『数も数えずに・・・』作者:さこ / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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1、2、3、4、5、6、し・・・・・・ふぅ。
もう一回だ!
1、2、3、4、5、6、しぃ――っごほごほごほっ!!
なんで?





ボクは数が数えられない。
もう2年生なのに・・・・・・。

「先生、知能障害ってことはないでしょうね?」
「修一君の脳も声帯もいたって正常ですよ、お父さん。」
「じゃあどうしてこの子は数が数えられないんですか!?」
「申し訳ありませんが、原因は分かりません。」

お父さんはボクの頭をなでる。かなしそうに。
ボクもかなしい。
いくらかけっこが速くたって、国語の本よみが上手くたって、
算数ができないからみんなに笑われる。
ごめんね、お父さん。





でも、ホントは数が数えられないだけじゃないんだ。
みんなが数字を口にすると、頭がガンガンするし、
それから頭の中に、幼稚園のころに住んでたおうちが出てきて・・・・・・
よくわからなくなるんだ。

こんなへんなことお父さんにいうと、またかなしがっちゃうから
ナイショなんだよ。



「へぇ。修一君はえらいんだねぇ。」

――!! お兄ちゃんいつからここにいたの?

「覚えてないなぁ。君の強いココロについつい引っ張られちゃってね。」

? わかんない。
お兄ちゃんすっごく白いね。わぁ、目が赤色だよ!
学校でかってる白ウサギみたいだ。

「そうかい?フフッ。ところで修一君、どうして数が数えられないか知りたい?」

もちろん。・・・・・・お兄ちゃん知ってるの?!

「分かるよ。でもね、知らない方がいい事もあるんだよ。」

でも、お父さんはかなしいんだよ。
なんで数えられないかわかったらきっと、数えられるようになるやりかた
わかるでしょう?

「思い出しちゃうと君のココロが壊れちゃうと思うんだけど。」

それナニ?どうなるの?

「数字をきくと頭がガンガンするんだろう?
 あれは、ココロがヤメテ、思イ出サナイデって泣いてるからだよ。
 壊れちゃったら・・・・・・お父さんはもっと悲しむだろうね。」

今よりもっと?・・・・・・でも、ボク知りたいんだ。

「そう、――じゃあお兄ちゃんと手をつないで目をつむってね。」

――きゅっ





・・・・・・あれ?ここ、

「修ちゃん、数え遊びしようか。」

だれ?お兄ちゃん、どこ?

「10かぞえたら、目をあけていいからね。そしたら、見つけてね。」

しってるよ!やったことあるもんね!

『だれと?』

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!
・・・・・・あっ、テーブルの下!みーっけ。

『覚えてる?数、前は数えられたんだよ。』

次いくよっ
1、2、3、4、5、6、し


       ―― ガターンッッ ――


なんの、音?
まだ10まで数えてないけど・・・・・・いいや、いこう。

『どこに行くの?』

げんかんにはいなーい。ぴあののおへやじゃなーい。
ボクのへやにも、お父さんのへやにもいないや。
あとは
――おだいどころっ!

『修一君帰ろう、もういいよ。行っちゃだめだ。』

まって、しってるよ。これ、しってる。

『修一君!!』

イスがたおれててね、なんか上からぶらさがってて・・・・・・

『だめだ、見ちゃだめなんだ!!』





――くるくるくるくる  きっ  パタッポタッ  くるくるくるくる・・・・・・・


――きっ ――きっ ――・・・・・・

これ、 ボクの、





お母さん!!!! 
2003-10-24 13:49:42公開 / 作者:さこ
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■作者からのメッセージ
先が読めるお話でごめんなさい。

はじめてホラー(なのかこれ?)をかきました。

ココロの形・番外編とでもいいましょうか。アルビノ兄ちゃんの失敗談ですね。
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