『おかあさんとおねえちゃん』作者:紅汰白(アッドです)。 / - 創作小説 投稿掲示板『登竜門』
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 僕のお父さんは、その昔お母さん以外にもう一人奥さんがいた。僕が生まれる前のことなので、詳しいことは分からない。でも、お母さんと結婚する前にその人は死んじゃったらしい。

 僕には、お姉ちゃんが一人いる。
 でも、お母さんは違う。
 お父さんの前の奥さんの子供だったそうだ。
 よくテレビでお母さんが違う子供が今のお母さんに凄く嫌われていたりするけど、あれは嘘だと思う。
 僕のお母さんは、お姉ちゃんを可愛がっていると思うから。
 確かに出てくるご飯の量はお姉ちゃんの方が大きいのに少なかったり、真冬に外で窓拭きをお願いするけど、お姉ちゃんはいっつも幸せそうに微笑んでいる。
 だから、幸せなんだ。

 お母さんは口癖のように、お姉ちゃんのことを“どれー”と呼んでいる。どういう意味かは僕には分からないけど、きっといい意味なんだろう。

 お姉ちゃんは毎日毎日僕を幼稚園まで送って、迎えに来てくれる。
 幼稚園の先生が、『おねえちゃん、高校に行ってないの?』と心配そうに聞いてきた。でも僕が行ってないよ、というと、先生は家に電話した。
 その日だけはお母さんが迎えにきて、お姉ちゃんは事故でしばらく入院するんだよ、といった。
 しばらくして、僕のお母さんは怖い顔をした、青い服を着たおじさんたちに連れられて、どこかに行ってしまった。

 それからしばらくして、僕らは大きな家からあぱーとの一室に引っ越して、毎日来る“ますこみ”が来たら頭を隠す生活を始めた。
 ある日テレビをつけたら、お母さんの顔の写真が映っていて、その下には

“連続凶悪通り魔、ついに逮捕。結婚相手の連れ子虐待の果ての殺害により、発覚。犯人は元一世を風靡したグループ『   』のボーカルだった。”

 と書かれていた。
 僕は難しい漢字なんて読めないから、意味が分からなかった。

 いつになったら、おかあさんかえってくるのかなぁ。
 いつになったら、おねえちゃんかえってくるのかなぁ。
2004-09-15 17:31:42公開 / 作者:紅汰白(アッドです)。
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■作者からのメッセージ
 おかあさんと〜シリーズ(シリーズにしおった!)第二段。
 一作目の時にブラックといわれたのですが…、もともとマイナス思考で生きてきた感じが…。
 現在書いているファンタジー(?)もこんなのりです(ちょっとはましだけど)。

 ちなみに改名しました。
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