『星』作者:暁菜 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約4.4枚
 「ま、待ってよホール!」
天にまで届きそうな大きな山を、一人の17歳の女の子と18歳の男の子が登山していた。少年は少女のだいぶ前を歩いている。一度止まって振り返り、答える。
「リナが遅いんだよ。」
「もう!ホールが早いの!大体いつまで歩いたら星が見えるのよ!?」
ホールが山の頂上に向けて指をさす。リナは馬鹿にした口調で、
「排気ガス満々のこの世界で星が見えるわけないじゃん!」
「うっせーな。来んのか来ねーのかどっちかにしろよ。」
ホールはまた歩き始めた。リナも続いていく。
「来んのかよ。」
「だって帰り道わかんないんだもん!」
ホールはやっぱりなと思いながらズンズン進んだ。

 しばらく歩いた後、山小屋を見つけた。リナが息切れしているのを見て、
「ココで少し休もう。」
リナはホールのたまにしか見せない優しさに感動しながら精一杯うなずいた。
 山小屋の中は二人が考えていたより綺麗だった。まきもあれば食料もあった。
「ねぇ、ホール。ココ・・・だれか住んでるんじゃない?」
「たとえ住んでてもかまわねーよ。水・・・飲むか?」
リナはうなずいた。ホールから手渡された水を数口飲む。
「・・・おいしー!」
リナが微笑むと、ホールまで微笑んだ。
 数分後、二人はだいぶ落ち着いた。もうそろそろ行こうかと話していると足音がした。
「え、え?誰か来る!?」
「しっ!静かに。」
ドアが勢いよく開いた。大きめのベッドの下に隠れていた二人は現れた巨体にビックリした。二メートルはある。
「ふぅー!さぁて疲れたなぁー!・・・ん?」
『あ・・・』
リナが聞こえないように言う
『アレ私の髪飾り!』
「なんだぁ?これ。・・・売れば高いかも知れねぇーな!よし明日売ろう!」
そう言うと巨体の男は髪飾りをポケットにしまった。そしてベッドに二人に気付かず横になった。すぐいびきをかき始めた。
「今だ!」
ホールはリナを引っ張って山小屋を出た。しばらく走ってからリナが
「待って!待ってよホール!」
「ん?何だよ?」
「あの髪飾りは私の宝物なのよ!取り返しに行く!」
ホールはそう言って行こうとするリナの腕を捕まえて
「待てよ!髪飾りの一つくらいどうって事ないだろ!」
「あれは初めてホールから貰ったプレゼントだもん!!」
「!!!」
ホールは思わず腕を離してしまった。

 リナは山小屋の前でどうすればいいか考えていた。するといきなり後ろから
「リナ!」
「うわぁ!ホ、ホール!?」
「作戦も無しに飛び込むきか?俺に任せとけ!」
「え?」
リナが理解する前にホールは山小屋に入って行った。

 「ほらよっ!」
「あ、ありがとう!・・・えへへ」
「結局アイツずっと眠ってたしよ!俺の立場がないっつーか。」
「でも、かっこよかったよ!」
「・・・・」
ホールが照れているのは鈍感なリナにもわかった。
「行くぞ!もう少しだ!」
「うん!」
二人は歩き出した。

 「ココだよ。見える?」
「ココ?ん〜?ど、どれ?」
ホールは荷物から望遠鏡を出して、リナに渡す。そして指をさしながら
「あれだよ。あの、小さなやつ。」
「?・・・・・あ・・・・・・あーーーー!」
リナは望遠鏡を降ろした。
「星だぁ・・・。」
空には一つだけ。小さく光る星がガンバって雲間から覗いていた。
「綺麗?初めて見た星は。」
「綺麗!!!・・・ありがとう。ホール。」
ホールは荷物からもう一つ。小さな箱を出す。リナもそれを見る。
「なに?それ・・・」
「リナ・・・結婚しよう。」
一つだけの星の下ホールはリナにプロポーズした。
「え・・・?」
「結婚しよう。前から好きだったんだ。今日言おうと思って連れて来たんだ。」
「私で・・・いいの?」
「リナがいいんだ。」
リナは微笑んで
「・・・・・お願いします。」
と言った。

 星が発見された。その下で男女が一緒になった。これは伝説にさえなった。大きなニュース、観光客も多くなった。
星の下で一緒になった二人は一生幸せだという話も出た。そしてそれは本当だった。
2003-10-27 23:14:49公開 / 作者:暁菜
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2003-10-27 23:38:56【☆☆☆☆☆】葉
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