『『ありがとう』と言わせて』作者:玲音 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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原稿用紙約5.16枚
 『ありがとう』といわせて




大親友だった彼女が死んでしまってからもう1ヶ月が経った。
あの頃私は中学3年の春休みだった。
やっと受験が終わって、彼女と同じ高校に受かったと喜んでいたあの頃。
1ヶ月後の今、高校1年生となったが、あの頃とは何もかもが変わった。
あの時、私が彼女を呼び止めていたら、彼女は死ぬことなどなかっただろう。
今私の隣にいてくれるはずだった。
いつも一緒だった。
家が近所で、保育園の頃から一緒だったのに、
私は彼女を、『私の一部』を失った。
後悔しても、彼女は戻ってこないのに私は何度も悔やむ、彼女を救えなかった事を。
私のせいで死んだわけではないけれど、あの時彼女を救えたのは私しかいなかった。
その私が彼女を助けられなかった。
1ヶ月経ったけれど、隣がさびしい。
彼女が死んだのに私だけ生きていていいの?…・



「ただいま 」
 家に帰ってきても何かが足りない。足りないものはなんなのかわかっているけれど、
 どうにもできない…。
「おかえり、荷物が届いているわよ。あなたの机の上に置いておいたから 」
「わかった 」
 私に荷物など、なぜ届いたのだろう。きっと手違いでもしたのだろう。
 机の上には確かに小包があった。
 確かに私宛だった。
 差出人は…名前がない。
 でも私は何かがあるような気がして開けた。
 箱の中には、カードと懐中時計…なんなの、悪戯? 
『あなたには、行きたい゛時がありますか?
 たった1度だけ、3分間だけその行きたい時に行けます。
 ただし時を変えることはできません。
 さあ、懐中時計の針を戻したい、行きたい時にあわせてみてください。
                     不思議の国の時計うさぎより 』
 ダメもとで今から1ヶ月前のあの時のあの別れの時へあわせてみた。
 行って何ができるのかも、何をしたいのかもわからないけど、
 もう後悔したくないから、もう悲しい思いをするのは嫌だから…。
 懐中時計が光を放つ。
 そして、目を開けるとあの百合の死亡事故の前の別れたときだった。
 過去の私がいて手を振っていた、そしてあの時と同じように去っていく。
 見えなくなったら、私は駆けていった、彼女の元へ。
 「百合! 」
 とっさに呼んだ、彼女の名前。ゆっくりと振り返る姿はあの時の百合だった。
 「あれ、帰ったんじゃないの? 」
 あの時のままの元気な明るい百合が目の前にいた。
 『行ってはダメ! 』そう言いたかった。
 でも、いきなり横におとぎ話の世界にいるようなうさぎが現れ、それを止めた。
 (時を変えてはいけない! )
 その言葉でわれに返った。
 (変えたら、その人に関する記憶を消去する )
 幻だと思った。だって、周りの人は、止まらずに歩き続け、私の横を通り過ぎていくから、
 何事もないように。
 (あなたのしか見えない。声もあなただけにしか聞こえない。私は不思議の国の時計うさぎ )
 「えっ 」
 私は驚き、何がなんだけわからなくなった。
 「記憶を消すってどういうこと? 」
 (時を変えた場合、変わった事の中心人物の存在を消す。あなたの場合は友人自体の存在を消す )
 「それは嫌!! 」
 今まで彼女といた記憶、彼女のいた事を忘れたくない。
 (早くしないといけない。あと2分 )
 無情にも時は過ぎていく。
 私がしたい事ってなんだろう……
 「どうかしたの? 」
 「ううん、別にどうもしないよ 」
 何も言えないまま時間は過ぎていく。
 (あと1分 )
 悩んでいたらいつの間にか時間が迫ってきていた。
 「変なのー、何か変よね今日のあなた。それじゃあ、バイバイ 」
  手を振り帰ろうとしている。私に背を向け歩き出してしまった。
  (このままでいいんですか? )
  私は彼女に向かって叫んだ。
 「百合、ありがとう 」
 「彼女の去っていく背を見て、最後の言葉を言った。
  彼女は振り返り、声は聞き取れなかったけど、
 『こちらこそありがとう 』って言っているようだった。


目を開けると、自分の部屋だった。
あれは夢?
机の上にカードが一枚。
「あなたはとても素敵な旅をしましたね。
 あなたの身に起こったのは、幻でも夢でもありません。
                   不思議の国の時計うさぎ 」
私はこのカードを見てうれしくなった。
もう後悔などしないだろう、絶対に……。
感謝と思い出のお礼を伝えられたから。
たった一言だったけれど、きっとあれでよかったのだろう。
私の思いを伝えるのに一番あっていると思った言葉だから。
明日から皆にありがとうって言ってみよう。

とっておきの言葉をあなたに……・

2005-02-24 00:45:00公開 / 作者:玲音
■この作品の著作権は玲音さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めて書いたものを人に見てもらいます。
私は、この作品を通して皆さんに
私が何を言いたいのかわかってもらえたらと考えています。
初めてなので読みづらいところが多いでしょうが、どうぞよろしくお願いします。
この作品に対する感想 - 昇順
初めまして。読ませていただきました。いろいろ言いたいことはあるのですが、簡略に。まず、いまいち伝わってくるものが希薄な感じがいたしました。死んでいく友人に対して「ありがとう」だけでよかったのか。「思い出を与えてくれる(友人と言う)存在は大切」と言うテーマだろうと思うのですが(違ったらごめんなさい)、影舞踊には玲音様の伝えようとしたことがいまいちわかりにくかったです(ほんとごめんなさい 理由として、展開と少女の心情描写が少なかったからですかね。主人公の少女が「ありがとう」と言えただけで、そこまで満足してしまうのも、何か引っ掛かりました。(それまでの思い出話や、少女の心の中を深くまで掘り下げて書いていただければ、ラストにもっと説得感が出てきたように感じます。 懐中時計とウサギと来ると、トランプ兵の出てくるお話を思い出してしまう(笑)のですが、設定としては連載でも面白いなぁと思いました。最後に「」の最後の部分に「空白はいらないですよ」←こんな具合に。長々とムカつくことを書いてしまい申し訳ないです(あんまり気にしないでね(マテ 玲音様の次回作も期待しておりますので。
2005-02-24 01:55:46【☆☆☆☆☆】影舞踊
背景が深ければ深いほど「ありがとう」の価値が上がると思うので、主人公が百合をどのように思っていたのかを、何らかの手段でもっと読み手に伝えるべきだと思います。
2005-02-24 09:19:13【☆☆☆☆☆】メイルマン
ども、玲音さんの作品は初めて読ませてもらいました。時計うさぎが言っていた、素敵な旅というのにはかなりの矛盾を感じます。過去を変えられたワケでもないし、ましてや、友人の死に別れを二度も味わうはめになっているわけですし。それと、やはり皆様も言っているとおり、ありがとう、という言葉に重みがないです。友人と過ごした日々を思い出したり、とか何とか、主人公に共感させる因子が必要かと。ではでは
2005-02-24 18:31:14【☆☆☆☆☆】rathi
皆様、ご批評ありがとうございました。今も別のお話をいくつもかいております。皆様の目に触れられるようになりましたら、また載せたいと思っています。
2005-03-06 01:31:57【☆☆☆☆☆】玲音
レスありがとうございざいました。皆様の感想役に立てさせていただきます。
文章力のなさを改めて実感しました。
私は私らしく書きたい事をこれからも書き続けていきたいと思います。
2005-03-13 00:58:27【☆☆☆☆☆】玲音
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。