『夢の中は雨』作者:捨て猫 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約2.74枚







◆it is rain in the dream.

















ザーザーザーっと…。

雨が降っている。
周りには何もない。
ただ、ひたすら雨が降り続いている。
空は灰色の雲に覆われている。
ここは夢の中
それはわかっているのだが、
目が覚めると忘れてしまっている。
しかし、夢の中に来ると思い出す。
ああ、またこの夢か…、って。

雨は降っている。
いつもと変わらず…。

ザーザーザーっと…。

けど、今日は少し違った。
一人の少女がいた。
白いワンピースを着た少女だ。
俺は、少女に近づこうとした。
しかし、歩いても一向に近づけない。
歩いても歩いても…。

ザーザーザーっと…。

雨は降り続けている。
少女は夢を見るたびに近づいてきた。
ホラー映画みたいで怖かったが
少女が目の前まで来ると、
少女が泣いていることに気づいた。
「なんでないているの?」
俺はそう、聞いたつもりだったが、声にならなかった。
そして、
――もう、泣かないで…。
聞こえるはずのない声が聞こえてきた。
夢の中に、現実の記憶が入ってくる。
そうだ、泣いているのは俺だ。
理由は、娘を亡くしたから。
去年、交通事故で亡くした。
そういえば、この夢も去年くらいから見ている気がする。

ザーザーザーっと…。

雨が少し強くなった。
―もう、大丈夫だから。
聞こえるはずのない声、
そう、娘の声が聞こえてくる。

今わかった。
これは俺の夢なのだ。
夢と言う自覚はあったが、理解していなかった。
俺は娘を亡くして自分を責めた。
あの日、学校に遅刻しそうな娘を
車で送っていってやれば…。

―もう、泣かないで。
再び娘の声が聞こえた。
そして、
―私はいつもお父さんのそばにいるから。
もう雨は止んでいた。
―だから、………。
最後の言葉は聞き取れなかった。
空を覆っていた灰色の雲は少しずつ消えていった。
その隙間から、太陽の光が差し込む。
もう、娘の姿はなかった。

そして、俺は目を覚ました。
ひどく、悲しい夢を見た気がする。
しかし、とてもすっきりしていた。
そう、何かから開放されたみたいに…。

最近夢のことを覚えていることが多い。
花畑で一人の白いワンピースを着た少女が
とても楽しそうに微笑んでくれる、夢。



           fin
2005-04-10 15:25:01公開 / 作者:捨て猫
■この作品の著作権は捨て猫さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
なんか、詩みたいだけど…詩じゃありません!!><本当です!!信じてください。
けど、詩だったらすいません。詩じゃないつもりなんですけどね。(苦笑)

あと、今までの作品にアドバイスをくれた方本当にありがとうございます。アドバイスをしっかり受け止めて、もっとマトモな小説を書けるように頑張りたいです!
これからもちょく?くるつもりなのでよろしくお願いします。

簡易感想でも感動している扱いやすい作者です。
この作品に対する感想 - 昇順
拝読しました。では詩的な小説という事で……読み終わって切なさに胸を打たれている京雅です。もう少し男の悲しみを誇張してもよかったかな、と思いつつそれだと全体の形が崩れてしまいそうでこのままでもいいかなと。次はこの哀憐をもう一寸長い作品に取り入れてみるとかすると、さらに感動を呼ぶんじゃないかな、とアドバイスにもならない言葉しか送れない私でした。次回作も頑張って下さい。
2005-04-10 15:34:23【☆☆☆☆☆】京雅
作品拝読させて頂きました。綺麗です。イメージが脳裏に浮かびやすい作品です。哀れな男の末期の夢を見たような気分です。でも、この書き方とイメージの浮かびやすさからミュージッククリップを見た感じで、小説を読んだ満足感は得られませんでした。捨て猫さんの過去の作品を見ていても、題材は良いのにあまりにも描写を排除した作品が多くてもったいないと思います。もう少し肉付けすればさらいよいものになるものと思います。では、次回作品を期待しています。
2005-04-10 15:37:50【☆☆☆☆☆】甘木
流れ星の方がいい。少なくとも、あちらの方が小説らしくなっています。詩のように感じるのは視覚的要素も関係あるはずです。改行をできるだけ使わないように書いてみてください。流れ星のように文章に一定のリズムがあれば改行はほとんど使わなくて書けます。これは私にとっては詩です。ですが作品テーマはよいと思います。他の方の感想にもあるように風景描写・心理描写を肉付けし、この作品を千の言葉で飾ってみてください。
2005-04-10 16:07:29【☆☆☆☆☆】clown-crown
計:0点
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