『ブツン』作者: / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約2.28枚
最近みんなが私を避ける。
声をかけても無視をするし、肩を叩いても知らん顔。
友達だけじゃない。家族までもがそんな態度をとる。
まるで私がいないみたいに…。
最近みんなの様子が変だ。
よく泣くのだ。それも普通の泣き方じゃない。わんわん泣く。母や親友の由梨なんか毎日のように大泣きをする。それも私にゆかりのあるものを見たり聞いたりするたびに。
彼女達が泣くたびになぜか私は自分が泣かしたようなひどい罪悪感にとらわれる。
最近私も変だ。
なぜかご飯が食べたくない。いや食べなくても大丈夫になっているといったほうが正しいのかも知れない。
眠る必要もトイレに行く必要もないようだ。
暑いとか寒いとかそういうのも感じない。


そんな生活が怖くなった。自分が消えていきそうだ。
怖い怖い怖い怖い。

我慢が出来ない。不安に耐えられない。誰か話を聞いて…。

その日の夜、母が一人で私の大事にしていたぬいぐるみを見つめていた。
なぜかその姿はすごく悲しく寂しく感じた。
「ねぇ…お母さん。」
返事がない。
「お母さん。」
返事がない。
「お母さん…お母さん?お母さんってばぁ!!」
母がうなだれて
「ああ、どうしていなくなっちゃったの。美恵…」
美恵…なんだったっけ…美恵、美恵…。
!私の名前だ!何故忘れたんだろう…。大切な名前なのに…。
そういえば友達の名前もわからなくなってきた。
それよりも母は何故いなくなったなんて…?
「なに言ってるの?私はいつも此処にいるよ?おか…あさん?」
いま母のことも忘れかけたのか。
私は驚き恐怖に震える。
ふと母の目に水がたまり膨らんでいくのに気がついた。
「泣かないでよ。お母さん!私は此処にいるよ!」
母の肩が震えだす。

私は母の顔を見ながら必死で「泣かないで」と叫んだ。
母が顔を上げる。もう…泣かないよね?

安心した矢先、母の口が動いた。
「美恵…なんで死んでしまったの?」

ブツン

あれ?あの女の人は誰?私は何をしているの?早く天国に行かなくちゃ。









2005-04-24 13:00:10公開 / 作者:I
■この作品の著作権はIさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めまして、新参者ですがよろしくお願いします。

小説、かなり短くなってしまいすみません。
話は「自分が死んだことに気づいてない主人公が自分が死んでいることに気づいた瞬間、本当に死んでしまう」って話です。

感想、ご指摘お願いします。

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直してみました
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして甘木と申します。作品拝読しました。作品の題材自体はよくあるものですが、自分の名前を思い出し昇天する時の「プツン」の効果音に面白さを感じました。冒頭13行目で「だけど不安にならない。」と書きながら、次の行で恐怖という不安の感情を描いているのは矛盾です。ですから「だけど不安にならない。」は必要ないと思います。それと最後の行ですが「あれ?前の女の人は誰だろう。私は誰だろう?」の「前の女の人」が一瞬分からず「あの女の人」でもよかったのではないでしょうか。と言うより、「早く天国に行かなくちゃ」だけでも良いと思います。長々書いてすみませんでした。では、次回作品を期待しています。
2005-04-24 02:25:06【☆☆☆☆☆】甘木
初めまして、京雅と申す者です。うん、題名を読んだ時は若者がキレる話かなと勘違いして読み始めた私です。書きたかった事はちゃんと伝わるし、予定調和の中で物語が進行するわけですが、やっぱり短いだけに肉付けが足りなかったかなと思ってしまいました。メッセージのとこに物語の概要がありますが、それはなくても話は理解出来ると思いますよ。では、次回作も頑張って下さい。
2005-04-24 03:59:22【☆☆☆☆☆】京雅
よくある題材だったので、もうちょっと工夫して欲しかったなあ……と、はじめまして貴志川です。最初の数行で「ああ」と思って「いや、まてよ。逆に利用して……だとしたら上手いな」と思ったのですが、まさかそのまま進むとは「あらら」と言う感じでした。
例えば、ある作者は「死んじゃったゲームをして、Aさんは死んだことにされる→終わってもまだみんなが無視する→何度も話しかける→話しかけられた人のしてん→幽霊だ!」って感じにまとめてます。まあ、短文だとツマラン感じですが、それを原稿用紙に何枚も書き連ねてます。Iさんの作品は原稿用紙数枚程度となっているので、その辺り微妙ですね……
と言う感じで。とはいえすらすらいけて、理解しやすかったのは良です。b!
ではノ
2005-04-24 08:29:11【☆☆☆☆☆】貴志川
題名に惹かれて読んでみました。オチは母のどうしていなくなっちゃったの
という所で読めてしまいましたが、自分が死に気づいた時に現世の記憶を
全て忘れてしまうという設定は面白いと思いました。もうちょっと読んでいたかったです。次回作楽しみにしてます。
2005-04-24 11:27:09【☆☆☆☆☆】由紀
読ませていただきました。初めまして。オチ自体は初めから読めたものの、自分の死で本当の死へと昇天するというアイデアはすごく良かったです。ぷつんという表現もいい感じでした。短かったのでさくっと読めたのも強みですね、ですがやはりもう一捻り欲しかったかなと。次回作頑張って下さい。
2005-04-24 23:25:17【☆☆☆☆☆】影舞踊
最初の数行で読めてしまい、あぁ、という感じで読んでしまいました。読者によってはこの手の物は読みなれているのでやはり工夫が必要とされるのでは?同じ形式をとるのであらばせめて死ぬ前の所からで始め、いつの間にか死んでいたという形をとり、少しずつ記憶を曖昧にしていけばもう少し読み応えが出てきます。それで無ければやはり少し内容を変える事の方が良いのではないでしょうか。貴志川さんも例を挙げられていますが、例えば始め誰か別の子が死んだと思っている事にし、それが見える、即ち幽霊が目に見えてしまうとする。それで話を進行させ、ラストで本当は幽霊が見えていたのは主人公ではなく、死んだと思っていた子、つまりは自分が死んでいたのだと気付いてしまう。その時にあの印象的なブツンという音を聞き、判らなくなる、といった方が。突然とんでもない例を挙げますが、竹取物語。あまり知られてはいないのですがあの話のラストはかぐや姫が天の羽衣を纏い、その羽衣の力で感情を失います。この物語のブツンという音、響きはその羽衣と同じ作用を読者に与えられる筈だったと思うので、
後はそれがどう生かされれば良いのかの一点です。インパクトは十分ですので、上手い方の小説を読み書き方を学ぶと良いと思います。それではやや酷評となりましたが、次回作を期待しております。
2005-04-25 21:14:01【☆☆☆☆☆】夢幻花 彩
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