『正月痩せ ショートショート・ギャグ』作者:つん / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
全角1410.5文字
容量2821 bytes
原稿用紙約3.53枚

 正月というものは実に、実に恐ろしい。
 大晦日に接ぐごちそうがわんさか出てくる。
 海老にぃ、カニにぃ、モチにぃ、お雑煮にぃ、御節♪
 どれもこれも口に合う。
 さすがに年明けを祝うだけあって美味なり。
 そして求めれば無限の量がある。
 ダイエットに専念する乙女にすれば天敵のようなものだ。
 酷いときはカニとモチの掛け合わせで体重が一気に……。
 うわ〜、おそろしい。
 という訳で、今回正月を迎えるに当たって、私は新兵器を持ち出した。
 それはヘルシア!
 きょう日コンビ二でも買えてしまう、ちょっと高めのダイエット飲料である。
 高校生の分際にちょっと高いのはキツイが、美を求める乙女の執念は恐ろしいものだ。
 お年玉をはたいて勝ってしもた。
 山ほど抱え準備OK!
 
 使い切ってしまった5000円に涙を注ぎながら会場に向かう。
「うわァ、凄っ! これ本当に全部食べていいの!?」
 ムム、予想以上の敵の顔ぶれ。
 ステーキまで出てきちゃったよ……。
 
 迫力負けのため、ヘルシアを一本、食事の前に飲み干してみる。
 うげ、苦い。
 これで痩せないんだったら誰もこんなの飲まないわよねェ。
 しかし苦いと効き目がありそうな気がしてくるのだ。
 いただきます! 手始めにステーキを貪った。
 う、うまひ♪
 ダイエットのため最近粗食だったからなおさら……。
 しかし胸焼けがするくらいの?が胸につかえる。
 ここはヘルシア出動じゃ!
 
 一本空けた。
 
 お次はモチ! 今朝ついたばかりのもち米の美味さといったら〜!
 
 一本空けた。

 おまちかねの御節w
 ラムの骨付きとキャビアはもらったァ!

 一本空けた。

 ムム、さすがにお腹が膨れてきたぞ……
 しかししかし、お雑煮だけは外せない!
 
 一本空けた。

「ふぁあ〜! もう限界じゃあ!」
 私は屈むも立ち上がるも億劫になるほど食べこむと、そのまま長椅子にダイブした。
 ああ 食後の休息ほど安らいだときはない〜♪
 ヒトが気分に浸かっていると、妹がちょこちょこやって来た。
「お姉ちゃん、食べてすぐ寝ると牛になるよ〜」
 
 うるさし!
 
 私はきょうヘルシアがあるからいいのじゃ、なにしても!
 いや、本当はそういうわけでもないのだが……
 とにかく、例のアレをもう一本空けてから、私は惰眠を貪った。
 
 
 二日後。
 
「うわ〜、しむ〜! 血が足りねぇ〜!」
 私は貧血に苦しんでいた。
 どうやらヘルシアの威力は想像以上だったようである。
 いや、飲んだ量が半端なかったのか……。
「うう、部屋が回る〜、足元が崩れ落ちるゥ!」
 ついでに寒気もする。
 しかも家族は自業自得とせせら笑うばかり……。
 くっそお、カワイイ娘が死ぬ目を見てるというのに……。
 私のことよ、私の!
 
 しかし貧血のせいで、結局雪合戦もできなくなってしもた。
 体重は増えなかったけど……。
 皆もダイエットのし過ぎには注意しましょーね!
 
 おわり
 ※ヘルシアは用法用量を正しく守れば、
 効果的に働いてくれます。
 私が貧血になったのはたんに飲みすぎただけなのであしからず……
2005-01-27 13:10:42公開 / 作者:つん
■この作品の著作権はつんさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

小説というよりはコラムのようになってしまいました。
実話です。
今回は小説の腕前を試しに来たのではないので
あんまり厳しいことは言わないでくださいw
この作品に対する感想 - 昇順
読ませてもらいました。初めまして、影舞踊と申します。実話ということですが、面白かったです。途中、「ていうか飲みすぎでしょ」と突っ込みを入れてしまいました(笑 しかし、ヘルシアの飲みすぎにそんな副作用があったとはw楽しかったです。次回作も頑張って下さい^^
2005-01-28 20:57:00【☆☆☆☆☆】影舞踊
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。