『Four【読み切り】』作者:新先何 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約3.79枚
 その男は、一言で言えば異常者だ。
 風貌も男には失礼だが異常者だ。
 その異常者は人を何人も殺した、異常な理由で。

 事件の発端は雪の降る深夜4時、あるマンションで一人の男が殺されていた。よくある事件だ、ただ殺された男は身体に「4」と包丁かなにかの刃物でえぐられていたからよくある事件ではない。
 そしてその翌日また事件がおきた。先日の事件と同じで深夜『4』時別のマンションで一家全員殺されていた。家族の身体一つ一つにはまた『4』の形にえぐられていた。
 その事件をきっかけに警察で捜査本部が作られた。
 それから、立て続けに十件も同じ様な事件が起き、テレビでは我々警察の無能さを報道して、実際我々は犯人の手がかりすらつかめてなかった。
 しかし、収穫はあった。三回目の捜査会議である刑事が被害者の関連性を見つけたのだ。
「被害者3人の名前には『4』という数字が入っています。それに3人の死亡推定時刻は『4』時。異常のことから犯人は『4』という数字になにか執着してるものと思われます」
 そう指摘された我々捜査官は、難しいクイズの答がわかったときみたいに「ああ」と感嘆の声をあげた。
 彼の言った通り次からでてくる事件の被害者の名前には『4』が入っていた。
 だがある日犯人が判明した。

「名前と年齢と職業は?」
「……」
 目の前に座っている男は血の臭いがする全身黒タイツを着てうつむいていた。
「日下部四郎、42歳、数学者」
 やっと口を開いたと思ったら、またすぐに下を向き無言を繰り返す。
「単刀直入に聞くが、動機は?」
 私は口調を強めて睨みつけてみた。
「4が憎いから」
「なんで?」
「4って『し』と読むでしょう」
 理由になってない様な理由を手元の書類に書き込む。なぜこういうめんどくさい仕事を俺に任すのだろうか。
「それだけか?」
 静寂の後男は語り始めた、異常な動機を。
「私の誕生日は四月四日でね、生まれた頃から『4』という数字がまとわりついてた。小学校に上がってすぐ『4』のせいで虐められた。出席番号は四番で、おまけに名前まで四郎だ。そのせいで周りのやつらからは死神といわれ、毎日仲間外れだ。そのころから『4』が憎くなってきた。中学に上がっても同じ理由で三年間虐められた、高校もそうだ。そんな私が数学者を目指そうと思ったのも何故かはわからない、もしかしたら数字のある環境なら大丈夫なのかもしれないと思ったんだね。だから高校を卒業したら数学の研究に没頭した。ある日ね、ちょっとした事故にあい病院に入院したんだ。五階の個室で病気の快復を待っていた。しかし病院の五階とは、実際四階であるのを知っているかい。病院に四階は無いんだ。理由は不吉だから、そういう施設は多いんだよ。それである日思いついたんだ、『4』を消そうって。それからはスムーズだったな、四のつく名前を探しては殺していった。黒タイツは動きやすいし闇の中にまぎれやすいからだよ。そして何人か殺して気づいたんだ、私の生活がなんの変化も無いことをね。それで今日自首しにきたわけだよ」
 言い終わったのを聞くと私は日下部の肩を叩き部屋の外へ連れてった。

 死刑の宣告を受けた日下部は何処か笑っていた。すくなくとも私にはそう見えた、この宣告を受けた時、偶然だと思うが壁にかかっている時計は4時44分を示していた。

 そのあと、俺は仕事の合間に文庫本を読んでいた。読み始めたばかりでページがドンドン進む。
 しかし途中でなにか妙な憎悪感を感じた。
 ページは4ページめで止まっているままだ。
2005-02-25 19:06:53公開 / 作者:新先何
■この作品の著作権は新先何さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
短いですが、ミステリチックなものを書いてみました。
突っ込みどころ満載ですが、自分的にはいいできで、結構気に入ってます。
皆様、御感想または御指摘お願いします。
以上新先した。
この作品に対する感想 - 昇順
読ませていただきました。異常者の心理というものは本当にわからないものですので、このような面から捉えた作風は好きです。いかんせんボリュームが少ないように感じましたが。【これ以降に書いているのは辛口で、作者様にとって酷評となっていると思われますのでスルーして下さって結構です。】まず、少しおかしいなと思った文章から。「よくある事件だ、ただ殺された男は身体に「4」と包丁かなにかの刃物でえぐられていたからよくある事件ではない。」この文で、「よくある事件だ」と言い切った後に「よくある事件ではない」と書かれているので少し違和感を感じました。「よくある事件だ。ただ、殺された男の身体の一部に「4」と刃物でえぐられていた、と言う点を除けば。」みたいな感じのほうがよさげだと(適当に考えたのでありがちですが(すいません 次に被害者三人の名前に関連性ですが。十件の事件の被害者全てに関連性があるとした方がよかったんじゃないかなと(もしかしたら読み取れてないだけかもなのですが(その場合は本当にごめんなさい 物語の流れはショートでしたのでスムーズでよかったのですが、あっさりとした印象を受けました。犯人の動機も異常ではあったのですがインパクトが薄かったです。(ありがちといえばありがちですので 例えば、ある問題で「4」という数字がとてつもなく邪魔だった等、の理由でも面白かったかなと(完全な嗜好ですので(笑 ラストのページは4で止まったままだという締めは結構好きなのですが、そうなった理由が妙な憎悪感というだけだったので何とも薄く感じられました。作者様が気に入っている作品にこのような酷評を付けるのはひどく申し訳ない思いがするのですが、このような意見もあってもいいかなと(影舞踊ならばこのような意見も欲しいので(完全な自己中(すいません ここまで読んでくださって、もしもお気を悪くされたなら、本当に申し訳ございませんでした。深くお詫びします。新先何様の次回作も楽しみにしておりますので。
2005-02-25 20:39:25【☆☆☆☆☆】影舞踊
悪くはないと思います。読み終えた後の微妙な感じがミステリチックで上手くいっていると思いました。気になった点がいくつかあります。まず、よくある事件だ、ただ殺された男は――とありますが、ここは「。」を使った方がいいと思います。違和感を感じました。男は語り始めた、異常な動機を。ここでも「、」が使われていますすが、「。」の方が良いような気がします。文が終わってるわけですし。すくなくとも私にはそう見えた、この宣告を――というところもそうですね。文が短くなるのを考えてこうしたのかもしれませんが、「。」の方が無難かと。あと、これはおせっかいのようなものなんですけど、文章を見ても悪い点はほとんどありません。会話文も地の文もスムーズに流れていると思います。ただ、そこでさらに考えるのがストーリーです。この作品は、犯人が捕まってそれで終わりですね。言ってしまえば「だから何?」という思いが出てきます。重要な部分がぽっかりと空いた感じがします。文章もこれだけ書けるのだから、テーマについて考えてみてはどうでしょうか。隠れた主題があることで作品は一層面白みを増します。ですがこの作品には、無いように感じられます(少なくとも自分は分かりませんでした)。かなり書きまくっていますが、だからといってこの作品が悪いわけではないので気を悪くしないでください(汗 ちゃんとまとまっている良い作品です。次の作品も期待しています。
2005-02-25 20:58:30【★★★★☆】霜
創めまして、作品を読ませていただきました。文章の纏まりは素晴らしく、犯人の異常さも伝わり、内容も自分の好きなジャンルです。
ただ、敢えて謂うならば、犯人の行動を、犯人の心理で書いて欲しかったです。なにか、異常なのに普通の感じが・・・(多分、自分の想像力のなさが原因ですので、気にしないでください)
自分自身未熟者なので、そんな事侮(い)えた立場でも無いのですが、次の作品も期待しています。
2005-02-25 22:44:36【★★★★☆】Town Goose
 んー、何か少し淡白すぎるかな、と。 この手の異常者モノは犯人が捕まるまでのスリル感や犯人視点の怖さなどによって盛り上げていくものだと思うので。その大事な部分がぽっかり抜けている感じで、あまり楽しめませんでした。 新先さんは本気で小説家を目指していると書いているのを見たことがあったので、少し辛口のコメントをしておきました。それでは、次回作も頑張ってください。
2005-02-25 23:19:28【☆☆☆☆☆】夜行地球
最後に「妙な憎悪感を感じた」と書かれている理由が明確に理解できないのがちょっと読後感を悪くしていると思います。ただの偶然なのか、主人公に何かが芽生えたと言うことなのか。また、影舞踊さんも仰ってますが、日下部が起こした十件の事件全てに「4」という数字が関連している、という風にはっきり言ったほうが納得できます。読点、句読点には私もちょっと違和感を覚えました。
2005-02-26 00:03:49【☆☆☆☆☆】メイルマン
読ませていただきました。
「4」って不吉なイメージありますよね。虐められた怨念?を晴らすために殺人を起こすというのって、よくあるようです。
しかし、夜行地球さんの言うように、人殺しのシーンを多くしたりしたほうが、ミステリーさがぐっと沸くと思いますよ。
2005-02-26 10:24:22【☆☆☆☆☆】朔羅
ども、ねこふみです^^えぇ〜自分の思ったことを……。まず、やはりもっと内容を増やす方が良いですね〜。ショートは短いものと決まって(?)おりますが、長くなっても良いから、やはり殺害場面や、犯人逮捕の経緯。犯人が何故四に執着していたかをより、多くのエピソードをつけてみるとか……。まぁ〜でも、面白かったのは確かです^^ただやはり、もっと「あさっり味すぎる」という感じですねぇ〜、ミステリーならばもっと色々絡めて良くと面白くなると思います^^
えぇ〜なんか酷評も多かったですが、これからの新作を楽しみにしておりますヽ(´∇`)ノ
2005-02-26 14:22:07【☆☆☆☆☆】ねこふみ
読ませていただきました。まず最初に、これはミステリではないな、と。ミステリちっくにするならば、もっと細部まで理詰めで書く必要があると思います。内容もやや淡白すぎるような気がしました。犯人との心理戦や追いかけっこといった“見せ場”が少なすぎたように思います。作品を通して、滔々と語っているだけ、というように感じました。オチについても、何か妙な嫌悪感……では漠然として、主人公がどんな気分だったのかもよくわからないと思います。言い方は悪いですが、強引に「4」という数字に絡めただけ、という風にもとれました。……以上、厳しいことを書いてしまいましたが、メッセージ欄に「ミステリちっく」という言葉を見つけてしまいましたので、ミステリ好きの忌憚ない感想を書かせていただきました。それでは失礼します。
2005-02-26 16:27:07【☆☆☆☆☆】ドンベ
読ませていただきました。異常者が行う殺人劇は個人的に狂気を含んでいてかなり好きですね。その視点で見れば面白かったッス。ただ、幾つか気になった点があったのもまた事実。自分の言いたいことはほとんど影舞踊さんが仰っているので省きますが、もうちょっと切り詰めてもらえれば尚のこと面白かったんだろうなあ、と思えてしまうのが悔やむことでしょうかね。
2005-02-26 23:22:11【☆☆☆☆☆】神夜
はじめましてv読ませてもらいました。 私は異常者ではないですが、「4」という数字を不吉だと思ったことはあまりありません。だって「死」だって他にも「詩」とか「詞」みたいな良い言葉もあるじゃないですか?それをわざわざ悪い方向へ持ってゆくなんて…と思います。現に私はたまに「4444」をパスワードに使うことがありますし。(ここではありませんが;) 作品については、みなさんとほとんど同じ感想なので略します。それではv
2005-02-27 21:37:21【☆☆☆☆☆】千夏
拝読させて頂きました。失礼なことは重々承知のうえで一言。消化不良! 読み手に(少なくても私に)消化不良を起こさせる書き方ですね。書き出しを読むとこの話は日下部に関わった刑事の話だと思うのです(後の文章に我々と主格が出てくるので、そう判断致しました)。私の読書力が貧弱なのか、読んでも主人公(?)のイメージが全然浮かんでこないのです。日下部の異常さも文章表現で異常者だと書いてあるのに、どうもうまく伝わってきません。異常者には異常者なりの理論があるもはかまいません。でも、異常者は自分のことを異常だとは思っていないでしょう。異常者を異常と判断するのは第三者のはず。なのに第三者(主人公)から伝わるべき異常さがないと思います。短編にするため文章を無理矢理凝縮したのかもしれませんが、それが空回りしているように感じられました。それと文中の調書を取る「私」と文庫本を読む「俺」は同一人物ですか? 同一人物なら表記は統一した方がいいでしょう。勝手なことを書いてしまいましたが、新先さんが投稿もしくは持ち込みを考えられているようなので。持ち込めば、表面上はやんわりとですが色々とへこむことを言われますよ。 
2005-02-28 08:57:09【☆☆☆☆☆】甘木
計:8点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。