『運命は変えられる(読みきり)』作者:朔羅 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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どうして私がこんな目に会うんだろう、どうして私だけが責められなくちゃならないんだろう。

私には何も…、ないのかな?

幼稚園の頃から、それは始まった。皆積み木や御飯事、外では砂遊びをしていたというのに、私だけは違った。隅っこで、本を読んでいただけだった。そして、誰も私に近付かない。

原因は、私の服装だった。何故か分からないけど、女の子はスカートを履くべきだ、という計算式が皆の中で作られていたらしい。男の子がスカートを履く…、というのはパグパイプの演奏者にならない限り無理である。そう、女の子がズボンを履いていると、「男の子」と断定されてしまう。私もズボンをしょっちゅう履いていたので、「男の子」となってしまった。

「あんた男の子なんでしょ?ここに入ってこないで!」
私が女子トイレに入ると、男子トイレに強制的に連れて行かれた。
「藍(私の名前)の水着って、海パンじゃなかったっけ?」
プールの時間になれば、水着を捨てられそうになった。

教室の端っこに座っている時、靴箱に目を向けた。
――中に画鋲を入れてやりたい、皆に私のことを知らしめてやるんだ。
だけど、その時画鋲は飾りに使用されたまま。使うことができなかった。小さな虐めを決行したいのに…、溜息をついた瞬間、洗面器に張ってある水を見た。
――皆がお外に行っている間に、上履きを濡らしてしまおう。
水越しに、私の顔が黒く歪んだのが分かった。当時嫌っていた男子の上履きを取り、水に漬けてやった。全員の上履きを湿らせてやろう、と思った次の瞬間、
「藍ちゃん!!」
先生に怒鳴られた。吃驚して先生の顔を見たら、唇の端がわなわなとひくつかせていた。
「お友達の靴を濡らすのは、いけない事だよ!もう2度とやっちゃ駄目!」
虐めはここで終了した。先生は知っている筈なのに、何時も園児を見守っている筈なのに…。

――誰も信じない。

小学生の頃は、3年になってから再発した。転校先で、虐めを決行去れていた。理由は分からない。足が遅いからって、スポーツ下手だからって、そんなの理由にならない。だけど、私にはスポーツ面での特権があった。水泳が私の1番好きなスポーツ。そんなに速くはないけど、この中ではかなり速い方だった。組対抗のリレーで、私の組の女子が勝った。が、男子は2位になってしまった。女子達は私に「凄いね!」とか「感動したよ!」とか言われていた。こんなに人に認められたことなんて、初めてだ。だが、教室に入るなり、スポーツは得意だけど水泳が下手な男子に罵声を浴びさせられた。

「調子乗ってんじゃねぇよ!」

男子はクスクス笑っていた。負けたのはそっちの理由だ。私は関係ない。男子のリレーになんて、私は関わりもないのに…。だけど、何も言い返せなかった。

高学年になるにつれて、私のストレスは溜まっていく一方だった。遂には女子までもが私への虐めに加わって、周りには味方なんていなくなった。私の学校の人達は、中学受験を目指す人達が多かった。そんな人達も、中にはいた。こんな人達が私立のエリート中学に入ったら、問題が起こるであろう。そう思った。

1番酷い学校生活を送っているのは、今である中学だ。小学校から来た男子がいて、陰で悪口言っている。私も餌食にさせられた。そいつのお陰で、他の組の男子に邪魔者扱いさせられた。

女子なんて皆偽善者なんだ。よく私に「大丈夫?」とか言ってくれてるけど、ある日
「深澤ってキモくない?」
と、言われたところを見てしまった。幼稚園の頃、同じクラスだった女子…。彼女も虐めに加わっていた。だから「幼稚園の頃さぁ…。」とか言って話してる。そして、私は心に決めた。


「他人なんて、信じない。」


他人を信じたって、直に裏切られるだけだ。人は自分の事しか考えてない。世界は自分中心だと考え込んでいるんだ、眼中に他人なんていないんだ、誰が虐められてても気になんて留めないんだ。

先生は何時も言っている。「何かあったら相談しろ」と。でも、最近の子供達はそんな事一切聞かない。叱られたら、「あいつウザイよな。」と言ったりする。自分の非を認めていないのだ。私も相談した、虐めの事を。すると、思いがけない意見が飛び出してきたのだ。

「深澤が悪いんじゃないのか?」

私は何もやっていない、何も悪い事なんてしていない、皆私のことなんて知らないのに、そんな事を言っているだけだ。外見重視のこの世界、性格なんて関係ない。性格は美人だけど、外見が異常なら、そんな奴は切り捨てる。そんな世界なんだ…。

ある日、欧米ののドラマを見ていた。弁護士のドラマだ。無実の人間を救い、光を与える職業…。私はそんな職業に憧れていた。無実なのに有罪だと決め付けられて、脱出できない人達を救ってやりたい。私も何かあると、罪を擦り付けられていた。だから、困っている人達を救ってやりたいと、思うようになった。

私は弁護士になりたい、人を救いたい。努力して、夢を達成するんだ。頑張っていい高校と大学に入るんだ。頑張れば、私にも光が見えてくるんだ。だから…、今を生きていこう。そうすれば、私にも光は訪れる筈…。
2005-01-23 20:48:16公開 / 作者:朔羅
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■作者からのメッセージ
初の読みきりバージョンです。虐められても、挫けずに頑張る人を書いてみました。
シリアスっていうか…、暗い(ヲイ)。こんなの受けなさそうですね、ハイ。
この作品に対する感想 - 昇順
・・・ほんとに暗いですね・・・
でも楽しく読ませていただきました!
2005-01-23 21:32:47【★★★★☆】与那覇陽光
ぬー・・・あ、初めまして覆面レスラーと申す者です。
この主人公。。。虐められても挫けず頑張る人。。。というよりは卑屈な人に見えてしまったのですが。。。虐められた経験が無いからそんな事が言えるのでしょうか。。。知り合いにこの主人公と似た女の子が居るだけに、その子とダブって仕方が無かったでス。外の世界とあまり触れ合わずに自分の精神とだけ触れ合っている女の子が主人公なので、もっと女の子らしい繊細さや綺麗さを前面に出して欲しかったかなーと思ったりも。。。いや。。。うーん。。。やっぱ微妙に受け入れづらかったです(汗。
暗い作品は嫌いじゃ無いのですが(読むのも書くのも好きです)どうもフィーリングが合いませんでした。。。折角作品を読ませて頂いたのに、あまり役に立たなさそうなコメントでスミマセン。今回は評価点0.9で1を点けさせていただきます。次回作、期待してますよー。
2005-01-24 13:16:13【★★★★☆】覆面レスラー
どうも、拝読いたしました。何と言いますか、物語ではない事実に近い感情のような気がします。いや、自分は解らないんですが、綺麗事じゃすまない現実味があったように私は思います。次回作も頑張ってください。
2005-01-24 18:18:52【☆☆☆☆☆】昼夜
虐められる子の気持ちはなんとなくしかわからないのですが、この作品からは生々しく伝わってきました。虐められる子の心はどんどん荒んでいきますね。そしてひねくれていく… 小学校中学校の時理由なんてなくてもいじめがありましたから、痛いですね。朔羅様の次回作も楽しみにしています。
2005-01-24 20:51:34【☆☆☆☆☆】影舞踊
読ませて頂きました。確かに他人って怖いですよね……昨日までは友達だと思っていた子が次の日になってみると急に態度が変わってっていう事ありますもんね。でもこの主人公は虐められてなお、弱い立場の人を守りたいっていうふうに思い弁護士を目指すなんて強いなぁと思いました。次回作も楽しみにしています☆
2005-01-26 22:18:34【☆☆☆☆☆】満月
計:8点
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