『放課後番外編〜授業中〜』作者:緋月 龍 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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始まりは朝。
当然のこと。
まぁ厳密に言えば夜に終わり夜に始まるのだけれど。
でも目が覚めたら朝だから。
始まりは朝。
なんてことを考えながら、今日も学校の門をくぐる。
昇降口で上履きに履き替え階段を上る。
そして教室へと続く廊下を歩く。
少し肌寒く感じる。
ブレザー着てきてよかったと思う。
と、そのとき、たったったったったった。と小走り的な足音。
だんだん近づいてくるのがわかり振り向き左足を思いっきり振り上げる。
ガスン………という音と共に走ってきた人物は後ろに倒れる。
「ってーなぁ、おい、今日は一段と。おまえキックボクシングでも始めたら?まぁ、いいや、おはよ。」
と俺に蹴りをくらったのにもかかわらず挨拶をしてくるのがクラスメイトの山本。
「おはよ。」
と、とりあえず挨拶を返す。
二人で並んで廊下を歩く。
途中、何人かの生徒とすれ違い皆が皆、山本と会話を交わす。
山本は気さくで明るいから友人も多いのだ。
正反対といっていいタイプの俺と何故つるんでいるのか気になり聞いたことがある。そのとき、こういわれた。
「んー、なんつーかさ、逆のタイプだから。弱点克服ーみたいな。いろんなタイプと友達になりたいんだよね、俺は。」と。
弱点克服って……某人気ゲームじゃないんだからと突っ込もうとしたがやめた。友達。この言葉が嬉しかったからだ。
週の始めということもあってか、なんだか騒がしい。
まぁ、いつも騒がしいけれど。
教室に入り、窓側の一番前、自分の席に座る。
チャイムが鳴り担任が入ってくる。
軽い連絡をすませると担任はでていった。
そして始業のチャイムがなる。
一時間目は国語。週の始めから気の滅入る時間割だった。
別に古文なんか読めなくても今は翻訳されてるのがあるから困らない。
漢字がかけなくても平仮名が書ければ問題ない。
そんなこんなで授業放棄。
窓の外を見つめる。
窓の外では木が少なくなった葉のついた枝を振っている。
正確には振られているのか。
下に目をやると、校庭で体育をやっている。
一年がハンドボールをやっている。
バスケなんだか、サッカーなんだか、よくわからないスポーツだ。
だがしかし、見始めたらすぐにハンドボールは終わってしまった。
と、いうことは……授業が終わるということ。
その二分後にチャイムがなった。
二時間目の社会。
三時間目の理科。
四時間目の英語。
寝ていた。
おかげで疲れはとれた。
この休日もなにもしなかったのだがそれでいて疲れている。
寝すぎた故にということか。
給食が終わり、清掃。昼休みとなる。
昼休みになると、決まって山本に外に遊びに行こうといわれるが断る。
寒いのは嫌いなのだ。暑いのも嫌いだが。
そして本日最後の授業、数学が始まる。

事件はこのとき   始まりのチャイムをならす。


授業が始まって十五分たったころ。メモ用紙が回ってきた。
丁度、同じ列の一番後ろの女子、清水が発言してる頃。
清水は活発で授業の主導権も握っているというかんじ。
リーダー的な存在で男女見境無く友人が多い。
と、メモ用紙に目をやる。
珍しいな、俺にこんなのがまわってくるなんて。
そこにはこう記されていた。
「明後日の午後九時、正門前に集合。我は全ての秘密を知っている。ばらされたくなければ、来ることだ。参加希望者は名前を下に書け。書かないものの秘密はばらす。  闇を支配するもの。」
馬鹿馬鹿しいと思ったが、一応名前を書く。
皆が書いてあったからだ。
三十個の名前が記された。
残りは五個。
一体、誰がまわしたのか。冗談なのか、本当なのか。だとしたらなんのために。
本当は36だった学級は今は35人となっている。
本当のこの列の最後尾、金田という男子がいた。
しかし、金田は死んだ。
交通事故だった。
ひき逃げ。
犯人は未だ逃走中だそうだ。
そんなことを考えながら後ろに紙を回す。
しばらくして、紙が帰ってきた。
そこに、清水の名前は無かった。34名の名が記されている。
秘密など無いのか。その時はそう思った。がそうではなかった。

惨劇は翌日   起こった。

いつもどおり登校。
教室にはいると、なにやら後ろの方に人だかり。
かばんを机に置いて人だかりの方へ。
清水の机だった。
そこには一枚の文字が書いてある紙と、写真があった。
その写真には清水と男子が写っている。いかにもカップルってかんじで。
文字の方にはこう書いてあった。
「清水絵梨の秘密。  彼女は参加を断ったので秘密を公開する。
写真にあるのは2組の田中くん。この二人は付き合っている。
だがしかし、彼女はもう一人、付き合っている男子がいる。
そう、彼女は二股をかけている。
しかも、もう一人というのは他の女子と付き合っているのを別れさせたのだ。あってはならないことだ。
これは参加しないから公開されたのだ。
本当だというっことがわかったかな、諸君。
明日を楽しみにしているよ。   闇を支配するもの」
しばらくして清水が登校してきた。
清水となかがいい加藤という女子が文と写真を持って近づく。
それをみた清水は血相をかえて教室を飛び出した。
校庭を走り去り、門から出て行く。
その数時間後
       清水は死んだ。

飛び降り自殺。担任はそういった。
遺書には「ごめんなさい」と書いてあったそうだ。
自分のマンションの屋上から飛び降りる。
10階建てだから、結構な高さだ。
闇を支配するものとは何者なのか。
何故、秘密をしっているのか。
目的はなんなのか。
不思議なことに先生は清水の死んだ原因について尋ねたりはしなかった。
それはなぜなのか。
秘密をばらされては困るので、夜の学校に行くことを決意した。
武器はバットとカッター。
なにをする気なのか。まったくわからないがとりあえず、やってみよう。

現在、午後、8時。
約束の時間まで一時間。
死者、ゼロ。
生存者、34名。
平穏な日常は終わった。


2004-11-14 15:47:55公開 / 作者:緋月 龍
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■作者からのメッセージ
二作目です。
番外編ということですが、すこし前の話。
感想お待ちしております。
最後までありがとうございました。
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