『トラブルメーカー(修正版)』作者:ラック / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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プロローグ

静まり返った廊下に人目を避けるようにして、二人の男が話をしていた。
「準備はいいか?」
男の片方――やせ気味で、陰険な不陰気をかもし出していた。
「ああ、後は作動するのを待つだけだ」
こちらは、中肉中背でいたずらを仕掛ける子供のように振舞っていた。
「そうか・・・・・・今回もきっちりしとめるぞ」
陰険な方が言い中肉中背の方が間を入れずに答える
「ああ、今回の連携は一団と強固だからな、万が一もないだろう」
「そうだな、他のところはどうだか知らんが、我々だけでも十分対応できるが、追い込むための布石はあるに越したことはないからな」
「そんな事言ったら、また怒られますよ?」
「そうだな。だが、だれも聞いてはいないだろう?」
「それもそうですが・・・・・・」
一人の男が走りよってきて陰険な男になにやら耳打ちをするとすぐに立ち去っていった。
「くく、どうやらターゲットが動き出したらしい。俺たちも持ち場に就くぞ」
きみの悪い、低く押し殺したような声で笑い、指示をだす。それにしたがって、即座に中肉中背の男は行動を開始する。
それを合図にしたかのように、
「狙撃部隊位置に就いた」
「遊撃隊準備完了」
「追撃隊いつでもいける」
「全班に告ぐ、すべての準備は完了した」
全ての準備が整ったと連絡が入り、ターゲットが罠に掛かるだけとなった。
「ついに、この史上最高の罠の性能を試せる機会にめぐり合えた。あと少し、あと少しで、これの性能を拝むことができる。まあ、発動前に方が着けば、また性能を試すことができなくなるがな。くくくくくっ」
不気味に笑い続け、自分が持ち場に就くことを忘れていた。
たたたたた
「さっさと持ち場に行きますよ」
戻ってきた中肉中背の男に引きずられようにして、この場を立ち去った。


第一章 放課後の逃走劇

「いたか」
「いない。今日こそ部活に、参加させてやる。」
そんな会話を聞きながら俺は、女子トイレの中(入り口付近)に隠れていたりする。自分でも情けないと思うが、こうでもしないと先輩たちに見つかって、部活へと強制送還アンド強制入部をさせられるからだ。自分で言うのもなんだが、別に運動神経がいいわけではない。むしろ悪いといってもいい。じゃあなぜ、強制入部させられるかと言うと、俺が、星野姉妹の幼馴染だからだ。ただのそれだけの理由で、運動部しかも格闘技系の部活に入部させられている。
「きゃっ!」
しまった。女子が入ってきた・・・・・・
「あっ、え〜と。これは・・・・・・・・・・・・」
「へんたーい!」
バシ。バシ。バシ。ドコ。ドス。バキ
一瞬世界が反転した。それは、頬の痛みと腹にいれられた膝蹴りによるものだった。それにしても6連続コンボは、痛い・・・・・・俺が弁論する前に、いきなりビンタアンド膝蹴りかよ。しかも6連続。まあ言い訳が思いつかない。ピーンチって状況ではあったが。って、ささっと逃げないと先生がくる。先生が来たら、お説教ア〜ンド強制送還が待っているからなぁ〜。
「いたぞー。女子トイレになんか、隠れてやがった。」
「まじかよ。あいつには、プライドがないのか」
げ、今の騒ぎで見つかった!
ちくしょ〜ぼろくそに言いやがって、本当なら、文句のひとつくらいいってやる所だが、相手には、ボクシングの全国大会準優勝者がいるから、へたに文句を言うと殺されるからなぁ〜。この年で死にたくないからな〜
「いたぞ。こっちだ」
げっ、正面から来た空手部に見つかった。しかも団体かよ!
空手部めランニングついでに俺を探していたな。ってか校舎内でランニングするなよな。
ってのん気に、考えてる場合じゃなかった。はさまれた。本日二回目のピーンチ。
「追い詰めたぞ。竜崎、さあ覚悟を決めて部活に参加しろ」
「しかたない・・・・・・・・・参りま……星野ちょうどいいところに、」
「なに、星野さんだと」
ふっ単純な脳みそ筋肉野郎どもめ、まんまと引っかかりやがって、今のうちに、・・・・・・
「同じ手が、36回も通用するかぁあ」
そう言いながら俺の逃げ道をふさいだのは、ボクシング部の先輩だった。36回目でようやく一人が学習したか・・・・・・運動部の学習能力は低すぎる・・・・・・その前に学習能力あるのか・・・・・・そんなことを考えている場合じゃなかった。どうにか逃げ出さないと・・・・・・あ! ベランダ通ろっと。
俺は、窓から普段は非常用の脱出用で使われてないベランダに出て非常階段に向かって走り出した。
「陸上部頼んだぞ」
「え?」
後ろを振り向くと陸上部エースのが迫っていた。
まじかよ! なんで陸上部が・・・・・・なんて考えてたらもうすぐそこだし
「ふはははははははははははは」
「は?」
陸上部のエースは不気味な笑い声を響かせながら俺を抜き去っていった・・・・・・
なんなんだありゃ。まあ助かったからいいか
あとは非常階段を使って一階に行って靴を履いて逃げるのみ
「逃がさん」
「何!」
俺が見たものは残りのボクシング部が非常階段に先回りしようとしているところだった。
なぜだ。なぜ今日はこうも先回りされるんだ?まさか・・・・・・生徒会長が自ら指揮を・・・・・・いやそれは、ありえない。ありえないはずだが・・・・・・あの人のことだからありえるかもしれない・・・・・・絶対そうだ……憂さ晴らしするためにあの超激務を半日で終わらせて俺をいじめる気だ・・・・・・だからこんなに先回りされているんだ・・・・・・逃げられない・・・・・・
「さあおとなしく捕まれ!」
「いやだ」
「おまえは、もう逃げられない。なぜなら生徒会長が直々に指揮をとっているからな」
「やっぱり・・・・・・運動部がこんなに連携するなんておかしいと思った」
「さあ。あきらめろ」
「何度も言わせるな! い・・・・・・」
そんな会話を走りながら、したために、呼吸が乱れ走るペースも乱れた。
バシュ
地面が弾けた・・・・・・まさか・・・・・・
恐る恐る隣の棟を見てみるとクレーン射撃同好会がいた・・・・・・
やっぱり狙撃されてるーーーーこのままじゃ何時撃たれるかわからん。どうやら、ボクシング部より先に非常階段に到達できたし、校舎内に入らないと怪我じゃすまなくなる。
非常階段から校舎内に入ると
ヒュン ヒュン ヒュン
矢が顔すれすれを通り過ぎていった・・・・・・
まじかよ・・・・・・ここまで読まれてるとは・・・・・・ありえねー
生徒会長は、絶対俺を殺す気だ。憂さ晴らしなんてレベル超えてるし・・・・・・
「まちがいない」
あっ今のけっこう似てたかもって、ちがーう。そんなことより無事に学校をでることが肝心だ。よし理科室でしばらくやり過ごすか・・・・・・でも既に弓道部に理科室に入るの見られたし・・・・・・まあ、いいか
俺が理科室の扉を開けた瞬間
ヒュ。ドス
風を切る音と何かが床に刺さる音が連続して聞こえてきた。足元を見るとつま先との間がゼロ距離でバスターソードが床に刺さっていた。黒板けし落しの応用か・・・・・・当たったら死ぬぞマジで。とりあえず理科室に入るにはやめよう。
「え〜馬鹿はただいま理科室付近にいるもよう、付近にいる人はただちに現場に急行してください。繰り返します理科室付近にいるもよう現場に急行してください。」
放送で呼びかけんなーしかも馬鹿呼ばわりかよ
「いたぞ。こっちだ」
「遊撃隊、突撃! 狙撃隊、援護射撃準備」
誰かの号令とともに陸上部、忍者同好会、遊撃同好会が突っ込んできた。そして、その隙間から銃弾と手裏剣(折り紙製)がとんでくる・・・・・・
遊撃同好会って普段は何してんだろ? 気が向いたら聞いてみよ
「ぐっは」
忍者のかっこうをしたやつが悲鳴とともに、転んだ
よく見ると銃弾が足に当たってるし・・・・・・
「あっ! また忍者に当たった・・・・・・・・・うわーいたそー」
「味方を撃ってどうするきだ!」
号令をかけたやつが怒鳴っているのを聞きながら廊下で人間カーチェイスを繰り広げていた。
「うわ」
何かを踏んで俺は無様にも転んだ
「いったい何を踏んだんだよ」
足元を見るとバナナの皮があった・・・・・・
バナナの皮って本当にすべるんだ・・・・・・勉強になった。って、なるかー
俺が心の中でノリツッコミをやっている内に完全に包囲されてしまった
「馬鹿か俺は・・・・・・」
「はははは、どうだトラップ同好会の最高のわなの威力は!」
「あほらしくて、何も言えん」
つぶやくように言ったのが幸いしてか、相手には聞こえていなかったようだ
ってな、訳でボクシング部に護送されている。ううっまたスパーリング×15セットかぁ。あれは、マジで死ぬからなぁ。でもこの状況で、どうすればにげられるかなぁ。そうだ! いいこと思いついた。
「俺、今日部活休んでいいすっか?」
「何寝ぼけたこと言ってやがる。今日こそ部活に来い」
「星の写真あげますから。今日も見逃してください」
「うっそれは・・・・・・」
ふっ悩んでる悩んでる。よーしあと一息
「もうすぐ、着いちゃいますよ。どうするんですか?」
「わかった。しかたない今日は、帰っていい写真のことは、忘れるなよ」
かかったな。だれが、星野の写真って言った。俺は、星の写真って言ったんだよ。ばーか
星野の写真なんか渡したら、星野姉に、完全犯罪で消されるからな。帰るとするか

「部活はもう終わったのかい?」
「えっ、ええ一応」
しまった反射的に、答えてしまった。
「そう。それはよかった。まだテコンドウ部は、練習中だから、行こうか」
「うっ」
俺のばかーーーーー。何で素直に答えるんだよ。仕方ないのかもしれないけど。テコンドウ部部長、柳沢 俊は、驚くほどいい人だからなー。しかも外見は、文系だからなー。柳沢さんには、悪いけど。だから素直に答えたのかもしれない。うん。きっとそうだ、そうに違いない。なんで自分に対して言い訳してんだろ……
「アップは、すんでいるかな」
「一応すんでますけど、念のためにやります。」
「怪我したら危ないから、しっかりやるといいよ」
そう言って、個人練習の様子を見に行った。
だからなんで俺は、こんなに正直に答えてしまうんだーーーー。しかも今のは明らかにやる気があります的発言じゃないかー早退ができない・・・・・・まあサンドバッグにされないだけましか。でも疲れるんだよなー。めんどーだし。このままアップをだらだらやって時間つぶすかなーでもなんか柳沢さんに悪い気がするんだよなー。はぁ。どうしよう。
「シン、アップはそれくらいにして、俺と組み手やるぞ」
そう言ってきたのは、俺の友人の輝だった。こいつ、俺にサボらせない気だな
「ボクシング部から、逃げるので疲れたから、パス」
「うそつけ、買収してたくせに」
「あれは、捕まったから買収したの」
「へっ?」
こいつはなに、間の抜けた返事してんだ
「まさか、ほんとに買収してたとは、カマはかけてみるもんだな」
「てめー、はめやがったな。」
「こんなのに、はまる方がおかしいんだよ」
「うっ」
くやしいが言い返せない……いつか絶対こいつを言いくるめてやる
「そうときまれば、早速、組み手を」
「だれがやるか!」
「どうしたんですか、大きな声を出して」
「柳沢さん」
いつの間に、たしかさっきは、もっと距離があったはずだが、いつの間に
「なんでしょう?」
「えっあ、いやただ単に驚いただけです」
「驚かせてしまいましたか」
「柳沢さん、シンと組み手やってもいいですか」
「ええ、かまいませんよ。それなら審判は、私がやりましょう」
「という訳で、勝負だ。シン!」
「わかったよ。やればいいんだろ、やれば。」
「二人とも位置についてください。」
俺たちが、位置に着いたのを柳沢さんが確認した。
「準備は、いいですか?」
輝は、真剣な表情でうなずいた。俺はやりたくなかったが、輝がうなずいたのでつられてしまった。
やはり、俺はまぬけだ・・・・・・
「はじめ」
柳沢さんの掛け声と同時に、輝がとび蹴りをかましてきた。
おい! 助走なしでとび蹴りかよ。しかもいきなり。
などと考えつつ俺は、体を右にずらしてよけた。
「あっ」
そんな声を残して、輝が着地に失敗して派手にこけた。とりあえず近づき、かかと落しを放ってみた
が、輝のやろー転びながらもよけやがった。しかも体勢まで整えてやがる。いくらなんでも早すぎだろ
「そんなかかと落しが当たるかよ」
輝め、余裕の笑みなんぞ浮かべやがって、今に見てろよ。
「すきあり」
バッシ
そう言って放った俺の後ろ回し蹴りが、輝の腹部に当たった。
「おまえ誰を蹴ったつもりだ?」
「だれって、輝お前を・・・・・・」
「よく見ろ。ばか」
「えっ」
輝に言われて、足の先を見てみると、そこには、組み手を見学してた一年の顔が・・・・・・
「あっ・・・・・・すまん・・・・・・とりあえずだれか保健室に連れて行ってやれ」
「たっく。後ろ回し蹴りするのは、構わないが半回転しただけで蹴るなよな。後ろ回し蹴りはふつー一回転してから蹴るもんだろ」
「うりゃ」
バッシ
どうだ今度は、後ろ回し蹴りじゃなくて上段蹴りだから、輝お前に当たったぞ。
「いきなりなにしやが・・・・・・」
輝の言葉をさえぎり、柳沢さんが
「一本。勝者シン」
「・・・・・・・・・・・・しまった。組み手の最中だった・・・・・・・・・・・・」
戦いの最中に余所見をするとは、愚かな・・・・・・なんて言ってみようかと思ったが恥ずかしいのでやめた。
「しかし、シン君、今のは感心できないよ」
「うっ。油断するほうがいけないんです。それに柳沢さんだって、中断の合図してないじゃないですか」
「そういえば、忘れていましたね。まあすんだ事ですし水に流しましょう」
「そうですね。あっほらもう部活終了の時間ですし」
「では、今日はここまで。各自整理体操した人から帰っていいですよ」

男子更衣室

俺たちは、整理体操をろくにやらないで更衣室に来て、着替えている。
「ふー。やっと終わった」
「誰かのせいでいつもより余計に疲れた」
「それは、俺のセリフだ」
「シン、貴様が、組み手になんかやるからだろ」
「おまえが強引にやらせたんじゃねーか」
「あっさり引き受けるほうが悪い」
悪びれる様子もなく言いやがって
「そういや、あれどのくらいできた?」
話題がないのでとりあえず輝が造っているやつについて聞いてみた。
「あれか、あれはまだまだかかるな」
「今度は、どこがうまくいかないいんだ?」
輝は、少し考えるようなそぶりをしてから
「バランスだな。どうも安定しない」
「そうか。それより帰りどうする?」
「そうだなーラーメンでも食ってくか」
「じゃあそうゆうことで俺は、先に行くぞ」
「あ、ああ」
ってまてあいつはもう着替え終わったのか!? いくらなんでも早すぎるだろ。まだ1分経つかどうかだぞ。おい
しかたないので俺は、できるかぎり急いで着替えを済ませて輝を追った。

ラーメン屋への道

「輝、おまえ着替えるの早すぎ」
「そうか、あれでもしゃべりながらだからけっこう遅いほうだぞ」
「はあぁー。あれで遅いのかよ。ちなみにふつーのときのタイムは?」
「12秒」
「それ早すぎ!」
ツッコムところではないと思うがツッコンでみた。
「いや他のやつらが遅すぎるだけだ」
「それは、無い・・・・・・」
「シン。前」
「え?」
ゴン
そんな音とともに俺の視界がブラックアウトしかけた。
「いってーーーーーーーーーーーーー」
「前見て歩けこの馬鹿が」
「うるさーい。大体なんで道の真ん中にバス停があるんだよ」
「知らん」
「そりゃそうだ。知ってるほうがおかしい。」
俺は、納得するかのように何度かうなずいた。
「シン危ない」
何気ない口調で輝が言った。
「へ? 何が?」
べちゃ
足元でいやな音がした。恐る恐る足元に目を向けてみると、そこには犬の糞があった。
「うわぁさいあ・・・・・・」
ボコ
そんな音とともにまた俺の視界がブラックアウトしかけた。
「シン大丈夫か?」
「頭が痛い・・・・・・たっく、何なんだよ次から次へと」
俺は、頭を抑えながら言った。
「一回目はバス停、二回目は落ちてきた植木鉢」
淡々と状況解説なんかしやがって、
「おいちょっと待て、二回目の時、輝お前はテンション上げて危ないとか言えないのか! そのせいで犬の糞のことかと錯覚して、死にかけただろーが」
「テンションを上げるなど面倒だ。それに植木鉢ぐらいでは死なん」
「いや死ぬと思うぞ。」
輝のなんでもないかの様な口調で俺は、何で怒っているのが馬鹿らしく思えてきてた。
「たとえ、死んだとしてもお前なら、世のため人のためになる」
「いや、そういわれると照れるなー。って、誉められてないし!」
たっく、ノリツッコミをやらせやがって
「シン危ない!」
輝の言葉に反応して、あたりを見回してみたが何も危険なものはなかった。
「今度は何が危ないんだ? 別に危険なものなんてないぞ」
「ああ危険なものはない」
輝の声は真剣だった気がする・・・・・・輝のやろういつも抑揚がないから感情が掴みにくいんだよな
「じゃあなんだよ?」
「危険人物だ。」
「まさか・・・・・・・・・・・・星野・・・・・・・・・・・・」
血の気が引いていくのが自分でもわかった。
「残念ながらそうだ。しかも姉のほうだ」
輝の顔は、真っ青になっていた。
「輝、どうする?」
「アイ○ル。」
「はぁ?って、くだらないこと言ってる場合じゃないぞ。さっさと逃げるぞ」
そう言って俺は、走り出した。
「あっ! おい、馬鹿そっちから来てるんだぞ」
「なにーそれを早く言えー!」
止まろうとしたが、慣性の法則にしたがって俺はなかなか、止まれなかった。そのために
ドン
「きゃ」
誰かにぶつかり、俺はよろけたが俺がぶつかった相手は、どうやら転んでるようだった。
「すみません余所見をしていたものですから。大丈夫ですか?」
そう言って、手をだしたが、相手の声を聞いて体が動かなくなってしまった
「いたた。何なのよもう」
俺と輝は、もうその場から逃げ出せなくなってしまった。この場はもう天災美少女星野有紀の目の前だったからだ。
「二人そろってどこ行くの?」
透明感ある綺麗な声の有紀は、俺の幼馴染だがなぜか、俺は幼い時の記憶がない。何故だかはだいたい想像がつくが・・・・・・有紀は、綺麗なシルバーブロンドを肩辺りまで伸ばしていた。それが、本人の綺麗な顔立ちにマッチして、絶世の美女をという単語を連想させる。それが有紀だった。
外面上はとてもやさしいのだが、俺たちにだけ必ず天災などがふりかかる。しかもそのことに有紀はまったく気にしていない。どころか星野が仕組むこともしばしばあるくらいだ
俺と輝は顔を見合わせ覚悟を決めた。
「ラーメン屋に行くところだ」
「じゃあ私も行く。いいよね」
「構わないよな、輝」
「ああ、いいぜ」
輝は、冷や汗を流している。たぶん俺もだろうな
「やったー」
そんなに喜ぶことなのか、などと思いつつ二人の後について行く。

ラーメン屋

ラーメン屋に入ると当たり前だがラーメンのいい匂いが漂っていた。
俺たちは、カウンターに面した席に座った。
「いらっしゃい。何にします」
「え〜と俺は、チャーシュー」
「味噌ラーメン」
「水」
「はぁー? うわっ」
ドン
輝の発言を聞いて俺はおもわずイスから転げ落ちた。
イスに座りなおす時に店のおやじと目が合い、おもいっきりにらまれた。
何で俺がにらまれなきゃいけないんだよ。ふつー輝だろ。
「と激辛ラーメン」
「輝君、あんなの頼んで大丈夫なの?」
有紀が心底驚いていたが驚くのはこれからだと思うぞ。
「毎日食べてる」
「うそ! 味覚大丈夫? 腕のいい医者紹介しようか?」
ひどい言われようだな。内心苦笑しつつフォローを入れた
「大丈夫だろ。こいつはただの辛いもの好きだから」
「でもあのラーメンは・・・・・・」
有紀の言葉をさえぎり俺が
「知ってるよ。世界一辛いことくらい、それに食べて無事なのは誰もいないことも」
「それを毎日?」
「ああ、正確には、金に余裕があるときだけだが」
「おまちどう」
おやじが置いたラーメンの麺の量に俺たちと有紀でかなりの差があった。当然、有紀の方が多い
「輝、有紀と俺たちの量あきらかに、違うよな」
「そうかも知れんな」
「おやじなんで有紀と俺たちの量がこんなに違うんだよ?」
カウンター越しに文句をいったが返ってきた言葉は
「若造が何いってやがる! この俺がSSFCの会員と知っての文句か」
いきなり逆ギレかよ。まあいきなり切れるのがふつーだな。これからキレるぞって言ってからキレるやつなんていねーだろーしな。
「知らん。だいたいなんだそのSSFCというのは?」
「知らんのか!? 近頃の若いもんは。はぁ〜。嘆かわしい限りだな」
そんなに驚いた顔をするなよな。俺が馬鹿みたいじゃねーか。まあ聞いたのは輝だから俺が馬鹿に見られることはないけどな
「いいかよく聞け、SSFCとは、星野姉妹ファンクラブの略だ。どうだ恐れ入ったか。ははははははははっげっほげっほげっほ」
何で、星野姉妹でSSになるんだ? ふつう、HSだと思うが・・・・・・まあ細かいことはいいか
「あれだけ派手に笑えば当然むせるだろうな」
「そりゃそうだ」
「大丈夫ですか。はいお水です」
「すまねー有紀ちゃん、助かったよ」
「おい有紀」
「ん?」
「その水、ここにあったやつか」
そう言って俺は、ついさっき飲んだコップがあった場所を指差した。
「そうだよ」
「おい! 何でにっこり笑顔で答える。もしかしたらあのおやじと間接キスしたかもしれないんだぞ!」
ぶーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今の会話を聞いていたおやじが勢いよく飲んでいた水を俺に向かって吐きやがった。しかもなぜか、飲んだ水の量より吐いた水の量のほうが多かった。
「うわっぺっぺ。おい小僧、覚悟はできてんだろうな!」
「ちょっと待て今のは、どう考えても有紀が悪いだろう。こっちも被害者だ」
「問答無用!」
ヒュ
俺の頬をかすめて、包丁が飛んでいった。
「あの・・・・・・・・・ちょっと危なかったんですけど・・・・・・」
俺が控えめに言ったやつの答えが
ヒュ
飛んでくる包丁だった。
こんなところにいたら絶対殺される早いとこ逃げねーと
「有紀、輝、逃げるぞ」
そう言って横を見たら、輝と有紀がなかよくラーメンを食べていた。あたかも俺とおやじのやり取りなど最初から何事もなかったかのように・・・・・・
どしゃ
俺は、そんな二人を見ておもわず床に突っ伏した。そして頭におやじの投げた麺棒が直撃した。本日三回目のブラックアウト
たったったった。
ブラックアウトした意識の中でかすかに誰かの足音を聞いた気がする
ゴン
「きゃ」
ドス
今の頭を蹴られて腹に肘鉄を入れられた痛みで意識が戻った。かなり痛いが・・・・・・
「起こすならもっとやさしく起こしてくれよ」
「ごめんなさい〜」
そう言った女の子は、金の髪を両端で結って、ツインテールにして幼い外見をさらに増大させている有紀の妹の空だ。
「空ちゃん、なんでここに?」
「えっとぉ〜この前を通りかかったらおにいちゃん達が見えたからだよ〜」
「おにいちゃん? 有紀お前弟か兄いたのか?」
輝が頭にハテナマークを浮かべていた。
「いないよ、おにいちゃんってのはシンのこと」
「なんでそうなる?」
「う〜んとね。小さいころからよく遊んでいたからその名残でかな」
そのころの記憶は無いんだが・・・・・・
「わかったようなわからんような。まあいいか」
「俺たちは、もう食べ終わったけど空はどうする? 空が食べるんなら待ってるけど」
「う〜ん今日はいいや」
「じゃあ行くか」
「うん」
「おいちょっと待て! 俺は一口も食ってないぞ」
「それはお前が麺と一緒に伸びてるからだ。食べるのなら置いてゆく」
「あっ待て」
「早くしないとほんとにおいてちゃうぞ」
「だから今行・・・・・・」
俺の言葉をさえぎり輝が
「そんなやつ置いて行った方が俺たちに利益が出る」
そう言いながら輝たちは、ラーメン屋を出て行った。
「おい! 輝それどうゆう意味だよ」
「1600円になります」
「へ」
俺は思わず間抜けなことを言ってしまった・・・・・・まさか輝が言った事はこれの事か・・・・・・
「だから1650になります」
財布を取り出し金を取ろうとしたが、その動作を止めて聞き返した
「おいちょっと待て50円増えてるぞ」
「あら、気づいちゃいました?」
こら悪びれる様子もなくニッコリと微笑むな! 俺は呆れつつも1600円を支払い輝たちを追った。
少し走りやっと輝たちの姿を確認できる距離まで追いつきそこで不良のような外見のやつが
「そんなやつほっといてさ、俺たちと楽しいことしようぜ」
そんなふざけたことほざいてるのが聞こえたから、輝に追いつき状況を聞くことにした。
「輝どうした」
見ればわかる状況だが念のために聞いておいた。
「見ればわかるだろ。空たちがナンパされてるところだ」
「へーそう」
関心がないようにつぶやいた。
「有紀んでどうする? こいつらと一緒に楽しいことでもするのか?」
「いや、こんな不良じみた下賎な人達とは関りあう必要なんて無い」
「お姉ちゃん、いいすぎ〜」
「空、いいのよ。こうゆう頭がからっぽの人類の出来損ないの人達には、はっきりと断らないといけないの」
断る以前にけなしてるぞ、その発言は・・・・・・などと思っていたりする
「おいこの女ぁぁぁ人がせっかく下手に出てたらいい気に乗りやがって!」
「女に生まれたことを一生後悔させてやる」
他の不良からも野次が飛んできた。まあ当然だろうな
「じゃあ場所をかえるぞ」
そう言ったのは他でもない輝だった。不良たちは、顔を見合わせ何か納得したようにうなずくと俺たちを路地裏に案内もとい連行したのだった。

どこかの汚い路地裏

「さーてはじめようか」
そう言い、不良Aがいやらしい笑みを浮かべながら有紀たちに近づいていった。
こいつらは、気づいてないらしい俺たちがわざわざ路地裏に案内させた理由に
「ああ、さっさとはじめようぜ」
輝はそう言い、有紀に近づいていった不良Aに回し蹴りをくらわせた。
「やっぱこうなるのかよ。面倒だなー」
俺は、ぼやきつつ手前にいた不良う〜んそうだなCくらいに上段蹴りを叩き込んだ。
「こいつら・・・ぶ殺す・・・・・・」
あ〜あキレちゃったよ。不良Bあたりかな。しかも周りを見るとさっき俺たちが蹴りを極めたはずの不良AとBが起き上がってやがるし。
はぁ〜ドラクエだったら味方になるんだけどな〜。などとどうでもいいことを考えてたりする。
「頑丈だな」
輝がぼやいたのを俺はしかっりと聞いた。
「確かに、侮ってたかな」
「どうやらそのようらしいが、倒せなくはない」
「ああ・・・・・・」
不良たちが一斉に俺たちに向かって襲い掛かってきたが、そのほとんどに俺たちは、カウンターをくらわせた。
「くそ、こいつら強ぇー」
「おいこんなのがあったぜ」
そう言って、不良たぶんCが見せたのは、鉄パイプだった。しかも人数分ありそうだぞ
「覚悟しろよ。散々俺たちをコケにしてくれた落とし前はつけとかないとなぁー」
不良たちが乱雑に鉄パイプを振り回し襲い掛かってきた。
くそ避けきれない。そう判断した俺は、顔面を狙った鉄パイプの一撃をガードしてダメージを減らすしかなかった。そうなると一方的に殴られるしか道はない。どうやら輝も同じらしく並んで地面に倒れた。
「くそ。空を守れないのか」
どうやら輝もまだ意識が在るようだった。
「輝、あれを使う・・・・・・」
「だめだ。あれは、事後処理が面倒だ。」
「じゃあどうするんだよ!」
「おい! まだこいつら意識があるぜ」
くそ。どうやら俺たちの死にかけの密談を聞かれたらしい。
こいつは、どうゆう耳をしてやがるんだ。
「シン君、輝君大丈夫ですか?」
その声は、柳沢さん・・・・・・
「だれだてめぇ!」
「私は、柳沢 俊。以後お見知りおきを」
不良Aの問いに馬鹿丁寧に答えたのだった。
「こいつもやっちまえ!」
その号令とともに不良たちは、柳沢さんに襲い掛かったが、その攻撃すべてを舞いを踊るかのように鮮やかにかわして見せたのだった。そういえば、柳沢さんてたしか、『戦場の舞い手』などという異名があるって、聞いたことがあるけど・・・・・・今のがそうなのか
「どうします? お引取り願えるなら、だれも傷つけませんけど」
「うるせー」
「なめやがって」
などの答えが返ってきた。
当然だと思うが・・・・・・
「そうですか。しかたありませんね」
不良たちは、馬鹿の一つ覚えのようにまた一斉に襲い掛かったが、また柳沢さんは舞を踊るようにかわしていき今度は、不良たちの首筋に手とうを叩き込んでいった。それは、まさに一瞬の出来事だった。柳沢さんが舞ったその後には、伸びた不良たちの山があった。
「ふぅ。大丈夫ですか?」
「ええ、体じゅう痛みますけどなんとか」
「服が汚れたくらいなので平気です」
「へ」
俺は、耳を疑った。まさか殴られすぎてどこかおかしくなったのか。などと考えてると空ちゃんが
「輝さん、確か鉄パイプで殴られていませんでしたか?」
その一言で俺は確信した。俺は、おかしくなってはいないとゆうことに
「ああ。あれ、あれは鉄パイプがあたった瞬間体をずらして威力を受け流してたから」
「ってまさか、俺と一緒に倒れたのは、相手の隙をうかがうためか?」
「当然だ。それ以外にあるのか?」
「うっ」
まさかこの場で怪我したのって俺だけ。それよりも輝のやついつの間に、攻撃を受け流すなどとゆう漫画みたいな技を身につけやがった。っていか鉄パイプを受け流せるのか・・・・・・
「そんなことより、なぜ柳沢さんがこんな路地裏に」
「ああ、そのことですかSSFCから星野さんを助けてほしいと頼まれまして」
またでた・・・・・・いったいSSFCとはいったい・・・・・・ああ・・・・・・なんか地面が迫ってくる・・・・・・
「んっ? おっおい大丈夫か?」
「シンしっかりして」
「シン君!」
「おにいちゃん、大丈夫? どこか痛いの?」
輝達の声が聞こえたような気がする・・・・・・
そして、俺の視界は今度こそ本当にブラックアウトしていった。



第二章 や殺るかや殺られるかの入院生活!?

私立病院105号室

「う・・・・・・ここは・・・・・・」
ぼんやりとした白い天井が見えた。
「ここは・・・・・・・・・・・・」
「うわ! 生き返った。ゾンビだ」
輝は、目を覚ました俺に向かっていきなり失礼なことを言ってきやがった
「誰がゾンビだ」
「シン、お前を置いて他にはいない」
「はっきりと断言するなぁー」
俺はここがどこだかわからずに心の底から叫んでいた。
「病院内では、お静かにお願いします」
看護婦さんが口調こそ丁寧な注意だが、明らかな殺意が込められていたように感じたのは気のせいだろうか・・・・・・
気のせいとゆうことにしておこう。
「竜崎さん、青酸カリ12mg注射するので腕を出してください」
看護婦さんにそう言われ俺は腕を出そうとして固まった。
「今なんて言いました?」
恐る恐る聞いてみたが顔色一つ変えずに
「青酸カリ12mgですが、何か?」
そんなことをのたまってくれた
「そんなの注射されたら死にますって!」
「あら、知ってましたの。これの効果を」
「一般常識です。だから止めてください」
「あら、残念」
心底残念そうに、注射器をゴミ箱に破棄した。
ゴミ箱に捨てていいのか? 
「残念がらないで下さい!」
「輝も何とか言ってくれ」
「青酸カリは、後々の検査に引っかかるので別な薬品にした方がいいと思います」
「おい! 殺人を薦めるな!」
「別に殺人を薦めた訳ではない」
「じゃあ、なんだよ?」
「害虫駆除だ」
輝は輝で、人権を無視したことをのたまってくれた
「が、害虫駆除・・・・・・俺っていったい・・・・・・」
輝にとって俺は、害虫・・・・・・酷い・・・・・・
「やっほー☆ お見舞いにきたよ〜」
元気よくもとい騒がしく俺の病室に入ってきたのは、有紀だった。
「はい、これお見舞い」
そう言って有紀は、俺に紙袋に入った雑誌らしきものを渡した。
「さんきゅー。中身何?」
「えっと中身は、シンの大好きな電話帳と遺言書書くのに必要なもの一式」
「よくそんなの買えたな・・・・・・遺言書って何でだよ! ゆりの花より立ち悪いぞ」
電話帳ってどこで売ってんだ?
「え・・・・・・ごめん・・・・・・」
うるうるした目で見られると・・・・・・
「悪かったな」
「そうだすべて貴様が悪の元凶だ。だいたいあんな雑魚ごときに病院送りにされるお前が悪い」
「輝、俺の隣にいるのがその雑魚なんだけど・・・・・・」
「ん。そうなのか? 雑魚など識別できん」
隣の反応を一応無視しておこう
「そう言えば空は?」
「ん。ああ、空ならまだ学校だよ。まだ一時だし」
「そうか。って有紀学校はどうしたんだよ?」
「抜け出してきた」
「よくばれなかったな」
「うん。堂々と帰ったから」
余計ばれると思うぞ・・・・・・どうせSSFCの手助けがあったんだろうな
ピンポンパンポーン
「竜崎さん、検査の時間になりましたので、こちらに来てください」
そうゆうアナウンスがあった。
こちに来てくださいって・・・・・・場所わかんねーから行けないよ。
「シン何の検査受けるんだ?」
「えっとたしか脳とか言ってたな。これだ問題なければ退院できるはずだ」
「じゃあしばらく退院できないな」
「なんでだよ!」
「お前は、頭が悪い。よって検査に引っかかる」
「そんなことはない」
「しつれいしまーす。」
あたりを見ながら
「えっと。これが患者ナンバー105の竜崎さんですね」
「ええ、これが竜崎です」
看護婦さんなんか俺のこと物として見てる気がする
「じゃあお借りしてきますね」
そう言って俺の襟をつかみ引きずっていった。
やっぱり物扱いだ。ちくしょー人権無視しやがって
ん? あの電灯落ちそうだな。などど考えていたら本当に
ドム
俺の腹に当たって鈍い音を立てた
「あら、電灯が落ちましたね。あとで直してもらわないと」
「ふつー俺の心配をするもんだろ」
「・・・・・・・・・・・・」
シカトされた・・・・・・本当に看護婦なのか。こいつは
「着きましたわ」

検査室

そう言って扉の中に入って行くのはかまわないが俺を扉に挟むな!
「では、こちらに座ってしばらくお待ちください」
そう言ったのは、この部屋にいた看護婦さんで、俺を引きずってきた看護婦とは違う。
「これですか・・・・・・?」
「ええ、そうです」
看護婦さんが指差したのは、学校にある机とイスだった。
「なんでこんなものがここに・・・・・・」
当然の疑問を聞いてみたが返ってきた答えは
「検査のためです」
こんな答えが返ってきた
「じゃあ。始めようか」
医者らしき人が入ってきて、そう言った。手には書類らしきものを持っている
俺が医者らしき人と思ったのは、白衣に血痕のような痕がついていたからだ。あれは白衣だよな。たぶん・・・・・・なんか違う気もするけど・・・・・・白衣にしておこう。
この人いったい何をやっていたんだ・・・・・・はっきり言って怖い・・・・・・
「何時までも立ってないで、机に座って」
「えっああ。すいません」
医者らしき人に促されて、俺はイスに座った。
「時間は五十分だから、それでは始め」
「あの始めって何を始めるんですか?」
「ん? ああ、ごめん問題用紙を渡してなかったね」
そう言って医者らしき人が俺の前に数枚の紙を置いた。
「気を取り直して、始め」
何これ・・・・・・学力テスト・・・・・・なんで・・・・・・まあいいか・・・・・・とりあえずやろう・・・・・・
この人たちに突っ込んでも無意味だろうな〜
「え〜と次の数式をとけか」
ん? 何だよこの数式は・・・・・・難しすぎるぞ・・・・・・次の問題は、エーテルの化学式を書きなさいっか。これは、C2h5OC2H5っと次は・・・・・・その次は・・・・・・無理、問題の意味すらわからない・・・・・・って、なんで数学とか物理とか化学がごちゃ混ぜになってるんだよ! やりにくいだろうが!・・・・・・ギブアップ・・・・・・
あきらめ机に突っ伏していると
「時間です」
「早! もう五十分経ったの?」
「はい。暇なので時計をいじりました」
とんでもないことをする試験官だな。ん? その前に試験管じゃないか
「へ〜・・・・・・まあいいか・・・・・・時間あってもできそうになかったし」
「病室に戻ってください。検査の結果は、後日報告しますので」
「え?・・・・・・これが検査だったの?」
こんなので何が解るんだよ! という言葉を何とか飲み込んだ
「そうです」

105号室

「馬鹿がきた」
「ば・・・・・・シンお帰りなさい」
「有紀、今俺のこと馬鹿って呼ぼうとしなかったか?」
問い詰めてみたら
「仕方ないじゃない。テストで10点もいってないんだから、それなのに馬鹿って呼ぶななんて、ひどすぎるよ」
「す・・・・・・すまない・・・・・・」
有紀のすごい剣幕におされ支離死滅な理屈を認めてしまった。
なぜ、俺が謝らねばならない。まあいつもの事か
「なんで二人がテストの結果知っんだよ?」
「結果を渡されたから」
「それ以外にあるのか?」
「それもそうだが・・・・・・終わったのついさっきさぞ」
「今、結果が届いた」
「あっそう・・・・・・」
もう言い返すのもしんどくなってきた・・・・・・
「馬鹿がうつるといけないから俺は、帰るぞ」
「じゃあ私も帰るね」
「ああ。じゃあな」
有紀は手を振りながら、病室を出て行った。

午前零時

「シンさん、起きてください。電話です」
看護婦の声とともに、体を揺すられ目が覚めた。
「ん・・・・・・いったいなんですか?」
まだ完全に目が覚めてないらしく、俺は夢の中をさまよっている感じがした
「大した事じゃないんですけど、ただAsの化合物を注射するだけですから」
「そうですか・・・・・・って、Asってヒ素の原子記号じゃないですか!」
看護婦の一言で完全に目が覚めた
「嘘ですよ。ただ寝ボケているようだったので、しっかりと目を覚ましてもらおうとしただけですから」
「じゃあその手にもっている注射器は何ですか?」
看護婦の手に握られていた注射器を見ながら聞いた
「これは・・・・・・ええと・・・・・・そう空気注射をするための・・・・・・」
今、必死に言い訳を考えましたって感じに説明してくれた
どっちみち注射されたら死ぬけど・・・・・・
「で、用事は何なんですか?」
呆れながらも俺の思考はしっかりとしているようだ
「そうでした。電話です」
そう言って、俺に受話器を手渡した。
「渡したので失礼しまーす」
そう言い残して、看護婦は出て行った。
「もしもし。誰ですかこんな夜中に電話してくるなんて」
「俺だ。輝だ。大変なことが起こった。空が拉致された。手伝ってほしい・・・・・・いや手伝え!」
なぬ!
「わかった。で、犯人の目星は?」
「犯人に発信機をつけたから、場所ならわかる。今から迎えにいくから、病院の入り口で待ってろ」
「わかった」
とは言ったもののどうやって抜け出そうかな。まあトイレにでも行くふりでもしてみるか
よし実行あるのみ

一分後

捕まってベッドに寝かされている
う〜ん。よしここは、堂々と退院を装ってみるか

三十秒後

また捕まった・・・・・・当たり前だよな・・・・・・真夜中に退院する人いる訳ないし・・・・・・我ながら馬鹿なことを考えたものだ
今度は・・・・・・強行突破だ。

27秒後

「またサンプル・・・・・・じゃなかった患者の竜崎さんが逃げ出したぞ」
「見つかるの早すぎ!」
「竜崎さん、ただちに止まりなさい。さもないと・・・・・・」
「止まれって、言われて止まる馬鹿がどこにいる!」
お決まりのセリフを怒鳴ったら
「私の目の前にいます」
そんな答えが返ってきた
「俺かよ!」
つい、ツッコンでしまった・・・・・・
看護婦から逃げながら、不毛な会話をしている。
「待てと・・・・・・・・・・・・言っているだろうがぁぁぁぁーーー」
突如俺を追いかけている看護婦さんがキレて、雄叫び? をあげた
カチ
「ん?」
俺は不信な音に反応して思わず止まってしまった。
ジュ
そんな音を立てて床が焦げた。
あのまま走っていたら、俺が焦げていたかもしれない・・・・・・
ここ、病院だよな・・・・・・なんでこんなトラップが・・・・・・
そんなことを考えながら、出口に向かってまた走り出した。
後ろを振り返ると、追いかけてきた看護婦がレーザーに足を打ち抜かれるところだった.
その後から、医者、看護婦、患者!? が追いかけてきた。
ヒュ ヒュ
俺の頬をかすって、鋭利な刃物・・・・・・メスが飛んでいった・・・・・・
「メスは投げナイフじゃないだろ!」
ヒュ ヒュ
振り返り文句をいったが、メス以外にも殺傷能力を秘めたものが飛んできた。
殺される・・・・・・本能がそう告げている気がした・・・・・・
「ん?」
目の前に、液体の入った試験管が二つ俺とほぼ同じ速度で飛んでいて、試験管同士がぶつかり、空中で薬品が混ざり、爆発した
「げほっげほ」
爆発そのものは、たいした事なかったが煙が目に染み、体中煤だらけになりつつ追ってを振り切り
そして、俺は迷った・・・・・・

「お! 薬品庫か。何か使えるものないかな」
薬品庫の中は、当然のように薬くさかった。
「なんで病院なのに硫酸や青酸カリがあるんだ? まあいいか。これだけいろんなのがあると爆薬作れるかも」
これとこれを三対二の割合で混ぜると確か液体火薬ができたはずだ。
そんなことを思い出しながら、薬品を調合していった。
「よし。これで完成だ」
壁でも壊して外にでてみるか
壁に液体火薬を少し垂らして火をつけた
ドン
重低音が響き渡り、壁に人一人が通れる位の穴があいた。
「ここ二階だったのか・・・・・・ずっと二階だと思ってった」
カン カン ちゅどーん
壁の破片が転がり落ちていき、地面についた瞬間、爆発した。
「まさか・・・・・・地雷? ・・・・・・いくらなんでも病院の中庭に地雷なんてあるわけないよな・・・・・・」
ためしに壁の破片をもうひとつ落としてみた
カン カン ちゅどーん
やっぱり爆発した。
「この病院どうなってんだよ?・・・・・・・・・・・・」
「こっちで、爆発音がしたぞ」
「やば・・・・・・・・・・・・」
声を聞いた瞬間、体が反射的に動きこの場から逃げ出していた。
廊下を一階の方に向かって走っていると非情口という文字が目に入ってきた。
これで、逃げ切れる。そう確信して非情口に入ったがそこはなんとマンガにでてくる様な拷問室だった。マンガには出てこないか・・・・・・
「何・・・・・・・・・・・・ここ?」
答えを期待した訳ではないが、奥のほうから答えが帰ったきた
「ここは、どこにでもある拷問室兼解剖室ですよ。ちゃんと非情口って書いてあったはずですが」
その声は、酷く冷たくまったく生を感じさせなかった。
なぜかその声を聞いたとき、背筋に悪寒が走ったが、
「そんなのあるかぁぁぁぁぁぁ」
思わず力の限り ツッコンでいた。
そして、また逃げ出し、やっと階段を見つけ降りようとしたら足を踏み外し、階段を転げ落ちた。そこは、玄関だった。
「やっと着いた・・・・・・」
そこに輝の姿は、あったが鬼だった。
「シン・・・・・・・・・・・・遅すぎる・・・・・・・・・・・・」
怒気を含んだ恐ろしいほどの低い声で、文句もとい呪いの言葉を言った。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
輝があまりにも恐ろしいので心の底からひれ伏し謝った。
ゴン
頭をグーで殴られた。
まあ日本刀で切られるよりましか。なぜか輝は日本刀を持っていた。なぜ?
「早くしろ! 置いて行くぞ」
輝は、黒のシャープなデザインのバイクに乗ってきた
「そのバイクどうしたんだよ? 免許持ってたっけ?」
輝が乗っているバイクに乗りながら聞いた
「これか? これは俺が造った。免許などない!」
「はあぁ?」
ありえない返答が返ってきたせいで間抜けな返事しかできなかった。最近の常識についていけない・・・・・・
「名は、ライトニングファング。最高時速962キロだ」
「早! ジェットエンジンでも付けてんのか?」
冗談で言ったが・・・・・・
「よくわかったな。ジェットエンジンを改造したやつが付いている」
「マジか・・・・・・・・・・・・」
返す言葉かない・・・・・・
「質問はこれで終わりか?」
「ああ。とりあえずは」
「そうか。じゃあしっかり捉まってろ。ライトニングファング出る!」
輝は、ライトニングファングを発進させた。
「ぎょえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ」
俺の長い悲鳴を響かせながら
ヘルメットがないから風がモロに顔にくるし、吹き飛ばされそうになるし、輝の運転は荒すぎる。それらのことが俺に悲鳴を上げさせていた。
「うるさい! バイクに乗ったくらいで悲鳴をあげるな!」
バイクを止めて輝が文句を言ってきた
「しかたないだろ! 風がモロに顔にくるんだから。もう一つヘルメットないのか?」
「わたすの忘れていた・・・・・・・・・・・・」
こいつは・・・・・・呆れて物が言えない・・・・・・
「さっさとかぶれ」
渡されたヘルメットをかぶった。
「行くぞ」
そう言いバイクをまた発進させた。
救急車が俺たちを追い抜き、窓から半身をだした救急救命士が、いきなり発砲してきた。
「なんなんだよ!」
「追ってだ。おそらく病院の手のものだろ」
「病院? どこの?」
「お前が入院していたところだ」
「ああ。なるほど」
輝の普通の人が聞いたら理解できない説明で納得してしまった。
「ふりおとすぞ!」
「・・・・・・?」
ふりおとすぞ? 普通振り落とされるなだと思うが・・・・・・俺ってお荷物? ・・・・・・なんか嫌な単語が出てきた・・・・・・気にしないでおこう
バイクのスピードを上げ、救急車を追い抜こうとしたが、救急車が進路を塞ぐ。
しかし、それは輝が仕掛けた誘いで、空いた右側から一気に追い抜いた。その後から救急車が執拗に追いすがる。
左に曲がれば、救急車も左に曲がる。狭い路地に入れば、救急車は路地を破壊しながらついて来る。
「ああ、もうしつこい! くらえ!」
どおぉぉぉぉぉぉぉん
「シン、何をやった?」
戦火を確認するために振り向いたら、道路が吹っ飛んでいた・・・・・・
マジかよ・・・・・・たったあれだけの量であそこまで爆発するとは・・・・・・
「液体火薬を救急車にぶつけた・・・・・・・・・・・・」
「そうか・・・・・・」
輝でさえ呆れて物が言えなくなってる・・・・・・やばいかも・・・・・・

町外れの廃屋

「何時まで乗ってるきだ? 着いたぞ」
輝に促されて、バイクを降りてあたりを見渡すとそこは、町から離れたところにある廃屋だった。
「ここに、空がいるのか?」
「ああ、間違いない。」
「で、どうやって助けるんだ?」
「策はない! 突入して敵を片端からや殺る」
輝の目がすわってる・・・・・・こりゃマジだな。刀持ってるし・・・・・・
「いくぞ!」
バアァァン
輝が勢いよく扉を開けたせいで、あたりに鈍い金属音が響き渡った
「だれだ!」
「くそっ見張りか」
目の前には、小銃を持った見張りがいた。
「一匹目!」
輝は低く押し殺したような声で言い、見張りを手にした日本刀で切った
血が飛び散らない?・・・・・・
「シン、見てみろ型紙だ。」
忌々しいように輝がつぶやいた
「まさかとは思うが、式神か」
「だがこれで、いくら殺しても罪にはならない」
今日の輝はいつにもまして冷酷な気が・・・・・・する・・・・・・
ん? まさか、こいつ式神じゃなくても殺す予定だったのか?
「こう暗いと何が在るか、わかんないな」
「お前も暗視ゴーグル使うか?」
輝は、いつの間にか暗視ゴーグルをかけていて、俺にも暗視ゴーグルを渡してた。
「使う。そんな便利なもんどこで手に入れたんだ?」
「造った」
そっけなくすごい事言いやがる
「つけたか?」
「ああ」
短い受け答えをした直後
「ぐああああああああああ目が目がああああああ」
いきなり、輝が懐中電灯を俺に向けてきやがった。そして
「やはり、自動光量調節機能は不完全か」
なんてことをつぶやきやがった。
俺は、実験台かああああ。くそいつか復讐してやる
「よし行くぞ」
「ああ」
くそ、目がチカチカする
人の気配がしないが、ほんとにここにいるのか? 在るのは見渡す限りは何もないな
「二匹目!」
また低く押し殺したような声で、輝が言った。そのせいで俺の思考は中断され現実に戻された。
「手ごたえがない・・・・・・・・・・・・やはり式神か」
「だとすると無限に出てくるわけか・・・・・・・・・・・・面倒だな」
「出てきたら切ればいい。ただそれだけのことだ」
「そうだな・・・・・・・・・・・・」
「いたぞ! こいつらだ!」
うわ! いっぱい出てきた・・・・・・
「輝、頼むぞ」
「すべて灰にしてやる」
輝が手にした刀を地面でこすると燃え上がり、刀身が炎を纏った
小銃を持った式神に突っ込んで行き手当たりしだい切り倒し始めた。
切られた式神は燃え、そして灰になっていった。すごいことに銃弾が飛び交っているにもかかわらず輝は、無傷だった・・・・・・
俺は、小銃を拾って、安全な位置に移動してから式神を狙撃していた。
そして、すべての式神をたおすのにかなりの時間がかかってしまった。
式神を倒し終えた後、輝が先に奥に進んでいき一つの扉の前で止まった
「シン、この部屋に空はいるはずだ」
俺は黙って頷いた。
輝が勢いよく扉をあけて、俺たちは突入した
「動くな手をあげろ!」
俺は、式神から奪った小銃を構えてお決まりの文句を叫んだ。
だが・・・・・・誰もいなかった・・・・・・
「賊が侵入したのは知っていたが、まさかこれほど間抜けだとはな!」
俺たちが入った扉のところに、いかにも悪役とゆうかんじの男がいた。
「ふっ、果たしてそうかな?貴様をおびき出すための罠だったとしたら?」
絶対嘘だ・・・・・・輝は素で間違えたんだ・・・・・・片端からや殺るって言ってたし
「そんなことをしてなんになる? どうせ間違いを誤魔化す為の虚言だろう」
おおッ! すごい合ってる
「貴様のような悪党が侵入者に対して何の警戒もしていないはずがない! 貴様のいた部屋には罠が在るのだろう?」
こっちもすごい! アドリブで失敗を誤魔化してる。それが嘘と感じさせない・・・・・・気がする・・・・・・
「まあいい。どうせ貴様らは、ここで死ぬのだからな」
「やってみろ!」
刀を構えて輝が言い放つ
「常闇に住まう物
       悪しき力を
           悪しき姿を
我が前に示せ」
「うるさい!」
輝が無造作に男に近づき、殴り倒した・・・・・・いや一人で袋叩きにしてる・・・・・・
「輝その辺にしておけよ。」
「死ぬまで殴る」
輝は、幼女愛好家、俗に言うロリコンだからな。やっぱ空さらわれたことに対して相当怒ってんなー
「死んだら、空の居場所が分からないだろ」
「ん? それもそうか。で空はどこにいる?」
「誰が教える・・・・・・」
輝が男の言葉をさえぎり、刀を振り上げた。その光景はまさに死刑執行の瞬間・・・・・・まさにはいらないか、今の輝は本気だし・・・・・・
「おっ、俺が悪かった。教えるから。頼む命だけは助けてくれ」
必死だなー。目に涙浮かべてるよ。大の男がだらしない
「で、空はどこにいる?」
「ここの正面の部屋です・・・・・・」
とりあえず男に案内させ部屋に行った。・・・・・・案内させる必要もないと思うが・・・・・・
「空、無事かー?」
さっきまでとは違い輝の声は穏やかになっていた
「修羅招来!」
「何! 貴様・・・・・・・・・・・・」
空間が歪み、異界の生物が姿をあらわした。それは長身の鬼。見るものすべてに恐怖を与える存在
「ふっははははははは。これで貴様らの最後だ」
「それは、どうかな?」
輝は不敵な笑みを浮かべていた。
「やれ!」
男が命じると鬼は、殴りかかってきた。
それを紙一重でかわした輝が逆に鬼の足を切りつける。そして返す刀でもう一太刀を浴びせ間合をとり反撃されないようにする。
輝が離れたのを見計らい小銃で鬼を撃つが、効いている様子はなく、ただ怒らせただけっだった。
鬼は、輝との間合を一瞬で詰め、輝に強力な蹴りをくらわせた
輝の体は吹っ飛び壁に激突した。
そして、俺も鬼に殴られ壁に激突し、意識が朦朧とした
「輝・・・・・・・・・・・・こいつ強いよ・・・・・・・・・・・・」
「そのくらい・・・・・・・・・・・・解っている・・・・・・・・・・・・だが倒せなくはない・・・・・・・・・・・・」
「次できめる・・・・・・・・・・・・」
「ああ・・・・・・・・・・・・体がもたないしな・・・・・・・・・・・・」
「解析・・・・・・・・・・・・どの位かかる?」
「30秒・・・・・・・・・・・・」
そう言い、俺はこの部屋の解析を始めた。
解析とは、錬金術を発動させるための呼び動作で、錬金術を発動させる空間を全て、原子レベルまで見極め、力の流れ、圧力、温度大気の流れを読み取る動作のこと。そして、読み取った情報を元にして、ある程度の物理法則を無視して、それ以上の物理法則に従った現象を引き起こすのが錬金術だった気がする・・・・・・理屈よりも先に体で覚えたからあいまいなんだよな。
すべてが原子で見え、大気の流れ、力の強さと向きそれらすべてが俺の意思に従い動き始めた。その間に
鬼に輝は突進していき、
「覇!!」
渾身の一撃で鬼の左腕を切り落とした。
「輝! 離れろ。」
俺が叫んだのと同時に輝は後方へと跳躍し、鬼との距離をとった。
「大気よ鎖となれ」
この空間の大気を圧縮させ鬼にまとわり付かせる
そして鬼の動きを完全に封じ込めた。
鬼は呪縛を断ち切ろうともがいているが、大気の鎖はびくともしない。
だいたい形がないものは崩れることも壊れることもないのだから当たり前だが
「大気よ凍れ」
俺は、鬼の周りの窒素を液化させ鬼を氷漬けにし、さらに温度を下げて粉砕した
「さあどうする? 貴様の自慢の鬼はあのとおり砕けたぜ」
俺のセリフ・・・・・・輝に盗られた・・・・・・
「ここは、ひとまず引かせてもらいますよ」
ポン
そんな音とともに、男が消え、ただお札が宙を舞っているだけだった。
「くそ逃げられたか! 今度あったら八つ裂きにしてやる!」
輝の顔がさっきの鬼より怖くなった・・・・・・
「とっところで空はどこだろうな?」
恐怖でセリフが棒読みになったのが自分でもわかった・・・・・・
「そうだ! 空はどこだ! 無事なんだろうな!」
そんなことを輝が俺の首をしめながら言った
「ぐっぐるじいぃ・・・・・・・・・・・・」
「輝くん、お兄ちゃんをいじめちゃだめだよ」
空に言われて、輝はしぶしぶ俺の首から手を離した
空の一言がなければ俺は今ごろ俺は、窒息死してたこも知れない・・・・・・空!?
「空ちゃん、どこにいたの? 大丈夫? けがはない?」
「大丈夫だよ。ただ、眠いだけだから」
空が眠いのは当たり前かまだ夜明けまえだしな
「そうか、ならいいが」
「空も見つかったことだし帰るとするか」
「そうだな。こんなところにいても何にもならないしな」
出口に向かいつつそんな話をしていた。
帰るに当たって何か重要なことを忘れている気がするが・・・・・・気のせいか?
俺がバイクの後部座席に乗ろうとしたら
「お前が乗ったら空ちゃんが、乗れなくなるだろ」
「は? 俺が乗って俺が空ちゃんを抱きかかえて・・・・・・・・・」
俺の言葉をさえぎり輝が
「そんな事をしたら、法に触れるからだめだ」
「無免許も法に触れるだろ!」
ツッコンだがあっさりと
「そんなささいな事を気にするな」
そんな答えが返ってきた。三人乗りとたいして変わんないと思うが・・・・・・ 
「じゃあ、シン先に帰ってるぞ」
そんなことを考えてる間に空を後部座席に乗せて、輝はバイクに乗り、帰ってしまった・・・・・・
辺りにバイクのエンジン音が虚しく響いていたがそれもだんだん聞こえなくなっていった
「ここから、家まで何キロあるんだよ?・・・・・・」
当然だが誰も答えてくれなかった・・・・・・・まあ答えが返ってきたらそれはそれで怖いけど・・・・・・



第三章 土竜狩りと騙されて・・・・・・

次の日 登校時間

俺は、朝から走っていた。別に体力づくりなどとゆう立派な理由ではなく、ただ遅刻しそうだから全力で走っている訳だが、どういう訳か俺の前を黒猫が二列横隊で横切り進路を塞いでいる
「はぁー通れない・・・・・・・・・・・・困ったな・・・・・・・・・・・・」
落ち着いてる場合じゃなかった! 遅刻しそうだったんだ! 仕方ない強引に通ろうるか
強引に通ることを決め、実行しようと一歩足を踏み出した瞬間
「みゃぁー♪」
かわいい鳴き声とは裏腹に猫一匹づつの鋭い爪の一撃が、頚動脈、目の下、頬、制服の裾に決まった。
うぅ、何なんだよ。この猫どもは、俺になんか恨みでも在るのか? 頚動脈もう少し深く入ってたら冗談抜きで、死んでたぞ。もしそうなったら猫に殺された世界初の高校生ってことでギネスに乗るかも。そしたら一躍有名人だぁ〜。でも馬鹿げたことでも有名になるだろうな・・・・・・いやだな・・・・・・
黒猫が不幸をもたらすってのは本当かもしれない。うんきっとそうだ。そうに違いない。歴史的な発見だ!・・・・・・何考えてんだろ・・・・・・アホらしい・・・・・・自分で考えといて自分のところをアホって・・・・・・自己嫌悪におちいるぞ。マジで・・・・・・回り道しよう・・・・・・黒猫にもに道を譲るって惨めだなぁ・・・・・・俺って自然界で一番格下なのかなぁ・・・・・・やだなぁー
「うっ・・・・・・・・・・・・」
今度は、カラスかよ・・・・・・
目の前には、ゴミを漁りながらたむろっている、カラスどもがいた
なんか、すごく睨まれている気がするんだけど・・・・・・気のせいだよな・・・・・・気のせいだといいな・・・・・・気のせいじゃない?・・・・・・
カラスが一斉に、飛び立ち俺めがけて突進してきた
「うわっ!」
俺は、驚き、しりもちをついたおかげでカラスの突進をよけることができた。そのまま四つん這いになりながらもカラスから離れ学校に向かって一目散に走った。俺の後を追いかけながらカラスどもが、俺を突いてくる。
最悪だー。ちくしょう。俺が何かしたかぁー!
「うわっ」
世界が一瞬で闇に包まれた。
まさか、また頭でもぶったか? そんなはずはないよな・・・・・・たぶん
闇に目が慣れてきて、辺りの様子がうっすらと見えるようになってきた。
通路の横を流れる汚い水・・・・・・下水か・・・・・・
どうやらマンホールに落ちたらしい。出るためのはしごが付いてない・・・・・・
ってことは、出口を探さないと出られない? 当たり前か・・・・・・
「はぁ〜。遅刻確定だな」
とりあえず学校があるほうに向かって出口を探すか

10分後

「迷った・・・・・・・・・・・・どうしよう・・・・・・・・・・・・」
下水道が枝分かれしまくっていて、落ちた穴さえわからなくなってしまった。
これじゃあRPGのダンジョンじゃねーか。しかもこんなに複雑なダンジョンなんてたぶんないぞ。
このまま一生出られなかったらどうしよう・・・・・・もしそうなったら、彼女もいないままだし、クリアしてないゲームだってあるし、彼女もいないし、あっこれさっき思ったやつだ・・・・・・こう考えてみると、どれもしょぼい未練だな〜。こんな未練で幽霊になって現世にとどまってたらどうしよう。
うわ、雰囲気が雰囲気なだけに、発想がマイナスになってきてるよ。いかんいかん。
まあ、いざとなったら錬金術で適当に出口を作ればいいし、そうと決まれば、元気出して出口を探そう!
一人で何盛り上がってんだろ・・・・・・馬鹿らしい・・・・・・
それにしても、一人で歩き回るのって、けっこう暇だな。せめて話し相手くらいは欲しいな
つってもこんなところに人なんかいる訳ないよな
ん?
「人がいたぁーーー」
しまった。つい思わず叫んでしまった・・・・・・
声が辺りにに反響して五月蝿い
何だあいつ、一人でぶつぶつ言ってやがる。気味悪いなー。俺が目撃した人は、ぶつぶつ言いながら歩いていた。
ごおぉぉぉぉぉぉぉ
あいつ、何をしたんだ? あいつの前の空間が歪んだかと思ったらいきなり、火柱が上がったぞ。まさか魔法使い? 錬金術師がいる訳だし。
「ん?」
もしかして、あいつ今、魔法を使ったってことに気づいてない? まさかな。まあ、そんなことはどうでもいいや、それより話し掛けるかどうかだよな。なんかやばい人って感じもしてきたし、いつ魔法の餌食になるか解らないし、どうしようかな
「こいつは何、人のところを見ながら変な顔をしてんだ・・・・・・・・・・・・ぶつぶつ」
しまった。向こうからコンタンクトをとってくるとは予想外だった・・・・・・
なんか汚された気がするが気のせいだろう。そういうことにしえておこう。
「あ・・・・・・・・・・・・え〜とここから出るにはどうすればいいんですか?」
「梯子を上る・・・・・・それ以外に方法なんかあるわけないだろう?・・・・・・ぶつぶつ」
そんなことは、百も承知なんだよ! 俺は出口を教えろって言ってんだよ!
内心の葛藤を何とか抑えたが眉間が痙攣してる。まあいい・・・・・・
「ですから、出口を聞いているんですけど」
できるだけ、怒りを内側に止めながら、丁寧に聞きなおした。我ながら、よくやったと思う
「あっそうなの。それだっだら早く言ってよ。ただじゃ、いや。・・・・・・・・・・・・ぶつぶつ」
こ、こいつは・・・・・・今この場でぶっ飛ばして無理やり聞きだしてやろうか!
「ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど、手伝ってくれたら教える・・・・・・ぶつぶつ」
そんくらいなら、いいか。無理やり聞き出すより楽そうだし
「わかったよ。何をすればいいんだ?」
「土竜退治。」
「はぁー? あの失礼ですけど腕のいい医者紹介しましょうか?」
やばい、まさか本当におかしい人だったとは・・・・・・あっ! 俺、腕のいい医者なんて知らないや。すぐ殺そうとする看護婦ならたくさん知ってるけど
「噂をすれば何とやらだな。やつがくるぞ」
何だこいついきなり凛々しくなったぞ! しかも口調も変わってるし・・・・・・
グガァァァァァァァァ
しかしそんな悠長なことを考えてる場合ではないと獣の咆哮ですぐに気づいた。
地の底から響いてくるような咆哮と揺れが下水道内に響いてきた
「気をつけろ! やつは、鈍重だが恐ろしく防御力が高い」
角から、こいつのいうやつがゆっくりと姿をあらわした。
やつは、巨大な亀にも似ていたが甲羅は何か鉱物の結晶でできているらしく鈍い光沢を放っていた。顎には太い牙が生えていた。
「土竜は土竜でもどりゅうかよ!」
たっく、だまされた。もぐらもどりゅうの一種だからな。こいつは嘘を言ってない・・・・・・
ちくしょー。錬金術用のアイテムとしては重宝するが手に入れるのは困難なんだよな
「やるぞ!」
そう言い、あいつは、どこから取り出したのか杖を構えて、土竜から距離をとった
「風影」
短いが力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
風が一直線に土竜に延び、土竜を包み込み鋭い刃とかした
「やった。なんだ俺が手伝うこともなかったな」
「いや、まだだ! これくらいではやつには、かすり傷一つ付かん」
まじかよ・・・・・・今の魔法かなりの威力に見えたが・・・・・・
って、知ってんならやるなよ。
「はぁ」
やりにくいな。錬金術師と魔法使い両方とも後方支援が主な職業だからな。さてどうするかな?
「お前は、何か特技はないのか?」
呪文の詠唱を中断して、俺に聞いてきた
「あるよ。錬金術だがな。竜相手じゃほとんど役に立たないぞ」
「それでもいいから、頼む!」
グガァ
土竜が、俺たちの会話を遮るかのように、突進してきた。
俺たちは左右に跳び、紙一重でかわした。
土竜は、そのまま勢いを殺せずに、壁にぶつかり壁を粉々に砕いた。
「おい! あんなのを喰らったら死ぬぞ! 何が鈍重だ! 十分過ぎるくらい動いてるぞ」
「竜族にしては、鈍重だ! またくるぞ!」
俺たちは、怒鳴るように会話を交わしていた。
そして、また土竜が突っ込んでくるのをかわす。
これじゃあ埒があかない! どうすればいいんだ。落ち着け俺。考えるんだ。何か重大なことを忘れている気がする。なんだ、何なんだ、思い出せ!
「あっ!」
今のなんか間抜けだったかも・・・・・・
「どうした! 何かあったのか!」
「空間の解析をするの忘れてた・・・・・・ごめん」
どうやら、土竜は、学習したらしく突進がかわされるとわかると、今度は俺の方を向き口を開き、ブレスをもとい岩石の飛礫を超高速で飛ばしてきた
「結風」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
風が結界のように張り巡らされ、岩石の飛礫をあさっての方に吹き飛ばしていく
「さんきゅー。助けてもらって言うのも何なんだがあまり大気を乱さないでもらえる? 解析に必要な時間が余計にかかるから」
「無理だ! これでも必要最小限の攻撃しかしていない!」
「迅雹」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
空気中の水分が凍り、氷の飛礫となって高速で土竜を襲うが、虚しくも砕けるだけだった。
だが、あいつは攻撃の手を緩めずに次々と呪文を唱えて、土竜の動きを封じている。
呪文の合間を縫って、この前、式神からぶんどった小銃で攻撃をしていみたが、たぶん土竜にとって蚊が刺したにも満たない威力だろうな。
「雷牙」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
電撃が土竜に当るまえに霧散して消え去った。
「なるほどねー。そうゆうことか。どうりで硬いわけだな」
・・・・・・もしかして、独り言を言ってたのか・・・・・・あいつみたいにぶつぶつと? 最悪だー
「おい! やつの弱点がわかったぞ! 炎だ! やつを火であぶれ!」
「土竜に火は効かん! それどころか数段強くするだけだぞ!」
攻撃の手を緩めずに怒鳴りあった
「そのくらい知ってる! だが厄介な土竜の防御がなくなるとしたらどうする?」
静かに余裕に満ちた声でたぶん俺は言ったと思う。たぶん
「本当だな? 信じるぞ。」
「炎灯」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
高温の炎が土竜を包み込む。
だが土竜は、その炎を身に纏っい口を開き燃える岩石の飛礫を飛ばしてきた
「結風」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
燃える岩石の飛礫が威力をかすかに落として、俺たちに降り注ぐ
あたりに血のにおいが充満して、痛みと不快感が同時に襲ってきた。
「雷の呪文もう一度使えるか?」
今の土竜の攻撃で、すでに二人ともぼろぼろの状態だった
「お安い御用だ」
「雷牙」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
電撃が土竜に当る前に消え、代わりに衝撃が土竜を襲い、土竜の硬い皮膚を砕いた
「もう一発!」
「雷牙」
力ある言葉が魔力を帯びて具現化する。
今度こそ雷が土竜に当り、土竜の生命を絶った。
「しかしなぜだ。あれほど攻撃が効かなかった土竜を火で攻撃したら、効かなかったのが嘘のように効いたのだ? それに雷牙がなぜ衝撃波になった? 教えてくれ」
まあ、もっともな疑問だな。よし答えておくか
「簡単なことだ。土竜の皮膚はほぼカーボンと鋼でできていた。だから火であぶり鋼を酸化させカーボンを形成してる炭素を酸素と反応させて二酸化炭素にして、気化させ空気中に放出し、もろくした。ただそれだけのことだよ。もう一つの質問のほうはあれだけの電気エネルギーを運動エネルギーにかえたらどうなるか試したくてね。知的好奇心だ。きっと」
「なるほどな。しかし錬金術とは便利なものだな」
「まあな。これでも色々と面倒なんだぜ」
「そうなのか? そうだ忘れる前にいっておこう、ここをまっすぐに行って右に曲がるとあるスイッチを押せば外に出れるぞ。それではいつの日かまた会おう」
「ああ、さんきゅーな。じゃあな」
二度と会いたくは無いな




第四章 学校襲撃!? そして危険人物の拉致?

教えられた通りに行き、スイッチを押した。すると
ウイィィィン
そんな音とともに理科室にあるような水道が降りてきた。
これに乗れって事なのか? とりあえず乗ってみよう
俺が乗った瞬間、水道が勢いよく、上昇し始めた・・・・・・いや打ち上げられた
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ」
悲鳴が聞こえないくらいの速さで上昇し続け、
ガコオォン
バキ・・・・・・ぱらぱら
いきなり止まり、おれの体は慣性の法則に従い、打ち上げられて天井にぶつかり、天井を人がたにへこませた・・・・・・
よく俺は生きてんな・・・・・・死ぬぞふつーは・・・・・・
こう考えると俺がふつーじゃないみたいに思えてくるから考えるのやめよ・・・・・・
「いててて。ここは、学校の理科室・・・・・・そうだ早く教室に行かないと遅刻になる!」
疑問より先に遅刻という言葉が頭に浮かぶのと行動するのはほぼ同時だった。
理科室の扉を開けると
ヒュ。ドス
また風を切る音と何かが、床に刺さる音が連続して聞こえてきた。足元を見るとつま先との間がゼロ距離で、バスターソードが床に刺さっていた。
「またかよ・・・・・・そんなことより教室に行かないと」
教室を目指して全速力で走った。

教室から出席を取る声が聞こえてきた。
やばい、そろそろ俺の名が呼ばれる!
「早川」
「はぁ〜い」
「輝」
「はい」
「シン・・・・・・シン、いないのか?」
「はい、ここにいます」
勢いよく扉を開け教室に滑り込み返事をした。そしてその場で固まった
「あっ! はははは・・・・・・・・・・・・失礼しました」
入る教室を間違えた・・・・・・馬鹿だ俺は・・・・・・
今度こそ間違いなく俺の教室に入って返事をした。
「ぎりぎりセーフ?」
「何言ってんだ? シン、今は、帰りのSHRだぞ。だれかシンに時計の読み方を教えてやってくれ」
「まじ?」
俺の気持なぞ無視して、
「きりーつ、れい」
誰かが、SHRを終わらせた
俺の苦労はいったい・・・・・・ってか帰りに出席を取るなよな!
俺は、力なくうなだれていた
「ん? 今が放課後って事は・・・・・・部活強制参加が始まる?」
最悪だー。
心の中で絶叫した
「いたぞ! 教室だ!」
やっぱり・・・・・・
疲れた体に鞭打ち、全速力でその場から逃げ出し、3階に向かった。
振り返るとさっきの奴が仲間を連れて、追いかけてきていた。
ところであいつは何部だろうか? 今の俺にも追いつけない運動部なんかいるのか? いたらかなりの怠け者か 運動音痴、略してうんち運痴だぞ。自分で言うのもなんだが・・・・・・
「ま、まてぇ〜」
おいおい、今にも死にそうだぞ。大丈夫かあいつら
角を曲がり、教室に入り、後ろの扉から出て追っ手をま撒いた。
どうしようかなぁ〜3階に逃げたのはいいけど、もう一階は完全に封鎖されてるだろうし
「はぁ〜」
ため息が知らぬ間に漏れた・・・・・・ため息は知らぬ間に漏れるものか。
何か逃げ切れるいい考えはないかな・・・・・・浮かばないな〜
何気なく窓の外を見ると女子はノーチェックで帰されていた
まあ、女子を疑うと後で痛い目に逢うからなー
「そうだ」
ほんとに、やるべきだろうか・・・・・・しかしやらないと帰れない・・・・・・恥をとるか苦痛をとるか、どちらか、とこう考えると答えは前者だな。今日は疲れたし
考えがまとまり俺は、追っ手から身を隠しつつ演劇部の部室に向かった。
部室に誰いないのを確認すると中に入りカギを閉め、あるものを探した
演劇部だからあると思うんだけど
探してたものは意外ととすぐに見つかった
それを本来の使い方どおりに使い、俺は帰る準備をして昇降口に向かう途中
どさ
「ん?」
音の聞こえた方を向いてみるとさっき俺に撒かれた二人組みが倒れた
まさか、今まで全速力で走って俺を探してたのか?
仕方ない保健室まで連れて行ってやるか。幸いここからなら近いし、見つかることはないだろうし。
保健室

足を一歩保健室に入れたら、
カチ
何かのスイッチが入ったような音が足元から聞こえてきた
恐る恐る足元を見てみるとそこには、地雷があった・・・・・・
これってたしか、足を上げたりすると作動するんだっけ・・・・・・
「どうしようかな・・・・・・・・・・・・」
そうだ! 気絶してるこいつらの足をスライドさせてそれと同時に俺の足もスライドさせると・・・・・・気絶してるこいつらが身代わりになってくれるはず
「これで爆発させずに逃げれる」
「そうはいかない。貴様はおとなしくここで俺に斬られ・・・・・・・・・・・・」
この声は・・・・・・まさか輝か・・・・・・やっぱり絶句したか・・・・・・
そりゃ、そうだよな・・・・・・こんな姿を見たら誰だって絶句するだろうし・・・・・・
「シン、貴様にそんな趣味があったなんて知らなかったぞ・・・・・・・・・・・・」
「いや・・・・・・・・・・・・趣味じゃないんだが・・・・・・・・・・・・」
「嘘をつけ、そんな格好趣味でもなければできないぞ!」
「・・・・・・・・・・・・」
輝の言うことのも一理在るかも。って認めてはだめだ。俺
「貴様は、どこで道を踏み外してそんな女装なんかに目覚めたんだ?」
今更理由を言っても信じてもらえないだろうな
「貴様の性根叩き直して元に戻してやる。いくぞ」
そう言い、抜刀して、じりじりと動きつつ間合を測っている
俺は、ため息をついてぼやいてから銃を構え輝に狙いを定めた
互いの殺気が徐々に膨れ上がり、頂点に達したとき俺たちは動いた
俺は威嚇射撃を五発適当に打ち込んだが、輝はそれが威嚇だと見抜いており、体に当りそうな弾だけを刀で防ぎ、俺との間合を一気に詰め刀を振り上げて俺を切ろうとする
ここまでは予想どおりの行動だ。振り下ろされる前に、右に体をずらし刀の腹の部分に銃弾をぶち込もうとしたが、輝は刀の軌道を変え、銃弾は虚しく壁に当る。輝の振るう刀は見事な弧を描き俺の足に狙いをつけている。そこに銃弾が壁に当たり跳弾となり、しつこく刀の腹に襲い掛かる。
そして、
バキイィィィィン
耳障りな金属音が聞こえ刀が折れるのと俺の足の肉を切り裂かれたのはほど同時だった。
「また、引き分けか、これで何戦目?」
俺たちは床に座った
「1658戦だ。これくらい覚えとけ。だが今回は俺の勝ちだぞ」
「なに言ってやがる、俺は刀を折り、足を斬られた。立派な痛み分けだろうが」
「本来ならそうだが、今回の勝敗のつけ方は、貴様を捕まえることにあるからな」
「・・・・・・・・・・・・」
そうだった・・・・・・
「今ごろ気づいたか、馬鹿」
周りを見てみると、しっかり囲まれてるし・・・・・・ってかどうやって気配を感じさせずにこれだけの人数で包囲できるんだ?
「まだ、逃げ道ならあるぜ?」
俺は、なんとなく不適に笑い言ってみた
周りの奴らに動揺が走るのが解る。それを確認してから、ベッドを踏み台にして通気候のふた?を蹴破り通気こうの中へとすばやい動作で身を躍らせた。
「待ちやがれ!」
俺を包囲していた奴らが慌てて俺の後を追おうとして、同時に何人も通気候を通ろうとして詰まってるのが見えた。
無視して進んでいたら
バキ
嫌な予感が・・・・・・
ズドン
そんな音とともに俺は重力に従い落ちた。
あたりを確認するとそこは女子更衣室だった
「ごめんなさい」
ここは、潔く謝るに限る。
周りを見てみるとなんと下着姿の女子たちが目を血走らせて入り口を塞ぐのが見えた
って見ちゃだめだろ、俺。よし目を閉じるぞ
眼を閉じる前に視界に凶器のようなものが見えた気がする・・・・・・
ドゴ
腹に鈍い衝撃が来たから、目をあけてみると、そこには下着姿のまま、みんな思い思いの武器を手に取り構えている姿があった
俺の命日、今日かも・・・・・・
釘バットが俺の背中に叩き込まれる。さらに鞭が、鎖が、鉄パイプが、ハンマーが、剣が、モーニングスターが、青竜刀が、銃のゲキテツを起こす音が、三節根のうなる音が、
「って、ちょっとまて、なんだよ後半のは、ハンマー辺りから殺傷力が上がりすぎだぞ! そんなの全部喰らったら、俺は肉片になるって、だからやめて・・・・・・・・・・・・お願いします・・・・・・・・・・・・」
ピシィィィ、じゃら、ボゴ、ドス、ザシュ、・・・・・・
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああああああ」
途中までしか、音が聞き取れなかった まあ、聞こえようが聞こえまいが痛いことには変わりないか・・・・・・
心身ともにぼろぼろになったあたりでやっと私刑から解放された。死刑だったかも・・・・・・
今、女装してるから、堂々と出れば無傷で出られた気がする
俺ってほんとに人だよな? こんなになっても生きてるなんて、たぶん医者に見せたら驚かれるだろうな・・・・・・それにしても、容赦なかったなぁ〜
ドゴォォォン
「何だ?」
今の音は爆発音、馴染み深い音だが何故? 
「ここは学校だぞ!」
 今の言葉には元ネタがありそうだが考えないでおこう。自然に出てきた言葉だし。馬鹿なことを考えてないで、爆発のことを考えないとな・・・・・・考えても仕方ない! 考えるにしても情報が少なすぎる。ならば音のした方に行き、情報を集める。
考えがまとまるとすぐに実行に移すべく、校舎内を走り音のした方を目指して走った
見慣れない教師がこっちに向かって走ってくる
いやあれは教師じゃない! そう判断した瞬間に俺は反射的に壁の影に身を隠していた。身を隠したのと同時に、さっきまで走っていた通路に銃弾が当たり弾けた。
「また、厄介事か・・・・・・・・・・・・やられっぱなしよりは、やり返すべきだな」
誰に言うでもなく一人声に出して、考えを確認した
解析しておくか
すべてが原子で見え、大気の流れ、力の強さと向きそれらすべてが俺の意思に従い動き始めた。
よし、後はさっきの偽教師をぶっ飛ばすか
解析を終えているために今、偽教師がどこにいるかなど手を取るようにわかる
二発の銃弾は壁にあたり跳弾となって偽教師の両腕を打ち抜き銃を落とさせた。
しかし、こいつらはテロリストか? 銃器も持ってるし。まあいい、かたっぱしから戦闘不能にしていけばいずれわかるはず
発射形式をフルオートにしてっと
正面からくるテロリスト? に掃射を浴びせ、抵抗させずに無力化する
でもこれって、無抵抗の人を無力化するのとあんな変わらない気もするけど・・・・・・まあよしとしよう。どっかの魔道士も『悪人には人権がない』って言ってたし。そうと判れば遠慮なく無力化しよう♪
なんかハッピートリガー銃乱射狂化してきた気がする
「ん? こいつ等もしかして、式神? どうりで死体がないわけだ」
この前の奴じゃないだろうな・・・・・・一瞬嫌な考えが頭をよぎるが、振り払う。
『馬鹿かお前は!』
「うるさい!誰が馬鹿だ誰が! って着メロか」
恥ずかしくかったからあたりを確認。よし式神がいるだけで異常なし、誰もいない。って、
「式神の分際で俺を笑うんじゃねぇー!」
死にやがれ! 今のは冥土の土産にくれてやるから、あの世まで持ってきやがれ! 
銃弾の雨を浴びせた結果、型紙すらも残らなかった
式神に笑われた・・・・・・だがこれで今のことを知ってる奴は、誰一人としていなくなった訳だそうだ、着信あったんだ。忘れるところだった
「もしもし」
「ラーメン二つに、カツ丼四つ、あと最高級の寿司五人前、三番地の田中までよろしく」

間違い電話。しかも一方的に話して一方的に切りやがった・・・・・・やろー確か最高級の寿司って言ってたな、今に見てろよ
俺は、こんなときに間違い電話をかけてきた奴に復讐・・・・・・もとい神の鉄槌を下すべくあるところに電話をかけた
「もしもし、こちら竜王寿司です。出前ですか?」
「ええ、三丁目の田中ですけど最高級の寿司を五人前お願いします」
「最高級だと一人前50万しますけど大丈夫ですか?」
「問題ありません」
「判りました。すぐにお持ちします」

これでよし、後はこっちの問題をかたづけるだけか

ここが音の発信源か、って
「輝なんでここに?」
輝は、一人のテロリストの一味だと思われる男と対峙していた。
「やはり、貴様は馬鹿だ。これほどの爆発があったんだ野次馬根性を見せないでどうする」
「そんな事言われても・・・・・・・・・・・・」
野次馬で俺より先に来られるのかよ・・・・・・式神だっていただろ・・・・・・
「そんなことより、貴様! 先日あれだけ痛い目を見てよく懲りずにきたな」
「輝、こいつだっけ、この前俺らがぼこったのって、何か顔が違う気がするけど」
「こいつだ! 間違いない! 俺の死刑囚リストに載ってる顔と同じだ」
死刑囚リストぉ? こりゃまた物騒なものを作ったな
「ええ、ただのリターンマッチを兼ねた仕事ですよ。それよりお嬢さん、ここは危ないから教室に行ってた方が身のためですよ」
へ〜こいつ、女、子供には危害を加えないタイプか・・・・・・俺、女の子として見られてる? 女子の制服着てるから?
「私刑執行」
「死刑執行」
俺と輝の声がハモった。ちなみに俺が言ったのは、私刑執行の方
そして、輝の目が据わり
刀を上段で構え間合を測り、一気に斬りかかった。その斬劇を身を左にずらして、かわし輝の腹部にお札を張り付け、後ろに大きく跳躍しながら
「火炎符」
そう唱えるとお札が燃え輝をひだるま火達磨にした
「水よ結束せよ」
それを見て俺はとっさ、に空気中の水分を集め輝の炎を消したが、輝の制服はあちこちが焼け焦げていた。
「お嬢さん、邪魔をしないでいただきたい。そうでないとあなたにも危害が及びますよ?」
こいつやっぱし、俺を女子として見てやがる
「俺、男だよ? まあ確かに訳ありで女子の制服着てるけど・・・・・・・・・・・・」
「じょ、女装趣味?」
「なんで、そういうほうに考える?」
表情をひきつらせやがって、俺だって好きでこんなかっこうしてんじゃねーんだよ。ってか何で親切に俺が男だって教えてんだろ?
「当然の結論かと。お嬢さん」
また、女呼ばわりされた・・・・・・
「うるさい!」
俺は感情に任せて、空気中の水分を弾丸のようにして放った
「まだまだですね! そんなの当たりませんよ?」
やろう、難無くかわしやがって、しかもむかつく!
「水とはこう使うものです。すいれんごく水鎌極」
お札から水が迸り鎌のようになり、勢い良く輝を目掛けて高速で飛んだ
「ふん」
輝は鼻で笑い、無造作に振った燃える刀で水の鎌を蒸発させた
この前より、燃える刀の熱量が上がっている気がするけど・・・・・・改造でもしたか?
「たったこれだけの水を出したくらいでいい気になるなよ? これじゃあ、ただの水芸だ」
うわ! 容赦ない毒舌だなぁ。まあいつものことだけど
「あなたこそ、それだけの熱量を纏わせるのがやっとなんていいませんよね?」
「心配無用だ、こんな熱量無いに等しいからな、いくらでも上げられる!」
「そうですか? しかしそうは見えませんけどねぇ」
「愚かな」
「えい」
とりあえず俺は、こいつが輝と毒舌バトルに夢中になっている隙に、後頭部を小銃のグリップで殴り、気絶させた。
「マスターご主人様、連れて来ました。マスターご主人様?」
「痛い、離してよ」
現れたのは、機械的な印象を受ける女性とその女性に、腕を掴まれている少女――星野有紀だった・・・・・・何やってんだよあいつは! って言ったら殺されるな、まず間違いなく
俺たちは事態についていけずにただ呆然としている隙に
「マスターご主人様、退却します」
そう言って、機械的な印象を受ける女性は右脇に星野をかかえ、気絶している陽陰師の首に縄を付けてその縄を右手に持ち、左手に持った大型の――世界最口径のハンドガンで壁を壊して外へ逃げた。
「待ちやがれ! くそ! シン追うぞ」
「追うってどうやって? 相手は逃走用に車くらい用意してるはずだぞ」
「ライトニングファングがある」
「無免だろ、たしか・・・・・・」
「そうだがこの際、些細なことだ無視しても構わん。それにバイクくらい乗れる」
いやそうじゃなくて・・・・・・無免なのにバイクで通学するなよな・・・・・・

道路

予想通り、奴らは逃走用の車を用意していた
「待ちやがれ!」
輝の怒声は過ぎ行く風と共に流れ、俺の耳には届くが相手には届いている気配が無い、もしくはシカトしているか
今、俺たちは有紀をさらった奴らを追いかけているが、なかなか差が縮まらない
「シン、聞こえるか?」
「聞こえてるぞ。なんだ?」
「あの車を止めろ」
「無理。どうやって? 止められたらとっくにやってるよ」
「錬金術を使うなり、自動小銃で撃つなり方法ならいくらでもあるだろう?」
「無茶言うなって。まだ街中だし、昼間だぞ! こんなところで発砲したらどんな騒ぎになるか・・・・・・」
「大丈夫だ。ヘルメットで顔は見えない。だから、やれ!」
最後は命令かよ
「こうなりゃ、もうやけくそだ!」
自動小銃を奴らの車のタイヤにポイントし、トリガーを引いた
「くそ! 外れやがった!」
「しっかり狙え! このまぬけが!」
うう・・・・・・輝の叱咤激励? いや暴言を浴びながら、再び同じところを狙い、トリガーを引いた
「よし! なっ!?」
「どうした? 当たったんじゃないのか?」
「銃弾を銃弾で撃ち落しやがった・・・・・・・・・・・・人間のできる芸当じゃねぇ」
一体何もんだよ、あの女は・・・・・・窓から身を乗り出した不安定な状態で、世界最口径のハンドガンの片手撃ちするし、反動があるはずなのに、微動だにしないし、狙いは正確無比だし、だいたいあんな無茶な撃ちかたしたら肩の脱臼じゃ済まされないぞ
「ならフルオートで当たるまで撃てばいい。所詮は単発式のハンドガンだ幾ら威力があろうと連射などできないはずだ」
「OK! これでも喰らいやがれ!」
輝の指示どおりにフルオートで銃弾を撒き散らしたが、ハンドガンの弾切れまでは全て撃ち落し、弾が切れると内側から、車の屋根を切り落とし、それを盾として使い銃弾全てを防ぎきりやがった
化け物かよ! ちくしょう!
「輝、何とか追いつけないのか?」
「無理だ! 離されないだけで精一杯だ!」
「まじかよ」
モトクロスで国際A級を持ってる輝が離されないだけで精一杯だと? 向こうはF1のプロレーサーか? それとも全てを完璧にこなす超天才か?
「こうなったら、爆弾でも投げ込むか?」
「そんなことをしたら、後で星野に何されるかわからないぞ!」
「そういえば有紀も乗ってたんだっけ・・・・・・・・・・・・忘れてた・・・・・・・・・・・・あいつのことだから、爆発に巻き込まれても、煤まみれになるだけで済みそうだしな」
「恐ろしいことだがな」
「なあ、輝このままやつらのアジトまで着いて行くってのはどうだ? そうすれば奴らも止まるだろうし」
「他に打つ手が無いから、貴様の愚かな案にすがるしかないか」
なんだよ。その愚かな案ってのは? 心外だなぁ。まったく、八つ当たりしてやるー
「くたばれ! 屑野郎!」
怒声に銃声を重ねて、今度はタイヤではなく後部座席でまだのびている陰陽師を狙ったが、今度は振り向きもしないで銃弾を撃ち落しやがった。まあ。これは屋根が無くなったらかできるんだろうけど
「って乗ってるのは女とのびてる陰陽師と有紀だけ!?? たしかあの女、窓から身を乗り出したよな? どうやって車運転してたんだ?」
「そんなことは関係ないだろう! 幾ら考えてもそれは本人に聞くしかないだろうが! 無駄なことを考える暇があったら少しは足止めでもしろ!」
うう・・・・・・俺の考えが無駄扱いされた上に一蹴された・・・・・・なんかどうでもいいことだけど悔しい・・・・・・やっぱり八つ当たりしてやる
「いいかげんに当たりやがれ!」
俺はもう狙う事をやめてフルオートで、車の方に乱射するだけでやめた。どうせ全て撃ち落されるんだから
「あっ・・・・・・・・・・・・」
一般車両に当たった・・・・・・玉突き事故にまで発展しちゃってるよ・・・・・・どうしよ・・・・・・責任取れないし・・・・・・よし! こうなったらあいつ等のせいにしよう・・・・・・俺って邪道かも・・・・・・やだなぁー
「だから、足止めくらいしやがれ! 振り落とすぞ!」
「いや・・・・・・だって・・・・・・玉突き事故が・・・・・・」
「五月蝿い! それは貴様の責任だろう。自分で何とかしろ! だいたい、たかが玉突き事故を起こしたくらいでうろたえるな! 貴様は貴様のやるべきことに集中しろ!」
一気にまくしたれられて、反論できなかった。まあ輝の言ってることも間違ってはいないけど・・・・・・なんか聞き流したいセリフも含まれてた気がするけど・・・・・・
「わかったよ」
「わかれば、ん? 貴様がトロイせいで陰陽師が復活したではないか! この責任しっかりとってもらうぞ!」
「復活って輝、陰陽師は死んでなかったんだけど」
「なんだと! 貴様、仕留めてなかったのか? 詰が甘い! 甘すぎるぞ! だいたい、一撃で獲物を仕留めるのは暗殺者の基本だろうが! 基本もできないのか!」
「いや、俺、暗殺者じゃないしから、そこんとこよろしく」
「そのくらい知っている。ただボケただけだ・・・・・・・・・・・・恥ずかしいから、のってくれてもいいだろうが」
「ボケかよ・・・・・・・・・・・・」
まさかボケだったとは・・・・・・輝もボケるんだなぁ〜。なんかツッコミ役だと思ってたけど。それともツッコミ役もやっぱりボケるのかな?
「爆円符」
陰陽師が投げたお札が、ひらひらと風に流されて、反対車線の運悪く通った車に当たり、車を爆破した
うわー無関係な人を巻き込んでやがんの、悲惨だなーまあガラの悪い車だったからいいか
「おい! お前らしっかり当たりやがれ!」
ガキの理屈をあの陰陽師が言ってきたが、アホらしいから無視しておこう。うんそれがいい
「あたって欲しければ、しっかり狙いやがれこのノーコン野郎が!」
うう・・・・・・俺が無視しても輝が答えちゃったよ・・・・・・他人のふりができない・・・・・・
「輝、あんなのと知り合いって、思われたくないから話さないでくれ」
「かってに他人のふりでもしてろ」
「じゃあそうさせてもらう」
って輝と同じバイクに乗ってるから他人のふりできないし
「ん?」
「マスターご主人様、恥ずかしいから止めてください」
そう言って、機械的な印象を受ける女性は陰陽師の首に巻かれた縄を引っ張り首をしめて気絶させた・・・・・・こえぇ〜
「シン、運転を変われ! 追いかけるのもあきた」
「無茶言うな! 自慢じゃないが俺はバイクなんか運転したことないぞ!」
「なら、今覚えろ! 何事も経験だ」
「確かにそうだけど・・・・・・・・・・・・時と場合ってもんがあるだろ?」
「ああ、今がバイクの運転を覚えるときだ。頼んだぞ」
「え? あっおい!」
輝はいきなり跳躍し、隣を走っていた車の屋根に着地し、今度は着地した車の前を走っていた車の屋根に飛びうつり、奴らとの距離を縮めていった。
俺は、輝の行動を見ながら、必死にバイクを運転していた
なんだ自転車より簡単だ。そういえばアクセルどこ?
「輝ぁぁ、アクセルとブレーキどこだぁぁー」
輝のやろう今絶対こっち見たよな? それで何事もなかったように機械的な印象を受ける女性と対峙するってことは・・・・・・つまりシカトされた・・・・・・こうなりゃ自棄だ。自然に止まるのを待ってやる
「星野を返してもらおうか」
「それは、無理です。ここはお引取り下さい。」
「貴様の都合なんか、関係ない! 星野を返せ! 嫌なら力ずくで行くまでだが?」
「これは、私の都合ではなくマスターご主人様の都合です。それともう一つこういう場合は都合ではなく、意見の方が適切かと思われます」
「・・・・・・・・・・・・」
輝が次ぎの言葉を言えないでいる・・・・・・これは輝が間違いに気づいた証だ。すごいな、あの機械的な印象を受ける女性。敵ながらあっぱれだ。
「うるさーーーーーーい!!!」
輝は抜刀し、眼前に刀を構え、相手を威嚇する。
相手はそれには動じずに、銃を抜き放ち輝にポイントする
二人のにらみ合いが、永遠に続くかと思ったが、車が蛇行し始め、二人がバランスを崩したために中断された
そういえば、あの女が運転してたんだから、運転を放棄して輝と対峙したら当然ああ、なるよな
「そこのバイク、止まりなさーい!」
げっ! 警察かよ・・・・・・どうしよう・・・・・・止まり方がわからない・・・・・・まあとりあえず自転車と同じかな? どうせ、輝が星野を奪還してくるだろうし。
「えい」
どうやらそれがブレーキだったらしく、その場で、バイクが急停止をした。
その結果、すぐ後ろを走っていたパトカーが俺にぶつかりそうになり、慌てて進行方向を変えたから、制御を失いガードレールにぶつかり、ボンネットが潰れ、煙を噴出している。
中に乗ってた人、大丈夫かな・・・・・・お! 出てきた! 煤けてるけど目立った外傷がないから大丈夫だったんだろうな
「こら、けっほ、君、危ないじゃないか」
頼りなさそうな警官だなぁ
「何でですか? 指示どおりに止まりましたけど」
「確かに止まったけ・・・・・・普通は徐々にスピードを落としていくものなの」
「そうなんですか。以後、気をつけます」
「そうしなさい。本題に入るから、スピード違反ね、免許証出して」
やば! どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・・・・そうだ
「そんなことより、大変なんです! 星野が誘拐されたんです!」
「馬鹿なこといってないで、早く免許証だして。こっちだって暇じゃないんだから」
「本当なんです! 信じてください!」
「信じろって言われてもなぁ、この町には星野さんに手を出す愚かな奴なんていないし」
「この町の人じゃないんです! ついでにテロリストです」
「・・・・・・・・・・・・何ぃぃ! エロリストだとぉぉぉ! それを早く言いなさい!」
一部、微妙に違ってるけどまあいいか
そう言った後この警官は、無線でどこかと連絡をとっていた。どうせ警察だろうけど
「えらいことになった・・・・・・・・・・・・無事に解決しても我々の命はないかもしれん・・・・・・・・・・・・」
などと言いながら、この警官の顔がどんどん青くなっていった。
ご愁傷様です
「そうゆうワケだから、じゃあ!」
バイクを発進させた。青くなっている警官を高速道路の真ん中に置いて
あの警官、轢かれなければいいけど・・・・・・まあいいか


第五章 誘拐犯を誘拐した!?

□□□

「うっう〜ん。ここは?」
見たことのない部屋? どうして私はこんなところにいるんだろう?確か・・・・・・むかつく女が私のところに来て・・・・・・それから、私に当て身を喰らわせて・・・・・・私を抱えて学校の外に出て車に乗せられて・・・・・・そのあとどうしたんだっけ?・・・・・・わからない・・・・・・わかっているのは、私が拉致されたことと、私を拉致した奴らを徹底的に、精神的および肉体的にも滅殺して、見せしめにしておいたほうがいという事だけか。
「目がさめたかな?」
いきなり、神経を逆なでするようなむかつく声が聞こえた。
「だれ?」
とりあえず、滅殺するにあたって敵の油断はあ、った方がいいから私は、怯えたようなか細い声で聞いた。我ながら、惚れ惚れする演技力よね。
「知る必要はない。君はとある儀式の生け贄になってもらうのだからな。まあ残された日々を――次ぎの満月までの日々を楽しみたまえ」
言いたい事を言って声は聞こえなくなった。恐らく、館内放送でも使ったのだろう。そんなことはどうでもいいんだけどあいつには、痛覚を持って生まれてきたことを死ぬほど後悔させてやるわ。
まあ、あいつの言うことが本当だとしたら、三週間位の余裕があるってことよね。今、逃げ出したら、三週間も逃げ回らなきゃいけなくなるわね。まあ、いいわ。しっかりと準備をしてから逃げればいい訳だし。それにしても、準備をするにしてもすぐにできるから、やることがないと暇なのよね。
「誰か来ないかな〜来たらもれなく私の奴隷にしてあげるのに」
・・・・・・・・・来ないわね。しかたない、部屋でも調べてみるようかしら
コン コン
噂をすればなんとやらね。早速くるとは
「どうぞ」
「失礼します。お食事をお持ちしました。」
普通のボーイさんって感じね。下っ端かしら
「ありがとう。生け贄だから丁重に扱うの?」
「いえ、主からあなた様は、我々の計画にとって、極めて重要な位置にいるお方だから、くれぐれも粗相のないようにと申し付かりましたので」
とりあえず、カマかけてみたけど本当に下っ端ね。それも計画ことを何も知らされていないくらいの下っ端かぁ。これじゃあ、いい情報は期待できないわね
「そう。食べ終わったら呼ぶから、下がっていいわ」
「失礼します」
そう言って、出て行った
せっかくだから、食べるか
・・・・・・・・・なんか、コンビニ弁当を皿に丁寧に盛り付けただけって感じがするわね・・・・・・
もぐもぐ
味はコンビに弁当以下だし。最悪・・・・・・
憂さ晴らしについでに、暴れて脱出しやるわ!
さっきの計画はなし。面倒だし。どうせシンたちも動いてるだろうし、雑魚の始末は彼らにやらせれば良いか
私はイスを持ちドアの前までいって、振りかぶってから、
「ご馳走様でした。食べ終わったので、食器を下げてもらえます?」
さっき食事を持って来た下っ端を呼んだ。
コン コン
律儀にノックを二回それが合図になり振りかぶったイスをドアに思いっきり叩きつけ、ドアと一緒に下っ端をふっとばした。
「か・い・か・ん」
やっぱり、思いっきり何かを壊すのは、ストレス発散にいいわ
「なんだ!」
「ちっ! 他にも見張りがいたか」
近くの曲がり角から出てきたやつ、たぶん下っ端その2を蹴りで、壁に頭をたたき付けてやった。これで当分起きないわね。
「さてと、どっちに行こうかな?」
なんかこの場所、ホテルみたいな造りになっているから、奴らの住まいって感じね
まあ、適当にぶらつけば、その内変化があるでしょうけど
「お部屋にお戻りください!」
「戻りたいんだけど、道に迷ちゃってぇ帰り道が解からなくなったのー」
少し甘えたような声を出しただけで、すぐ戦闘態勢をとく。男って馬鹿な生き物よね
ボゴ
安心しきって近づいてきた下っ端の股間に蹴りを一発。当然のように声もなく地に倒れてもがいてる。
難儀ね・・・・・・自分がやっておいて言うセリフでもないか
それにしても無駄に広いわね。どっちが出口だかわかんないじゃない。次に会った下っ端を尋問でもして出口を聞き出そうかしら?
「いた・・・・・・」
「無駄なことは喋らなくて良いから私の質問に答えなさい」
幸運にも私を発見した、下っ端の首と急所を掴んで、命令した。
「答える義務はない」
顔面蒼白になりながら虚勢を張るのは別にいいんだけど、
「そう、なら潰すわよ?」
「・・・・・・・・・・・・女の子が言うセリフじゃないな・・・・・・・・・」
ぐしゃ
「おかまの出来上がりっと」
「本当にやりやがった・・・・・・・・・信じられん・・・・・・」
ラッキーカモが居た♪
すばやく間合を詰めるが、向こうは詰められた分だけ下がるが、壁に追い詰めた。
「覚悟はいいかしら?」
無言で首を横に激しく振っているけど、
「無言は肯定として受け取っていいのかしら?」
「い、いやだ・・・・・・助けてくれ・・・・・・」
「なら、出口を教えなさい。さもないと・・・・・・」
ここで、間を空けるのがポイントね。これで恐怖が増すはず 
「解かった。言う、言うから助けてくれお願いだ」
「解かったから早く言いなさい」
私は、聞いた通りの方向に一直線に向かっている。そう、文字道理一直線に壁を邪魔なものを壊しながら。
もう少しで一階への階段が見えてくるはずね

□□□
シンの自室兼研究室

「たっく、何でこんなややこしい事態になったんだよ」
あの後、こいつを捕らえたはいいが、輝があの女に捉まって、おまけに逃げられた
思い出しただけでも腹が立つ・・・・・・で仕方ないからいったん戻って、俺の自室兼研究室でこいつから、情報を引き出そうとしてる最中。当然こいつは身動き一つ取れない状態になってる
「それは、貴女が私を人質に取るからでしょう? 私を解放すればややこしくならずに済みますよ?」
こいつ、あくまでも俺を女装趣味の男としてみやがて!
「お前、自分が置かれている立場、判って言ってるのか?」
「ええ、わかってますよ。女装中の少年ちゃん」
「よほど、死にたいらしいな!」
「私を殺したら、あなたのお友達もとい、おホモだちは、助かりませんよ? それでもいいんですか?」
「あいつは、殺しても死なん! 一度本気で毒殺したことがあったが死ななかった」
まあ、最初の方のは無視しといてやろう。俺ってなんて心が広いんだろう
「・・・・・・・・・・・・」
絶句してるよ・・・・・・そりゃそうだよな・・・・・・高校生が友達を毒殺するなんて、ありえないしな・・・・・・でも事実なんだよな・・・・・・中学のときにあいつの給食にヒ素入れたことがあったが、ぴんぴんしてたし・・・・・・その後は・・・・・・思い出したくない・・・・・・
「はぁ〜まあいいや、最後に聞くけど、意見を変えるつもりはないんだな」
「ええ、今のところは」
「そうか。じゃあ水攻めの刑ね」
パチン
なんとなく指を鳴らしてから、錬金術で大気中の水分をこいつの顔に集め簡易式の水攻めを実行した。
一分経過
ばしゃあ
死なれても困るから、錬金術を解いた。
「ぜえ、ぜえ。」
「呼吸は、整ったか?」
「こんな事をしてただで済むと思うなよ!」
「そんだけ、減らず口が叩けるんなら、呼吸は整ったな。じゃあ水攻め行ってみようか」
「まて、いや、まってください。私が悪かったです。ですからもう勘弁してください」
「いや」
「そんな、がぼがっぼ」
「これで、懲りたか?」
「・・・・・・・・・・・・」
お! 口答えしなくなった。関心関心、これが捕虜のあるべき姿だよな
「そうそう、いい忘れてたけど、さっきの水トイレの水だから」
ちなみに、嘘だけど。
「ふざけんな! がぼがっぼ」
「なんか言った?」
「いえ、何でもありません・・・・・・」
「今度は、浄化前のトイレの水だから」
これも嘘。
「・・・・・・・・・」
ちっ反論してこなくなったか、学習しやがって。やることなくなったなぁ捕虜いじめて時間潰してたけど、向こうからの連絡ないしなぁ。暇だなぁ。こっちから連絡しようかな
ぷるるるるるる
「着た! 噂をすればなんとやらだな」
「もしもし」
「ラーメン三つに、カツ丼一つ、三丁目の山田まで」
今度は、山田か・・・・・・田中といい山田といい使い捨てキャラみたいな、名前しやがって・・・・・・すぐに忘れそうじゃねーか
「ふざけんじゃねー」
三丁目の山田め、後で必ず、間違い電話をかけた罪償って貰うからな
「おい、あの女と連絡をとる方法を教えろ」
「そんなのケイタイとかメールとか色々あるだろうが」
「じゃあ、すぐに番号かアドレスを教えろ」
「誰が教えてやるもんか」
バコ〜〜〜〜ン
うわ、いたそーやっぱ鉄扇でツッコンじゃだめだな。なんか変な揺れかたしてるし
「もう一度聞く、教えろ」
「頭の中で鐘がなってる。二日酔いだー」
「やば! 壊れたかも。まあいいか、壊れても命に別状はないし人質としての効果はあるだろうし」
「何て事をしやがる! 馬鹿になりかけただろうが!」
「壊れてなかったのか? 残念」
「こら! 心底残念がるな!」
「教えろ!」
「何度も言わせるな! 嫌だ」
う〜んなんか俺が悪役って立場になりつつあるのは気のせいだろうか? こいつの秘密をなんとしででも聞き出そうとしてるって、図がなりたってきてんだけど・・・・・・こうなりゃ自棄だ! 悪役に徹してやる
「じゃあ、自白材でも使うか」
俺は、薬品だなから、液体の入った試薬瓶と注射器を持って来て、こいつの目の前で自白材を注射器に入れ、一歩一歩ゆっくり近づいていった。
「ふん。そんな薬に屈すると思うなよ!」
「大丈夫だよ。これ正直者 ?を30000モルmolパー/リトッルlにまで濃縮してあるから」
ここまで、濃縮するのにかなり、苦労したんだよなー。たしかなんかの法則捻じ曲げた記憶あるし
「ちょとまてぇぇ! なんだそのくそ濃縮された薬品は! そんなの使われたら絶対副作用があるだろうが! 使われる身にもなって見やがれぇええええええええ!」
「副作用ならあるよ。たしかこれは・・・・・・クス・・・・・・使ってからのお楽しみということで」
「いやだーーーーやめてくれーーーー注射嫌いだーーーーー」
なんか最後の方、本音が出てた気がするんだけど
「わめくな! 女々しいぞ」
五月蝿いから、動脈辺りに注射した。すると目に涙を溜めてやがる・・・・・・気持悪い・・・・・・
「おいおい、たかが注射くらいで泣くなよ。ほら飴上げるから」
・・・・・・泣き止んだ・・・・・・たかが飴一つで、しかも炭酸味噌梅干味というわけの判らん味の飴で・・・・・・結果オーライってことでいいのか?

何もしないで数分が経過
 
「確認のために聞くが、お前の名前は?」
「辺見隆人」
どこにでもいそうな名前だな・・・・・・ってかこいつの名前知らないから、確認も何も無いか
「じゃあ辺見、お前と一緒にいたあの女の名前は? あの女は何者だ?」
「彼女は、アンドロイド。名前はtz‐frレイ」
アンドロイドだったのか、道理でめちゃくちゃ銃器の扱いがうまいと思った
「ってアンドロイドだと? もう実用化されているのか?」
たしか、まだ二足歩行が可能なロボットができたばかりのはずだが
「ええとある組織では、実用化段階までは開発が進んでいるそうです」
「どこの組織だ?」
「それまでは、わかりません」
「なぜ、有紀や空を誘拐した?」
「その組織に依頼されたからです。なんでも世界の命運を変える天使と悪魔を連れてこいと」
「後半の意味はなんだ?」
「知りません。ただ、渡されたリストに二人の名前が載っていましたので」
「そうか・・・・・・厄介なことになってるかもな。ここからが、本題だ。レイと連絡をとる方法を教えろ」
「レイと連絡をとるには、ケイタイを使えばとれます」
「ケイタイの番号を教えろ」
「09056984258です」
長いな・・・・・・
ぷるるるるるるるるる
「おわっと。誰だよびっくりするだろうが。もしもし」
「お前の友達は預かった。帰して欲しければ、現金で1000000円を用意しろ。」
「輝、ふざけてる場合か?」
「ばれたか・・・・・・あの女が、言ってたが俺は時間が立てば解放される」
「そうか・・・・・・」
「なんか残念がってないか?」
「全然(棒読み)、いつ頃解放されるんだ?」
「今から二週間後って言ってたぞ」
「二週間、それじゃあ遅すぎるな・・・・・・有紀に殺されかねない、何とか逃げ出せないのか?」
「いや、逃げるより人質交換した方が楽なんだが」
「じゃあそうするか。こいつの価値なくなったし」
「じゃあいつ頃、人質交換する?」
「明日の朝、マスターご主人様を持って一人で、大橋の下に来てください」
うわ! びっくりしたーいきなりレイに変わりやがって、心臓に悪いぞ
「わかった」
ツーツー
切りやがったな
「そうだ。まだ自白材の副作用の効果説明してなかったよな? これの効果は、嘘のつけない純粋な年齢まで精神がさかのぼるという、見てるほうにとってはくそおぞましい効果だ」

午前九時 大橋の下

「シン、遅すぎるぞ! 今何時だと思っているんだ?」
「ふあぁ〜何時って九時・・・・・・」
「寝るな!」
「え? あっごめん寝てた」
「そろそろ、取引を始めたいのですが、よろしいですか?」
「そうだな。そろそろ始めるか」
なんか、俺を差し置いて輝とレイで話が進んでいってる気が・・・・・・
「じゃあ、辺見を歩かせるから、そっちも輝を歩かせてくれ」
「そのやくたたずをやはり、持ち帰らないといけないんでしょうか?」
自分の主人をやくたたず扱い? なんか俺と似たようなやつだな。ちょっぴり同情するかも
「その必要はない。渡されたら、焼くなり、埋めるなりして処分すればいいだけだ」
「では、そうさせていただきます」
本当にそうするのか? 
「え? ぼく、うめられちゃうの?」
まだ、副作用が残っていたのか・・・・・・
「おえぇぇぇぇぇぇ。シンこいつ頭でもぶったのか? 見ていて、くそ気持悪いんだが」
「ああこれ? 自白材の副作用だが」
「シン、あれをこれに使ったのか?」
「・・・・・・うん」
「俺の精神的ダメージを考えろ! この馬鹿!」
「うわーん。無視されたぁー」
「というわけで、この辺りに精神的ダメージを撒き散らす害獣を引き渡すから、輝を引き渡してくれ。正直、この害獣から距離をおきたい」
「では、解放します」
そう言ってレイは輝の縄を解いた
「しーん」
お! ドラマなどでよくある感動の再開か? よし、輝に合わせよう。
「あきらー」
「ふざけんじゃね! 貴様は、俺を精神的に抹消するきか!」
めき
感動の再開かと思って、輝に合わせた俺が馬鹿だった・・・・・・
とび蹴りが顔に当たった・・・紛らわしいことを・・・・・・その前に男同士での感動の再開って・・・・・・やだな・・・・・・見たくもないし、やりたくもないな
「シン、星野を助けに行くぞ」
「そういや、忘れてた」
「馬鹿が! まあいい、一端、部屋に戻って準備をしてから行く、お前も準備をしろ。俺の準備ができ次第、お前の家に行く。それまでに終わらせておけ」
「わかった」

シンの自室兼研究室

「久しぶりに暴れるとするか」
そうだな・・・・・・液体炸薬と液体火薬と液体窒素とあとは・・・・・・ナトリウムと水と麻酔薬これだけあればいいか。
それらをリュックに、取り出しやすいように入れ背負い、後は、輝が来るのを待つだけとなった。
「シン、さっさと出て来い! 貴様がいるのはわかっているんだ!」
「やっと来たか」
って、おい、どうゆう呼び出し方だよ! 俺は、立てこもり犯か!
「さっさとこい! 出てこないなら家を壊してでも引きずり出すぞ! っていうか出てくるな。そして、俺に家を壊させろ」
「それはやめろ!」
窓から、輝に怒鳴ったが・・・・・・失敗だった・・・・・・
「シン早くしろ! そこから、飛び降りろ!」
「嫌だ! こんなところから、飛び降りたら怪我するだろうが!」
「貴様が怪我しようが、自殺しようが俺には関係ない」
「おいおい・・・・・・」
「さっさと、頭から飛び降りろ」
「だから、死ぬって」
「ふざけてないで、普通に玄関から出て来い!」
あのやろう! 自分からふざけ始めただろうが
そんな事を考えながら、玄関から出て行き、輝のバイクの後ろに乗った。

ホテル跡地

「ここか。で、どうやって進入する?」
「見張りがいないから、正面から行くぞ!」
輝は、そう言って刀に着火し、戦闘態勢に入った。俺も銃を正面で構えて、即座に銃撃ができる構えをとった。
「準備はできたか! 行くぞ!」
輝が、人に気を配っている・・・・・・やっぱり、俺のことを少しはパートナーとして期待してるのか? なんか、うれしいような、怖いような、微妙な感じだな
「馬鹿げた妄想してるとお前から、灰にするぞ」
「やめてくれ! その前になんで俺の考えがわかるんだよ?」
「やはり、貴様はくだらない妄想をしていたのか。どうせ、助け出した星野といいムードになって、最後までいくってところだろう?」
「あほ・・・・・・そんなことしたら俺が殺される」
「まあいい。さっさと済ませるぞ」
「そうするか」
俺たちは、正面から堂々と壁を壊して、もとい焼ききって侵入した。当然
「なんだお前たちは!」
見つかるよな・・・・・・あんな派手に侵入したら
「新たに雇われた用心棒だ! さっき怪しい奴がいたぞ。まあ俺と目を合わせたら逃げていったがな」
「そんな話など聞いていないが」
「まあ、そうだろうな、雇われたのがつい昨日だからな。情報が行っていないのかもな」
「それより、さっき怪しい奴を見かけたと言っただろう? 探して、捕まえなくていいのか?」
「そうだった! すまないがここを頼んだ! 俺は、そいつを捕まえてくる」
そう言って駆け出そうとした見張りを輝は後ろから、殴り倒した・・・・・・
「おい、おい、今のはちょっとひどいんじゃないのか?」
「そうか? 敵には情けをかける必要はない」
俺の言ったことに対して、そんな言葉が返ってきた
「そうか?」
「いや、もういいお前がそう言うんだったら・・・・・・」
悪人にも情けくらいはかけるべきだと思うがなぁ、まあ某小説のキャラの持論よりはましか・・・・・・? ましなのか?
「さっさと星野を探すぞ! 一秒の遅れが致命傷を増やすぞ!」
「そうだな」
輝の言った致命傷を増やすというのは、あながち嘘ではない。有紀は、友達までの友好関係を結んでいる奴らには、とおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉってもいい人を演じているが、親友以上の友好関係を結んでいる奴らには・・・・・・端数切捨てで三、四人位しかいないが・・・・・・本性を表して接してくるから、えらい被害を俺たちは被る結果になる。どの位かは、これを表現する言葉がないくらい悲惨な状況になる・・・・・・思い出したくもない・・・・・・
ジリリリリリリリリリリリリリリ
あたりに五月蝿いほどのサイレンが鳴り響いて、すぐに止まった。
「え〜我がホテルに賊が侵入したもよう。総員ただちに、迎撃に向かってください」
そんな、アナウンスが流れた。
「見つかるの早いなぁー」
「いや、あれだけ派手に侵入したんだ。これでは、遅いくらいだ」
「お前が、言うなー!」
とりあえず輝に心の底からツッコンでから、小銃を下に向けて構え、いつでも応戦できる構えをとった。輝もすでに抜刀している。
「い・・・・・・」
バン
正面にあるエレベーターから出てきた敵と思しき奴をとりあえず撃った。
そういえばここのつくりってホテルとほとんど変わってないんだよな。フロントが見張りの位置になってるし、ロビーまであるし、このぶんだと客室までありそうだな
「エレベーターで一端最上階まで行くぞ!」
「ああ、でも・・・・・・」
「でも、なんだ?」
「死体と一緒に乗るのは嫌だ」
「・・・・・・なら、降ろせ・・・・・・」
「それも、いや」
「俺を勝手に殺すなーーーーー」
突然、エレベーターの方から、叫び声?が聞こえた。どうやら、さっきまで話題になっていた死体のようだが・・・・・・って
「死体がしゃべった!?」
「いや、あいつは生きてたんだ」
「そ、そうか」
マジで焦ったぞ。
「そうだ。だからさっさと、止めを刺せ」
「俺に人殺しをしろと?」
「そう言ったつもりだが、解らなかったか?」
あっさりと肯定しやがって。殺したら俺が警察に捕まるだろうが
「先に気づいた、輝が止めを刺せば・・・・・・って既に刺してるし!」
俺が見たのは輝が、名前も知らない、やられキャラらしき奴の首をなんのためらいもなく切り落としているところだった。
まじかよ・・・・・・
「やはりな」
輝の言葉を遮り俺が
「何がだよ? 俺にもわかるように説明してくれ」
「知りたいか? ならば教えてやろう」
もったいぶりやがって、御託はいいから早く説明しろ! なんて言えないよな・・・・・・言ったら斬られそうだし
「奴は、式神だ。」
「よくわかったな、この式神は害獣のやつより人に近かったぞ」
「簡単だ。気の流れがおかしかったからな。それよりもこんな簡単なことくらい気づけ、馬鹿!」
「うるさいなぁ、俺は輝と違って、気の流れがわからないんだよ!」
「何? 馬鹿かと思っていたが、役立たずか、それとも無能か?」
「役立たず言うな」
後半は無視するとして
「なあ、輝考えたんだけどさ、放送室探さないか?」
「はあ? 頭がいかれたか? いや元からだから、ひどくなったのか?」
とりあえず、輝の戯言も無視するとして
「いや、だからさ有紀の性格のことだから、俺らがいるとわかれば俺らのところに来て、俺らを利用して、ひと暴れしそうだなーと」
「確かに、それも一つの手だな。ない知恵を絞って考えたのか? あの怪獣ならありえるな」
「あ・き・ら・君・・・・・・それはもしかして、私のこと?」
地獄よりも深いところにあるような悪意が込められているが、声自体は澄んだ水のような綺麗な声の主が言った。
この声の主はまさか・・・・・・有紀・・・・・・
「いや、これはシンがついさっき言ったことをそのまま、真似しただけだ」
「なっ!」
輝め、責任を―有紀の怒りの対象を俺に摩り替えるきか! やばいどうにかして話題を、怒りを別な対象に変えなければ
「有紀、それより早いとこ誘拐犯のアジトから逃げないか?」
「だめ、こいつらを精神的および肉体的にも滅殺しないと気が治まらないから、逃げるのはその後」
滅殺したら、別に逃げる必要ないと思うが・・・・・・ツッコメない・・・・・・ツッコンだら殺される
「滅殺したら、別に逃げる必要な・・・・・・・・・・・・」
ぐしゃ
輝の言葉を遮り、肉が潰れるような嫌な音が聞こえた。
大丈夫か輝?
「輝君、人の揚足を取らないの。女の子の場合は特にね」
怖い、やさしい口調だが、顔が笑ってない・・・・・・
「い、以後気おつけます」
冷や汗を垂らしながら、そう言うのがやっとって感じで輝がいった。
言えるだけでもすごいな。普通の奴らなら、死にかねないからなぁー
「そういうわけだから、二人ともしっかり私の手となり足となり奴隷となって頑張ってもらうから」
「どういうわけで、奴隷になる必要があるんだ?」
「う〜ん。そうねぇー。じゃあ、奴隷が嫌なら下僕ということでどう?」
「根本的には変わってないだろーが!」
ぐしゃ ばき
肉が潰れるような音と骨が折れるような音が、体の中から聞こえてきた。そのすぐ後に、身を切るような激痛が
「い、医者を・・・・・・・・・・・・」
何とか、口にできたのはそこまでだった。あとは、ただ激痛に苦しみ、床をのた打ち回るだけだった。

「もう一度言うわよ。私の奴隷になって協力しなさい。何か反論はある?」
「命が惜しいので反論はありませーん」
と輝と俺が口をそろえていったことは、当然の結果だった。あんな一撃をくらわされれば、誰もがしたがうと思うぞ。まさか、SSFCのやつらもあのあの一撃を・・・・・・いや、まさかな。考えすぎだろう
「それでいいのよ。じゃあ早速だけど、敵の親玉を探し出してきて」
「なぜ、俺たちが・・・・・・」
輝は、有紀の行動を見て、言葉を失った。
何も言わなくて、よかったー。本当によかったー
「今度は、バットでツッコンでみようかな」
笑顔で、バットを振りかぶるのはやめてくれ・・・・・・まあ輝ならどうなってもいいがって、どっからバットを持ってきたんだ? あれか、マンガなどでよくあるどこからともなくハリセンを取り出して殴るというやつかのバット番か、もしくは、撲殺バットか。どっちにしてもやだなー
ゴン
鈍い音が響き、輝は地にふした・・・・・・しかも目立った外傷がない・・・・・・どうゆう殴り方だよ!
「次は、シンの番ね」
「へ? なんで?」
思わず、まぬけにも聞き返してしまった。
「だって、輝君が俺たちって言っていたから」
「ちょ、ちょっと待て! それは、輝が言ったことで俺とは何の関係も・・・・・・・・・・・・」
俺の必死の弁解を無視して
「問答無用よ」
ゴン
有紀のこの一言と共に、バットの一撃を浴びて輝同様、俺も地にふした。

しばらくしてから

「頭が割れそうだ」
そう言って、何とか復活した俺に有紀が
「中途半端に頭が割れそうなら、いっそのこと割ってあげようか?」
なんて事をのたまってくれた。ちなみに輝はまだ復活していない
「やめてくれ。まだ死にたくない」
「そう。じゃあ私のために死ぬ気で働いてもらうわ」
さらっと俺に奴隷になれ的発言をしやがって・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「前者がいいの? それならそうと言ってくれれば」
そう言いながら、笑顔でバットを振りかぶってるし
「後者の方がいいです! 有紀のために働くなんて幸せの極みです。」
もう、こうなればやけくそだ!
たぶん、俺、泣いてるな
「・・・・・・・・・残念・・・・・・・・・」
残念がるなよ。なんて言ったら死ぬな。小学生でもわかるだろうな
「じゃあ、輝を起こしてさっさとここ潰そうぜ。明日、学校あるし」
「起こす必要はないわ。この場で名誉の死を遂げてもらうから」
辺りに敵はいないよな・・・・・・一瞬俺の脳裏に嫌な考えが浮かんだ
「有紀まさか、輝を・・・・・・」
「そうよ、たたき起こそうとしたら、打ち所が悪くて死んじゃうの」
やっぱり・・・・・・悪い考えほどよく当たるよ・・・・・・当たるなよな
「いや、それはどうかと・・・・・・」
「じゃあ、シンが輝の変わりになる? 私はそれでもいいけど」
「・・・・・・どうぞ、輝を起こしてください」
輝、すまん。俺は、お前のぶんまで生きてやるから、安らかに撲殺されてくれ
「それじゃあ、輝を起こすね」
む、無邪気な笑みだ・・・・・・悪魔でもあんなに楽しそうな表情はしないだろうな
有紀は、バットを掲げて、輝の頭に狙いを定めて、一気に振り下ろした。
バゴォオオン
ゆ、床が陥没してる・・・・・・なんつー破壊力だ・・・・・・人にできる破壊じゃねー・・・・・・
「はあ、はあ、危うくミンチになるところだった」
「輝、何で避けるの? 当たってくれないから私、床を殴って、手がしびれてるんだけど」
え、笑顔で恐ろしいまでの怒気を含んでる。
普通に鬼のような顔をされるより、何倍も怖い
「そう言われても、困るんだが」
「じゃあ、言わないから殴らせて」
「断る」
「輝、君に断る権利なんて無いのよ」
「俺にはある。無いのは、シンと悪人だけだ」
「何で、俺が出て来るんだよ! 俺にだって、それくらいあるはずだろう?」
「内閣で、決まったことだ。一個人の貴様が意見すべきではない」
「そうよ」
いつの間に、この二人は手を組んだんだ?
「そんなの何時、決まったんだよ?」
「たった今、俺の脳内、内閣がそう決めた」
「んなんこと知るかぁああああ」
「あの〜お取り込み中のところ悪いんですけど」
「そう思うなら、黙ってろ!」
輝に一括されて、話し掛けてきた奴は、おとなしく黙った。
にしても、なんかむかつく声だったな。
「はっ!この声は! 輝、シン、今の声の主を生きて、五体満足だったら、どんなことをしてもいいから、私の前に連れてきなさい! ほら、早く! 逃げちゃうわ」
ゴン
バットで、床を叩く音を合図に俺たちは、逃げ出した声の主へと走った。



第五章 立場逆転

「待ちやがれー」
輝は、お約束の文句を言いった。
これで、待つ奴がいたら警察はどんなに楽だろうか
って、止まったし・・・・・・ん?壁のレバーを引いて、
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
奥の通路から、ものすごい量の水が流れ込んできた。
「この音は、お約束の水流トラップかぁあああ」
「しまったぁあああ。わしまで巻き込まれたぁああああ」
アホだ。追っ手のはずの俺たちと並んで走ってやがる。でも俺たちも今は、捕まえることができないんだよなー。
カチ
足場が無くなった・・・・・・嫌な予感が
「今度は、落としあなかぁあああ」
三人仲良く、穴のそこへと強制ダイブした。
どす、どす
「ぎゃ、ぐぇ」
「うが」
声の主、俺、輝の順で立て一列に着地? した。輝の野郎は、さり気なく足から落ちてきたから、はからずとも俺は、ドロップキックを背中に喰らった。
それにしても、ここまでお約束が続くとはな
「さて、これからどうやって元の場所まで戻る?」
「輝、そんなことより、早く俺の上から降りろ」
「ん? シンいつの間に俺の足元にもぐりこんだんだ? いくら、根っからの奴隷根性が染み付いているといってもそこまですることはないだろう? それとも主人である俺に忠誠心を見せてくれてるのか?」
「アホ」
アホの戯言は、無視して自力で立ち上がった。それにしても立ち上がるだけでかなりの重労働だ。
「たしかに、ここから出ないと有紀に何されるかわかんないな」
「おい、貴様ここから出る方法を教えろ!」
そういえば、いたな知ってそうなのが一人俺の下に
「出口などない」
「そうか、言いにくいか、なら言い易いような条件を作ってやろう」
輝は、そう言って抜刀し、刀を突きつけた。
「出口が無いものは無いんだ。だいたい、知っていたらわしだけそこから逃げておる」
「それも、そうだな」
「なあ、輝このくらいの壁なら壊せるぞ」
「そうか、ならやれ下僕1号」
「げ、下僕一号・・・・・・・・・・・・」
なんか、最近の俺って下僕ばっかり・・・・・・
手ごろな位置の壁に液体炸薬の入った試験管を投げつけた。
ドオオオオオン
見事に爆発し、壁に穴が空き下水道へと繋がった。
「これで、こいつを有紀の所まで持っていけば殺されずにすむな」
「おい下僕、そのことなんだが・・・・・・」
「どうした?」
「あいつなら、穴が空いたらすぐに逃げたぞ」
「へーそうか。ってちょっとまてぇええええ、逃げただと? 追いかけるぞ」
バコ
痛い・・・・・・輝に鞘で殴られた・・・・・・なんで?
「いきなり、何しやがる!」
「主人である俺に命令するからだ」
「誰が、俺の主人だ? 言っておくが俺は、下僕じゃないぞ」
「さっさとしろ! 見失うぞ!」
あの野郎、肝心な部分を聞かずに行きやがって
「おい、下僕手分けして捜すぞ」
「ああ、わかった」
「よし、下僕と認めたな」
「って、ちょっとまてぇえええ、なんでそうなるんだよ? だいたい俺は認めてないぞ」
「わかったと言っただろうが、この期に及んでしらばくれるきか?」
「いや、そうじゃなくてだな・・・・・・」
「なら、なんなんだ?はっきりしろ!」
「俺が、わかったって言ったのは、二手に分かれて探すとゆう部分だけだ」
「そんなのは、知らん! 言葉は自分に都合が良いように解釈するものだろうが」
「いや、なんかあってもいるし間違ってもいるぞ」
「そんなことよりも、いつまで俺の後をついてくる気だ? 二手に分かれて探すと言ったはずだ」
「そう言われてもなぁ通路が一本道なんだから二手に分かれられないんだけど」
「なら、意地でも通路を分岐させろ」
「無茶言うな!」
「そうか? しかたない水中を探せ!」
「それも無理」
「けっ・・・・・・・・・・・・」
なんだ今の『けっ』は、なんかむかつく
タタタタタタタタ
下水道に足音が反響して聞こえてくる
「ん?」
「誰か来るぞ! 隠れてろ!」
そう言って、輝は俺を下水の中に沈めた。しかもさり気なく俺が出れないように刀を俺の頭の上に突きつけてるし・・・・・・息ができないんだけど・・・・・・
そろそろ、やばいかも・・・・・・ってゆうかもう無理、酸素が欲しい・・・・・・
「ぶっ、はっ、はあ、はあ」
「ん? どうした下僕? そんないきなり発情して?」
「あほ・・・・・・そんなんじゃない、はあ、はあ、俺を、はあ、殺すきか?」
「俺が、何かしたか? 俺はただ下僕が怪我をしないように身を隠してやっただけだが?」
「なら、隠し場所を考えろ! 酸素がないんだよ! 酸素が!」
「なんだ、そんなことか? 酸素くらい錬金術で何とかならなかったのか?」
「忘れてた・・・・」
「馬鹿とはさみは使いようって昔から言うが、あほは使えないな」
「うるさい!」
「マスターご主人様、我々は無視されているようです」
「そのくらいわかります・・・・・・・・・・・・」
「マスターご主人様、訂正を申し上げます。我々は無視されているのではなく忘れられています」
「・・・・・・・・・・・・」
「そうだ! 忘れていた! 誰かが近づいてきている!」
「やっと、思い出しましたか、しかし敵を前にして忘れるとは馬鹿にもほどがありますよ?」
「だれだ貴様は?」
「・・・・・・・・・・・・」
「輝、あいつだ、あの幼児退化現象の害獣だ」
「ああ、あの公害か?」
「たぶん・・・・・・おそらく・・・・・・きっと・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「乳幼児ならほっとけばいいな」
「そうだな、それよりもレイの方がやっかいだ」
「ここは一つ、奇襲に見せかけて逃げるか?」
「いや、それよりも我が下僕が囮になってくれるはずだ」
「俺は、嫌だぞ」
「下僕に拒否権は無いはずだが」
「拒否権が無いことを拒否する」
「何、馬鹿なことを言っている? そんな暇があるのなら、逃げる算段をつけろ」
そう言われてもなぁーこんな一本道でどうやったら逃げれるんだよ
「仕方ない、ここごと爆破するか?」
ざしゅ
ぴゅー
「ぎゃあぁー切られたー」
「うるさい! 真剣でツッコまれたくらいで喚くな」
「真剣でツッコムな! 痛いだろうが!」
いきなり、俺を軽く切りやがって、誰だってびびるぞ
「俺は、痛くないから別に構わないぞ」
「そりゃーなぁ」
「あの私たちを無視してません?」
「マスターご主人様、我々は忘れられています」
「また、ですか・・・・・・・・・・・・」
「隙ありー」
ザシュ
おいおい・・・・・・・・・忘れてるふりしての奇襲かよ・・・・・・・・・人の風上にも置けないな
「よし、残るは、レイだけだ。シン後は任せた」
「何でそうなるんだよ?」
「決まってるだろ? 俺が、公害の方を駆除したんだ、平等に下僕であるシンはレイを倒すこれが普通だろう?」
「そんな気もするけど、ちがう気もする」
「半分でもそう思うなら、やれ!」
「えー」
「星野にシンがサボってたと言うぞ」
「やめて、真偽のほうはどうでもいいとして、それだけは止めて。撲殺されるから」
「ふむ、面白そうな余興だな」
「よ、余興なのか?」
「余興だろう? おかしなことを聞く奴だ」
「止めてくれ・・・・・・俺は面白くないから・・・・・・」
「なら、実行決定だな」
「なぜ!?」
「俺が、見てみたいからだ」
「興味本位で俺を殺すなー」
「殺されはしないと思うぞ・・・・・・恐らく・・・・・・きっと・・・・・・いや死ぬな・・・・・・」
「おい!」
結局、最後は俺が死ぬことを認めやがった
ズガガガガガガガ
ツッコミと同時に自動小銃のトリガーを引く。自動小銃がうなり、銃弾がレイに当たらなかった・・・・・・
「全部撃ち落された・・・・・・」
え〜と確か、自動小銃って一秒間に7発位で連射するんじゃなかったけか? それを全部? ありえねー、
「私には、飛び道具の類は効かないようにプログラムされています」
「へーそう」(棒読み)
「う〜ん、じゃあ俺たちの仲間になって」
「了解しました。」
「へ、いいの?」
本当にいいのか? 何かの罠じゃないのか?
「命令とあれば」
まさか、マスター登録されてない? それとも故障? まあ何でもいいか
「じゃあ、仲間になって」
「了解しました」
ぱんぱかぱ〜ん。レイが仲間になった。って、何言ってんだ俺
「とりあえず、ここから出る方法を教えてくれ」
って知ってんのか?
「了解。この道をずっと奥に行けば出れます」
知ってたし!
「シン、レイ、さっさとむかつく野郎を追いかけて、星野の前に突き出すぞ」
「了解しました。」
「うわ、おい! いきなり何するんだよ!」
レイのやついきなりどうしたんだ? 俺を捕まえて
「むかつく奴を捕まえました」
「うむ、ご苦労」
「おい、なんだこの展開は・・・・・・まさか余興でもはじめる気じゃ・・・・・・」
いやだ。絶対に逃げてやる。くそ、身動き一つとれねー
「冗談はさておき、一端地上にもどるか」
「もどるのか? 手ぶらで帰ったら有紀に殺されるぞ?」
「そうだな。ただし、お前がな」
「おい!! なんで俺なんだよ?」
「あることないことを吹き込む」
「威張るなー!!」
まったく、輝の野郎は何を言い出すのかと思えば、俺を落とし入れる気だったのか・・・・・・
「というわけで戻るぞ」
そう言って、輝はさっさと行ってしまった。



第六章ヘリとバイクと人力車のカーチェイス

下水道を出て、まず目にしたのは逆光でよく見えないが、仁王立ちした影に見下ろされている否、見下されているとゆう状況だった。マンホールから這い出て、改めて見てみると有紀がいた・・・・・・
「えっと、これはあの。その・・・・・・だから・・・・・・」
「別に言い訳なんてしなくてもいいのよ?」
笑顔が返って恐怖心を駆り立てるのは気のせいだろうか?
「シンのせいであいつをとり逃した」
「輝、てめぇ何を言ってるんだ? とり逃したのは輝だろう?」
「いや、貴様だ!」
「二人とも喧嘩はそこまで。これからは、二人にお仕置きをする時間なの」
「有紀、じゃあ俺は帰るからシンで楽しんでくれ」
そう言い残して輝はライトニグファングに乗り、逃げ出そうとしたが、俺もしっかりと後部座席に乗り込んだ。

「貴様は降りて、足止めをしていろ!」
「嫌だ! 死ぬなら輝も道ずれにしてやる!」
「二人とも待ってぇ〜」
嫌な声が聞こえた気が・・・・・・きっと 幻聴だ。そうに違いない
「シン、やはり貴様が足止めをするべきだ」
「・・・・・・・・・・・・」
輝も聞いたってことは幻聴じゃないか・・・・・・現実って厳しいな・・・・・・
「待ちやがれ! 待ってくれ。頼む待ってくれ。お願いだ待ってくれ。後生だからスピードを緩めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
後ろから聞こえた変な声を確かめるべく俺は後ろを振りかえったら、とんでもない光景を目にした。人力車が追いかけてきてる・・・・・・引いている人は今にも死にそうな顔、いや泣き出しそうな顔して必死になって追いかけてきていた。当然、有紀が乗っていた。
「輝、一応聞いておくけど今何キロで走ってんの?」
「120キロだが。それがどうした?」
「いや、なんでもない・・・・・・・・・」
あの人、陸上に出たら大活躍だな。人の限界超えてるし・・・・・・筋肉繊維とか大丈夫なんだろうか? 走ってるってことは大丈夫なのか? それにしてもバイクと人力車のカーチェイスって微妙だよな。
「貴様ら、よくもこの私をコケにしてくれたなー!!!!」
「げっあいつ生きてやがった」
声が聞こえた方を振り返ると逸見がいた。しかも、ヘリに乗って。
どこでヘリなんか入手したんだ?
パラララララララララ
ヘリから軽快な音を響かせ、機関銃から銃弾が繰り出される。が、かすりもせずに道路に穴を空けていくだけだった。
へたくそだな・・・・・・機関銃でかすりもしないなんて・・・・・・一種の才能か?
「うおっ!」
「どうした輝?」
「後ろを見てみろ!」
輝に言われ、振り返ってみると有紀が道路標識を掴み、引き抜き、槍投げの要領で投げるところだった。
あれは、破壊力抜群だな・・・・・・
しかも、外れて道路に突き刺さっているのをまた、引き抜き、投げてくるから事実上、弾切れがない。
やっかいだー。って、俺は何もしなくて良いのか。ラッキー
「シン、星野の怒りの矛先を変える方法を考えろ! しゃくだがあの人力車を振り切れん」
バイクに追いすがる人力車っていったい・・・・・・
「このバイク、人力車も振り切れないんじゃ、ただの電動アシスト付き自転車だな」
どうだ? 輝に言ってやったぞ! 日ごろから散々言われ続けてきたが今日は言ってやったぞ!
「なら、降りろ。いや、落ちろ」
「よ、抑揚のない声で言われるとリアリティありまくるんだけど」
「さっさと落ちろ」
「断固拒否する」
「なら、星野の怒りの矛先を変えろ!」
「無理」
「そうか、やはり無能者はここで落ちて人力車に轢かれてろ!」
「もしそうなったら、『珍事件、人力車に轢かれた高校生』なんてニュースが流れそうだから止めてくれ」
「安心しろ、そんなことにはならないはずだ」
「何で言い切れるんだよ?」
「見出しは『珍事件、人力車に轢き殺された世界初の高校生! ギネスに載った!!』になるはずだからだ」
「はいはい・・・・・・」
意味的には変わってない気がするんだが
「む! やはり落ちろ」
いったい、何が輝の機嫌を損ねたんだ?今のいい加減な反応じゃないだろうし。まあいいか
「いや」
「なら、さっさと星野の怒りの矛先を変えろ!」
パララララララララララララララララ
「ああ、もう!うぜー! さっきから当りもしないのに銃弾撒き散らしやがって、考えがまとまらないだろうが! 撃ち落すぞ」
「なら、さっさと撃ち落せ。じゃまだからな」
「小銃じゃ無理」
「それなら大砲でも用意したらどうだ?」
「今の日本に大砲なんてあるわけないだろ! いや、博物館くらいならあるかも」
「よし、博物館に行くぞ!」
「でも、弾がないか」
「・・・・・・やはり貴様はここで降りろ」
「だから、降りたら死ぬからイヤだって、それとも友達を見殺しにするのか?」
「当然する。友のために命を投げ出すほど俺の心は広くない」
い、言い切りやがった。今度から友達は選んだ方が良いかも
「ならば、えい」
「何をする気だ。引っ付くな。気色悪い、俺にはそうゆう貴様みたいな趣味はないぞ! このゲイ野郎め」
「誰が、ゲイだ! 誰が!」
「貴様、以外にはいないだろうが。馬鹿が!」
「アホ、こうしていれば俺が落ちたらお前も道ずれにできるからしっかりと掴んでるんだよ」
「理由など、どうでもいいから離せ!」
「断る!」
「仕方ない。強硬手段だ」
「あの、そのごめんなさい。離すから抜刀した刀鞘に戻して・・・・・・」
「・・・・・・ちっ」
さり気なく舌打ちされた・・・・・・なんか嫌な気分
「で、これからどうするんだ? このままだと逃げ切れないぞ」
「そうだな。いっそのこと追ってどうしで潰しあってくれればその隙に逃げれるんだが」
「それは、無理だな。あの二人には何の接点もない」
「そうなんだよな・・・・・・いや、あるぞ!しかも確実に星野の怒りが俺達からそれる」
「よし、それでいこう!」
「任しとけ!有紀聞こえるか? 聞こえたらなんか合図を送ってくれ」
ドガ、バゴ
道路標識が2連続で跳んできて、地面に突き刺さった。
これが、合図なのか? ま、まあいいか
「俺たちを追い掛け回してるヘリは、空にピー(放送禁止用語)をした奴が乗っているぞ!」
「何ですてぇえええええええええええええ」
地獄の鬼も逃げるような雄叫びだな
「ほら、言ったとおり怒りが完全にそれただろ?」
「ああ、確かに。だが・・・・・・いやなんでもない。今のうちに逃げきるぞ」
後ろを振り返ると、ヘリに向かって多数の道路標識が打ち出されていた。
ありゃ、落ちるのも時間の問題だな。ご愁傷様です。
「あなたたちも、手伝いなさい!」
有無を言わせぬ口調だが、有紀の命令を断れる奴なんかいるのか?
「だそうだ・・・・・・」
「撃ち落すか」
「さっさとする!」
「はい!」
一括されるともう、やるしかないな・・・・・・逃げたら怒りが俺たちに向くだろうし・・・・・・
「液体火薬でも喰らえ!」
がしゃん、ズドーン
「シン、貴様は死にたいらしいな」
「ごめん・・・・・・・・・」
俺って投力ないなー、
見事に放物線を描いて、五メートルくらい前。しかもバイクで移動してるから輝の目の前で爆発したし・・・・・・その割には輝の奴怪我してないんだよなー。火薬の量間違えたかなー。って、今はそんなこと考えてる場合じゃなかった
「輝、落ち着け、今のは・・・・・・そうあいつの妨害があってだなー」
「ほう、妨害か? なら、俺も妨害されて貴様を焼いても仕方ないよな?」
なんか、都合のいいように、いや俺の都合が悪くなる方に解釈されちゃった
「いや、そうゆうことでは・・・・・・」
「問答無用!!」
最後は力任せかぁあああああ
輝の持つ刀が俺の腹に突き刺さる一歩手前で、輝がいきなり倒れバイクから落ちた。
なに? 何が起こったの?
「うわ!」
運転手を失ったバイクは蛇行運転して倒れる。
って、冷静に分析してないで、倒れる前にバランスとって俺が運転しないと分析の結果道理になるし
「邪魔。シンあなたも?」
どうやら、バランスをとるろうとしてたら、有紀の前に出ていたらしい・・・・・・
有紀が輝をやったのか? たしか輝との距離はかなり離れてた気がするけど・・・・・・
「いいえ、しっかり手伝わせていただきます」
もう、条件反射だな。こりゃあ
「なら、早くあれを撃ち落しなさい!」
簡単に言われてもなあーだいたい生身でどうやってヘリを落とせるんだよ?
俺が思案していると撃ち落そうとしていたヘリが、電柱にぶつかり大破、炎上していた。
「おい!」
「まあ、上出来かしら。」
有紀に誉められた? ってことは無事に帰れるかも!!
「げほ、げほ。まったくひどいことをしてくれますね。ここまでされては、女だからといって容赦しませんよ」
炎上しているヘリから逸見が這い出てきて戯言をほざいた。
ご愁傷様です。安らかに逝ってくれ。有紀からは逃げられないんだから
「誰が、誰を容赦しないのかしら?」
「だから、私があなたに対して・・・・・・・・・・・・うっっっっっっっっっっっ」
言い終わらないうちに、有紀が間合を一瞬で詰め、膝蹴りを股間に叩き込んだ。
見てるこっちまで痛い・・・・・・ありゃ地獄だな
「ごちゃごちゃ五月蝿い! あなたは、黙って悲鳴をあげてればいいの」
「矛盾してるぞ。どうやって黙ったまま悲鳴を上げるんだ?」
ゴス
み、みぞおちを殴りやがった・・・・・・
「言わなきゃよかった」
「言わなくても、殴るわよ」
「何でだよ?」
「ボケるところでボケないから、ツッコム。」
「結局、殴られるんだ・・・・・・」
ってか、今ボケをかます展開なのか? どちらかというとシリアスな展開の気が
「常闇に住まう物
       悪しき力を
           悪しき姿を
我が前に示せ
修羅招来」
また、あれを召喚する気か! 俺の仕事が増えるだろうが!!
やはり、前と同じく空間が歪み、異界の生物が姿をあらわした。それは長身の鬼。見るものすべてに恐怖を与える存在だった。有紀が本性を表すまでは・・・・・・
ぺし
鬼が有紀を殴ったが、片手で受け流され間抜けな打撃音が聞こえた。
ありえねー。幾らなんでも俺たちがあれだけ苦労した相手をこうもあっさりと手玉に取るとは恐るべし有紀の実力。言ったら殺されるかも
ぺち
お返しとばかりに有紀が平手打ちを食らわせると気の抜けた打撃音がして、鬼が吹っ飛んでビルを五つぐらい貫通してお札に戻った。
い、一撃ですか? あれを? この世ってかなり不公平にできてるんだなぁ。確信したよ。意味ないけど
「嘘、だろ・・・・・・これは夢か?」
ん? 逸見のやつ呆然としてるよ。そりゃそうだよなあんな光景を見せられたんじゃ。誰だってああなるよ。たぶん
「って、わぁあああああああああああビルがこっちに倒れてくるぅうううううう」
「シン、五月蝿いわよ」
ズガァアアアアアン
倒れて来たビルが一気に倒壊し、すさまじい音を立てた。その中で俺たちは奇跡的に無傷ですんだ。本当に奇跡ってあるんだな。しみじみと思うよ
「シン、一応これを捕まえといて」
ビルの倒壊など無かったかのような振る舞いだな。おい
「はい!」
もう、なんか完全に有紀の下僕になってるよ。俺・・・・・・
「はあ、はあ、やっと追いついた・・・・・・」
輝が、汗だくになりながら、やっと俺たちに追いついてきた。
「輝、もう終わったぞ」
「いや、まだだ。まだ一言星野に伝えていない・・・・・・」
「私に伝えることってなに?」
有紀に伝えておかなきゃならないことなんて有ったか?
「シンが、しっかりと部活に出ていれば空が誘拐されることはなかったはずだ」
「なっ!」
輝のやろう何、満足げな表情で倒れてやがる! 
ガセネタを有紀に吹き込みやがって!そうか有紀に俺がぼこられるようにするためだな。ちくしょう。バイクから落ちたことを根に持ってやがる。
「え、っとその命だけは助けてください!」
俺はいったい何を言ってるんだ? これじゃあ、俺が輝のガセネタを肯定したのと同じじゃないか!
「そう、なら命まではとらないであげる」
「いや、そうゆう意味じゃ・・・・・・」
ぐしゃ
有紀のやさしい? セリフと共に有紀の鉄拳が腹にめり込み、悶絶し意識がブラックアウトした。

バシャ
すぐに、消火栓から冷水をかけられた
冷たいとゆうよりも痛い・・・・・・
「さあ、寝たんだからしっかり働く!」
寝たんじゃなくて、気絶させたんだろうが! ちくしょうツッコみたい。でもツッコンだら凶器で殴られるだろうし・・・・・・しかも気絶する一歩手前の威力で・・・・・・あれはかなり痛いからなー
「口答えするの?」
俺の物言いたげな視線が何か別なほうの意味として受け取られてる・・・・・・
笑顔で手にバットを持たないで・・・・・・怖いってゆう次元超えるから・・・・・・
「いえ、しません。」
「これが最後よ。私を家まで送りなさい! ここに人力車があるから」
もう、後がないと? 失敗したら、どうなるの?・・・・・・どんなに希望的に考えても肉片になるのが落ちだな・・・・・・考えるの止めよう。
「あの、ここからですか? ここから家まで?」
「そう。ここからよ。電車とかはお金が掛かるから使わなくて良いわよ」
暗に電車に乗るなって脅されてる気が・・・・・・輝のやろういつか絶対に復讐してやるからな覚えてろ! 俺は、心の中で誓い、人力車を引いてここから優に十キロは軽く超えてる有紀の家を目指して歩き続ける。しかないよなー・・・・・・ここまで人力車を引いてきた人はとっくに逃げ出してるし。


エピローグ

「輝、輝、おい! いつまで寝てる気だ? いい加減起きたらどうだ?」
「うるさい!」
また、寝やがった・・・・・・よくこんな状況で寝れるな・・・・・・監獄の中でこんなにぐっすりと寝れる奴なんて滅多にいないだろうな
・・・・・・暇だ・・・・・・やることがない・・・・・・かと言って暇を潰す手段もない・・・・・・やっぱり暇だ

たっぷり三時間後

「ん、ふあぁ」
「やっと起きたか」
「ここはどこだ?」
「監獄だよ」
「そうか。監獄か」
ん? 以外にあっさり事態を飲み尾込んだな、なぜだ? 普通もうちょいパニックに陥ると思うが。それともパニックに陥るのは俺だけなのか?
「って、監獄だとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「五月蝿いからもっと静かに」
「なぜだ? なぜ俺まで監獄に? 俺が一体何をしたんだ? そうか判ったぞ星野の謀略だな!」
「そうだよ。」
思いつきで、事態を解明しやがった・・・・・・
「くそ、俺が寝ている間に事が進むとは何たる不覚。起きてさえいればシンただ一人に罪を着せれたとゆうものを」
とりあえず、後半の不穏な言動は無視しておこう。
「で、これからの方針なんだが」
「そんなのは、決まってる! 裁判で勝つ! 負ければそのまま脱走。以上。」
「それでもいいが、有紀が手を回してないとゆう保障はないぞ? むしろ回してると思ったほうが確実だと思うが」
「・・・・・・・・・・・・なんとかしろ」
「できたら、苦労しないよ。」
「幼馴染だろ?」
「不運なことにな。だからこそ、何をやっても効果が無いって解かってるんだけどな」
「そうか・・・・・・・・・」
「なら、裁判中に逃げてみるか」
「どうやって、有紀から逃げれるんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・」

俺たちは、今日も逃げ出すことに―もとい逃げて生き延びるために命をはっている。
俺に安らぎはあるのか?・・・・・・ないだろうな・・・・・・
2004-11-03 20:46:55公開 / 作者:ラック
■この作品の著作権はラックさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
以前投稿したやつの修正版です。もし読んでもらえたら幸いです。

ご意見ご感想を待っています。
この作品に対する感想 - 昇順
ちょっと抽象的な言葉ですが「もう少しうまく書いて欲しいな」と思いました。主人公の語りによる描写が簡潔すぎて味気ないです(状況はわかりますが。文章に厚みをつけることと、面白さを読み手に伝えようとすること。それがもっとできてこなければ、この長さを読者に読ませるのは厳しいのではないかと思いました。失礼致します。
2004-11-04 23:26:39【☆☆☆☆☆】メイルマン
メイルマンさん、貴重なご意見と一読ありがとうございました。
ご意見を無駄にしないよう努力していきたいと思います。
短い文章になってしまいましたが、失礼します
2004-11-05 17:04:20【☆☆☆☆☆】ラック
計:0点
お手数ですが、作品の感想は旧版でお願いします。