言って私はそこを離れた。そして私は庭に戻る途中に何かを見つけた。
「また石だ。」
 今度はかなり小さくやっぱりゴボウセイが彫られている。しかも他の探偵にはまだ見
つかっていない。私はもっとよく豪邸の周りを探索した。すると次々にゴボウセイが彫
られた石を見つけた。
「まてよ!」
 そこで私はあることに気がついた。私は方位磁石を取り出し地面に木の棒で描きはじ
めた。
「あの石が豪邸からだいたい北。そしてあれが東、西、南西、南東・・・」
 間違いない!これはゴボウセイだ!そしてこの中心にあるのは・・・
「この豪邸だ!」
 このダイリ石とコンクリートで作られた建物。これが『聖なる石』だ!私は解いてし
まった。洋介より早く解いてしまった!(これは洋介には内緒にしよう。)と欲望がでた。
そして誰にも気づかれないように豪邸に入った。中に入ると私は驚いた。そこには地下
への入り口があってもうすでに開いていた!さきをこされた!私は柏村氏の「私に言う」
と言うルールを完全に忘れていた。いや、覚えていたとしてもこんな怪しいルールなど
にしたがうはずはなかった。私は急いで階段を降りた!すると扉があり開いていた。私
はその部屋へかけこんだ。暗かったが1つだけ分かったことがある。それは柏村氏とも
う1人、死体がよこたわっていることだ。私はもう1人の男を見て言う。
「この人は確かこのあいだ新聞に載っていた有名な探偵―――」
 とこの瞬間!後ろに何かが光った!刃物だ!その者の顔を見るひまもなく刃物が私の胸を突いた!ここで私は自分の欲望に対して後悔した・・・
(洋介にちゃんと知らせておけば・・・2人で来ていれば・・・)
 朝に言った「いやな予感」が的中した。


前編―――終
2005-05-05 10:08:33公開 / 作者:bohe
■この作品の著作権はboheさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
シリーズ物みたいにして更新しました。あと誤字をできるかぎり訂正しました。アドバイスも意識しました。これからも更新したいなぁ〜
この作品に対する感想 - 昇順
拝読しました。うーん、何て言うのか推理ものなのに緊迫感が足りない気がします。科白で詰め込み過ぎだからか肝心の推理のほうに集中出来なかった、というのが素直な感想です。エリートなのに手柄をたてまくっている、それは叩き上げなのでは。所所誤字もありました。失礼な事をつらつらとすみません、個人的な意見ですから気にしないで下さい。では。
2005-05-03 20:43:15【☆☆☆☆☆】京雅
NONじゃなくてMTでは。MTでも、読み手に推理をさせる類のものではないですね。犯人の証明は全部、探偵が解決ショーでしゃべってるので。MTは好きです。できれば今度は伏線をちりばめたものを書いてくれないか、と期待してます。
2005-05-03 22:04:07【☆☆☆☆☆】clown-crown
冒頭を読んでいる時はコメディかなと思っていたのですが、推理物になって驚いていました。セリフだけで物語を進めている印象が強く、もう少し描写を描いて欲しかったです。ところで「私は変な表情を浮かべていた」この文章が神の視点になっていましたよ。私を主格に書いているのに、私が私の顔を直接見られるわけはないです。「私は自分の表情がぎこちないものになることを感じていた」みたいな書き方をすべきだったと思います。長々と書いてすみませんでした。では、次回作品を期待します。
2005-05-04 00:52:28【☆☆☆☆☆】甘木
読みました。さて、どう物語は進むんでしょう? 今のところ、探偵がたくさんいることがあんまり生きてないような気がします(しかし、100人ってすごいな……)。墓石などダミーを用意しているのはいいと思います。では後編を楽しみにしています。……あと、改行が変。
2005-05-05 20:39:20【☆☆☆☆☆】clown-crown
計:0点
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